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AWSのMigration Service一覧と各サービスの移行手順・利用料金を解説

「Migration」とは、システムやデータを現在使用している環境から別の環境へ移行することを指します。クラウドサービスとして多くの人に知られているAWSにも、マイグレーションサービスがあるのをご存知でしょうか。

本記事ではAWSのMigration Serviceである「AWS MGN」「AWS DMS」「AWS SMS」についての概要や移行手順、利用料金を解説します。AWS Migration Serviceについて詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

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1.AWSのMigration Service一覧

Migration(マイグレーション)とは、日本語で「移動」や「移住」「移転」などと訳され、ビジネスにおいてはシステムやハード、ソフトウェア、データなどを現在使っている環境から別の環境へと移行することを意味します。

Migrationによって老朽化システムやハード・ソフトウェアなどを刷新できるだけでなく、サポート期間が終了している製品の故障リスク回避、レガシーシステムのブラックボックス化を防ぐことも可能です。

Migrationには大きく分けて「アプリケーションマイグレーション」「データマイグレーション」「サーバーマイグレーション」「システムマイグレーション」の4つの種類があります。具体的に以下の表で概要を見ていきましょう。

Migrationの種類 概要
アプリケーションマイグレーション 基幹系のシステムや個々に使用するツールを、同等の機能を持った別のアプリケーションへ乗り換えること
データマイグレーション 異なる種類の装置やソフトウェア、システムなどの間でデータを移すこと
サーバーマイグレーション 既存のサーバーで稼働しているシステムを、別のサーバーへ移行すること
システムマイグレーション OSやアプリケーションなどの既存のシステムを、新しい環境に移行すること

近年はDX化の推進により、クラウド化へと踏み切る企業が増え、オンプレミス環境からクラウド環境へとシステムを移行するケースも増えています。

クラウドサービスとして多くの人に知られているAWS(Amazon Web Service)にも、マイグレーションサービスがあります。AWS Migration Serviceの種類は以下の3つです。

  • AWS Application Migration Service
  • AWS Database Migration Service
  • AWS Server Migration Service

それぞれの種類の概要は、以下のとおりです。

AWS Migration Serviceの種類 概要
AWS Application Migration Service アプリケーションサービスにあたり、オンプレミス・仮想・パブリッククラウドからAWSへの移行をサポートするサービス
AWS Database Migration Service データマイグレーションにあたり、リレーショナルデータベースやデータウェアハウス、NoSQLデータベース、その他のタイプのデータストアを移行できるようサポートするサービス
AWS Server Migration Service サーバーマイグレーションにあたり、オンプレミスのVMwave vSphere、またはMicrosoft Hyper-V/SCVMM仮想マシンをAWSクラウドへと移行するのをサポートするエージェントレスサービス

ここからは、AWS Migration Serviceの移行手順や料金について詳しく見ていきましょう。

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2. AWS Application Migration Service(AWS MGN)とは

AWS Application Migration Service(AWS MGN)とは、オンプレミス・仮想・パブリッククラウドなどからAWSへの移行をサポートするサービスです。

従来、AWSのリフトアンドシフトの移行サービスには「CloudEndure Migration」がありました。ですが、AWS Application Migration ServiceはAWSマネジメントコンソールと統合され、IAMやAmazon CloudWatchなどとの連携が簡単であるため、今後は対応OSでない限り、基本的にAWS Application Migration Serviceの利用が推奨されています。

AWS Application Migration Serviceは、ソースサーバーをAWS上でネイティブに実行できるよう自動で変換する仕組みです。時間がかかり、かつエラーの危険性が高い手動プロセスを最小限に抑えられます。

2-1.AWS MGNの移行手順

AWS Application Migration Serviceの移行手順は、以下のとおりです。

  • ソースサーバーにMGNエージェントをインストールする
  • テストインスタンスの起動と検証をする
  • カットオーバーを選択する

最初の手順は、ソースサーバーにMGNエージェントをインストールすることです。エージェントのインストールが完了すれば、自動でレプリケーションインスタンスが立ち上がります。

