COLUMN
ワーケーションとは|データからみるメリット・デメリット
「ワーケーションって、一体なんだろう?」
「ワーケーションにはどんなメリットがあるのかな?」
このようにお考えではないですか?
「ワーケーション」とは、「ワーク(Work)」と「バケーション(Vacation)」を組み合わせた造語です。意味としては、テレワークなどを活用してリゾート地や地方等、普段の職場から離れた環境で自分の時間を確保しながら働くスタイルのことを言います。
ワーケーションを行うことで、企業にとっても個人にとっても様々なメリットがあります。
いっぽうで、ワーケーションというと「休暇中に仕事しなければいけないシステム」と誤解される方もいるかもしれません。しかし実際は異なります。
リモートワークのシステム導入により、開放的なリゾート地など心地よい環境で仕事を行いつつ休日のリフレッシュも充実させることがワーケーションの一番の狙いです。わざわざ休日にリゾートへの移動を行うことなく、仕事とプライベートのスイッチをスムーズに行える、効率的なシステムなのです。
パンデミック以降、多くの企業がテレワークを導入しており、それに伴ってワーケーションを導入する企業も増えつつあります。とはいえテレワークに比べても、まだまだ一般的とまでは言えません。
そこでこの記事ではワーケーションの基礎知識やメリット・デメリットなど、以下の内容を詳しく解説していきます。
この記事のポイント |
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この記事をお読みいただくことで、ワーケーションの基礎知識から導入事例まで網羅できます。ぜひこの記事を参考にしていただき、ワーケーション導入をご検討いただければ幸いです。
目次:
- 1.ワーケーションとはなにか
- 1-1.ワーケーションとはワークとバケーションを組み合わせた言葉
- 1-2.よく勘違いする「休暇中も働かないといけないの?」は違う
- 1-3.ワーケーションの2つのタイプ
- 1-4.ワーケーションの導入の現状
- 2.ワーケーションのメリット
- 2-1.従業員にとってのメリット
- 2-2.企業にとってのメリット
- 2-3.地域にとっても地方再生の足掛かりとなる
- 3.ワーケーションのデメリット
- 3-1.導入や運用にコストがかかる
- 3-2.人事評価をしにくい
- 3-3.セキュリティ面のリスクが上がる
- 4.ワーケーションの導入事例
- 4-1.日本航空
- 4-2.野村総合研究所
- 4-3.ユニリーバ・ジャパン
- 5.ワーケーションを積極採用すべき企業の特徴
- 5-1.既にテレワークの環境整備ができている企業
- 5-2.優秀な人材を確保したい企業
- 6.ワーケーションの導入の3つのステップ
- 6-1.ワーケーション導入方針を定める
- 6-2.ワーケーションを行う環境を整備する
- 6-4.制度導入と改善を繰り返す
- 7.ワーケーション導入の注意点
- 7-1.仕事とプライベートを分けられるように工夫する
- 7-2.労災保険の適用に関しての規定を設ける
- 7-3.情報共有をスムーズに行う環境を整える
- 8.まとめ
1.ワーケーションとはなにか
それでは第一章では、改めてワーケーションの基礎知識について解説します。具体的にここでは以下の内容について解説します。
1-1.ワーケーションとはワークとバケーションを組み合わせた言葉
冒頭でも解説した通り、ワーケーションとは「ワーク(Work)」と「バケーション(Vacation)」を組み合わせた造語です。
意味としては、テレワークなどを活用してリゾート地や地方等、普段の職場から離れた環境で自分の時間を確保しながら働くスタイルのことを言います。
2019年から本格的に開始した働き方改革やコロナ禍によって、多くの企業がテレワークの導入を開始しました。しかし、自宅に適切な労働環境のない一部の従業員にとってはテレワークはストレスとなる場合もあり、生産性が下がってしまうという事実も指摘されました。
そこで従業員の心身の健康を考慮しつつ仕事の生産性を向上させるために注目されるようになったのが「ワーケーション」です。ワーケーションを導入することで、常にリフレッシュできる環境に身を置きつつ、業務を行うことが可能となります。
1-2.よく勘違いする「休暇中も働かないといけないの?」は違う
ワーケーションというと、「休暇中も働くのは嫌だ」と感じる人がいるかもしれませんが、これは本来のワーケーションの考え方と異なります。
- 休暇中も働かないといけないの?
