COLUMN
社内コンタクトセンターをAmazon Connectへ クラウド移管するポイントを初心者がまとめてみた[計画編]
本記事はコンタクトセンターについての説明と、現在人気のクラウドコンタクトセンターについて紹介します。また実例としてAWSが提供するクラウドコンタクトセンターサービスであるAmazon Connectの基本的な機能を検証するハンズオンを紹介します。
1. コンタクトセンターとは
1-1. 主な業務
コンタクトセンターは企業の顔として顧客とのやりとりを最前線で行います。
現代はやりとりの手段が多様化し、顧客もモノ(製品やサービス)だけでなく、購入体験全体を重視する傾向が強まっています。このような背景の下、企業もコンタクトセンターを単なるコストセンターとして捉えるのではなく、企業活動の中の重要な戦略拠点と位置付ける動きが加速しています。
コンタクトセンターは多様化する顧客の課題や要望に対して、速やかかつ正確に応対を行い、顧客に安心していただくことが重要です。オペレーターは顧客への応対を通じて、顧客と信頼関係を構築し、企業の収益に貢献することが求められます。
日々の運用の中で、次々と出てくる課題の改善や品質向上の要望に応えることは一朝一夕にはできません。素晴らしいコンタクトセンターは人とシステムのバランスの取れた協調により実現できると示唆されています。
1-2. 課題とDXシフト
企業のコンタクトセンターが抱える課題は無数にあるかと思いますが、本節ではコンタクトセンターのDX化が進むことによって大きく改善が期待できるテーマに焦点を当てて、DX化のポイントを5W1H(正確には4W1Hですが)の軸でまとめてみます。
1-2-1. 時間の制約(いつ)
コンタクトセンターの対応時間はオペレーターの勤務時間に限られます。シフト制をとっている企業が多いと思いますが、複雑なシフト設計が必要な点、予期せぬ人材の流動が発生する可能性も高いため監督者の負担が大きくなりがちです。このような課題をお持ちの場合は、AIを導入することで年中無休の自動音声対応が可能になるため、人の負担を軽減できる可能性が高いです。
1-2-2. 場所の制約(どこで)
コンタクトセンターが特定の場所に依存しており、リモート対応ができない場合は負担が大きくなるでしょう。クラウド各社が展開するコンタクトセンターソリューションを活用することで、リモートワークが可能な体制を構築することができます。
こちらは特にコロナ禍で需要が大きく、コンタクトセンターのDX化が進んだ背景の一つと言えそうです。
1-2-3. 属人性の制約(誰が)
コンタクトセンター業務はオペレーターの経験によって顧客対応品質に大きなばらつきが生じることが指摘されています。対応品質の均質化のために顧客情報(CRM)の整備やナレッジ活用システムを整備することでオペレーターが一貫した情報提供を可能にします。
またAmazon Connectに代表されるサービスには高品質なテキスト読み上げサービスが搭載されているため、日本語音声の質も近年格段に向上しています。
1-2-4. 対応の制約(どのように)
顧客の前回の問合わせを参照できない場合、複数回同様の質問を行う可能性が高く、顧客体験を悪化させることが推察されます。AIと顧客情報を統合したCRMシステムを利用することで、前回の問合せを参照できるだけでなく、適切なタイミングでAIが顧客に提示すべき情報を推奨することが可能です。
特にコンタクトセンターのDX化が進む上で最も大きなポイントは「誰が」の部分に該当するAIが音声で話す部分になると思います。コンタクトセンターの応対者がAIエージェントに置き換わることで、人が期待される役割はさまざまなAIツールを駆使して顧客に価値を提供することにシフトするとも考えられます。
2. Amazon Connect とは
Amazon Connect はAWS(Amazon Web Service)が展開するAIエンジンを搭載したクラウドコンタクトセンターサービスです。人とAIをさまざまなコミュニケーションチャネルで滑らかに連携し、オペレーターと顧客の体験を向上させます。
Amazon Connectのサービス詳細はこちらに詳しく紹介されています!
