COLUMN
LLMの一般的な評価方法とは?~ユースケース別にも解説!~
近年、人工知能の進化により、LLM(大規模言語モデル)の活用が急速に広がっています。ビジネスの現場では、顧客対応の自動化やコンテンツ生成、データ分析など、さまざまな場面でLLMが利用されるようになっています。しかし、LLMの導入にあたっては、その性能や信頼性を適切に評価することが非常に重要です。本コラムでは、LLMの評価の重要性とその方法について詳しく解説します。
1. LLMの評価の重要性
近年、人工知能の進化により、LLM(大規模言語モデル)の活用が広がっています。特にビジネスの現場では、顧客対応の自動化やコンテンツ生成、データ分析など、さまざまな場面でLLMが利用されるようになっています。たとえば、カスタマーサポートにLLMを導入した場合、誤った回答を提供すれば企業の信頼を損ねる可能性があります。また、マーケティングの分野では、LLMが生成するコンテンツがブランドのイメージに合致しているか、読者にとって有益な内容になっているかを評価する必要があります。さらに、LLMは学習データに基づいて回答を生成するため、偏った情報を提供していないかも重要なポイントとなります。
こうした課題に対応するためには、適切な評価設計を用意してLLMの性能を測定し、必要に応じて利用の可否を判断することが求められます。評価を怠れば、期待した成果を得られないばかりか、誤情報の拡散やバイアスの助長といった問題を引き起こす可能性があるため、導入前にしっかりとチェックすることが重要です。
2. LLMの評価方法
2-1. 一般的な評価指標
LLMを評価する方法にはさまざまなものがありますが、大きく分けると、客観的な自動評価と、人間による主観的な評価の2つがあります。
自動評価は、文章の意味的類似度を評価する指標を用いて、モデルの出力と正解データを比較する方法です。また、open-japanese-llm-leaderboard(日本語LLMリーダーボード)のように複数の大規模な日本語のデータセットに対してさまざまな評価タスクを用意して日本語LLMを評価するフレームワークなどが存在し利用されています。
参考:Open Japanese LLM Leaderboard - a Hugging Face Space by llm-jp
一方で、人間による評価は、LLMの出力を実際に読んで、正確性や流暢さ、文脈の適合性をチェックする方法です。日本語の細かい表現の差異などをビジネスの要件として担保する必要がある場合は、人手の評価も重要になります。
2-2. 各評価指標のメリット・デメリット
次に自動評価と人間による評価のメリットとデメリットを説明します。
自動評価は、コンピューターを用いて短時間で大量の出力を評価できるため、効率がよく、再現性も高いです。しかし、BLEUやROUGEなどの指標は、文章の表面的な一致に頼るため、意味や文脈、創造性といった重要な要素を十分に反映できない場合があります。
一方、人手評価は、評価者が実際の文脈や自然さ、論理の一貫性を細かく判断できるため、より質的な評価が可能です。ただし、時間やコストがかかり、評価者間で感じ方にばらつきが生じるという欠点もあります。判断に迷うような曖昧な基準ではなく、明確な基準を設けてYES/NOで判断できる評価設計がポイントです。
そのため、両者の長所を活かし、自動評価と人手評価を組み合わせることで、より正確なLLMの性能評価を実施することが理想と言えるでしょう。
3. ユースケース別の評価方法
LLMの評価方法は、その利用目的によって異なります。ここではさまざまなユースケースを想定した評価軸について紹介します。
3-1. カスタマーサポート用のチャットボット
カスタマーサポートの分野では、LLMを活用したチャットボットが導入されるケースが増えています。この場合、回答の正確性や一貫性が特に重要となります。ユーザーの問い合わせに対して正しい情報を提供し、矛盾のない応答を維持できるかどうかが評価のポイントです。また、チャットボットの応答速度も重要な要素です。ユーザーがスムーズに対話を進められるよう、迅速に適切な回答を提示できるかをチェックする必要があります。さらに、カジュアルな会話に対応できるか、敬語や丁寧な表現が適切に使われているかといった点も評価対象となります。
3-2. コンテンツ生成
ブログ記事や広告文、商品説明などのコンテンツを自動生成する場合、LLMの創造性や文章の自然さが評価のポイントとなります。特に、ユーザーが読みやすい文章になっているか、情報が正確であるかが重要です。また、ターゲットとする読者層に適したトーンやスタイルで文章が作成されているかもチェックする必要があります。例えば、ビジネス向けの記事ならフォーマルな表現を、若年層向けのコンテンツならカジュアルな言い回しを用いることが求められます。プロンプトエンジニアリングやパラメータの設定が重要なポイントと言えそうです。
3-3. 調査タスク
特定のトピックに関する情報を収集し、要約するタスクでは、LLMの情報収集能力と要約能力が重要になります。検索エンジンやデータベースから得られる情報を正確に反映し、論理的に整理された要約を生成できるかを評価します。さらに、引用元が明確であるか、誤情報を含んでいないかをチェックすることも重要です。情報の信頼性を確保するためには、出典を適切に記載し、事実確認を行うことが不可欠です。近年ではOpenAIのDeep Researchの登場などで省力化が期待されている分野です。