- 仕事とプライベートはきっちり分けたいんだけれど…
このように心配される方もいるかと思いますが、ワーケーションとは、仕事とプライベートを混同することではありません。正しいワーケーションでは仕事は仕事、プライベートはプライベートとしてきっちりと分けつつ、拠点をリゾートや地方など心地の良い環境に移すというスタイルが推奨されます。
例えば、ワーケーションにおいての1週間を以下のように表にしてみました。
このケースでは、休日と有給休暇の日と勤務日を明確に分けています。当然ですが休暇日に仕事を行うことはありません。
このように、仕事とプライベートはきっちりと分けられる環境を整えるのも、ワーケーションにとっては重要なのです。
1-3.ワーケーションの2つのタイプ
観光庁は、ワーケーションを大きく分けて以下のように2つに分類しています。
この章では、ワーケーションの2つのタイプについて解説します。
1-3-1.休暇型ワーケーション
主に休暇を目的としたワーケーションが休暇型ワーケーションです。有給休暇を取得しつつ、合間に勤務日を入れることで、リゾート地などで長期休暇を取得できるタイプです。
以下は前章でも例に挙げたスケジュールです。こちらが休暇型ワーケーションの1週間の例です。
このように、一週間のうち2日のみ勤務日を設け、それ以外は休暇を楽しみます。勤務日以外は会社との連絡ができないようにし、業務を持ち込めないように工夫します。
これが典型的な休暇型ワーケーションの形です。
1-3-2.業務型ワーケーション
業務型ワーケーションは、業務主体で行うワーケーションです。主に以下の3つの種類に分けられます。
合宿型 | チームメンバーと共にオフィスとは異なる環境で業務を行う |
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サテライトオフィス型 | 地方のサテライトオフィスやシェアオフィスで業務を行う |
地域課題解決型 | 地域関係者と交流を行い、地域の課題解決を目指す |
「合宿型」はチームメンバーと共にリゾート地へ赴き、オフィスとは異なる環境で業務と行います。
「サテライトオフィス型」では、個人個人がリゾート地や地方等リフレッシュできる環境に身を置きつつ、サテライトオフィスやシェアオフィスで業務を行う形態です。
「地域課題解決型」は、地方にて現地の関係者と交流することで、地域の課題の解決を目指すワーケーションです。例えばDX化が進んでいない地方にIT系の企業関係者が赴き、その土地のDX化を促進する、などのスタイルは地域課題解決型といえるでしょう。
いずれの場合も、企業規程の業務時間内は通常通り仕事をします。
異なるのは、業務を行う場所のみです。
1-4.ワーケーションの導入の現状
それではここで、ワーケーション導入の現状についてみていきましょう。観光庁が行った調査によると、回答者の約8割がワーケーションを認知していることが分かります。しかし知ってはいるものの、実際に経験したことがあるのはわずか4.3%。会社で実施している層と合わせても11.7%でした。
つまりワーケーションに関して認知しているものの、実際に導入しているのはそのうち約一割だということになります。
ワーケーションに対する興味関心に関しての調査も見てみましょう。観光庁の調査では、興味関心がある層は全体の28.1%にとどまり、6割以上となる64.2%が「無関心層」という結果が出ました。
しかしこの結果になった理由としては「テレワークができない仕事だから(51.6%)」「休暇中や旅行中は仕事をしたくないから(36.7%)」といった、環境上の理由は意識の違いによるものが多いという特徴があります。
テレワークができる環境を構築し、仕事と休暇をはっきりと切り分けることでワーケーション導入の興味につなげることは難しくはないでしょう。
2.ワーケーションのメリット
それではここからは、ワーケーションのメリットについて詳しく解説します。
それぞれ見ていきましょう。
2-1.従業員にとってのメリット
まずは従業員にとってのメリットから見ていきましょう。具体的には以下の2点が挙げられます。
2-1-1.ストレスが低減する
まずは、従業員のストレスの低減が挙げられます。
NTT DATAが2020年に実施した調査によると、ワーケーションを実施することで仕事のストレスは37.3%も低減させることができ、その効果はワーケーション期間後にも5日間持続することが分かりました。
