COLUMN

1. クラウドインフラストラクチャとは

クラウドインフラストラクチャとは、クラウド環境を構成するハードウェアやソフトウェアといったコンポーネントの集合体で、クラウドコンピューティングサービスの基盤となる重要な役割を持ちます。

クラウドインフラストラクチャの仕組みや構成要素、種類について詳しく見ていきましょう。

1-1. 仕組み

クラウドインフラストラクチャの基本概念は「仮想化」です。

仮想化とは、仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザーなど)を使い、サーバーをはじめとするハードウェアコンポーネントを抽象化して物理的なリソースを分割し、効率的な運用を可能にする技術のことです。

メモリやストレージといったリソースは仮想化ソフトウェアによって抽象化された後、一元管理された仮想化プールに割り当てられ、「クラウド」としてアクセスできるようになります。

これらのクラウドを、プロバイダーがクラウドサービスとして提供することで、クラウドインフラストラクチャを利用できます。

1-2. 構成要素

クラウドインフラストラクチャを構成するコンポーネントはさまざまですが、主要な要素は次の3つです。

1-2-1. サーバー

クラウドサービスプロバイダーがデータセンターに設置するコンピュータです。複数のプロセッサコアや大容量メモリを搭載し、高い計算能力を有しているため、膨大な数のタスクを素早く処理・実行することができます。クラウドデータベースのホストサーバーや、情報を管理するためのファイルサーバーなど、多様なサーバーがあります。

1-2-2. ストレージ(クラウドストレージ)

データを保存(格納)するためのデータスペースを指し、クラウドストレージともいわれます。物理ストレージに比べてスケーラビリティに優れており、必要に応じてストレージ容量を容易に増減できます。また、定期的なデータの自動バックアップも可能です。

1-2-3. ネットワーク

各種サーバーや、データセンター内にあるストレージ、アプリケーション、その他コンポーネントを接続・通信するための機能です。物理的配線やネットワークスイッチ、ロードバランサー、ルーターといったネットワーク機器を使用してネットワーク接続できるようにします。クラウド上では、これらの物理リソースをもとに、仮想ネットワークを構築することができます。

1-3. 種類

クラウドインフラストラクチャには、利用範囲や運用要件に応じた3つのモデルがあります。

1-3-1. パブリッククラウド

クラウドサービスプロバイダーが提供するクラウドインフラストラクチャを、マルチテナント形式(複数のユーザーが同一のリソースを共有する形式)で利用するモデルです。保守・運用はプロバイダーが行うため、管理の手間を省きながら導入・利用することができます。代表的なサービスとして「AWS」や「Microsoft Azure」などが挙げられます。

AWSについてのコラムはこちらをご覧ください

Microsoft Azureについてのコラムはこちらをご覧ください

1-3-2. プライベートクラウド

単一の組織や個人専用のクラウドインフラストラクチャを構築し、管理するモデルです。パブリッククラウドのように、基盤となるコンピューティングリソースが外部のユーザーと共有されないため、機密性の高い環境で利用できることが特徴です。自社で構築するほか、プロバイダーからプライベートクラウド環境をリースすることも可能です。

1-3-3. ハイブリッドクラウド

パブリッククラウドと、プライベートクラウドやオンプレミスといった異なるサーバー・サービスを組み合わせて利用するモデルです。利用シーンやワークロードに適したクラウド環境を選択できるため、秘匿性の高い情報を扱う場合にはプライベートクラウドを利用し、その他の場合はパブリッククラウドを利用するといった使い分けが可能です。

また、類似したモデルに「マルチクラウド」があります。詳細はこちらの記事をご覧ください。

マルチクラウド戦略とは?メリット・デメリット、進め方などを紹介

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2. IaaS、PaaS、SaaSの違い

クラウドサービスは、内容や対象領域に応じて「IaaS」「PaaS」「SaaS」の3つに分類されます。このうち、クラウドインフラストラクチャはIaaSに分類されます。各クラウドサービスの違いは次の通りです。

