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1. LAMP環境の構成要素

LAMP環境とは、「Linux」「Apache」「MySQL」「PHP」という4つのオープンソースソフトウェアを使った、Webアプリケーションやシステムなどの開発環境のことです。それぞれの頭文字をとってLAMPと呼ばれ、Web開発現場で広く利用されています。

では、それぞれのオープンソースソフトウェアがどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

1-1. Linux

Microsoft WindowsやMacOSなどと同じOS(Operating System)の一種です。Linuxは、無料で商用利用でき、自由に内容を改良・改変して開発できる利便性の高さが特徴です。また、他のOSと比較して、性能の低いコンピューターでも安定して動作します。

1-2. Apache(Apache HTTP Server)

Webアプリケーションやシステムを公開する際に必要不可欠な、Webサーバーを構築するためのソフトウェアです。世界で最も利用者の多いWebサーバーソフトウェアの一つで、優れた機能性と安定した動作環境などから、企業・個人を問わず利用されています。

1-3. MySQL

オープンソースで利用できるリレーショナルデータベース管理システムです。Webアプリケーションやシステムを開発する際には、さまざまな情報を保存・管理するデータベースが必要になります。MySQLは、基本的に無料で利用できるデータベースでありながら、処理速度が非常に速く、拡張性が高いという特徴があります。

MySQLの代わりにMariaDBが利用されることもあります。MariaDBは、MySQLから派生したオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムで、JSONデータの取り扱いやユーザー認証方法などに違いがあります。MariaDBは母体であるMySQLとの互換性を保つことを目標に設計されているため、MySQLからMariaDBへ切り替えることも可能です。

1-4. PHP

サーバーサイドで用いるプログラミング言語の一つです。「データベースからデータを取得して処理を行う」といった動的な機能面を実装させる「バックエンド」の開発に使います。PHPは文法が単純で、学習しやすいことが特徴の一つです。最近では、PHPの代わりにPythonやPerlを使うケースも増えており、開発現場によって「P」の指す言語が異なることがあります。

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2. LAMP環境のメリット

LAMP環境のメリットは次の通りです。

2-1. 開発コストの削減につながる

LAMP環境は、利用するソフトウェアがすべてオープンソースであり、基本的には無料で利用可能なため、開発にかかるイニシャルコスト・ランニングコストを抑えることができます。

2-2. 利用者が多く、学習しやすい

LAMP環境は、“Web開発のスタンダード”ともいわれるほど、世界的に利用されている開発環境です。そのため、Web上には世界中のエンジニアがわかりやすくまとめた情報が豊富にあり、Webサーバーの設定方法やトラブルシューティングなどの疑問をその場で検索・解決することができます。学習にかかる時間やコストを抑えられることがメリットです。

2-3. 開発の自由度が高い

LAMP環境で利用するソフトウェアは、すべてオープンソースのため汎用性があり、開発の自由度が高くなります。自社専用のシステムを構築すると、特定のソフトウェアやサービスに依存してしまい、開発の幅が狭まったり、コストが増加したりすることがあります。しかし、LAMP環境は開発環境に依存せずにシステムを構築でき、同じLAMP環境であれば、ほかのデータベースなどとも連携ができるなど、さまざまな利点があります。

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3. LAMP環境の構築方法

ローカル環境とクラウド環境、それぞれでLAMP環境を構築する方法を簡単にご紹介します。なお、クラウド環境では「Amazon Linux 2023」を利用します。

3-1. ローカル環境での構築方法

3-1-1. STEP1:Linuxをインストールする

物理サーバーやPCにLinuxをインストールする場合は、Linuxディストリビューション(複数のソフトウェアをまとめたもの)である「Ubuntu」や「CentOS」をインストールし、インストールメディアを作成してLinuxを利用できる状態にします。仮想マシンを利用する場合は、「VirtualBox」や「VMware」などの仮想化ソフトウェアをインストールし、OSとしてLinuxディストリビューションを選択してLinuxを利用できる状態にしましょう。

3-1-2. STEP2:Apacheをインストールする

Apacheをインストールし、Webサーバーとして利用できるようにします。Apacheのインストールは、Linux上でコマンドを実行するだけで完了します。例えば、Ubuntuの場合は「sudo apt update sudo apt install apache2」、CentOSの場合は「sudo yum install httpd」というコマンドを実行します。

別途、バージョンの確認やシステム起動時の自動起動設定、ファイアウォールの設定などが必要になります。

3-1-3. STEP3:MySQLをインストールする

MySQLをインストールし、データベースを作成します。Apacheと同様に、Linux上でコマンドを実行するだけでインストールが完了します。Ubuntuの場合は「sudo apt install mysql-server」、CentOSの場合は「sudo yum install mariadb-server」を実行しましょう。