出典:ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与するワーケーションの効果検証を目的とした実証実験|NTT DATA
通常業務や自宅でのテレワークでは、毎日同じ環境の下で業務を行う必要があります。テレワークに関しても、自宅に作業しやすい環境が整っている場合には問題ありませんが、そうでない場合はストレスがかかります。
また、ずっと自宅だけで業務を行うのでは孤独を感じやすくなってしまいます。
ワーケーションによって作業を行う環境を劇的に変化させることで、リフレッシュ効果が高まり従業員のストレスが低減することはまちがいないでしょう。
2-1-2.生産性が上がる
ワーケーションを取り入れることで従業員の生産性も上がります。
NTT DATAが2020年に実施した同調査によると、ワーケーションを実施することでパフォーマンスが20.7%も上昇し、終了後も5日間もの間効果が持続しました。
出典:ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与するワーケーションの効果検証を目的とした実証実験|NTT DATA
ワーケーションではストレスが軽減されることが理由で、業務の生産性が上がるということも事実と言えるでしょう。そのほか、ワーケーションを許可してくれた会社に対しての帰属意識が高まることもパフォーマンスの向上に関係していることも予想できます。
2-2.企業にとってのメリット
ワーケーションは企業にとっても大きなメリットがあります。ここでは以下の2点について解説します。
それぞれ見ていきましょう。
2-2-1.企業の価値を向上できる
ワーケーションを取り入れることで、企業の価値を向上することができます。
ワーケーションは主に従業員の働きやすさ、ストレス低減にコミットした考え方です。ワーケーションはCSRやSDGsの取り組みにも大きな影響を与える可能性があります。つまり、ワーケーションを導入することで企業そのものの魅力が上がり、価値を向上することができるのです。
働いている従業員の満足度は上がり、帰属意識も向上します。それだけでなく、外部からの企業の見方も変わります。これは一つのブランディングの在り方でもあり、企業の価値の向上という意味でワーケーション導入は大きな意味を持つでしょう。
2-2-2.優秀な人材の確保が可能となる
ワーケーションを導入することで、優秀な人材の確保も可能となります。
ここまでにも解説した通り、ワーケーションは従業員の働きやすさに焦点を当てた取り組みです。優秀な人材を確保するためには、企業が従業員のことをいかに大切にするかが重要です。
近年では少子化によって優秀な人材の確保が難しくなってきています。テレワークを導入する企業は増えつつありますが、テレワークだけでなくワーケーションも取り入れることでより幅広い働き方を実現できます。
その結果、優秀な人材が企業に興味を持つ可能性が高まります。優秀な人材を確保したいのであればワーケーションを積極的に取り入れ、多様な働き方にコミットした環境を構築することをおすすめします。
2-3.地域にとっても地方再生の足掛かりとなる
ワーケーションは、受けて側の地域にとってもメリットがあります。その最も大きなメリットとしては、関連事業の活性化や旅行授業の創出です。
ワーケーションが活発化するということは、都市部の労働者が地方に流れて業務を行うということになります。その結果、地方に人が流れるようになり、人口減少に悩む地方の課題解決の足掛かりになる可能性があります。
ワーケーションを通じて地方の魅力を知ってもらうことができれば、移住や拠点としてもらえる可能性があります。また、業務型のワーケーションであればワーカーと提携して地方の持つ課題解決を行うことも可能です。
このように、ワーケーションは個人や企業だけでなく、受け入れ側の企業にとっても大きなメリットがあるのです。
3.ワーケーションのデメリット
ここで、ワーケーションのデメリットについても解説していきます。ワーケーションのデメリットとしては以下の3点が挙げられます。
それぞれについて見ていきましょう。
3-1.導入や運用にコストがかかる
ワーケーションは、導入や運用にコストがかかると言うデメリットがあります。
ワーケーションを行う場合には、テレワークの環境を整備する必要があります。今の段階でテレワークの環境を全く持っていない場合には、システムの導入から始めなければなりません。
