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Amazon SageMakerとは?できること・使い方をわかりやすく解説
AWS(Amazon Web Services)が提供する機械学習サービス「Amazon SageMaker」は、機械学習を実施するうえで、必要なプロセスを行う機能が備わっています。本記事では、Amazon SageMakerについての概要や特徴、メリット、導入事例などを解説します。Amazon SageMakerの使い方についても記載しているため、本記事を読めば、Amazon SageMakerのことが理解できるでしょう。ぜひご覧ください。
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目次:
- 1.Amazon SageMakerとは?何ができる?
- 1-1.Amazon Machine Learningとの違い
- 2.Amazon SageMakerの特徴と利用メリット
- 2-1.デプロイまでワンストップで対応できる
- 2-2.Jupyter Notebookをインターフェースとして採用
- 2-3.主な機械学習のフレームワークに対応
- 2-4.よく使われる機械学習アルゴリズムをインストール
- 2-5.自動的にスケーリングする巨大なインフラ
- 3.Amazon SageMakerのサービス一覧
- 4.Amazon SageMakerの導入事例
- 4-1.ゲームプレイヤーに表示する広告をリアルタイムに決定
- 4-2.機械学習モデルのエンドポイントでのデプロイを自動化
- 4-3.ユーザーごとに配信するニュースを最適化
- 5.Amazon SageMakerの使い方
- 5-1.ノートブックインスタンスの作成
- 5-2.モデルのトレーニング
- 5-3.モデルのデプロイ
- 6.機械学習環境を構築するならぜひNTT東日本にご相談ください
- Amazon SageMakerについてまとめ
1.Amazon SageMakerとは?何ができる?
Amazon SageMaker(セージメーカー)とは、AWS(Amazon Web Services)が提供するフルマネージドサービスで、機械学習を実施するうえで必要なトレーニングデータの前処理や作成・機械学習(ML)モデルの構築・学習・学習モデルのデプロイといった、一連のプロセスを行う機能が用意されています。フルマネージドサービスとは、サーバーの運用管理や保守、障害発生時の対応などを請け負ってくれるサービスです。
1-1.Amazon Machine Learningとの違い
AWSには、高度な機械学習アルゴリズムを習得していない人でも簡単にマシンラーニングモデルを作成し、予測分析ができるサービスである「Amazon Machine Learning」があります。Amazon SageMakerとの違いが分からなかったり、混同してしまったりする人もいるかと思いますが、Amazon SageMakerがAmazon Machine Leaningと異なる点は、ユーザー側でアルゴリズムなどをある程度制御できる点です。
次からAmazon SageMakerの特徴や利用メリットについて見ていきます。Amazon SageMakerを理解し、用途に応じて柔軟に選択できるようにしていきましょう。
2.Amazon SageMakerの特徴と利用メリット
Amazon SageMakerの以下の特徴や、利用メリットについて紹介します。
- デプロイまでワンストップで対応できる
- Jupyter Notebookをインターフェースとして採用している
- 主な機械学習のフレームワークに対応している
- よく使われる機械学習アルゴリズムをインストールできる
- 自動的にスケーリングする巨大なインフラである
順番に見ていきましょう。
2-1.デプロイまでワンストップで対応できる
Amazon SageMakerの特徴としてまず挙げられるのは、インスタンス作成やモデル構築、トレーニング、デプロイまでをワンストップで実施できる点です。一般的に機械学習システムをビジネスで活用するためには、学習や推論などに、多くの時間をかけなければなりません。
しかしAmazon SageMakerを利用すれば、既に存在する機械学習の仕組みを利用できるため、短時間での機械学習が可能です。
2-2.Jupyter Notebookをインターフェースとして採用
Jupyter Notebook(ジュピターノートブック)をインターフェースとして採用している点も、Amazon SageMakerの特徴です。
Jupyter Notebookとは、データ分析ができる対話型プラウザの実行環境で、OSS(※)を開発するためのプロジェクトである「Jupyterプロジェクト」が開発したOSSWebアプリケーションで、複数の言語にまたがり、対話的な処理実行を実現できます。
コードを記述すると、実行結果がコードの下部に表示されるため、プログラムと関連するメモや出力をまとめて保存したり、処理の実行を行ったりできるため、関係者間での情報共有が容易です。
※Open Source Software:ソースコードが公開されており、無償で誰でも改変や再配布が可能なソフトウェア
2-3.主な機械学習のフレームワークに対応
複数のプログラミング言語から利用できる深層学習フレームワークである「Apache MXNer」や、オープンソフトライブラリの「TensorFlow」など、主な機械学習のフレームワークに対応している点も、Amazon SageMakerの特徴です。
