COLUMN

ツールを内製することで、現場の課題を解決し、開発力の向上にも役立てる。Amazon Chime SDKを活用した、FARAT 開発インタビュー

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日々進化を続けるクラウド技術。活用できれば今よりも便利になると理解はできているものの、開発リソースや開発力の不足でなかなか着手できていない方は多いのではないでしょうか。

NTT東日本では、パブリッククラウドのサービスを活用したDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)を推進しており、さまざまな業務の改善の試みや開発人材の育成が日々行われています。

その一環として、Amazon Chime SDK(Amazon Chimeの開発基盤)を利用したDXを実施しており、チャット機能付き遠隔サポートツール「FARAT(エフエー・ラット)」を開発しました。

今回はFARATの開発に携わった社員に、開発までの流れや開発によって得られた成果について、お話を伺いました。

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1. チャット機能付き遠隔サポートツール「FARAT(エフエー・ラット)」の開発背景やきっかけ

1-1. 現場の故障修理者から寄せられた声「携行する端末を少しでも減らしたい」

弊社では、全国でおよそ5,000名の故障修理者が光回線や電話回線のメンテナンスや保守を担っています。作業現場では、ONU(光回線終端装置)やルーターなどの故障を確認するため、床下や天井を確認するなど、機動力や身軽さが求められています。そのため、「作業現場で携行する端末を、少しでも減らしたい」と故障修理者から要望が上がっており、それに応える形で今回のFARATの開発はスタートしました。

故障修理者は現場で作業する際、フィールドアシスタントシステムが使える端末を携行しています。そこには地図情報やお客さま情報が表示されているのですが、セキュリティの観点から通信制限がかかっているのです。

そのため、作業中の故障修理者が現場を管理するサービスセンターの統制者(オペレーター)に連絡する際には、また別の携帯電話や端末を携行する必要があります。統制者と故障修理者は、作業の完了報告や次の現場の情報共有、作業現場で発生したトラブルを相談するなど、密に連絡を取る必要があるのです。現場によっては、電話で確認しながら作業を進めなければならず、片手がずっと塞がっていたことも。

その他に、お客さまに作業完了のサインをいただくデバイスも別に必要でした。複数のデバイスを持ち歩くことで作業が非効率化するだけでなく、紛失リスクが高まることも悩みでした。(田口)

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1-2. チャット機能で正しくサポートし、そのサポート記録を残しておきたかった

サービスセンターの統制者側では、口頭のみのコミュニケーションで情報の伝達ミスが発生してしまうこと、コミュニケーションの記録が音声でしか残らないことが課題でした。たとえば、作業完了後に修理作業の手順が本当に正しかったのか、もっと効率的に修理できていたのではないかと振り返るとき、音声だとすぐに確認することができません。

記録に残るチャットと現場の修理箇所の写真、動画であれば、後からの振り返りも簡単ですし、第三者視点のチェックも簡単です。以前開発したリモートアシストツールにはチャット機能がないため、テキストの記録が残らないことが悩みでした。

日々の修理作業はとにかく件数が多く、影響範囲も広いこと、そして作業現場を改善することは間接的にお客さまの満足度にも影響するため、課題解決の効果がスケールすると判断し、新たにツールを開発することになりました。(田口)

2. Amazon Chime SDKを活用したFARATの開発

2-1. 映像共有で現場を支援するリモートアシストツールにグループチャット機能を追加

FARATは映像、音声、テキスト、静止画ができるコミュニケーションソフトウェアとして開発しています。ツール名は、「フィールドアシスト用のリモートアシストツール」の頭文字から取っています。

Amazon Chimeは、AWS(Amazon Seb service)が展開する、グループのビデオ・音声・チャットなどによるコミュニケーションを支援する統合ツールで、FARATの開発基盤にはAmazon Chime SDKを使用していることが特徴です。

回線や通信機器の点検工事を行なう際に、現場の故障修理者と統制者、現場によっては他の故障修理者が、ビデオチャットでリアルタイムに問題箇所の映像を共有し、現場に対して適切なアドバイスや支援を行える仕組みになっています。さらにグループチャット機能によって、双方向でテキストコミュニケーションや現場の写真を共有することが可能です。(中村)

2-2. 要件定義から1年で開発。Amazon Chime SDKのメッセージングを活用

開発にあたっては、他の開発業務と同時に進行し、人材育成を兼ねて開発経験のないメンバーも一緒に取り組んでいます。AWSの予備知識だけでなく、社内開発を経験することでより実践的な実績と知識が得られたと思います。(田口)

開発期間は、要件定義から起算しておよそ1年です。既存のリモートアシストツールをグループウェアとして使用できるように改修し、そこにチャット機能をプラスアルファするイメージで要件定義を進めました。

ちょうど2022年の6月ごろにリリースされた、Amazon Chime SDKのメッセージングという新しいチャット専用のサービスを活用し、3, 4か月ほどで構築しています。その後、長期的にはSaaS化して社外に販売する可能性も踏まえ、使い勝手のよいUIを目指してブラッシュアップし、2023年の8月にリリースできています。(中村)