IaaS
(Infrastructure as a Service)
PaaS
(Platform as a Service)
SaaS
(Software as a Service)
内容 ハードウェアのコンピューティングリソースを利用できる アプリケーション開発や稼働に必要なプラットフォームを利用できる クラウド上にあるさまざまなソフトウェアを利用できる
対象領域 サーバーやネットワークといったインフラ領域 IaaSの領域に加え、OSやミドルウェアといったプラットフォーム領域 SaaSの領域に加え、ソフトウェア全般を含む領域

各クラウドサービスについては、こちらの記事をご覧ください。

「SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いとサービス例を徹底解説」

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3. クラウドインフラストラクチャ導入のメリット

オンプレミスのインフラストラクチャと比較したとき、クラウドインフラストラクチャには次のようなメリットがあります。

3-1. コストパフォーマンスが高い

オンプレミスのインフラストラクチャの場合、ハードウェア・ソフトウェアの購入費用のほか、維持管理にかかる費用も発生します。クラウドインフラストラクチャであれば、クラウド上で提供されるコンピューティングリソースを従量課金制で利用でき、維持管理はプロバイダーが行うため、コストパフォーマンスの高い運用が可能になります。

3-2. セキュリティが高い

プロバイダーが提供するクラウドインフラストラクチャでは、データの暗号化やアクセス制御といったセキュリティソリューションが施されています。厳格なコンプライアンス要件のもとに管理されているため、オンプレミスのインフラストラクチャよりもセキュリティが高いという特徴があります。

3-3. ビジネスの継続性を保つ可用性が高い

多くのプロバイダーでは、クラウドインフラストラクチャの維持管理において、複数のデータセンターを運用して冗長性を持たせています。またデータの自動バックアップや災害復旧機能なども提供しているため、災害や障害などが発生した場合に対する可用性が高く、ビジネスの継続性が保たれます。

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4. クラウドサービスプロバイダーの選び方

クラウドインフラストラクチャの導入を決定したら、クラウドサービスプロバイダーを選定します。選定する際に考慮すべきポイントは次の通りです。

4-1. サービス内容

プロバイダーが提供するクラウドサービスの分類(IaaS、PaaS、SaaS)や、特定のアプリケーションやワークロードに対応したクラウド環境の有無などをチェックしましょう。ソフトウェアのデプロイやアップグレードをしやすい仕組みが用意されていることも重要です。

4-2. スケーラビリティ

スケーラビリティとは、システムやソフトウェアの拡張性を意味します。サーバーにCPUやメモリなどを追加して能力を向上させるスケールアップや、リソースを減らしてコストを削減するスケールダウンがどれだけ柔軟に行えるかを確認しておきましょう。需要に応じて自動的にリソースを調整する、オートスケーリング機能が提供されている場合もあります。

4-3. サポート内容

24時間365日の監視・管理が提供されているか、パフォーマンスレポートの提供が可能かなど、対応速度やサポート体制を確認します。サービスレベルアグリーメント(SLA)で保証される稼働率(99.99%以上)を基準にするのも一つの方法です。また、災害や障害が起きた際のバックアップ・復旧サポートの有無も確認しておきましょう。

4-4. 料金プラン

各プロバイダーが提供する料金プランを比較し、自社の予算とニーズに合ったプランを選びます。利用するモデル(パブリッククラウド、プライベートクラウドなど)やサービス内容によって料金が変わるため、自社のニーズを明確化してから相見積もりをとるなどして慎重に検討しましょう。

4-5. セキュリティ対策

データの安全性を確保するために、プロバイダーが提供するセキュリティ対策を確認します。データの暗号化やアクセス制御、セキュリティ認証、各プロバイダーが遵守しているコンプライアンス基準(ISO、SOC、GDPR)などをチェックしましょう。

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5. クラウドインフラストラクチャの導入ならNTT東日本の「クラウド導入・運用 for AWS/Microsoft Azure」

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6. まとめ

企業・自治体のクラウド化の推進には、クラウドインフラストラクチャの導入が必要不可欠です。NTT東日本では、導入を支援するサービスを提供していますので、ぜひお問い合わせください!

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