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DXとIT化の違いとは?DXが求められる理由とメリット・対応策を紹介
DXとIT化について、違いがあまりわからないという方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、「ビジネスモデルや業務プロセスを根本的な部分から変革するDX」と「IT技術をもちいて業務効率化をめざすIT化」の両者の違いについて解説します。また、DXが求められている理由やDXのメリット、企業の対応策について解説します。
本記事を読むことで、DXとIT化の違いを理解できるだけでなく、DXを推進して企業の土台を強化する考え方や対応策が身につきます。
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目次:
- 1.DXとIT化の違い
- 1-1.DXとは
- 1-2.IT化とは
- 1-3.DXとIT化の違い
- 2.DXがビジネスに求められる理由
- 2-1.2018年に経済産業省が発表したDXレポート「2025年の崖」
- 2-2.中小企業こそDXを推進する必要がある
- 3.DX推進のメリット
- 3-1.業務効率化
- 3-2.生産性の向上
- 3-3.競争力の向上
- 4.DX推進に必要とされる対応策
- 4-1.可視化された指標の設定
- 4-2.DX推進ガイドラインの策定
- 4-3.ユーザー企業とベンダー企業の新たな関係の構築
- 4-4.DX人材の採用・育成
- 5.DX推進に重要なクラウドの導入はぜひNTT東日本にご相談ください
- DXとIT化の違いについてまとめ
1.DXとIT化の違い
DXとIT化は似たような言葉ではあるものの、明確な違いがあります。
ここからは、DXとIT化のそれぞれの基礎から違いについて解説します。
1-1.DXとは
DXとは、デジタル技術を活用して自社のビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革し、新たな価値を創出する考え方です。
DXは単に技術を導入することではなく、ITや最先端の技術を活用しながら企業文化や組織構造、顧客体験までをもデジタル化することで、効率化、イノベーションの促進、顧客満足度の向上をめざします。
これにより、市場での競争力を高め、競合優位性の確立や事業の成長を促すことができます。ECサイトで例えると、AIを活用してアクセスしたユーザーにパーソナライズされたアイテムを表示させ、顧客体験の向上や売上増加をめざす動きがDXです。
1-2.IT化とは
IT化とは、IT(情報技術)を用いて業務プロセスを効率化することです。
IT化により、手作業や紙ベースの処理などアナログな業務をデジタル化することで、データの収集や保管といった管理、アクセスなどが容易になります。これにより、書類の管理業務を削減できたり、機密書類の紛失等のミスを防ぐことができ、業務の効率化やコスト削減も可能です。
IT化は主に業務プロセスの効率化とコスト削減を目的としており、IT技術の導入に重点をおいた方法です。
1-3.DXとIT化の違い
DXとIT化は似ているようで明確な違いがあります。DXは会社全体で変革をめざすのに対し、IT化は特定の業務プロセスの効率化に焦点を当てます。
DXはビジネスモデルそのものの変革を目指し、新たな価値創出や顧客体験の革新を目的としています。一方、IT化は既存の業務プロセスをデジタルツールを用いて改善することが主な目的です。
以下では、DXとIT化の例をまとめました。
概要 | 例 |
---|---|
DX | 在宅ワークとWeb会議ツールの導入により、社内全体で迅速な顧客対応や顧客との商談数を増やすことに成功した |
IT化 | 新しい会計ソフトを導入することで業務効率化につながった |
DXは企業全体のビジネス変革をめざすことで、IT化は特定の業務に焦点を当て、デジタル化により業務の効率化をめざすことです。
2.DXがビジネスに求められる理由
デジタルトランスフォーメーション(DX)がビジネスに求められる理由は、主に以下の3つです。
- 市場や環境がめまぐるしく変化する現代において、迅速に対応し競合優位性を保つため
- 労働力不足が問題視されている昨今の状況に対応するため、業務プロセスを自動・効率化し、生産性の向上をめざすため
- IT人材不足に対応するため、新たなツールやシステムの導入を通じて、新たなビジネス機会を創出するため
2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、社会環境や市場は大きく変動しました。中でも、特に対応が急がれたDXとして、リモートワークやテレワークが挙げられます。
