COLUMN

Amazon BedrockのRAG機能はどちらが最適?
Amazon KendraとAmazon Bedrock Knowledge Basesを比較してみた

こんにちは、クラウドエンジニアの眞鍋です。

近年、AIを活用したコンタクトセンターやカスタマーサポートシステムが増加しており、RAGのような技術を活用することで、ユーザーの質問に対して迅速かつ的確な回答を提供できるようになっています。

AWSにおける生成AIモデルサービス Amazon Bedrock にRAG機能を統合する際、Amazon Kendra や Amazon Bedrock Knowledge Bases が選択肢として存在します。

どちらも優れた機能を備えていますが、用途や要件に応じて選択すべきです。

今回はRAGについてご説明した上で、本コラムの主題である Amazon Kendra と Amazon Bedrock Knowledge Bases の概要のご紹介と機能比較を行います。

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1. RAGとは

1-1. RAGの概要

RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、生成AIモデルによるテキスト生成に外部データソースからの情報検索を組み合わせることで、精度を向上させる技術です。

RAGが注目される背景には、生成AI単体では対応しきれない 「専門的な質問」や「ドメイン特化の情報」への対応力の限界 があります。

例として、生成AI + RAGを活用したコンタクトセンターは、下記の仕組みで情報の検索や生成を行います。

このアプローチにより、生成AI単体で質問に対して直接回答を生成するだけでなく、信頼性の高いデータソースから関連情報を検索し、その情報をもとに精度の高い回答を生成することができます。

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1-2. RAGの構成要素

RAGは主に2つの要素で構成されています。

① Retriever(検索エンジン)
  • 役割:Retrieverは、大量のデータや文書等を含むデータソースからユーザーの質問に関連する情報を抽出し、最も関連性の高いテキストを返す役割を担います。
  • 技術:主にベクトル検索技術を活用し、埋め込みベクトル間の類似性を計算する手法が用いられます。
② Generator(生成エンジン)
  • 役割:Generatorは、Retrieverが見つけた関連情報を基に、最終的な答えを作り出します。
  • 技術:生成には大規模な事前学習済み言語モデルが利用され、Retrieverの結果が追加の文脈として活用されます。
    これにより、信頼性の高い回答が提供されます。

ここまで前提知識となるRAGについて解説してきました。

ここから、本コラムの主題である「Amazon Kendra」と「Amazon Bedrock Knowledge Bases」についてご紹介していきます。

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2. Amazon Kendraとは

2-1. 概要と特徴

Amazon Kendra は、企業内外に散在するデータを対象に、高精度な検索機能を提供するサービスです。

RAGにおいて、Amazon Kendra はRetriever(検索エンジン)の役割を果たし、生成AIが回答を作成する際の信頼できる情報を効率よく取得できるようにサポートします。

自然言語処理(NLP)を活用して、検索クエリの意図を理解し、文脈に沿った関連情報を提示できる点が特徴です。

また、Amazon S3やMySQL等のDB、AWS外部データソース等の、多様なデータソースを統合できる点も Amazon Kendra の強みです。

この柔軟性により、さまざまな業界やユースケースに適応可能です。

2-2. 主なユースケース

Amazon Kendra は自然言語処理を活用した高度な検索機能や、複数のデータソースを対象とした検索機能を必要とするケースに適しています。

例として、下記のようなユースケースが考えられます。

ヘルプデスクのサポート

顧客の質問に迅速かつ正確に答えるために、サポートチケットやナレッジベースを活用します。

これにより顧客満足度が向上します。

文書管理

企業内の膨大な文書(契約書、レポート、規制文書など)を整理し、必要な情報を迅速に取得できるようにします。

これにより、情報検索が簡素化されます。

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3. Amazon Bedrock Knowledge Basesとは

3-1. 概要と特徴

Amazon Bedrock の一部の機能である Amazon Bedrock Knowledge Bases は、企業が独自の知識ベースを生成AIに統合し、文脈に応じた回答を可能にするための機能です。

Amazon Bedrock に、特定分野の知識ベースを参照させることで、より的確な回答を生成します。

RAGにおいては、Retriever(検索エンジン)だけでなくGenerator(生成エンジン)でも役割を果たします。

特に、ドメイン特化型の精度の高い回答が求められるRAG構成に適しています。

また、比較的セットアップが容易で、完全に管理されたサービスのため運用上のオーバーヘッドを削減できる点が特徴です。

3-2. 主なユースケース

Amazon Bedrock Knowledge Bases はユーザーの質問に対してパーソナライズされた応答や、動的なコンテンツ生成を必要とするケースに適しています。

カスタマイズされたFAQシステム

ユーザーの質問に対してリアルタイムで最適な回答を生成します。

コンテンツ生成と要約作成

企業内のデータを活用し、マーケティング資料やレポートの自動生成を行います。

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4. 機能比較

項目 Amazon Kendra Amazon Bedrock Knowledge Bases
主な機能
  • 高精度な検索
  • ドキュメントのインデックス作成
  • ナレッジベース統合
  • データの増加に応じて自動的に拡張
柔軟性 検索機能に特化 生成AIを用いた高度な応答作成
料金体系 検索クエリ数とデータ量に基づく データ取り込み量と生成モデル利用に基づく
データソース 多様なデータソース
(S3、SharePointなど)
主にS3
ベクトルストア サービスに組み込まれており、選択不可 複数の選択肢から選択可能

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5. まとめ

Amazon Bedrock にRAG機能を実装する際の選択肢、Amazon Kendra と Amazon Bedrock Knowledge Bases について解説しました。

Amazon Kendra は 高精度な検索機能を提供し、複数のデータソースから迅速に関連情報を取得するのに適しています。

一方、 Amazon Bedrock Knowledge Bases は生成AIを活用して、特定分野の知識ベースに基づいたパーソナライズされた応答を生成するのに優れています。

どちらのサービスもRAGの構成要素として重要な役割を果たしますが、どちらか一方が優れているというわけではなく、選択はユースケースや必要な機能に依存します。

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