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コールセンター運営のポイントとは?カギとなるスーパーバイザー(SV)の育成方法も解説
顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上を目的に、コールセンターを導入する企業は増えつつあります。しかし、思い通りの運営ができない、どのような点に注意して運営をすればよいかわからないという方も多いかもしれません。
今回は、コールセンターを運営する上で押さえておきたいポイントやコールセンターにおける管理者の役割について解説します。コールセンター運営のカギを握るSVの育成についても併せて解説するので、参考にしてみてください。
この記事ではコールセンターの運営方法を解説していきますが、コールセンター導入に関するご相談やお悩みがある方はお気軽にNTT東日本までお問い合わせください。
目次:
- 1.コールセンター運営のポイント
- 1-1.現状課題や想定される課題を把握する
- 1-2.コールセンター運営の目的を明確にする
- 1-3.KGI/KPI設定
- 1-4.組織マネジメント設計
- 1-5.業務プロセス設計
- 1-6.人材育成設計
- 2.コールセンターを運営する上での管理者の役割・業務内容
- 2-1.センター長
- 2-2.マネージャー
- 2-3.スーパーバイザー(SV)
- 3.コールセンター運営のカギを握るスーパーバイザーの育成
- 3-1.スーパーバイザーの役割
- 3-2.スーパーバイザーに向いている人材
- 3-3.スーパーバイザーの育成方法
- 4.コールセンター運営のポイントをおさえて適切で効率的な運営を
- コールセンター運営のポイントについてまとめ
1.コールセンター運営のポイント
コールセンターを運営する上で、重要なポイントは次の通りです。
- 現状課題や想定される課題を把握する
- コールセンター運営の目的を明確にする
- KGI/KPI設定
- 組織マネジメント設計
- 業務プロセス設計
- 人材育成設計
それぞれについて詳しく解説します。
1-1.現状課題や想定される課題を把握する
コールセンター運営を円滑に進めるためには、現在抱えている課題や今後想定される課題を把握することが重要です。一般的に、コールセンター運営の際に直面する課題として挙げられるのは以下の通りです。
- オペレーターの不足
- スーパーバイザー(SV)の育成
- 問い合わせ内容・チャネルの多様化
- 生産性が上がらない
- 在宅勤務への対応
それぞれについて詳しく確認していきましょう。
1-1-1.オペレーターの不足
慢性的なオペレーター不足は多くのコールセンターを悩ませる課題のひとつと言えるでしょう。
一般的にオペレーターは、「業務負荷が高い」「ストレスが大きい」等ネガティブなイメージを持たれることの多い職種です。そのため、オペレーターを希望する求職者は伸び悩み、募集をかけても人が集まらない現状があります。
また、「キャリアアップが見込めない」「職場環境が合わない」「ノルマが厳しい」等の理由から、オペレーターの離職率が高い点も人材不足の一因として挙げられます。
オペレーター不足は、サービス品質の低下や業務負荷の増加、採用育成コストの肥大化など、さまざまな問題を引き起こします。離職を防ぎ、定着率を上げるためにも、自社が抱える課題や離職の原因となる問題点を正確に洗い出し、業務改善に取り組むことが重要です。
1-1-2.スーパーバイザー(SV)の育成
オペレーターと並び、コールセンター運営に欠かせないのがスーパーバイザー(SV)の存在です。コールセンターで、特に重要な役割を果たすスーパーバイザーですが、以下の理由からスーパーバイザーの育成や確保に課題を抱えているセンターも多いと言われています。
- スーパーバイザーへの昇格を希望する人材がいない
- スーパーバイザー業務を任せられる人材がいない
コールセンターでは、オペレーターの経験を経て、スーパーバイザーに昇格するケースが多くみられます。しかし、スーパーバイザーの業務範囲や責任範囲の広さ等から「スーパーバイザーにはなりたくない」と感じているオペレーターが増えているのも事実です。
また、オペレーターとスーパーバイザーでは求められる能力や資質が異なるため、スーパーバイザーに適した人材が見つけづらいという問題もあります。コールセンターを円滑に運営するためには、スーパーバイザーの育成体制を整えることが重要です。
