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Azureで運用保守を行うメリット・デメリットと代行サービスを紹介
構築したシステムを安定的に稼働させていくためには、運用保守は欠かせない業務です。本記事では、Microsoft社が提供するクラウドサービス「Azure」で運用保守を行うメリットやデメリット、運用保守で使えるサービスを紹介します。
目次:
- 1.クラウドにおける運用保守ってどういうこと?
- 1-1.運用と保守の違い
- 1-2.共同責任モデル(責任共有モデル)について
- 2.Azureにおける運用保守のメリット・デメリット
- 2-1.何がすごい?Azureのメリット
- 2-2.欠点は何?Azureのデメリット
- 3.Azureにおける運用保守で使える代表的機能
- 3-1.監視機能
- 3-2.情報セキュリティ対策機能
- 3-3.バックアップ・リカバリ機能
- 3-4.コスト管理機能
- 4.Azureにおける運用保守のポイント・注意点
- 4-1.運用設計が必要
- 4-2.専門知識の習得と専門人材の確保が必要
- 5.Azureの導入~運用代行ならぜひNTT東日本にご相談ください
- まとめ
1.クラウドにおける運用保守ってどういうこと?
システムは構築して終わりではなく、安定的に稼働させるために、運用保守が必要です。オンプレミス環境とクラウド環境の運用保守には、どのような違いがあるのでしょうか。
ここではまず、運用と保守の違いについて述べ、クラウドにおける運用保守で意識する必要のある共同責任モデル(責任共有モデル)について解説します。
1-1.運用と保守の違い
構築したシステムを安定的に稼働させていくために必要となる運用保守ですが、運用と保守の役割は異なります。企業においてもひと括りにされ、同じ担当者が行っている場合も多いものですが、クラウド環境では運用と保守の線引きが可能なため、それぞれの違いについて知っておくとよいでしょう。
運用とは、システムを安定的に稼働させるために、システムの操作や管理作業を指します。決められたツールや手順に従い、自動や手動で継続的な操作や作業が発生します。
一方で保守とは、システムを安定的に稼働させるための変更操作です。たとえば、アプリケーションやOS、ミドルウェアなどで不具合や障害が発生した際に設定の変更や修正を行ったり、セキュリティパッチの適用、バージョンアップを行ったりします。
運用はシステムを安定的に稼働させるために継続的に行わなければいけない作業である一方で、保守の作業は、不具合やソフトウェアの更新などの必要に応じて作業が発生します。
1-2.共同責任モデル(責任共有モデル)について
オンプレミス環境においてもクラウド環境においても、基本的には運用保守の役割について違いはありません。しかしクラウドを利用する際は、共同責任モデル(責任共有モデル)について意識する必要があります。
共同責任モデルとは責任共有モデルとも呼ばれ、ユーザーやサービス事業者のそれぞれがサービス提供における担当範囲を明確にし、運用上の責任を共有する考え方です。
クラウドサービスには大きく分けてIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3つのサービスがありますが、どのサービスにおいても、ユーザーとサービス事業者の間で、責任分担の境界線が引かれています。
クラウド環境の運用保守に関しては、システムを構成するハードウェアやソフトウェア、ネットワークの一部がクラウドベンダー側の責任です。IaaSやPaaS、SaaSそれぞれのサービスにおいて責任範囲は異なりますが、障害発生時の対応やメンテナンスの内容に関して、ユーザー側の運用保守の要求や要件を満たせているかどうか、あらかじめ確認しておくことが大切でしょう。
2.Azureにおける運用保守のメリット・デメリット
運用と保守との違い、クラウド環境において意識すべき共同責任モデルについて見ていきましたが、ここからはAzureにおける運用保守のメリットやデメリットを紹介します。
2-1.何がすごい?Azureのメリット
AzureはMicrosoft社が提供するクラウドサービスで、IaaSとPaaS、SaaSすべてを含めた総合的なサービスです。データ統制、ライセンス管理、アカウント管理やアクセス管理などはユーザー側で行う必要があるものの、物理サーバーや物理ネットワーク、物理データセンターなどの管理は必要ありません。
オンプレミス環境からAzureへクラウド移行する際に、WindowsやOffice製品との連携がスムーズである点も、Azureのメリットです。高いセキュリティや強靭なグローバルネットワークを持つAzureに運用保守を任せれば、ユーザーはインフラを気にすることなく、独自に導入したソフトウェアやアプリケーションの運用保守業務に集中できるでしょう。
2-2.欠点は何?Azureのデメリット
WindowsやOffice製品とスムーズに連携でき、高いセキュリティや強靭なグローバルネットワークを誇るAzureですが、デメリットも存在します。Azureの欠点は、Azureを最大限活用するためには専門知識や技術が必要であることです。