さらにAmazon SageMakerは、Dockerと呼ばれる仮想化技術を使用したコンテナ型のソフトウェア「Dockerコンテナ」で実行するように事前に構成されているため、Dockerコンテナが稼働できるエッジスパイスなどでも動作できます。
2-4.よく使われる機械学習アルゴリズムをインストール
Amazon SageMakerは、多くの変数を持つデータを集約して、主成分を作成する統計的分析手法である「Principal Component Analysis (PCA)」や、異常検知で利用される「Random Cut Forest」など、主な機械学習アルゴリズムについて、事前にインストールや最適化が行われています。
柔軟にアルゴリズムを選択でき、機械学習の実行もワンクリックで行える点も、Amazon SageMakerの大きなメリットといえるでしょう。
2-5.自動的にスケーリングする巨大なインフラ
最後に紹介するAmazon SageMakerの特徴やメリットは、自動的にスケーリングする巨大なインフラである点です。Amazon SageMakerのインフラは自動的に拡張されるため、極端な話をしてしまえば、ベタバイト規模の学習モデルでも対応できるでしょう。大容量で高速なAWS S3をデータレイクとして利用すれば、スムーズな機械学習が可能です。
ユーザーは、Amazon SageMakerを利用する前に、機械学習の仕組みについてある程度理解する必要があります。しかし理解してしまえば大規模なものでも、素早く機械学習の環境を準備できるため、魅力的なサービスといえるでしょう。
3.Amazon SageMakerのサービス一覧
Amazon SageMakerの特徴や利用メリットについて見ていきましたが、Amazon SageMakerで提供されているサービスは、以下の13種類です。以下の表ではそれぞれのサービス名と概要をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
サービス名称 | 概要 |
---|---|
Amazon SageMaker Studio | データの準備から構築、トレーニング、デプロイまでの全ての機械学習開発ステップを実行するための統合開発環境 |
Amazon SageMaker Pipelines | 機械学習向けの初めての専用CI/CDサービス |
Amazon SageMaker Canvas | 機械学習による正確な予測をコード不要で生成するサービス |
Amazon SageMaker Data Labeling | 画像やテキストファイル、動画などの未加工データにラベルを追加し、ラベル付き合成データを生成し、トレーニング用の高品質データセットを作成するサービス |
Amazon SageMaker Data Wrangler | データ品質を自動的に検証し、データの異常を検出するために役立つデータ品質とインサイトレポートを提供するサービス |
Amazon SageMaker Feature Store | 機械学習モデルの特徴量の保存や共有、管理するためのフルマネージドサービス |
Amazon SageMaker Studio Lab | 無料の機械学習開発環境で、コンピューティングやストレージ、セキュリティを無料で提供し、誰もが機械学習を学び、実験できるようにするサービス |
Amazon SageMaker Debugger | 一般的なトレーニングエラーを自動的に検出し、修正するよう警告するサービス |
Amazon SageMaker Model Monitor | 長期にわたり機械学習モデルを正確に保つサービス |
Amazon SageMaker Autopilot | 機械学習モデルの構築とデプロイのプロセスを自動化し、機械学習ワークフローの段階を簡素化、加速するサービス |
Amazon SageMaker JumpStart | 機械学習のハブとし機械学習てジャーニーを加速させられるソリューション |
Amazon SageMaker Edge | 機械学習モデルをエッジに最適化、保護、展開することで、エッジデバイスでの機械学習を可能にするサービス |
Amazon SageMaker Clarify | データの準備中やモデルトレーニング後、デプロイされたモデルで潜在的なバイアスを検出できるサービス |
さらに以下の記事では、AWSの機械学習サービスについてまとめています。AWS上で機械学習を実行するメリットや効率良く学ぶ方法についても述べていますので、ぜひご覧ください。
4.Amazon SageMakerの導入事例
機械学習をするうえで必要なトレーニングデータの前処理や作成、MLモデルの構築、学習、デプロイといったプロセスが可能であるAmazon SageMakerは、実際にどのように利用されているのでしょうか。
ここからは、Amazon SageMakerの導入事例を3つ紹介します。
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4-1.ゲームプレイヤーに表示する広告をリアルタイムに決定
Amazon SageMakerの導入事例としてまず紹介するのは、ゲームプレイヤーに表示する広告を、リアルタイムに最適化できるようにした企業の事例です。あるゲーム会社では、20億を超えるゲームのダウンロードと、4億を超える月間アクティブユーザーを保持しています。同社では、Amazon SageMakerを使用して、ユーザーに表示される広告を、リアルタイムに決定できるようにしました。
