COLUMN
AWS Global Acceleratorとは?グローバル展開を加速させる高可用性ソリューション
クラウドサービスの広がりと共に、世界中にアプリケーションを配信・提供するサービスが増えてきています。とはいえ、アプリケーションを世界に向けて発信するには、可用性やネットワークパフォーマンスなど、多くの課題を検討しなくてはなりません。
本記事では、これらの課題に対応するグローバルネットワークサービスとしてAWSが提供するAWS Global Acceleratorの機能やメリット、利用の際の注意点を解説します。
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目次:
- 1. AWS Global Acceleratorとは
- 2. なぜAWS Global Acceleratorが必要なのか
- 3. AWS Global Acceleratorの機能とメリット
- 3-1. 高い可用性によってDR(ディザスタリカバリ)対策が可能
- 3-2. エニーキャストの使用による低レイテンシーの実現
- 3-3. 堅牢なセキュリティでDDoS攻撃などのリスクを軽減
- 4. AWS Global Acceleratorの注意点
- 4-1. 導入と運用のコスト
- 4-2. 複雑な設定作業
- 5. AWS Global AcceleratorとAmazon CloudFrontを比較
- 6. NTT東日本のAWS Global Acceleratorサポート
- 7. まとめ:AWS Global Acceleratorを活用してみよう
1. AWS Global Acceleratorとは
AWS Global Acceleratorは、アプリケーションのネットワークパフォーマンスを最適化するネットワークサービスで、トラフィックをAWSグローバルネットワーク内の最適な経路でルーティングする機能があります。アプリケーションを世界中に、迅速かつ安全に提供するのに効果的なサービスです。
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2. なぜAWS Global Acceleratorが必要なのか
アプリケーションをグローバル展開するにあたっては、主に以下のような課題が発生します。
- エラー、障害、災害などのリスクによる低い可用性
- 応答の遅延(低い通信速度)
- 悪意ある攻撃によるセキュリティリスク
AWS Global Acceleratorが必要とされるのは、それらを含む多くの課題を解決する機能を持っているためです。
AWS Global Acceleratorは、AWSのプライベートネットワークを利用することで、インターネットを介さずにリージョン間で通信を行います。リージョンとは、AWSのデータセンターの所在地を指す言葉で、世界中に30ヶ所以上ある通信拠点です。このリージョン間のプライベートな通信と諸機能を合わせることで、上記の課題を解決することが可能です。
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3. AWS Global Acceleratorの機能とメリット
AWS Global Acceleratorはどのようにそれぞれの課題を解決できるのか、機能・メリットと共に解説します。
3-1. 高い可用性によってDR(ディザスタリカバリ)対策が可能
AWS Global Acceleratorを利用すると、2つの静的IPアドレスが割り当てられ、独立したネットワークゾーンからサービスが提供されます。一つのIPアドレスが障害で利用できなくなった場合でも、アプリケーションはもう一方のIPアドレスで再試行が可能です。また、アプリケーションは常にエンドユーザーの最寄りのリージョンで実行され、仮に障害が発生した場合はそれを自動検出して、次に最適なリージョンへリダイレクトします。これらの機能によって高い可用性を実現しつつ、DR(ディザスタリカバリ:災害によりシステムの継続利用が不可能になった場合の復旧・修復)対策も行うことができます。
3-2. エニーキャストの使用による低レイテンシーの実現
通常、インターネット上の通信は常に最適な経路を進むわけではありません。プロバイダ間をリレーのように接続して進みますが、全てのプロバイダが相互に接続されているわけではないため、大きく遠回りしていることもあります。グローバルな通信では、その経路も長く複雑になりやすいため、高レイテンシー(通信の遅延時間が長い状態)の原因となりがちです。
AWS Global Acceleratorではエニーキャスト(複数のデータセンターに接続リクエストを転送する通信方式)を利用して、トラフィックは複数のAWSエッジロケーションから同時に公開されます。これによってトラフィックをエンドユーザーの最寄りのネットワークに効率的にルーティングできます。インターネットを経由しないことで、迂回せず最適な経路を取ることができるため、低レイテンシーが実現可能です。
3-3. 堅牢なセキュリティでDDoS攻撃などのリスクを軽減