1-1-3.問い合わせ内容・チャネルの多様化
企業が提供するサービスや商品は、顧客ニーズに合わせて多様化、細分化しています。当然ながら、コールセンターに寄せられる問い合わせも多様化、複雑化しており、オペレーターには、商品やサービスの知識はもちろん、状況を瞬時に判断して柔軟に対応するスキルが今まで以上に求められるようになりました。
また、問い合わせ窓口として、メールやチャット、SNSなど多様なチャネルを設ける企業も増えています。オペレーターはチャネルごとに異なる業務フローでの対応を求められるため、一人あたりの業務負担増加も課題となっています。業務負担が増えると、オペレーターのモチベーションや応答品質の低下、離職などさまざまなリスクにつながる可能性も高まります。
オペレーターの業務負担を軽くし、応答品質を高め、円滑にコールセンターを運営するためには、以下のような対策を検討することも重要です。
- マニュアルやトークスクリプトの充実
- オペレーター向けの教育や研修の実施
- コールセンターシステムの導入
1-1-4.生産性が上がらない
人材不足、チャネルの多様化、業務の複雑化などさまざまな背景から、生産性が上がらないという課題を抱えているコールセンターも多いでしょう。生産性を上げ、スムーズなコールセンター運営を行うためには、生産性低下の原因がどこにあるかを分析し、業務全体の見直しや改善を行うことが必要です。
たとえば、生産性低下の原因が「応答記録が手動入力のため、作成に時間がかかり、対応件数が伸び悩んでいる」という場合は、以下の対策が効果的です。
- よくある問い合わせ内容を選択肢化し、該当するものを選ぶだけで完了するようにする
- 音声認識システムを導入し、録音された応答内容をURLで貼り付けられるようにする
- チャットボット等の導入により、問い合わせの一部を自動化する
- FAQを充実させ、顧客が自己解決できる仕組みを構築する
近年では、コールセンター運営に役立つシステムが数多く誕生しています。自社の現状や課題を踏まえ、適切なシステムの導入や改善に向けた取り組みを行えば、生産性アップや業務効率化の実現も可能です。
1-1-5.在宅勤務への対応
新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革の推進などの背景から、コールセンターでも在宅勤務が普及しつつあります。
在宅勤務は、人材不足の解消や、運営コストの削減、BCP対策などの面からも高い注目を集めています。しかし、オペレーターの管理が難しい、セキュリティに不安がある等の理由から、導入に踏み切れないコールセンターも多いでしょう。
このような不安を解消するツールとして多くの企業で採用されているのが、クラウド型のコールセンターシステムです。情報セキュリティ対策に優れ、勤怠管理や業務管理など、在宅勤務に役立つ機能を備えているので、初めて在宅勤務を行う企業でもスムーズに移行が可能です。
また、在宅勤務を行う際は、全てのオペレーターに一気に導入するのではなく、業務経験や知識が豊富なオペレーターから段階的に導入していくのがおすすめです。
1-2.コールセンター運営の目的を明確にする
新たにコールセンターを設置する際は、運営の目的を具体的に設定しましょう。目的が不明確だと、コールセンターを運営する意義や意味を見失う可能性が高くなります。
また、すでに設置しているコールセンターの業務改善を行う際にも、改めて運営の目的を明確にすることが重要です。
1-3.KGI/KPI設定
コールセンターを円滑に運営するためには、目的に合わせたKGIの設定が不可欠です。KGIは、「Key Goal Indicator」の頭文字をとった言葉で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。企業の経営戦略やビジネス戦略の最終目標を定量的に表した指標で、「顧客満足度を前年より〇〇%アップさせる」「運営コストを〇〇%削減する」等の例が挙げられます。
KGIが決まったら、続けてKPIの設定も行います。KPIは、「Key Performance Indicators」の頭文字をとった言葉で、日本語では、「重要業績評価指標」と訳されます。
