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AWS Backupとは?機能・メリットやサポートされているAWSリソースを解説
AWS Backupとは、利用中のAWSリソースのバックアップを一元化・自動化できるサービスです。AWS Backupを活用すればバックアップ業務を効率化でき、運用担当者の負担を軽減できます。
そこで本記事では、AWS Backupの概要から利用できる機能、導入するメリットについて解説します。
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目次:
- 1.AWS Backupとは
- 2.AWS Backupで利用できる機能
- 2-1.バックアップの一元管理機能
- 2-2.バックアップポリシーの作成
- 2-3.AWSタグによるバックアップポリシーの割り当て
- 2-4.ライフサイクル管理ポリシーの設定
- 2-5.リージョン間のバックアップ
- 2-6.アカウント間バックアップ
- 2-7.AWS Backup Audit Managerによる監査・レポート作成
- 2-8.増分バックアップ
- 2-9.フルAWS Backup管理機能
- 2-10.ダッシュボードによるモニタリング
- 2-11.バックアップ保管庫
- 3.AWS Backupを利用するメリット
- 3-1.AWSリソースのバックアップを一元管理できる
- 3-2.自社の規定・要件に合わせてバックアップポリシーを設定できる
- 3-3.低コストで運用できる
- 4.AWS BackupでサポートされているAWSリソースとリソースタイプ
- 4-1.各リソースの可用性
- 5.AWS Backupの導入・設定ならぜひNTT東日本にご相談ください
- AWS Backupについてまとめ
1.AWS Backupとは
AWS Backupとは、AWSリソースのバックアップを一元化・自動化できるサービスです。
ただ単にバックアップを行うだけでなく、バックアップの一元化や自動更新ができる特徴があります。
また、Amazon DynamoDB テーブルやAmazon EC2 インスタンスといったリソースのバックアップアクティビティを監視したり、バックアップへのアクセスを制限するなど、さまざまな機能を活用できます。そのため、AWS Backupを利用すればバックアップを行う際の作業を効率化でき、運用上の負担を減らせるでしょう。
2.AWS Backupで利用できる機能
ここからはAWS Backupで利用できる機能について解説します。
2-1.バックアップの一元管理機能
AWS BackupではAWSリソース全体のバックアップを一元管理できます。
AWS Backupには「バックアップコンソール」「バックアップAPI」「AWS Command Line Interface」が用意されています。要するに、上記の要件を満たすリソースについては、バックアップを一元管理できるということです。
また、バックアップのログを一括で表示させることができるので、バックアップの監査やコンプライアンスの確認も容易に行えます。
2-2.バックアップポリシーの作成
AWS Backupでは、バックアッププランと呼ばれる「パックアップポリシー」を作成することができます。バックアップポリシーを作成することで、自社独自にカスタマイズしたバックアップ体制を整えることができます。
たとえば、「AWSサービスの一部は毎日バックアップを行う」というポリシーを作成することで、計画に基づいたバックアップが実施されます。
2-3.AWSタグによるバックアップポリシーの割り当て
AWSのバックアップ対象をタグで管理することも可能です。
バックアップ対象をタグ付けすれば、バックアップの実装や保護、監視を容易に行えます。タグを設定することで管理担当者の負担をより軽減できます。
2-4.ライフサイクル管理ポリシーの設定
AWS Backupでは、バックアップの有効期限の設定に合わせてコールドストレージ(使用頻度が低いものの長期間保管する必要があるデータ)にバックアップすることができます。
これにより、バックアップストレージにかかるコストを抑えることができます。
バックアップのライフサイクルの中で「データを移行する条件」を決めることで、適切なタイミングでデータを移行し、コストを抑えたデータ運用を行うことができます。
2-5.リージョン間のバックアップ
AWS Backupを使用することで、AWSの異なるリージョンにバックアップをコピーすることができます。バックアップのコピーは、手動で行うことはもちろん事前に設定したスケジュールに合わせて、自動でバックアップをコピーすることも可能です。
この機能は災害やインターネット障害が発生した場合のデータの避難先や、何らかの要因でデータを複数の場所に保管する必要がある場合に役立ちます。
2-6.アカウント間バックアップ
AWS Backupを使用すれば「AWS Organizations 」の全てのアカウントのバックアップを一元管理できます。また、バックアップを行う際は一度設定したバックアッププランをそのまま利用できるため、再度要件を設定する必要はありません。
アカウントを跨いだ大規模なバックアップも効率的に行えます。
2-7.AWS Backup Audit Managerによる監査・レポート作成
AWS Backup Audit ManagerはAWS全体のバックアップ活動を確認し、レポートにまとめる機能です。バックアッププランに準拠していない動きを監査し、日毎レポートを作成します。
これにより、意図しないバックアップや自動更新をいち早く見つけることができます。異常値を効率的に見つけられるので、バックアップ内容を確認する担当者の負担を軽減できます。
2-8.増分バックアップ
AWS Backupには増分バックアップ機能があり、コストを抑えたバックアップ環境を構築できます。
AWS Backupは最初に「全てのデータをコピー」してバックアップを作成します。増分バックアップは最初のバックアップより「変更された部分のみコピー」して、バックアップに追加します。つまり、毎回データ全体をバックアップするのではなく、新しく変更された部分のみを保存します。
これにより、ストレージの使用量とコストを最小限に抑えることができるので、ストレージ容量とバックアップにかかる時間を節約できます。
2-9.フルAWS Backup管理機能