別途、バージョンの確認やシステム起動時の自動起動設定、MySQLの初期設定(rootパスワードの設定など)が必要になります。

3-1-4. STEP4:PHPをインストールする

PHPをインストールします。Apache、MySQLと同様に、Linux上でコマンドを実行するだけでインストールできます。Ubuntuの場合は「sudo apt install php libapache2-mod-php php-mysql」、CentOSの場合は「sudo yum install php php-mysqlnd」を実行します。PHPをインストールした後はApacheの設定を確認し、必要に応じて「index.php」がデフォルトで読み込まれるようにすると良いでしょう。

3-1-5. STEP5:各ソフトウェアの動作検証を行う

すべてのソフトウェアのインストールが完了したら、Apache、MySQL、PHPが連携できているか動作検証を行います。Apacheはアクセスログやエラーログを確認、MySQLはテストデータベースを作成し、データの挿入や取得ができるかを確認しましょう。PHPは必要なモジュールがインストールされているか、またPHPからMySQLへの接続が正常に行えるかを確認します。これらの動作検証は、「http://localhost/」へのアクセスやコマンドを実行するなどしてテストできます。

3-2. クラウド環境(AWS)での構築方法

3-2-1. STEP1: EC2インスタンスを作成する

AWS Management Consoleにログインし、EC2サービスに移動します。ダッシュボードで「インスタンスを起動」を押下し、「AMIの選択」ページから「Amazon Linux 2023」を選択します。インスタンスタイプの選択(「t2.micro」が無料枠)、SSH接続用のキーペアの作成、ネットワーク設定、ストレージ設定などを順に設定し、内容を確認した上で「起動」ボタンを押下します。数分後にインスタンスが起動し、「インスタンスのステータス」が「running」と表示されれば完了です。その際、パブリックIPv4アドレスをメモしておきましょう。

3-2-2. STEP2:EC2インスタンスに接続する

SSHクライアントソフトからEC2インスタンスに接続します。すべてのソフトウェアパッケージを最新化するため、「sudo dnf update -y」コマンドを実行して更新状況を確認します。「-y」オプションを指定することで、確認メッセージをスキップできます。

3-2-3. STEP3:必要なソフトウェアをインストールする

必要なソフトウェアをインストールします。なお、AWSでは「MariaDB」が推奨されているため、ここではMySQLではなくMariaDBをインストールする手順を紹介します。ApacheとPHPは「sudo dnf install -y httpd wget php-fpm php-mysqli php-json php php-devel」コマンドを実行、MariaDBは「sudo dnf install mariadb105-server」コマンドを実行することでインストールできます。「dnf install」コマンドを使用することで、複数のソフトウェアパッケージに加え、関連するすべての依存関係をインストールすることが可能です。

3-2-4. STEP4:Apache Webサーバーの動作検証を行う

Apache Webサーバーを起動して「sudo systemctl start httpd」コマンドを実行し、「active(running)」と表示されれば正常に動作しています。またブラウザでは、STEP1でメモしたパブリックIPv4アドレスにアクセスし、「Apache HTTP Server Test Page」などのデフォルトページが表示されれば完了です。

3-2-5. STEP5:MariaDBの動作検証を行う

「sudo systemctl status mariadb」コマンドを実行し、「active(running)」と表示されれば正常に動作しています。

3-2-6. STEP6:PHPの動作検証を行う

ApacheがPHPスクリプトを正しく処理できるか検証を行います。「echo "<?php phpinfo(); ?>" | sudo tee /var/www/html/info.php」コマンドを実行してPHPの情報ページを作成し、ブラウザから「http:// パブリックIPv4アドレス/info.php」にアクセスしてPHPの設定情報が表示されていれば正常に動作しています。

3-2-7. STEP7:不要なテストファイルを削除する

すべての動作検証や各種設定が完了したら、セキュリティ保護のために不要なテストファイルを削除します。

ローカル環境、クラウド環境での構築方法は一例です。細かな設定については解説を割愛していますので、詳しくはAWS公式サイト等をご覧ください。

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4. LAMP環境を利用する際の注意点

LAMP環境は、すべてのソフトウェアがオープンソースのため、ベンダーによるサポートなどがありません。構築だけでなく、セキュリティ対策や定期的なバックアップ、ログ管理、バージョンアップといった運用も開発者自身が行う必要があります。

また、Webアプリケーションやシステムなどの質は開発者に依存するため、知識やスキルが不十分だとバグやセキュリティホールが発生したり、問題が起こったときに対応できなかったりする恐れがあります。

自社でLAMP環境を構築して利用する場合は、バックエンド開発の経験が豊富なエンジニアを専任担当者として配置しましょう。もし自社で専任のエンジニアが居ない場合は、専門業者に管理・運用を依頼するのも一つの手段です。

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6. まとめ

LAMP環境構築後の運用やシステム開発には知識とスキルが求められますが、その分自由度が高く、開発環境に依存しない汎用性の高いWeb開発が可能になります。自社でLAMP環境を構築する場合は、経験豊富なエンジニアを配置。もし自社で専任のエンジニアが居ない場合は、ぜひNTT東日本にお任せください!

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