3. Amazon Connect の料金
Amazon Connectのサービス料金体系についてはこちらに詳しく紹介されています。
音声サービスは1秒単位で最低10秒から課金されます。以下の表からもわかるように機能検証を目的とすると非常に安価です。また通話以外の時間は課金対象ではないため良心的です。
Amazon Connectの環境構築が必要な場合は、ご相談・お問い合わせ窓口がございます。こちらからお申し込みください。
4. Amazon Connect でコンタクトセンターを作ってみた
4-1. 構成
今回はAmazon Connectの機能検証として、シンプルな顧客動線をコンタクトフローと呼ばれるサービスを用いて設計・実装を行います。コードを書く必要はなく、すべてGUIベースでの実装が可能です。実装するコンタクトフローは大まかに以下の構成になります。
- まず入電後内部的に日本語のAIエージェントに発話を切り替えます。
- AIエージェントに発話させる文言を設定します。
- 新規契約、契約変更、解約、その他に入電者を分岐させてみます。それぞれを1,2,3,4のボタンを割り当てます。
- それぞれのボタンに別のフローへの転送を行い、入電者を分岐させます。
- 通常は分岐先でそれぞれの担当部署の電話番号に振り分けますが、今回はこれで終電とします。
4-2. 構築手段
サービスの開始方法
まずはAWSのコンソールからAmazon Connectを選択します。
続いて以下のように操作を進めます。
- インスタンスを追加します。
- アクセスURLの部分は任意に設定します。
- 管理者として、必要な情報を入力しそのまま進めて設定を完了させます。(管理者情報は初期のログイン時に必要になります)
- 着信・発信の許可になります。今回はどちらも許可します。
- 発生したログの格納場所を指定します。今回はデフォルトで設定されているものとします。
- 5で次へ進むと、設定の確認が表示されます。そのままインスタンスを作成します。
- インスタンスの作成が5分ほどで完了します。アクセスURLをクリックします。
- Amazon Connectの管理画面へログインを求められるので先ほど設定した管理者情報でログインします。
- Amazon Connectの管理画面です。上から順番に閲覧していくことでAmazon Connectの機能を学習できるようになっています。
- まずは電話番号を取得するために、サイドメニューの電話番号をクリックします。
- チャンネルは音声を選択します。
- DIDを選択し、国はUS(アメリカ)を指定し保存します。
- 取得した電話番号が表示されます。
取得した電話番号にコンタクトフローを紐づけていきます。
コンタクトフローとは、ユーザーが問い合わせた際の導線になります。CX(カスタマーエクスペリエンス)向上の観点で重要な部分になります。
以下では一般的なコンタクトセンターの流れを再現しています。新規契約、契約変更、解約、その他に入電者を分岐させてみます。
それぞれを1,2,3,4のボタンを割り当てます。それぞれのボタンに別のフローへの転送を行い、入電者を分岐させます。分岐先でそれぞれの担当部署の電話番号に振り分けますが、今回はこれで終電とします。
NTT東日本の電話対応業務効率化のサービスはこちらをご覧ください。
4-3. フローの新規作成
- 管理画面からフローを選択します。
- デフォルトのフローがすでにいくつか作成されています。今回は新規に作成するために右上のフローの作成をクリックします。
4-3-1. 音声AIの種類を設定
デフォルトでは英語を発話するAIが設定されているため、日本語に変換します。
- フロー作成画面のメニュー中の「設定」をクリックします。
- メニュー中の「音声の設定」を右へドラック&ドロップします。
- 3点リーダーから「設定を編集」をクリック。
- 言語を日本語、音声をKazuhaとします。(日本語の女性の音声を設定します)
ちなみにこの設定を飛ばしても動作しますが、英語圏の方が日本語を話しているように聞こえます。顧客が日本国内の場合は、必須の工程と言えるでしょう。
4-3-2. 発話内容の設定
次にAIに話させるプロンプト(メッセージ)を設定します。
ここでは、架電意図に基づいて番号を入力させる操作を誘導します。
- インタラクションから「プロンプトの再生」をドラック&ドロップします。
- 先ほど設定した音声の設定と接続します。
- 3点リーダーから「設定を編集」をクリックし、読み上げてほしいプロンプトを入力します。
4-3-3. 条件分岐の設定
次に顧客の操作を取得し、操作を分岐させる設定を行います。
- インタラクションから「顧客の入力を取得する」をドラック&ドロップ。
- 読み上げて欲しいテキストを設定し、3点リーダーから「条件を追加」をクリック。
- 半角数字をそれぞれ設定します。(設定を保存すると上記画像のように設定が確認できます)
2.の部分でテキストの設定をしないとエラーとなります。
4-3-4. 終電
上記で設定した条件分岐が正しく機能しているかを確認するために設定を追加し、確認後に電話を終了する設定を行います。
- 今回の検証を行う上でのコンタクトフローの完成形になります。
- 確認のために「プロンプトの再生」を追加しています。
- 押下されたボタンの番号を確認するプロンプトを設定します。
- 最後にサイドメニューの「終了」から「切断」をドラック&ドロップして設定しています。
「2.プロンプトの再生」部分は、本来は内容に基づいて異なるフロー(担当者への接続)に誘導するのが適切です。
エラー部分の処理は今回全て切断(終電)に接続しています。
ここまでの流れが完成しましたら、画面右上の「保存」を実行したのち、「公開」を行います。正常に完了したら「Sample-02」というコンタクトフローが作成されました。
4-4. 検証・結果
最後に上記のコンタクトフローが正しく動作するか検証を行います。
作成したコンタクトフローを紐づけるために電話番号から設定を行います。
- 紐付け先の電話番号をクリックします。
- 作成したコンタクトフローを選択し、保存を行います。
保存が完了しましたら、お手元のスマホから設定した電話番号に電話をかけてみましょう。
細かい修正などは、都度コンタクトフローを開いて編集を行い、「保存」、「公開」を行うことで変更が反映されます。
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6. まとめ
コンタクトセンターの基本的な役割と、クラウドコンタクトセンターの一例としてAWSのサービスであるAmazon Connectの紹介を行い、簡単な構築事例を紹介しました。
Amazon Connectは、AWSの展開する他のサービス(Amazon Lex, Amazon Q, Amazon Connect Contact Lensなど)との連携も柔軟に行えます。昨今は音声生成の品質も向上しています。お手元で技術検証を行う際に、本記事が参考になれば幸いです。
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