フルAWS Backup管理機能では、厳格なセキュリティと効率的なコスト管理を提供するものです。
AWS Backupはバックアップする元データとは異なる暗号化キーを発行します。暗号化キーは、AWS Backupのデータが格納されている保管庫にアクセスする際に必要です。この仕組みにより、セキュリティが高く、バックアップデータが外部に漏れる心配はありません。
また、フルAWS Backup管理機能では、AWS Backupに関連する料金を把握しやすいように以下の項目にかかる料金をAWS請求書の「Backup」セクションにまとめています。
- ストレージ
- データ転送
- リストア
- 早期削除
高度なセキュリティ環境を提供するだけでなく、請求内容を簡単に確認できるような機能が備わっています。
2-10.ダッシュボードによるモニタリング
AWS Backupのダッシュボードでは、AWSサービス全体のバックアップ状況や復元アクティビティの監査を直感的な操作で実施できます。AWS Backup コンソールの指定箇所を数回クリックするだけで、バックアップのステータスを表示できます。
また、AWSサービス全体でジョブを復元し、リソース先のデータが適切に保護されているかも確認することができます。
AWS Backupは以下のサービスと統合することで、便利な機能を活用できます。
- AWS CloudWatch:バックアップのパフォーマンスやステータスに関するアラートを受けられる
- AWS EventBridge:AWS Backupに関連するイベントを表示・監視できる
- AWS CloudTrail:バックアップアクティビティのログを集中的に表示・監査できる
- Amazon SNS:バックアップが成功したときや復元が開始されたときに通知が届く
これらのサービスと統合することで、バックアップのアクティビティを効率的に表示・監視することができます。
2-11.バックアップ保管庫
バックアップ保管庫では、高レベルのセキュリティを提供しています。
まず、AWS Backupで一度作成されたデータは、変更することができません。バックアップ保管庫にデータを格納することで、たとえば「Amazon EC2インスタンス」を削除したとしても保管庫に保存されたデータはライフサイクルポリシーに従って、保持・保護されます。
また、バックアップ保管庫には「AWS Backup Vault Lock」という機能があり、これを利用すれば、アクセス権限を管理することができます。要は、バックアップデータにアクセスできるユーザーを管理できるということです。
これらの機能を元に、バックアップ保管庫は高いレベルのセキュリティで守られています。
3.AWS Backupを利用するメリット
AWS Backupを利用するメリットは主に以下の3つです。
- AWSリソースのバックアップを一元管理できる
- 自社の規定・要件に合わせてバックアップポリシーを設定できる
- 低コストで運用できる
3-1.AWSリソースのバックアップを一元管理できる
AWS Backupの最大のメリットと言えるのが、AWSリソース全体のバックアップを一元管理できる点です。
AWSサービスのデータを一元的に管理できるため、データ保存にかかる作業工数を大幅に削減できます。また、AWS Backupは直感的な操作でバックアップデータを管理できるため、担当者の業務効率化や、未経験の担当者を割り振ることも可能です。
3-2.自社の規定・要件に合わせてバックアップポリシーを設定できる
自社の規定・要件に合わせてバックアップポリシーを作成できるため、バックアップコンプライアンスの向上をめざすことができます。
AWS Backupでは、バックアップポリシーの設定に基づいて、バックアップが行われます。たとえば、「バックアップは週に1回取得する」「データの保持期間は3ヶ月」といった具合です。
このように自社の規定や要件に合わせてバックアップ体制を運用できるため、コンプライアンスの向上につなげられます。
3-3.低コストで運用できる
AWS Backupは低コストで運用できることも魅力の一つです。AWS全体に言えることですが、導入の際にかかる初期費用はかかりません。また、従量課金制のためにコストを調整することも可能です。
また、AWS Backupはデータをコールドストレージに自動で移行する機能もあるため、特別な設定をしなくてもコストを抑えた運用が可能です。
4.AWS BackupでサポートされているAWSリソースとリソースタイプ
AWS BackuでサポートされているAWSのリソース、およびリソースタイプは以下の通りです。
なお、それぞれの詳細については公式ページをご確認ください。
サポートされているリソース | サポートされているリソースタイプ |
---|---|
Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2) | Amazon EC2インスタンス(ストアベースの AMIを除く) |
Amazon Simple Storage Service(Amazon S3) | Amazon S3データ |
Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) | Amazon EBSボリューム |
Amazon DynamoDB | Amazon DynamoDBテーブル |
Amazon Relational Database Service(Amazon RDS) | Amazon RDSデータベースインスタンス(すべてのデータベースエンジンを含む)、マルチアベイラビリティーゾーンクラスター |
Amazon Aurora | Auroraクラスター |
Amazon Elastic File System(Amazon EFS) | Amazon EFSファイルシステム |
FSx for Lustre | FSx for Lustreファイルシステム |
FSx for Windows File Server | FSx for Windows File Serverファイルシステム |
ONTAP用NetApp Amazon FSx | FSx for ONTAPファイルシステム |
OpenZFS用アマゾンFSx | OpenZFSファイルシステム用のFSx |
AWS Storage Gateway(ボリュームゲートウェイ) | AWS Storage Gatewayボリューム |
Amazon DocumentDB | Amazon DocumentDBクラスター |