Azureは、ファイルサーバーを独自に構築するなど、Office製品と比較するとカスタマイズ性が高く、使いこなすには専門知識が求められる場面が多くあります。AWS(Amazon Web Services)よりも後発のクラウドサービスであるため、ネット上でもQ&Aやコミュニティが少なく、検索しても直面している問題が解決できないこともあるでしょう。
以下の記事では、Azureのメリットやデメリットについて詳しく紹介し、どのような企業がAzureを選択すべきなのかを解説しています。実際にAzureを活用している事例についても記載していますので、ぜひご覧ください。
3.Azureにおける運用保守で使える代表的機能
ここからは実際にAzureの運用保守で使える、以下の代表的機能について見ていきましょう
- 監視機能
- 情報セキュリティ対策機能
- バックアップ・リカバリ機能
- コスト管理機能
それぞれ順番に解説します。
3-1.監視機能
3-1-1.Azure Monitor
Azure Monitorは、Azureで提供されているシステム監視を目的としたサービスです。Azure Monitorは監視を行うため、取得した監視データを「ログ」と「メトリック」の2種類に分け、処理しています。
Azure Monitorは、次に紹介するAzure Log Analyticsや元々Azureが提供していたApplication Insightsなどの個別の監視、分析機能を統合したものです。利用することでアプリケーションの監視やインフラストラクチャー監視、ログ監視、アラート通知、可視化や分析が行えるため、運用保守に欠かせないサービスといえるでしょう。
Azure Monitorの詳しい機能概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:Azure Monitorによる包括的なアプリケーション・ネットワーク監視
3-1-2.Azure Log Analytics
Azure Log Analyticsは、Azure Monitorの機能の一つであるAzure Monitor logによって収集されたデータからクエリを実行し、結果を対話形式で分析してくれるサービスです。特定の条件に一致するレコードの取得や傾向特定、パターン分析などを行い、取得したデータのさまざまな分析情報を得られるため、データ分析ソリューションにおいて重要なものといえます。
Azure Log Analyticsは、導入が容易で高い可用性を誇ることもメリットです。Azure環境だけでなく、多くのAzureサービスやオンプレミスといった環境とも連携もできるため、Azureで運用保守を行う際は、導入しておきたいサービスといえるでしょう。
3-2.情報セキュリティ対策機能
3-2-1.Azure Security Center
Azure Security Centerは、セキュリティの強化を目的として提供されているサービスです。セキュリティの脆弱性が認められるリソースを洗い出して、どのような対策をとるべきか提案してくれます。
Azure Security Centerを利用すれば、システムのセキュリティの現状が分かり、セキュリティ規格の適合状況の分析も可能です。仮想マシン及び仮想マシンスケールセットやAzureのPaaSサービス、Azureサブスクリプションに統合済みのパートナーソリューションが監視の対象となり、情報セキュリティ強化が行えます。
3-2-2.Azure Update Management
Azure Update Managementは、オンプレミスやAzure上のWindowsサーバー、及びLunixマシンで管理しているOSのアップデートを自動化してくれるサービスです。具体的には自動更新プログラム適用サービスの「パッチオーケストレーション」と、「メンテナンス構成」の操作を一括で行えるようにしたダッシュボード機能を提供してくれます。
リアルタイムの更新や、定義されたメンテナンス期間内での更新をスケジュールにすることもできるため、常にシステムを最新の状態で利用できます。
3-3.バックアップ・リカバリ機能
3-3-1.Azure Backup
Azure Backupとは、自動でバックアップを取ってくれるサービスです。Azureのクラウド上の仮想マシンや、仮想マシン上で動作するデータベース、ファイル、オンプレミスの仮想マシンのバックアップが可能です。
Azure Backupの特徴は、他のバックアップサービスと比較して、データ復元をワンクリックで実現できることです。
またバックアップ方法として、増分バックアップを採用している点も特徴といえるでしょう。増分バックアップとは、前回のバックアップ以降に変更があった箇所のみをバックアップする手法です。増分バックアップを行えば、実行時間が短く、保存ディスク容量も節約できます。
3-3-2.Azure Site Recovery
リカバリ機能としては、Azure Site Recoveryがあります。Azure Site Recoveryは災害からの復旧を実現するサービスで、オンプレミスまたはAzureの主となるコンピューターシステムにある物理サーバーや仮想マシンを、予備システムに移行します。