2-3. 送られてきた映像に直接マーキングできるリアルタイムドローイング機能

FARATの特徴的な機能のひとつに、リアルタイムドローイング機能があります。現場から要望があって開発したもので、現場から送られてきた映像に対して、社内統制者がマウスを使ってマーキングをすると、そのマーキングが同期されて現場の故障修理者が確認できるという仕様になっています。

以前に開発したリモートアシストツールでは、マウスのカーソルだけは表示されていましたが、今回は図や文字が書けるようになったことで、伝えられる情報の幅が広がっています。

その他にも、Amazon Chimeの機能によって、1つの映像に最大25人から同時に書き込みができること、そして同時に25のカメラを映すことができる機能もあります。実際の現場では、1つの修理現場に複数の統制者が支援するケースもありますので、重宝しています。(中村)

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3. Amazon Chime SDKによる開発のメリット

3-1. 従量課金によるランニングコストの圧縮やカスタマイズ性が魅力

Amazon Chimeの料金体系は、利用時間1分ごとの従量課金となっているため、FARATはコストを最小限に押さえることができます。なお、似た機能を持つ他社のグループサービスのほとんどが、ライセンス単位の利用料がかかります。

Amazon Chime SDKはカスタマイズ性があるため、セキュリティの強化も可能です。今回の開発では、社内網にアクセスできる統制者側のパソコンから、現場の故障修理者にファイルを送れないように設定してほしいとの要望がありました。これが一般的なSaaSであれば、そこまでのカスタマイズができず、社内でルールを決めるしか対策がありませんが、Amazon Chime SDKで構築したFARATであれば、業務領域にあった仕様に調整することができます。

4. FARATリリース後の変化や成果

4-1. 社内のAWSノウハウを活用。現場からの声もスムーズに反映することができた

社内に蓄積されていたAWSのノウハウや実績によって、開発時に不測の事態が起きても柔軟に対応することができたり、社内で相談し合うことができたことは、私たち独自の強みかと思います。

また、故障修理者や統制者からの意見や要望を吸い上げやすいことも強みだと感じています。特に弊社の故障修理者は人数がとても多く、彼らからのフィードバックやご意見を反映するだけで大きくサービス内容を改善することができます。

4-2. 200名の故障修理者や統制者から反発はなし。リリースからすぐに現場で使用された

およそ200名の故障修理者や統制者へFARATの使用方法をオンラインで説明した際には、想定していた以上に質問や反発はありませんでした。丁寧なマニュアルを作成していたこと、そもそもFARATが長期的なSaaS化と社外への販売も視野に入れたUI開発を行っていたため、使いやすい画面の構成だったことがその要因でしょう。

1ヶ月前の2023年8月にしてリリースしたばかりなので、まだまだ現場の故障修理者からの感想や評価が上がりきっていませんが、導入後も特に不満や厳しいご意見も寄せられておらず、現場には受け入れていただいたものだと思っています。

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5. まとめ

5-1. 社内の育成や開発力向上のため、内製を続けていきたい

規模が大きい企業ほど、自社で開発をせずに外部へ委託するケースが増えていくと思いますし、実際、私たちNTT東日本に対して「開発は外部に委託しているのだろう」とイメージしている方も少なくないでしょう。今後もFARATのような自社開発を続けることで開発力を高め、どのような案件に対しても柔軟に対応できる体制を整えることで、そのイメージを改善していきたいですね。(田口)

クラウド技術は刻一刻と進化しています。机上や研修で学べることも、もちろん重要ですが、開発チームで悩みを共有し、試行錯誤しながら新しい課題に取り組んでいくことは、今後も続けていきたいです。(中村)

5-2. 社内で得られた知識やノウハウを広げていき、開発者の輪を広げていきたい

コンタクトセンター向けのクラウドプラットフォームであるAmazon Connectは、多くの企業のサービス開発に活用されていますが、Amazon Chimeはあまり活用実績を聞きません。私自身、この2年間はAmazon Chimeを活用してしっかり開発してきましたので、そこで得られた知識やノウハウをどんどん広げていきたいですね。そこから開発者同士の輪が広げていき、日本のDXに貢献していければと思います。(田口)

6. NTT東日本はクラウド活用を進めるお客さまを支援いたします

今回は、NTT東日本におけるAmazon Chime を活用したアプリ開発事例をご紹介しました。「Amazon Chimeを活用したことがない」「Amazon Chimeの活用したアプリの開発事例を知りたい」といった悩みを抱える開発に携わる皆さま、サービスセンターと現場作業者の遠隔コミュニケーションに課題を感じている皆さまの参考になれば幸いです。

NTT東日本にはFARAT開発案件以外にも、内製による多数のアプリ開発実績がございます。お客さまとの取り組みにおける開発に加え、内製による開発で社内の開発力、技術力を高めてまいりました。クラウド活用や開発に関するご相談、お問い合わせを随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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文中記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべて2023年9月時点(インタビュー時点)のものです。

Amazon Web Services(AWS)および記載するすべてのAmazonのサービス名は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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