不測の事態に備えて会社全体で変革を行うことは、廃業になりかねない市場や環境の変化に対応するための防御策と言えるでしょう。
2-1.2018年に経済産業省が発表したDXレポート「2025年の崖」
経済産業省が発表した「DXレポート」では、2025年までにDXを推進できなければ「経済的に大きな損害が生じる」と言われており、具体的には最大12兆円もの経済損失が生じる可能性があると説明されています。
DX推進遅れることによるリスクは以下のとおりです。
- 老朽化したシステムの維持費高騰による負債
- 市場変化に合わせたデータ活用ができず競合優位性を確立できない
- IT人材不足によりシステムを運用できる人材がおらず、サイバー攻撃などのリスクが増える
DXを推進しなければ、競合と差が生まれたり、サイバー攻撃により大きな損失が出る可能性があります。
2-2.中小企業こそDXを推進する必要がある
中小企業にとってもDXの推進は重要であり、これを怠ると市場での競争力を失うリスクがあります。資源が限られている中小企業こそ、DXを通じて効率化や新たなビジネスチャンスを掴むことが重要です。
また、労働力不足の現代では、人的リソースを最適化することが事業存続の鍵となります。人的リソースの最適化には、IT化によって業務効率を高め、社員一人当たりの生産性を高めることが重要です。
しかしながら、中小企業基盤整備機構が発表した「中小企業の DX 推進に関する調査」では、中小企業のDX推進が遅れていると発表されています。
DX推進が遅れている理由には「DXやIT化を推進する人材がいない」などの技術的な面から「経営者の意識・理解が足りない」がありますが、「2025年の崖」にもある通り、あと3年以内にDXを推進しなければ大きな損失を生む可能性があります。
3.DX推進のメリット
企業がDXを推進するメリットは以下のとおりです。
- 業務効率化
- 生産性の向上
- 競争力の向上
それぞれ詳しく解説します。
3-1.業務効率化
DXの推進は、業務の効率化に大きく貢献します。
ITの導入により、企業は業務の自動化やプロセスの最適化、データドリブンの意思決定などを実現できます。これにより、ノンコア業務(直接利益につながらない業務)を削減することができ、戦略決定や商品・サービス開発といった、コア業務(直接利益につながる業務)にリソースを集中させることができます。
たとえば、人工知能(AI)を活用したチャットボットを導入することで、「顧客対応にかかるリソースの削減」と「迅速な顧客対応」を実現できます。これまで行っていた業務の品質を落とすことなく業務を効率化できるため、社員の負担軽減に加え、顧客満足度の向上にも役立つでしょう。
このようにDXを推進することで、業務工数の削減や業務そのものを効率化することができ、社員の負担を軽減できます。また、業務をシステムやツールで済ませることにより、人件費の削減にもつながります。
3-2.生産性の向上
DXの推進により、企業全体の生産性向上につながります。
DXでは前述したとおり、業務を効率化できるため、社員一人一人がコア業務にリソースを集中させることができます。
これにより、業績向上に欠かせないアイデアや戦略会議といった「企業を変革するためのプラン」を検討するのに時間をかけられます。
たとえば、レポート作成や事務作業に追われるマーケターのノンコア業務をDXの推進により削減することで、新しいキャンペーンの企画立案に時間を割けるようになるでしょう。DXの推進は一見「目先の業務の効率化」のように見えますが、長期的な視点で見ると企業に大きな利益をもたらします。
3-3.競争力の向上
DXを進めることは、企業の競争力を高める上で極めて重要です。
モノであふれる現代では、商品だけでは差別化することが難しく、「顧客対応」や「顧客体験」に意識を向ける必要があります。
目まぐるしく移り変わる市場に対応するためには「顧客へのヒアリングから商品提案まで一貫して行うこと」です。
そのためには、人の手だけでは限界があります。DXを推進することで、顧客対応の自動化やリアルタイムのデータ分析・活用で顧客に合わせた商品やサービスをいち早く提供できます。
国内の企業の中ではDXを推進している企業はわずか5%と言われています。2025年の崖も迫っている中、DXを推進することは企業の競争力向上につながるため、早急に推進すべきです。
4.DX推進に必要とされる対応策
ここではDX推進に必要とされる4つの対応策について詳しく紹介します。これからDXを本格的に推進しようと考えている担当者の方はぜひ参考にしてください。
4-1.可視化された指標の設定
DXを推進するためには、適切にガバナンスできるように指標の見える化が重要です。