3-4. チェックタスク
文章の校正や誤字脱字のチェック、スタイルの統一などを目的としたLLMの活用では、文法的な正確さと一貫性が評価のポイントとなります。特に、長文の編集やリライトに対応できるかが重要になります。また、業界ごとの専門用語や表記ルールに適応できるかも評価対象となります。例えば、医療や法律関連の文書では、特定の表記ルールに従う必要があるため、それに準拠できるかを確認する必要があります。この分野は日本語特有の言い回しや表現の正確性が求められることや、専門性の高さから人間のチェックが重要な分野でもあります。
3-5. データ分析・レポート作成
ビジネスシーンでは、データの分析結果をまとめ、わかりやすいレポートを作成する用途でもLLMが活用されます。この場合、データを正確に解釈し、適切な分析結果を導き出せるかが評価のポイントとなります。また、分析結果を伝える文章の明瞭さや、グラフや表との連携が適切かもチェックする必要があります。データを基にした結論が論理的であり、誤解を招かない表現になっているかを評価することで、ビジネス上の意思決定に役立つレポートの作成が期待できます。
4. 生成AIの活用ならNTT東日本にお任せください
NTT東日本では、生成AIの環境提供や活用促進に関するコンサルティング、生成AIのユースケース創出に向けた技術支援を行っております。
また、生成AI導入にあたってのガイドライン制定やセキュリティを遵守した生成AIシステム環境の構築などの支援を行っています。
NTT東日本の提供する生成AIソリューションについてはこちらからお気軽にお問い合わせください。
5. まとめ
本コラムではLLMの一般的な評価方法についてベンチマークを紹介し、ユースケース別に重点的に評価すべきポイントをまとめて紹介しました。LLMの評価は、その活用方法によって基準が異なります。正確性や一貫性が求められるチャットボット、創造性が重要なコンテンツ生成、情報の信頼性が問われる調査タスクなど、それぞれの用途に応じた評価を行うことが大切です。一般的な評価指標を活用しつつ、実際のビジネスシーンでの有用性を見極めることで、LLMをより効果的に活用できるよう工夫を重ねることが重要です。
無料ダウンロード
自社のクラウド導入に必要な知識、ポイントを
この1冊に総まとめ!
あなたはクラウド化の
何の情報を知りたいですか?
- そもそも自社は本当にクラウド化すべき?オンプレとクラウドの違いは?
- 【AWS・Azure・Google Cloud】
どれが自社に最もマッチするの? - 情シス担当者の負荷を減らしてコストを軽減するクラウド化のポイントは?
- 自社のクラウド導入を実現するまでの具体的な流れ・検討する順番は?
初めての自社クラウド導入、
わからないことが多く困ってしまいますよね。
NTT東日本では
そんなあなたにクラウド導入に必要な情報を
1冊の冊子にまとめました!
クラウド化のポイントを知らずに導入を進めると、以下のような事になってしまうことも・・・
- システムインフラの維持にかかるトータルコストがあまり変わらない。。
- 情シス担当者の負担が減らない。。
- セキュリティ性・速度など、クラウド期待する効果を十分に享受できない。。
理想的なクラウド環境を実現するためにも、
最低限の4つのポイントを
抑えておきたいところです。
-
そもそも”クラウド化”とは?
その本質的なメリット・デメリット - 自社にとって
最適なクラウド環境構築のポイント - コストを抑えるための
具体的なコツ - 既存環境からスムーズにクラウド化を
実現するためのロードマップ
など、この1冊だけで自社のクラウド化のポイントが簡単に理解できます。
またNTT東日本でクラウド化を実現し
問題を解決した事例や、
導入サポートサービスも掲載しているので、
ぜひダウンロードして読んでみてください。
面倒でお困りのあなたへ
クラウドのご相談できます!
無料オンライン相談窓口
NTT東日本なら貴社のクラウド導入設計から
ネットワーク環境構築・セキュリティ・運用まで
”ワンストップ支援”が可能です!
NTT東日本が選ばれる5つの理由
- クラウド導入を
0からワンストップでサポート可能! - 全体最適におけるコスト効率・業務効率の改善を
中立的にご提案 - クラウド環境に問題がないか、
第3者目線でチェック
してもらいたい - 安心の24時間・365日の対応・保守
- NTT東日本が保有する豊富なサービスの組み合わせで
”課題解決”と”コスト軽減”を両立
特に以下に当てはまる方はお気軽に
ご相談ください。
- さまざまな種類やクラウド提供事業者があってどれが自社に適切かわからない
- オンプレミスのままがよいのか、クラウド移行すべきなのか、迷っている
- オンプレミスとクラウド移行した際のコスト比較を行いたい
- AWSとAzure、どちらのクラウドが自社に適切かわからない
- クラウド環境に問題がないか、第3者目線でチェックしてもらいたい
- クラウド利用中、ネットワークの速度が遅くて業務に支障がでている
クラウドを熟知するプロが、クラウド導入におけるお客さまのLAN 環境や接続ネットワーク、
クラウドサービスまでトータルにお客さまのお悩みや課題の解決をサポートします。
相談無料!プロが中立的にアドバイスいたします
クラウド・AWS・Azureでお困りの方はお気軽にご相談ください。