主要コンピューターに障害が発生した際に予備システムに切り替えられる仕組みは、災害やテロなどからの脅威からシステムを素早く復旧させるために、大いに役立つサービスといえるでしょう。
3-4.コスト管理機能
3-4-1.Azure Cost Management and Billing
Azure Cost Management and Billingは、Azureの費用についての分析や、予算管理を行えるサービスです。コスト分析や予算、アラート、アドバイザーの推奨機能の4つの機能で、Azureの利用料金の管理と最適化が行えます。
Azureにおける運用保守に役立つサービスとしてさまざまなサービスを挙げましたが、Azureは従量課金制の利用となるため、利用料金は常に変動する可能性があります。多くの企業でITにかける予算は定められているため、利用料金を適切に管理していくことが必要です。
Azure Cost Management and Billingはどの部分で料金がかかっていて、どの程度予算を圧迫しているかなどが分析できるため、ぜひ利用したいサービスといえるでしょう。
4.Azureにおける運用保守のポイント・注意点
Azureで運用保守を行う際に利用できるサービスについてみていきましたが、最後にAzureにおける運用保守のポイントや注意点を見ていきましょう。
4-1.運用設計が必要
Azureで運用保守を行う際のポイントは、運用設計が必要である点です。運用設計とは構築したシステムを安定して稼働させていくために、運用ルールや運用方法、障害対応の方法などの情報をまとめてフレームワーク化する作業を指します。
いくら完成度の高いシステムを構築しても、実際に稼働すれば障害やトラブルが発生する可能性はもちろんあり、定期的な運用保守も行わなければなりません。あらかじめ運用設計を行っておけば、担当者が不在の際も知識や意図の共有が可能です。
一般的には以下に示す項目を元に、運用設計を行います。
- 運用スケジュールや運用体制
- 通常時運用
- 障害時運用
- 災害対策
- 監視設計
- バックアップ設計
- 保守設計 など
運用設計の項目は構築するシステムやプロジェクトにより異なりますが、不要なリスクやトラブルを避け、安定したシステムの稼働ができるよう、完成度の高い運用設計を行うことが大切です。
4-2.専門知識の習得と専門人材の確保が必要
Azureにおける運用保守の注意点は、専門知識の習得と専門人材の確保が必要であることです。Azureのデメリットでも述べましたが、Azureの機能を最大限に活用するためには、専門知識を持つ人材がいなければなりません。
知識を持ちAzureを使いこなせる人材が確保できれば、Azureにおける運用保守は強度なものとなり、安定したシステムの稼働が行えるでしょう。
5.Azureの導入~運用代行ならぜひNTT東日本にご相談ください
Azureにおける運用保守のメリットや使える代表的機能、運用保守のポイントや注意点について見ていきましたが、Azureに多くの魅力を感じていても、専門知識を持つ人材の確保が難しい企業も少なくないでしょう。自社で専門知識を持つ人材を育てるのも一つの方法ですが、Azureの運用を代行するサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
NTT東日本のクラウド導入・運用サービスであれば、クラウドサービスの設計構築からネットワーク構築、監視保守、運用代行を行い、セキュアなクラウド環境の構築や、IT業務効率化を実現します。
また既にお客さまがご利用しているクラウド環境における監視や通知、故障発生時の受付、一次切り取りなどをNTT東日本が代行する以下のサービスもあります。日常的な運用業務をNTT東日本にご依頼いただければ、お客さまは情報システム化計画や高度化などのコア業務に集中できるでしょう。
以下のページではクラウド監視・運用代行サービスについて詳しい概要を説明しています。クラウドのプロが在籍し、多くの実績があるNTT東日本にお任せください。
まとめ
システムは構築して終わりではなく、安定的に稼働させていくことが大切です。システムの継続的な安定稼働のために必要な作業が運用保守業務で、Azureの提供するさまざまなサービスを利用すれば、ユーザーが安心して利用できるシステムを運用していけるでしょう。
ただしAzureは後発のクラウドサービスであるが故に、高いシェア率を誇るAWSと比較してQ&Aやコミュニティが活発ではありません。そのため、Azureの運用保守を行うためには、綿密な運用計画や専門知識を持つ人材が必要な点には注意しましょう。
専門知識を持つ人材を社内で育成する方法もありますが、すぐに運用保守のリソースを確保したい際には、代行サービスを利用してみる方法をぜひご検討ください。NTT東日本のクラウド導入・運用サービスをご利用いただければ、お客さまは負担なく運用保守が実現できます。
Microsoft Azureは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。
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