Amazon Neptune | Amazon Neptuneクラスター |
Amazon Redshift | Amazon Redshiftクラスター |
Amazon Timestream | Amazon Timestreamクラスター |
VMwareクラウド™オンAWS | VMwareクラウド™仮想マシンがオンになっているAWS |
VMware クラウド™オン AWS Outposts | VMwareクラウド™仮想マシンがオンになっているAWS Outposts |
AWS CloudFormation | AWS CloudFormationスタック |
SAP HANAデータベース | Amazon EC2インスタンス上のSAP HANAデータベース |
引用:AWS Backup とは? – AWS Backup
上記のサービスに該当しない場合は、AWS Backupを活用することはできません。
4-1.各リソースの可用性
本記事ではAWSの機能を紹介しましたが、AWSリソースによっては機能を活用できない場合があります。
以下の表から各リソースの可用性を確認してください。
なお、それぞれの詳細については公式ページをご確認ください。
※表は横にスクロールします。
AWS Backup サポート |
リージョン間の バックアップ |
アカウント間の バックアップ |
AWS Backup Audit Manager |
増分バックアップ | point-in-time 継続的バックアップと復元 (PITR) |
フル AWS Backup 管理 |
コールドストレージへの ライフサイクル |
項目レベルの復元 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
EC2 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
S3 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
EBS | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
RDS シングルインスタンス | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
RDS クラスター | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
Aurora | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
EFS | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
FSx for Lustre | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
FSx for Windows File Server | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
FSx for ONTAP | ✓ | ✓ | ||||||
OpenZFS 用 FSx | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
Storage Gateway | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
DocumentDB | ✓ | ✓ | ✓ | |||||
Neptune | ✓ | ✓ | ✓ | |||||
Amazon Redshift | ✓ | |||||||
Timestream | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
Windows VSS | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||
仮想マシン | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
CloudFormation テンプレート | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
AWS Backup 高度な機能なしの DynamoDB |
✓ | |||||||
AWS Backup 高度な機能ありの DynamoDB |
✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
Amazon EC2 インスタンス上の SAP HANA データベース |
✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
5.AWS Backupの導入・設定ならぜひNTT東日本にご相談ください
AWSリソースを利用する場合、バックアップの効率化に期待できるAWS Backupが必要不可欠です。しかしながら、AWSリソースの導入には、専門知識や学習コストがかかります。
NTT東日本では、企業のクラウド化を支援しており、AWSの導入サポートや運用支援を行っています。IT技術やDX推進が叫ばれている昨今、データ管理や事業運営にはデジタル化が必須です。
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AWS Backupについてまとめ
AWS Backupは、AWSリソースのバックアップを一元管理できるサービスです。
一元管理はもちろん「自社の規定・要件に合わせたバックアッププランを構築できる」「低コストで運用できる」というメリットがあります。
ただし、AWS Backupを活用できるリソースには制限があります。本記事で紹介した表を元に、自社で利用しているAWSリソースがAWS Backupに対応しているか確認しましょう。
NTT東日本では、これからAWS関連のサービスを導入予定の方にむけて、導入・運用支援を行っています。
「AWSをビジネスに活用したいが、何を導入すればいいわからない」「AWS Backupを導入したいが、使い方や機能がよくわからない」という方は、ぜひ一度NTT東日本にご相談ください。
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