AWSで利用できるビジネスインテリジェンスサービス

近年、電子化やクラウドコンピューティングなどの普及により、データの収集や蓄積が以前よりはるかに容易になりました。
このような背景において、企業内において収集・蓄積したデータを活用し、データに基づく意思決定を推進する動きがますます加速しています。
その際、キーワードとなるのが「ビジネスインテリジェンス」(business intelligence: BI)であり、データの分析や可視化を行うためのツールである「BIツール」は重要な役割を担います。
この記事では、BIに関する基本的な事柄について解説すると共に、主要なクラウドプラットフォームの一つであるAmazon Web Services (AWS)で利用できるBIツールやBI関連のサービスを紹介します。

ビジネスインテリジェンスの概要

BIとは何か?

BIとは、ビジネス=事業 に関するデータを集めるのに加え、集めたデータの分析や可視化などを行うことにより、事業に関する意思決定を支援する活動を意味する言葉として用いられます。
インテリジェンスという英単語は日本語では「知性」という言葉を意味しますが、軍事や安全保障の文脈では「諜報」(スパイ)という言葉を意味する場合もあります。
誤解を恐れずに言えば、BIのインテリジェンスはどちらかと言えば後者の「諜報」の意味に近いですが、だからといってBIが競合他社の営業秘密などを不正な手段で入手する活動を意味する訳ではなく、正当な手段で入手した情報(インフォメーション)からエッセンスを抽出するという側面を強調するためにインテリジェンスという言葉が用いられます。

BIツールについて

BIツールとは、広義にはBIの運用を支援するためのツール=道具 を意味しますが、一般にBIツールと呼ぶ場合は集めたデータの分析や可視化を行うためのソフトウェアを意味します。
データの分析には、統計値(例: 合計値、平均値、標準偏差)のシンプルな集計、性別や年代などの属性ごとに統計値を算出するクロス集計、さらには多変量解析をはじめとする複雑な統計的分析などが含まれます。
一方、データの可視化には、線グラフ・棒グラフ・円グラフ・散布図などの基本的なチャートに加え、例えば都道府県などのエリア別の売上高を日本地図で表したグラフなどが含まれます。 ここまでの説明だけでは「BIツールはほとんどExcelと同じではないか?」という印象を受けますが、BIツールは規模の大きなデータを対象とした分析や可視化を得意としている点がExcelとは異なります。

AIや機械学習との違い

人工知能(artificial intelligence: AI)とBIは言葉の響きが似ており、また、いずれも「インテリジェンス」という単語を含むため、ますます違いがわかりにくくなっています。
実際、AIの一分野である機械学習(machine learning: ML)におけるクラスター分析などの教師なし学習の手法は、BIツールによっては統計的分析の手法の一つとして扱うことができるなど、両者には共通点が少なからず見られます。
今後、BIツールがAIや機械学習に関する機能を取り込んでいくと共に、ますます境界が曖昧になっていくことが予想されますが、BIは事実に基づく意思決定を支援することを目的としているのに対し、AIや機械学習は分類や回帰を用いた自動化や予測を目的としている点が、両者の違いの一つといえます。

AWSで使えるBIツール

前段では、BIの概要として、BIそのものやBIツールの意味やAIや機械学習との違いについて解説しました。
BIを運用するにあたってはBIに関する基礎的な知識に加え、利用可能なBIツールやその使い方に関するノウハウを持つことが望まれます。
以下、主要なクラウドプラットフォームの一つであるAWSで利用できるBIツールやBI関連のサービスを紹介します。

Amazon QuickSight

Amazon QuickSightは、AWSがWebアプリケーションとして提供するBIサービスであり、ユーザーはブラウザからアクセスしてAWSに蓄積されたデータの分析や可視化を実現します。クラウドコンピューティングの利用形態としては「サービスとしてのソフトウェア」(Software as a Service: SaaS)に分類され、AWSがサーバーやオペレーティングシステムなどのインフラストラクチャを管理するため、ユーザーはこれらの構築や運用に要する負荷を軽減することができます。
また、AWSのオブジェクトストレージサービスであるAmazon Simple Storage Service (S3)や後述するAWSのデータウェアハウスサービスであるAmazon Redshiftとの連携が可能であり、これらのサービス内に蓄積されたデータを対象として分析や可視化などの処理を実行することができます。BIでは比較的規模の大きなデータを扱うことが多く、大容量のデータをBIツールで扱うストレージへコピーするなどの前処理が不要になる点がメリットです。

Tableau Server

TableauはBIツールにおけるデファクトスタンダードともいえる製品であり、AWSではサードパーティー製品カタログであるAWS Marketplaceに含まれる製品の一つとして提供されます。
AWSにおけるTableauはAmazon Machine Image (AMI)として提供され、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)の仮想マシンにインストールして利用することができます。
Amazon EC2は、クラウドコンピューティングの利用形態としては「サービスとしてのインフラストラクチャ」(Infrastructure as a Service: IaaS)に分類され、ユーザー自身でオペレーティングシステムやその他のソフトウェアをインストールし管理する必要があるため、SaaSであるAmazon QuickSightを利用する場合と比べて構築や運用に要する負荷が大きくなります。
Tableauは人気のあるBIツールであり、書籍や記事などの情報が他のBIツールと比較して充実している点などで大きな強みがあります。

その他の関連するサービス

AWSでは、これまでに紹介したサービスに加え、Amazon AthenaやAmazon Redshiftなどの関連するサービスを提供しています。
Amazon AthenaはAmazon S3に蓄積されたデータを対象としてSQLクエリを実行できるサービスであり、Amazon Athenaを使うことによって集計やランキングなどのデータ抽出を行うことができます。
SQLはデータベース管理システムへの問い合わせに標準的に使用されるプログラミング言語であり、データ分析における標準言語としての地位を確立しています。
一方、Amazon RedshiftはAWSのデータウェアハウスサービスであり、Amazon Redshiftを利用することによって大規模なデータを蓄積できることに加え、データ分析を高速に実行するためのデータベースを構築することができます。
通常のデータベース管理システムがオンライントランザクション処理(online transaction processing: OLTP)と呼ばれる比較的小規模なデータのリアルタイムな入出力に適しているのに対し、データウェアハウスは大規模なデータの分析に特化したデータベース管理システムを意味する言葉として用いられます。
Amazon RedshiftやAmazon S3などのデータを蓄積するためのサービスは、データ分析と可視化を実現するBIツールの裏にありユーザーにとって目立たない存在ですが、BIを運用するための重要な基礎を構成するものと言えます。

おわりに

本文中でも述べたように、BIとAI/機械学習は目的が異なるものですが、データの分析手法などには多くの共通点があり、両者の境界はさらに曖昧になっていくことが予想されます。
また、分析を目的としたデータ蓄積やデータ抽出などの関連するサービスもあり、BIとAI/機械学習のサービスそれぞれと連携させることが可能です。
サービス選定においては、各サービスの細部検討が進めば進むほど混乱が生じる場合もあるかと思います。そのような場合には当初の目的を達成するためにはどのサービスが最適かという観点で比較し選択することをおすすめします。

ネットワークからクラウドまでトータルサポート!!
NTT東日本のクラウド導入・運用サービスを確認してください!!

Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureの
導入支援サービスのご相談、お問い合わせをお待ちしております。

ページ上部へ戻る