企業の経営戦略やビジネス戦略の最終目標(KGI)に対する目標達成度合いを定量的に評価するための指標で、コールセンターでは、応答率やSL(サービスレベル)、稼働率などさまざまKPIが設定されます。
KGIが最終目標(ゴール)であるのに対し、KPIは最終目標を達成するための中間目標的な位置付けです。
1-4.組織マネジメント設計
コールセンター運営に必要な組織マネジメントの内容は次の通りです。
- 組織づくり:どのような体制で運営するか
- 人材管理:求人やシフト管理など、センターのスタッフをどのように管理するか
- 品質管理:KPIやマニュアルなどに沿った応対品質をどのように管理するか
コールセンターの組織は、主にセンター長、マネージャー、スーパーバイザー(SV)、リーダー、オペレーターで構成されています。まずは、KGIやKPI、業務プロセスを考慮し、オペレーターの人数、各ポジションの役割、配置を決め、組織図としてまとめましょう。組織図として可視化することで、指揮命令系統が明確になり、スピード感のある意思決定や情報伝達が可能となります。
また、設定したKPIはマニュアルに記載した手順で報告させ、定期的に組織全体で振り返ることも重要です。
コールセンター業務におけるKGI/KPI例や役割について詳しく知りたい方は「コールセンターの業務内容とは?行う業務の種類や担当役割、KPI例などを解説」をご覧ください。
1-5.業務プロセス設計
業務プロセスのチェックのため、まずはコールセンターの通常業務のフローを再確認します。同時に、KPIの報告方法についても、明確に定めてあるか確認を行いましょう。
通常業務のフローで整備すべき内容には、一般的に以下の項目が挙げられます。
- 応答内容の整備
- トークスクリプトやFAQなどの整備
- クレームが発生した場合の相談・報告体制の整備
業務プロセスを明確にすることで、組織マネジメントや人材育成も行いやすくなります。
さらにオペレーター用のマニュアルや、管理者用のマニュアルを作成し、業務プロセスを可視化すれば、より効率的なコールセンター運営が期待できます。
また、現在のコールセンター業務で不足しているシステムがあれば、具体的にどのようなシステムが必要か一緒に洗い出します。コールセンター運営に役立つシステムにはさまざまなものがありますが、必要な機能を手軽に準備したい場合は、AWSが提供するクラウドサービス「Amazon Connect」がおすすめです。
コールセンターに必要なシステムについて知りたい方は「コンタクトセンターシステムに必要な機能とは?選び方のポイントも解説」をご覧ください。
1-6.人材育成設計
電話口でのコミュニケーションやトークスクリプト、システムの使用方法などコールセンター業務に必要な研修内容を検討します。
業務プロセスの設計時に作成したマニュアルも活用しながら研修を進め、必要に応じて外部研修なども組み合わせるとよいでしょう。
2.コールセンターを運営する上での管理者の役割・業務内容
コールセンターの管理者には主に「センター長」「マネージャー」「スーパーバイザー(SV)」の3つの役職があります。それぞれの役割や担当する業務内容について確認していきましょう。
2-1.センター長
センター長は、コールセンターの運営責任者であり、コールセンター全体を統括する役割を持ちます。センター長が担当する業務には主に以下のようなものがあります。
- コールセンター全体の目標設定や運営方針の決定
- リスクマネジメント
- サービス品質の管理
- マネージャー、スーパーバイザーの採用・教育・育成
- 社内関連部署や業務委託先とのやり取り
センター長の業務は、コールセンターの全体統括だけでなく、外部との調整・交渉業務や人材教育、育成等多岐に渡ります。
そのため、センター長には、経営者視点やリーダーシップ、責任感のある人材を据えるのが望ましいとされています。また、コールセンター内外の多くの人と関わる役職であるため、コミュニケーション能力の高さも必要と言えるでしょう。
2-2.マネージャー
マネージャーは、センター長の直下の役職であり、コールセンターの運営・管理を行う役割を持ちます。マネージャーが担当する業務には主に以下のようなものがあります。
- 業務の現状把握
- スーパーバイザーの目標設定・進捗管理
- 労務管理
- 収支計画の立案
- イレギュラーな事案や重度のクレームへの対応