AWS Global Acceleratorは、AWSが提供するマネージドサービスとして、AWSグローバルネットワークのセキュリティで保護されています。また、トラフィックは暗号化された状態でAWSのプライベートネットワークを行き来します。加えて、AWS WAFやAWS ShieldといったAWSのセキュリティサービスを併用することで、アプリケーションとトラフィックを保護し、DDoS攻撃などのリスクを軽減することが可能です。
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4. AWS Global Acceleratorの注意点
AWS Global Acceleratorを利用する際の注意点を解説します。
4-1. 導入と運用のコスト
AWS Global Acceleratorは導入時と運用開始後にそれぞれコストが発生します。
まず、導入にあたってアプリケーションとAWS Global Acceleratorの間で通信が行えるよう設定が必要です。そのため、専門的な知識を持った人材が設定内容を設計し、導入と設定を行うまでにかかる時間的・人的コストが発生します。
また、運用開始後は管理コストと、AWS Global Acceleratorの利用にあたって従量課金で以下の費用がかかります(2024年10月時点)。
- 稼働しているAWS Global Acceleratorごとに0.025 USD/時間(1時間未満は繰り上げ)
- 標準のデータ転送速度を超過した場合に、プレミアムデータ転送料金(DT-Premium)
4-2. 複雑な設定作業
AWS Global Acceleratorの設定は複雑なため、アプリケーションの構成や要件を理解し、AWSの技術的なスキルを習得している人材が必要です。
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5. AWS Global AcceleratorとAmazon CloudFrontを比較
AWSには、Global Acceleratorの他に、Amazon CloudFrontというネットワークサービスがあります。どちらも通信の効率化が目的のサービスですが、この2つはサービス自体の仕組みと考え方が異なります。
Global Acceleratorは、オリジンとなるサーバーに毎回アクセスすることを前提に、通信経路のレイテンシーを減少させるためにAWSのプライベートネットワークを利用する仕組みです。毎回元となるサーバーに情報を取得するアクセスが発生するため、動的なコンテンツに適しています。
これに対してAmazon CloudFrontは、初回の通信でキャッシュをユーザーの最寄りのエッジロケーションに保存することで、近い距離からコンテンツを返せるようにして通信距離を最短にします。キャッシュを利用するため、HTMLや画像などを取り扱う静的コンテンツに最適です。
その他にも、それぞれのサービスには以下のような違いがあります。
項目 | Global Accelerator | Amazon CloudFront |
---|---|---|
プロトコル | TCP/UDP | HTTP/HTTPS |
ポート番号 | 任意 | 80/443 |
キャッシュ | 非対応 | 対応 |
目的 | 高可用性なネットワーク | コンテンツ配信の高速化 |
想定される用途 | ゲーム、IoT、リアルタイム通信 | Webサイト、動画・音声の配信 |
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6. NTT東日本のAWS Global Acceleratorサポート
AWS Global Acceleratorのようなネットワークサービスは、高い可用性とパフォーマンスを保証しながら、安全に自社のサービスを提供するのに不可欠です。しかし、構築や設定、運用に求められる専門性の高さゆえに、自社の人材のみでは導入のハードルが高くなります。
NTT東日本では、Global Acceleratorの構築から運用までをサポートする支援サービスを提供しています。100名以上のAWS資格保有者から専任担当を配置し、お客さまのアプリケーションやコンテンツに適したネットワークサービス環境をサポートします。AWSのベストプラクティスに基づく的確なサポートで、自社サービスの提供を最適化しましょう。
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7. まとめ:AWS Global Acceleratorを活用してみよう
AWS Global Acceleratorは、グローバル展開するアプリケーションの可用性やパフォーマンス、情報セキュリティ対策の向上を助けるネットワークサービスです。さまざまな課題に対応し、快適な自社サービスを提供するために利用を検討してみてはいかがでしょうか。
NTT東日本では、AWSの導入・運用をサポートするサービスを提供しています。サービスや事例をご紹介していますので、AWSによるサービス展開を検討している方は、ぜひお問い合わせください!
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