また地方に送り出すにしても、ワーケーション先の環境の整備も場合によっては必要となります。そしてそのように取り入れたシステムや環境を維持するのにも、コストがかかってしまいます。
すでにテレワークのシステムを導入しているなどの状況であれば問題ありませんが、これからテレワークを導入する企業にとってはコスト面でのデメリットがあると言えるでしょう。
3-2.人事評価をしにくい
ワーケーションのデメリットとして、人事評価をしにくいと言う点も挙げられます。
ワーケーションは基本的に、従業員が遠方で業務を行うシステムです。そのため上司が常に従業員の動向を把握できると言うわけではありません。
そのため人事評価をしにくいといったことはデメリットとなり得ます。ワーケーションを導入するには人事評価の面で基準を作るなど、ある程度の工夫は必要となるでしょう。
3-3.セキュリティ面のリスクが上がる
ワーケーションのデメリットとして、セキュリティ面のリスクが上がると言う点も挙げられます。
ワーケーションは、社外で仕事を行うことが基本となります。そのため社内の機密情報や個人情報などセキュリティ面でのリスクが上がる事は注意が必要です。
ワーケーションを行う上でのクラウド活用やシステムのセキュリティはもちろんのこと、従業員一人ひとりのリテラシーを上げていくことも必要となるでしょう。
4.ワーケーションの導入事例
それではここで、実際にワーケーションを導入した事例について詳しく解説していきます。ここでは以下の3社について見ていきましょう。
4-1.日本航空
導入時期 | 2017年 |
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ワーケーションのスタイル | 有給休暇を利用した休暇型ワーケーション |
日本航空は2015年から働き方改革を導入したものの、有給休暇の取得率の低さに課題を持っていました。対策の一つとして、2017年にワーケーションを導入しました。その結果、有給休暇の取得率の向上や従業員のモチベーションの向上に繋がりました。
具体的な施策としては、有給休暇を利用した休暇型ワーケーションのスタイルです。日本航空の場合、ワーケーションを利用できるのはデスクワークの人員のみに限られますが、その総数は2,000人に上ります。
誰でも参加しやすいように、遠隔地でのテレワーク体験や現地の方との交流を積極的にセッティングする等の工夫をしています。
※出典:日本航空株式会社導入事例
4-2.野村総合研究所
導入時期 | 2017年 |
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ワーケーションのスタイル | 徳島県三好市の古民家を活用した業務型ワーケーション |
野村総合研究所のワーケーションへの取り組みが始まったのは2017年のことです。徳島県の古民家にて平日は業務、休日には休暇を取るといった業務型ワーケーションを取り入れています。
もともとは従業員のモチベーション維持のために取り入れられたワーケーションですが、働く環境を変化させることで新しいアイディアを生み出しやすくなるといった点も期待されています。
2020年には受け入れ先の徳島県三好市での人材教育立ち上げも検討されました。企業と従業員だけでなく受け入れ先の地域の活性化にも貢献できる取り組みとなっています。
※出典:野村総合研究所導入事例
4-3.ユニリーバ・ジャパン
導入時期 | 2016年 |
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ワーケーションのスタイル | 働く場所や時間を社員が自由に選ぶことができる「WAA」制度 |
ユニリーバ・ジャパンは2016年に働く場所や時間を社員が選ぶことができる「WAA(ワー)」という制度を導入。具体的には、上司に申請して支障がなければ、どこでも好きな場所で仕事ができるようになりました。
勤務場所だけでなく、平日の5時から22時の間であれば勤務時間や休憩時間も自由に選択することができます。一日の労働時間を定めるのではなく、ひと月トータルでの労働時間を定めることで、自由な働き方を実現しました。工場のオペレーター以外の全社員が対象で、実施率はほぼ100%だといいます。