センター長の掲げる目標、ミッションを達成するためのKPI管理や、部下にあたるスーパーバイザー、オペレーターが効率的に稼働できるための業務改善、進捗確認を行うのが、マネージャーの大きな役割です。
そのため、管理能力や課題発見能力に優れ、数値管理を得意とする人が適任といえるでしょう。
2-3.スーパーバイザー(SV)
スーパーバイザー(SV)は、マネージャーの直下の役職であり、オペレーターの育成、管理、サポートなどを行う役割を持ちます。スーパーバイザーが担当する業務には主に以下のようなものがあります。
- オペレーターやリーダーの育成
- オペレーターの勤怠やメンタルヘルス管理
- サービス品質のモニタリング、指導
- VIP等の特殊対応や難度の高いクレームのエスカレーション対応
- 業務改善の提案と実施
オペレーターを管理、育成し、コールセンターの実質的なマネジメント業務を行うのがスーパーバイザーの大きな役割です。業務範囲が広範で、高度な対応も求められるため、豊富な知識や経験、高いコミュニケーション能力が求められます。
3.コールセンター運営のカギを握るスーパーバイザーの育成
上記で紹介した通り、コールセンターにはさまざまな役職があります。特に、組織の中枢を担う業務を担当しているスーパーバイザーは、コールセンターの中でも重要なポジションと言えるでしょう。
ここからは、コールセンター運営のカギを握るスーパーバイザーの役割や適正人材の特徴、育成方法について解説します。
3-1.スーパーバイザーの役割
スーパーバイザーは、一般的に管理・監督を行う要員を指します。コールセンターにおけるスーパーバイザーは、各オペレーターの指導や管理を主に担当します。
一定水準以上の業務知識やクレームに適切に対処する能力、どのオペレーターにも平等に対応できる人間性などが求められる高度な役割です。
3-2.スーパーバイザーに向いている人材
一般的に以下のような資質や素養のある人材がスーパーバイザーに適しているとされています。
- どのような人にも平等に接することができる表裏のない性格の人
- 体系的な手法でルールに従った業務遂行ができる人
- 突発的な事態にも柔軟に対応できる人
スーパーバイザーに適した人材は、外部から採用する、もしくは自社のオペレーターの中から見つける、どちらかの方法で確保する必要があります。どちらにもメリット、デメリットがありますが、既に自社のコールセンター業務の知識がある、新たな採用コストがかからない等の点から、オペレーター内で適正人材を見つけ、育成を行う方が効率的であると言えます。
3-3.スーパーバイザーの育成方法
オペレーターからスーパーバイザーを育成する場合は、以下のポイントを注意して、適切な体制や環境を整えましょう。
- スーパーバイザーに必要な知識やスキルを定義して必要な教育カリキュラムや研修を整える
- スーパーバイザーの任命基準を明確にする
- スーパーバイザーの仕事内容や要求レベルに応じた待遇の用意
オペレーターがスーパーバイザーを目指したいと思える待遇や環境が用意できると、育成もスムーズに進みます。さらに、スーパーバイザー任命後も継続してスキルアップ、キャリアアップが期待できるプランを明示できるとさらに効果的です。
具体的には、ExcelやPowerPoint、Word、専用システムなど管理業務遂行に必要なスキルに関する研修、資格取得やスキルアップが期待できる外部研修などを育成プランに取り入れるとよいでしょう。
また、困ったときにすぐに相談やサポートができるよう、必要に応じて遠隔で指示やアドバイスができるウィスパリング機能を取り入れるだけではなく、対顧客のタスク管理機能を導入するなど、スーパーバイザー業務に役に立つシステムを準備することも重要です。
4.コールセンター運営のポイントをおさえて適切で効率的な運営を
コールセンターを適切かつ効率的に運営するためには、運営目的の明確化、適切なKGI/KPIの設定、業務プロセスや人材育成のマネジメントなど多くのポイントに注力する必要があります。特にコールセンターの重要な役割を担うスーパーバイザーの育成は、最も重視すべきポイントと言えます。しかし、慢性的な人材不足や業務負荷の増大、在宅業務への対応などから、思うようにスーパーバイザーの教育・育成ができないと感じている方も多いのではないでしょうか。
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