なかなかDX化が進まない企業では「どのような問題点があり、何を改善したらよいかわからない」という課題を持つケースがあるでしょう。
このような課題を解決するためにはまず、現状の課題を見える化し、めざすべき指標を設定することが大切です。
たとえば「現状のシステムを使い続けることによる技術的負債」を洗い出し、「どういったITを導入すれば最も効果があるか」「効果は社員の残業時間や管理画面のアクセス時間で決める」といった具合に、具体的な指標を決めるのがポイントです。
4-2.DX推進ガイドラインの策定
既存システムを一新し、企業の在り方や業務プロセスを変革するためには、DX推進ガイドラインの策定が欠かせません。既存システムを変革する際に、「体制の在り方」や「実行プロセス」等をまとめ、「DX推進のロードマップ」を作成します。
具体的な推進方法をまとめなければ、社員は何から進めればよいかわからず、ベンダーの言いなりで誤ったツールを導入したり、ツールを導入したものの適切な運営がされずにDXを推進できない場合もあります。
また、DX推進ガイドラインの策定は経営陣だけでなく、取締役会・株主等のチェックリストとしても活用できるため、DX推進時は必ず作成しましょう。
4-3.ユーザー企業とベンダー企業の新たな関係の構築
ベンダー企業との協力体制を構築することも重要です。
DX推進がうまくいかない企業の事例としては「ベンダーに丸投げしている」「実際にどのようなDXが行われているか理解できていない」ということも原因のひとつに挙げられます。
ベンダーに丸投げすると、思うような効果が出なかった場合に契約上のトラブルが発生したり、DX推進が業務の妨げになることも少なくありません。
そうならないためにも、企業とベンダーとの新たな関係を構築することが重要です。
たとえば、企業の意見を反映しやすいアジャイル開発やクラウド型のサービスで随時システムをチェックできる仕組みを構築するなど、コミュニケーションが反映されやすいよう、ベンダーとの関係値を作っていくことが大切です。
4-4.DX人材の採用・育成
DXの推進にはDXに精通した専門の人材採用・育成も欠かせません。
DX推進に必要な人材は以下のとおりです。
必要な人材 | 特徴 |
---|---|
プロジェクトリーダー | DX推進を先導する人材 |
データサイエンティスト | DX推進に関わるデータ収集・分析を行う人材 |
ビジネスデザイナー | データや立案された企画を元にビジネスを形にする人材 |
エンジニア | 企画に合わせてシステムを設計・実装・構築する人材 |
UXデザイナー | ユーザーの顧客体験を意識してシステムやサービスをデザインする人材 |
あくまでも上記は「DX推進全体に必要な人材」であり、社員を育成、もしくはベンダーへの依頼を通じて必要な人材を集めます。
社内の人材を一から育成する必要はなく、「事業部長をDXのプロジェクトリーダーに任命する」「情報システム部門の社員をデータサイエンティストに任命する」というように、転用することも視野に入れましょう。
そうすることで、DX推進に必要な人材を集めやすくなります。
5.DX推進に重要なクラウドの導入はぜひNTT東日本にご相談ください
DXを推進するためにはクラウドサービスの利用が欠かせません。なぜなら、クラウドサービスは柔軟なシステム変更に加え、データの高速共有が可能だからです。
DX推進は企業によって導入すべきツールやシステムが異なるため、運用後の効果測定・改善が重要です。
NTT東日本では、DX推進を目指したクラウド化の導入からネットワーク環境の構築、セキュリティ・運用までワンストップ型の支援を行っています。
DX後に求めている未来やシステムの希望をヒアリングした内容に合わせて、DX推進を円滑に進めるお手伝いをしています。
特に以下の悩みを持った方におすすめです。
- エンジニア不足による機会損失を減らしたい
- DX・クラウド移行をワンストップで支援してほしい
DXとIT化の違いについてまとめ
DXとIT化の違いは、DXは会社全体で変革をめざすのに対し、IT化は特定の業務プロセスの効率化に焦点を当てることです。
IT化もDXの一部になりますが、主な目的が異なります。現在求められているのはIT化だけでなく、ITを活用して企業運営の在り方や業務プロセスそのものを変革するDX推進です。
DXを推進することで企業全体の業務効率化、生産性向上につながるだけでなく、企業として競争力を高め、事業売上の向上にも期待できます。
これからDX推進をめざす企業は自社だけで実行するにはあまりにもやることが多すぎて「本業が忙しく手が回らない」という理由により、対応が遅れることも少なくありません。
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