地域活性との親和性も高いこともあって、2019年には「地域 de WAA」という新制度も導入しました。提携する地方自治体に設置したコワーキングスペースを活用し、社員は無料で利用することができます。ワーケーションを行うことで会社だけでなく地方再生も視野に入れた取り組みを行っています。
※出典:ユニリーバ・ジャパン導入事例
5.ワーケーションを積極採用すべき企業の特徴
この章では、ワーケーションを積極採用すべき企業の特徴について解説していきます。具体的には以下の2つの特徴のうち、どちらか一つに当てはまる企業はワーケーションを導入することをおすすめします。
5-1.既にテレワークの環境整備ができている企業
既にテレワークの環境整備ができている企業に関しては、ワーケーションの導入をおすすめします。
第3章でも解説した通り、ワーケーションを導入する最大のデメリットは、導入や運用にコストがかかると言う点が挙げられます。まだテレワークを導入していない企業にとって、新たにテレワークの導入から行う事はハードルが高いと言わざるを得ません。
その点、すでにテレワークの環境整備ができている企業は導入のハードルが低いと言えるでしょう。場合によっては、従業員の拠点を移動するだけですぐにワーケーションを取り入れることも可能です。もちろん受け入れ側の地域の整備も必要な場合もありますが、テレワークの環境整備面が整っていない企業に比べるとはるかに導入しやすいといえます。
ここまでにも何度も解説してきた通り、ワーケーションは従業員の働きやすさを向上させる目で的で導入するものです。すでにテレワークの環境が整っているのであれば積極的に導入することをおすすめします。
5-2.優秀な人材を確保したい企業
優秀な人材を確保したい企業に関しても、ワーケーションの導入をおすすめします。
第二章でも解説した通り、ワーケーションを導入する企業側のメリットとしては、企業の価値が上がり人材が集まりやすくなると言う点が挙げられます。現時点で優秀な人材を集めることに苦労している企業であれば、ワーケーションの環境を導入することで企業の魅力が上がり、理想の人材を確保できる可能性は高まります。
近年は少子化により優秀な人材の確保は簡単ではありません。優秀な人材は多くの企業から求められており、企業側に魅力がなければそうした人材に選ばれる事は無いのです。
企業の価値を高め、優秀な人材を確保するためにはワーケーションの導入をおすすめします。
6.ワーケーションの導入の3つのステップ
それではここからは、具体的にはワーケーションを導入する3つのステップについて解説します。
それぞれ見ていきましょう
6-1.ワーケーション導入方針を定める
まずはワーケーションの導入方針を決めていきましょう。
冒頭でも解説した通りワーケーションは休暇型ワーケーションと業務型ワーケーションの大きく分けて2つに分けられます。自社で行うのはどちらのワーケーションにするのかをまず考えてみましょう。
もっとも導入しやすいのが休暇型ワーケーションです。休暇型ワーケーションの場合、有給休暇を取り入れつつ現地で従業員が業務にあたります。テレワークの環境を整備しておけばすぐにでも導入できるケースも多いため、ハードルは低いと言えるでしょう。
業務型ワーケーションを取り入れる場合は地域の環境の整備や、現地の方との連携が必要となる場合もあります。導入のハードルは高いといえますが、業務を前提としたワーケーションとなるため企業にとっての利益の向上になり得る場合もあります。
導入のしやすさやコストなども考えながら、導入方針を定めていくことをおすすめします。
6-2.ワーケーションを行う環境を整備する
ワーケーションを行うための環境の整備をしましょう。具体的には以下の3点を考慮する必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
6-2-1.ルールを定める
まずはワーケーションを行うためのルールを定めておきましょう。特に重要な点は、以下の2点です。
- 業務をプライベートに侵食させないためのルール
- 柔軟にコミュニケーションを取るためのルール
業務とプライベートを切り分けるためには業務を行う際時間を明確化し、それ以外の時間帯には業務の連絡を行わないといった明確なルールを立てる必要があります。
また、業務時間内には柔軟にコミュニケーションを取れるようにルールを作っておくこともおすすめです。ミーティングの時間を定めたり、質問事項を分かりやすくまとめる等をしてコミュニケーションを潤沢に行えるよう工夫しましょう。
その他にも、業務上のルールを細かく設定しておく必要があるでしょう。
