COLUMN
コールセンターとは?業務内容・種類やメリット・デメリットを総解説
近年、コールセンターを設置している企業が増えています。それに伴い、「自社にコールセンターを設置して、顧客満足度の向上をはかりたい」「コールセンターを自社に設置すべきかどうか迷っている」といった悩みを持つ方も出てきました。
本記事では、コールセンターの業務内容、種類、メリット・デメリットを解説していきます。記事を読むことで、コールセンターがどのようなものかが理解できるでしょう。また、自社にコールセンターを設置すべきかどうかが判断できます。
コールセンターを活用し、事業を成長させていくための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
コールセンターの導入に関するご相談やお悩みはお気軽にNTT東日本までお問い合わせください。
目次:
- 1.コールセンターとは
- 1-1.コンタクトセンターとの違い
- 1-2.コールセンターの4つの設置形態
- 1-3.コールセンターの活用事例
- 2.コールセンターの業務内容
- 2-1.インバウンド(受信)の業務内容と種類
- 2-2.アウトバウンド(発信)の業務内容と種類
- 3.コールセンターを設置するメリット
- 3-1.他の業務中に電話対応をする負担がなくなる
- 3-2.顧客満足度を高めることができる
- 3-3.顧客の声を事業に活かすことができる
- 3-4.売上アップにつながる可能性がある
- 4.コールセンターを設置するデメリットと対策
- 4-1.ある程度の手間と費用がかかる
- 4-2.人材確保に苦労することがある
- 4-3.常に質の高い対応を求められる
- 4-4.電話だけでは問い合わせに対応しきれない場合もある
- 5.今すぐにコールセンターを設置する必要はないケースとは?
- 5-1.設置・運用に必要な資源を確保できない
- 5-2.現行の手段で顧客対応をまかなえている
- 5-3.設置の目的が明らかではない
- 6.コールセンターを設置するための4STEP
- 6-1.【STEP1】目的とゴールを設定する
- 6-2.【STEP2】現状を把握し課題を明確化する
- 6-3.【STEP3】プランニングを行う
- 6-4.【STEP4】構築・実装する
- 7.小規模のコールセンターを短期間で実現するなら「Amazon Connect」
- 7-1.Amazon Connectとは
- 7-2.Amazon Connectをおすすめする3つの理由
- 8.コールセンターについてまとめ
1.コールセンターとは
コールセンターとは、電話を用いて顧客対応を行う専門窓口のことをいいます。
日本コールセンター協会は、コールセンターを「顧客や消費者のインバウンドやアウトバウンドの電話応対を行う拠点・窓口のこと」と定義しています。インバウンドとは顧客から企業へのアプローチ、アウトバウンドとは企業から顧客へのアプローチのことです。
コールセンターでは、顧客からの問い合わせからクレームまでさまざまな内容に対応しています。また、取引先向けに電話でアプローチすることもコールセンターの役割です。コールセンターは、顧客・企業の双方にメリットがあるため、広く導入されています。
1-1.コンタクトセンターとの違い
コールセンターと似た言葉に「コンタクトセンター」があります。
コールセンターが電話応対のみであるのに対して、コンタクトセンターは電話に加えてメールやチャット・SNS・ホームページからの連絡など、複数の手段で顧客対応が可能です。このように、複数の通信経路を取り扱うことを、オム二チャネルと呼びます。
コンタクトセンターとコールセンターの違いは、オムニチャネルへの対応可否です。
オムニチャネルに対応できるものがコンタクトセンター、対応していないものがコールセンターです。近年では、問い合わせ方式の多様化により、メールなどにも対応したコンタクトセンターの形態をとる組織もあります。
コールセンターとコンタクトセンターの違いや、コンタクトセンターの役割については別記事「コンタクトセンターとコールセンターの違いは?重要な理由や課題の解決方法も解説」で詳しく解説しています。
1-2.コールセンターの4つの設置形態
コールセンターの設置形態には、拠点型、拠点常駐型(インハウス)、在宅型、ハイブリッド型の4つのタイプがあります。
1-2-1.拠点型
拠点型とは、コールセンター専用の拠点で業務を行う形態のことです。
拠点にコールセンターの機能を集約しているため、コールセンター内の情報共有がスムーズです。また、コールセンターの業務がワンストップで完結するため、業務の効率も上がります。
ただ、災害時や通信障害時には、機能が完全に止まる恐れがあります。拠点を複数に分散するなど、デメリットをカバーする対策が必要でしょう。
1-2-2.拠点常駐型(インハウス)
拠点常駐型とは、社内のオフィスにコールセンターを設け、組織を運営する形態のことです。
育成・研修などの業務も自社内で行うことで、自社の方針や意図する内容等がオペレーターに伝わりやすくなります。加えて、他の部署と連携がしやすく、顧客満足の向上に繋げやすいです。複数拠点にコールセンターを分散することで、災害時や通信障害時にも機能を止めずに対応できます。
1-2-3.在宅型
在宅型とは、オペレーターが自宅でコールセンター業務を行う形態のことです。