レプリケーションするデータはEBSスナップショットとして保管されるため、EBSスナップショットの取得完了を確認すれば、ソースサーバーをAWS環境に再現してテストする準備が整います。EBSスナップショットと、事前に設定した起動テンプレートの内容から、テストインスタンスを起動しましょう。

テストインスタンスで、移行後の環境で問題なくシステムが動作するか検証した後は、MGNコンソール画面から「カットオーバーインスタンスを起動」を選択し、本番用のカットオーバーインスタンスを起動させてください。MGNコンソール画面で「カットオーバーを最終処理」を選択すれば、レプリケーションサーバーが終了し移行完了となります。

簡単に説明しましたが、WindowsかLinuxかにより、移行手順は少々異なります。詳しい移行手順は公式ドキュメントを参考にし、インストールのための前提条件を確認したうえで実施してください。

2-2.AWS MGNの料金

AWS Application Migration Serviceは90日間(2,160時間)の無料期間があります。無料期間を過ぎても移行ソースサーバーのレプリケーションを続行している場合は、1時間ごとの従量課金制となります。

AWS MGNの使用 料金
サーバーレプリケーションの無料期間中コスト(連続使用で90日間) 無料
無料期間後の1時間あたりのコスト 0.042USD/サーバー
無料期間後の1ヶ月あたりのコスト 〜30USD/サーバー

※2023年9月時点の料金です。

サーバーの移行自体は無料期間中に完了できるケースが多いため、AWS Application Migration Serviceを無料で利用できますが、その後レプリケーションをアンインストールしなければコストがかかってしまうので、注意しましょう。

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3. AWS Database Migration Service(AWS DMS)とは

AWS Database Migration Service(AWS DMS)とは、リレーショナルデータベースやデータウェアハウス、NoSQLデータベース、その他のタイプのデータストアを移行できるようサポートするサービスです。同じ種類のデータベースエンジンに加え、異なる種類でのデータ移行にも対応している点や、移行元はNoSQLデータベースも利用可能な点が特徴です。

AWS Database Migration Serviceは、ソースとなるデータベースから接続定義し、レプリケーションを実行するインスタンスにてタスクを実行し、ターゲットの接続定義により移行する仕組みになっています。

3-1.AWS DMSの移行手順

AWS Database Migration Serviceでの移行手順は、以下のとおりです。

  • レプリケーションインスタンスを作成する
  • エンドポイントを作成する
  • 移行タスクを作成する
  • タスクの実行に問題なければ「ロード完了」が表示される

はじめに、レプリケーションインスタンスを作成しましょう。AWS DMSコンソールにアクセスし、「Replication instances」の「Create replication instances」ボタンから設定画面に入り、インスタンスの名前や説明、クラス、VPCなどを入力します。

次の手順はエンドポイントの作成です。「Endpoints」の「Create endpoint」ボタンから設定画面に入り、接続元と接続先のデータベースについて設定しましょう。

エンドポイントを作成した後はタスクの作成に入ります。「Tasks」の「Create task」ボタンをクリックして、タスクを作成してください。

タスク名や「レプリケーションインスタンスの作成」で決めたインスタンス名、「エンドポイント作成」で決めたエンドポイント名、マイグレーションタイプなどを入力し、タスク画面でステータスの監視に入ります。タスクの実行が開始されると、データベース移行の進捗状況を確認できるようになります。

「test-task」画面のメーターが100%になり、「ロード完了」が表示されれば移行完了です。

3-2.AWS DMSの料金

AWS DMSの料金は、レプリケーションインスタンスのタイプと稼働時間により異なります。インスタンスはデータベースの移行時のみではなく、継続的なデータレプリケーションに関してもサポートしているため、目的に応じて選択するとよいでしょう。

レプリケーションインスタンスのタイプには、テスト環境や定期的なレプリケーションに適したT2/T3、大規模なデータベースを移行する際に高パフォーマンスを実現するC4やC5、R4、R5があります。