6-2-2.勤怠管理システムの導入
ワーケーションを行う場合には、勤怠管理のシステムの導入は必須です。
会社にいなくても勤怠管理ができるような専用のシステムを導入することで、従業員が適切な労働時間で業務を行えるように徹底する必要があります。
給与システムと連携できるものを選ぶことで、より正確に従業員の労働時間を把握することも可能です。
6-2-3.セキュリティ対策
ワーケーションを行う上でもう一つ重要なのは、セキュリティ対策です。ワーケーションを行うためにはクラウドストレージ等の活用が必須となりますが、なるべくセキュリティの高いものを選ぶことをおすすめします。
またシステム自体を高いセキュリティのものにするだけでなく、ひとりひとりの従業員がセキュリティに対し高いリテラシーを持てるように教育することも重要です。
どこでも自由に労働できる環境を構築すると言う事は、それだけセキュリティに対してリスクが上がってしまうという点を従業員がそれぞれ意識し、業務に当たれるよう周知していく必要があるでしょう。
6-4.制度導入と改善を繰り返す
制度を導入したら、状況に応じて改善をしながら環境をブラッシュアップしていくことをおすすめします。
最初からワーケーションは誰にでも効果的に機能するとは限りません。どれほど優秀なシステムを導入したとしても、最初から何の問題もなく運用することは難しいといえます。
トラブルが起こったり業務に支障が出るようなことがあれば、その都度原因を割り出すなどして改善策を探り、企業にとっても従業員にとってもより良い環境を作るように向上させていくことをおすすめします。
7.ワーケーション導入の注意点
それではここからは、ワーケーション導入の注意点についてより詳しく解説していきます。ここでは以下の3点について解説します。
それぞれ見ていきましょう。
7-1.仕事とプライベートを分けられるように工夫する
ワーケーションを行う場合には、仕事とプライベートをきっちり分けられるように工夫をしましょう。
ここまでにも何度も解説してきた通り、ワーケーションとは休暇中に仕事をすると言うスタイルのことではありません。休暇中に仕事をしなければならないといった状況を避けつつ業務を行える環境を整えていく必要があります。
例えばワーケーションを行っている従業員の勤怠をチーム全体で把握し、業務時間外には連絡を取らないといったことを徹底することで、ワーケーションとしての機能が初めて十分に発揮されます。
ワーケーションを行う場合には、仕事とプライベートを明確に向けられるように設定する必要があるでしょう。
7-2.労災保険の適用に関しての規定を設ける
ワーケーションを行う場合には、労災保険の適用に関しての規定を設ける必要があります。
例えばワーケーションを行っている最中に怪我をしてしまった場合。どこの範囲まで労災保険を適用するのかを明確化することが難しい場合もあります。
これも勤怠管理に関わってくることではありますが、いつどのような状況で起こった事故に関しては労災保険を適用するといった細かな規定を新たに設けて、トラブルにならないように事前に対策を練っておくことをおすすめします。
7-3.情報共有をスムーズに行う環境を整える
ワーケーションを行う場合は、情報共有をスムーズに行う環境を整えることをおすすめします。
ここまでの解説してきた通りワーケーションにはクラウドストレージ等の導入が必須です。どこでもどのデバイスからでもアクセスできるシステムを導入することで、ワーケーションを可能とするのです。
クラウドストレージのサービス内容よってはデータ共有をしやすいものやアクセス認証付与など様々な機能が付いているものがあります。自社にとってはどの機能が必要なのかをしっかりと検討し、ワーケーションに必要な機能を搭載したシステムを導入することをおすすめします
8.まとめ
以上、この記事ではワーケーションの基礎知識やメリット・デメリットなど、以下の内容を詳しく解説してきました。
この記事のポイント |
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この記事をお読みいただくことで、ワーケーションの基礎知識から導入事例まで網羅できたかと思います。ぜひこの記事を参考にしていただき、ワーケーション導入をご検討いただければ幸いです。
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