Amazon SageMakerを利用したことで、毎日3000億人を超える膨大なユーザーにより、1億回以上も広告表示がされている状態であっても、少人数のチームで短期間のうちにAI処理モデルを本番稼働でき、現在も問題なく継続してシステムの運用を行っています。
4-2.機械学習モデルのエンドポイントでのデプロイを自動化
次に紹介する事例は、機械学習モデルのエンドポイントでのデプロイを自動化した企業です。レシピ共有サービスを提供するある企業では、学習ジョブの繰り返しを最小化し、機械学習モデルのデプロイをAmazon SageMakerで自動化することで、開発プロセスを早められました。
この開発環境での事例を基にして、本番環境でもデプロイの自動化を推し進め、実装を目指しているそうです。
4-3.ユーザーごとに配信するニュースを最適化
最後に紹介する事例は、ユーザーごとに配信するニュースを最適化したものです。あるニュースアプリの企業では、機械学習テクノロジーを駆使して、最も関連性が高く、興味があると考えられるニュースをユーザーに届けています。
これはAmazon SageMakerを利用した機械学習アルゴリズムが、数百万件規模の記事やソーシャルシグナル、人的交流を評価し、取り上げるべきニュースを判断しているため、1100万人超えのマンスリーアクティブユーザーへの配信を可能にしています。
Amazon SageMakerを利用すれば、多くの工程を踏まず短時間で、理想とする機械学習環境を構築できます。Amazon SageMakerはますます多くの企業で活用され、さまざまな事例が産み出されることでしょう。
5.Amazon SageMakerの使い方
Amazon SageMakerの特徴やメリット、事例を通して、Amazon SageMakerがどのように使われるのかイメージできたのではないでしょうか。最後に、機械学習モデルをローカルに構築し、トレーニングする方法を簡単にお伝えします。
また、Amazon SageMakerの一機能で、機械学習における一連のワークフローおよびMLOpsをサポートする総合開発環境である「Amazon SageMaker Studio」は、無料で利用できます。Amazon SageMakerの料金については、下記の公式ページをご覧ください。
5-1.ノートブックインスタンスの作成
Amazon SageMakerの使い方は、大きく3STEPに分かれます。まず行うことは、ノートブックインスタンスの作成です。
ノートブックインスタンスとは、Jupyter Notebookがインストールされた後にメモリ上に展開された実態のことで、インスタンスを作成すれば、プログラムを記述するノートブックが使えます。Amazon SageMakerを利用するために、まずはノートブックインスタンスを作成しましょう。
5-2.モデルのトレーニング
ノートブックインスタンスを作成し、利用可能になった後は、モデルのトレーニングを行いましょう。トレーニングコードはトレーニングデータにアクセスし、S3バケットからモデルアーティファクトを出力します。
その後、モデルエンドポイントにリクエストを送信して推論を実行できるため、トレーニングコンテナイメージと推論コンテナイメージの両方を、Amazon Elastic Container Registry(Amazon ECR)に保存しましょう。
5-3.モデルのデプロイ
モデルをトレーニングしたら、最後にデプロイを行いましょう。Amazon SageMakerでは、ユースケースに応じて、さまざまな方法で予測が取得できます。
また、Amazon SageMakerでは機械学習モデルを導入する際にリソースを管理し、推論性能を最適化する機能も用意されています。本記事ではAMazon SageMakerの使用方法について簡単に見ていきましたが、AWS公式ページにはチュートリアルや全体の流れが詳細に記載されていますので、ぜひご覧ください。
6.機械学習環境を構築するならぜひNTT東日本にご相談ください
Amazon SageMakerについて、どういったサービスであるのか、特徴やメリット、導入事例などを見ていきましたが、いざ実行しようとすると、わからない部分や面倒だと感じる部分が出てくるのではないでしょうか。NTT東日本では、クラウドについてわからないことがあればすぐに相談できる「無料オンライン相談窓口」がございます。
無料オンライン相談窓口では、AWSやAzureの認定を持つクラウドのプロに疑問点を相談でき、適切なアドバイスを受けられます。同じ課題を抱えている企業さまの事例も紹介してもらえるので、きっと自社にとって参考になるでしょう。
Amazon SageMakerについてまとめ
Amazon SageMakerは、機械学習を実施するために必要なトレーニングデータの前処理や作成、機械学習モデルの構築、デプロイといったプロセスを行う機能が用意されている点が特徴の、フルマネージドサービスです。デプロイまでワンストップで対応でき、主な機械学習のフレームワークに対応したAmazon SageMakerは、きっと企業の機械学習環境を推し進めるサービスとなるでしょう。
もしAmazon SageMakerについて、わからないことや疑問点がある場合、NTT東日本の無料オンライン相談をご利用ください。AWSやAzureのクラウドのプロが、ご担当者さまの悩みを解決します。
無料オンライン相談の概要については、以下のページに詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。
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