すべてのインスタンスにはスワップ料金やレプリケーションログ、データキャッシュのログストレージが含まれていますが、追加料金を支払うことにより拡張も可能です。公式サイトでの計算ツールや見積もり作成依頼により詳細がわかるため、料金が気になる方はぜひ試してみてください。

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4. AWS Server Migration Service(AWS SMS)とは

AWS Server Migration Service(AWS SMS)とは、オンプレミスのVMwave vSphere、またはMicrosoft Hyper-V/SCVMM仮想マシンをAWSクラウドへ移行するのをサポートするエージェントレスサービスです。通常、すぐに運用開始できるサーバーを移行する際には大掛かりな準備が必要ですが、AWS Server Migration ServiceはAWSマネジメントコンソールを介しているため、数クリックで移行ができます。

AWS Server Migration Serviceは、Amazon EC2にデプロイする準備が済んだクラウドホスト型のAmazonマシンイメージとして、増えた分だけサーバーVMをレプリケートする仕組みです。

4-1.AWS SMSの移行手順

AWS Server Migration Serviceでの移行手順は、以下のとおりです。

  • IAMユーザーとIAMロールを作成する
  • AWS SMS Connectorをダウンロードする
  • OVFテンプレートを起動後、SMS Connectorを設定する
  • AWSコンソールでServer Migrationを確認する
  • レプリケーションジョブを作成し、実行する

はじめに、SMS Connectorで使用するIAMユーザーとIAMロールを作成します。「IAM」の「ユーザーの作成」からユーザー名やアクセス権限を設定し、ユーザーを作成しましょう。

IAMロールは、「IAM」の「ロール作成」、「AWSサービス」、「SMS」を選択して作成します。アクセス権限で「AWSServiceRoleForSMS」が設定されていることを確認し、作成してください。

IAMユーザーとIAMロールの作成が終わった後は、AWS SMS Connectorをダウンロードし、仮想マシンを作成します。インポートが完了したOVFテンプレートの電源をONにして起動し、SMS Connectorを設定しましょう。

SMS Connector設定が完了したら、AWSコンソールでServer Migrationの確認ができます。「Server Migration Service」から「コネクター」、「サーバーカタログのインポート」を実行すると仮想マシン一覧がサーバーに表示されるため、確認してみてください。

最後にレプリケーションジョブを作成し、実行します。移行したい仮想マシンにチェックを入れて「レプリケーションジョブの作成」をクリックし、ライセンスタイプやレプリケーションジョブ設定を指定、作成を実行すれば、ジョブが開始されます。

4-2.AWS SMSの料金

AWS Server Migration Serviceの利用料は無料です。しかし移行した仮想マシンの格納先としてS3を使用するため、S3の利用料がかかる点には留意しておきましょう。

Amazon S3は業界最高水準のオブジェクトストレージサービスで、さまざまなユースケースにおいてあらゆる量のデータを保存できます。S3には無料枠があり、比較的安価な料金で利用可能ですが、移行するサーバーの数や容量によっては高額となる可能性もあるため、注意が必要です。

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5.オンプレミスからクラウド移行するならぜひNTT東日本にご相談ください

多くの企業がクラウド化に踏み切る中で、今回紹介したAWSのMigration Serviceを利用してクラウドへ移行しようとする企業も多いでしょう。しかし実際にクラウド化をしようとしても、肝心な部分がわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。

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AWS の Migration Serviceについてまとめ

マイグレーションはシステムやデータを別環境へと移行することを指し、Amazonが提供するAWSにも3種類のMigration Serviceが存在します。今回はAWSのMigration Serviceである「AWS MGN」や「AWS DMS」「AWS SMS」の概要や移行手順、料金について解説しましたが、いざクラウド化に向けて動き出そうとしても、疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

クラウド化についてお困りごとやお悩みがあれば、ぜひNTT東日本にご相談ください。多くのクラウド化のご相談を受け、豊富な経験と実績を持つクラウド化のプロ集団が、お客さまのお悩みを解決します。

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  • Amazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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