働きやすい環境になるため、オペレーターの人員確保や、離職率の低下も期待できます。また、災害や通信障害が発生した場合にも、他の地域のオペレーターが柔軟に対応できます。
一方、対面で業務をしないため、スタッフ間の意思疎通がとりにくくなる恐れがあります。マニュアルの整備や密な連携などの対策を講じる必要があるでしょう。
1-2-4.ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、拠点と在宅の両方でコールセンター業務を行う形態のことです。
問い合わせの電話はまず在宅で受け、専門的な回答が必要な場合は拠点にいるスタッフが対応します。状況に応じ、他部門と連携して回答するといった対応が可能です。
拠点型と在宅型の連携によって両方のメリットを得られるのがハイブリッド型です。
コールセンターの導入に関するご相談やお悩みはお気軽にNTT東日本までお問い合わせください。
1-3.コールセンターの活用事例
コールセンター活用の事例として、旅行業界大手の「株式会社JTB」が挙げられます。
株式会社JTBでは、外国人からの問い合わせ対応を、外国人旅行者が保有するクレジットカードや、保険に関する対応を主業務とする企業に委託していました。しかし、外国人の困りごとや要望に応対するための知見に乏しかったため、質の高いサービスが十分に提供できないという課題がありました。外国人旅行者からの要望や質問への対応だけでなく、JTBと提携するホテルや旅館などの宿泊施設とも適切にコミュニケーションをとる、両者の橋渡し的な機能を求められていたからです。
そこで、多言語対応が可能なコールセンターを設置したところ、顧客からの評価が向上しました。以前は『感謝』といった良い評価は10%程度でしたが、『良好』の評価が50%を超えるようになったのです。自社でコールセンターを有する重要性が明らかになりました。
2.コールセンターの業務内容
コールセンターの業務には、インバウンド(受信)とアウトバウンド(発信)の2つがあります。それぞれの業務内容を確認していきましょう。
2-1.インバウンド(受信)の業務内容と種類
コールセンターにおけるインバウンドとは、顧客からの電話を受ける業務のことです。顧客からの問い合わせ、申し込み・解約、サポート依頼、クレームなどに対応します。
インバウンドの業務内容には、テレフォンオペレーター、カスタマーサポート、テクニカルサポートがあります。
テレフォンオペレーター
テレフォンオペレーター(テレオペ)は、自社商品の購入手続きや、サービスの申し込みなど、問い合わせ全般に対応します。状況に応じて、担当部署のスタッフに電話を取り次ぐこともあります。コールセンターの規模によっては、カスタマーサポートやテクニカルサポートも業務に含む場合もあるでしょう。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは、問い合わせの回答や、担当部署への取り次ぎなどを行う、「お客さま窓口」のことです。商品やサービスに対しての不満や、困りごとを解決するだけでなく、クレーム対応も行います。顧客に対して適切な情報提供を行い、専門性が高い内容については担当部署へ取り次ぐことが求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、パソコンなどの電子機器や、ネットワークに関する不具合や接続方法といった、技術的な問い合わせに対応します。「ヘルプデスク」とも呼ばれています。問い合わせ内容の難易度によっては、対応から解決まで担うこともあります。マニュアルで対応しきれない問い合わせの場合は、専門の担当者に取り次ぎます。電子機器やネットワークに関する専門知識や技術が必要です。
2-2.アウトバウンド(発信)の業務内容と種類
コールセンターにおけるアウトバウンドとは、顧客に電話をかける業務を指します。見込み客へのセールス、顧客へのお知らせ、アンケートなどの対応をします。
主な業務内容として、テレフォンアポインター、テレマーケティング、インサイドセールスに分けられます。
テレフォンアポインター
テレフォンアポインター(テレアポ)は、顧客に電話をかけて、自社商品やサービスの紹介をします。パンフレットやサンプル商品などの送付案内や手続きを行ったり、商談のためのアポイントを取ったりします。営業としての役割が大きいです。
テレマーケティング
テレマーケティング(テレマ)は、過去に自社の商品やサービスを購入した顧客に電話をかけ、満足度や要望などをヒアリングします。商品やサービスの質の向上を目指し、商品開発に活かす目的があります。状況に応じて、購入を促したり関連商品を案内したりすることもあるでしょう。
インサイドセールス
インサイドセールスは、非対面コミュニケーションによる、内勤の営業活動を指します。顧客と電話やメールでコミュニケーションを取り、成約の可能性を高めるのが仕事です。また、既存顧客に対しても、次回購入や追加提案の可能性が高まるまで、営業担当者に代わって継続的にフォローしていきます。成約の可能性が高そうな顧客は、対面営業(フィールドセールス)に渡します。
コールセンターの業務内容や必要な役割、KPI例などについては、別記事「コールセンターの業務内容とは?行う業務の種類や担当役割、KPI例などを解説」で詳しく解説しています。
3.コールセンターを設置するメリット
コールセンターを設置する必要性が理解できたら、次にどのようなメリットが得られるのかを確認しておきましょう。自社にとってコールセンターを設置するメリットが大きければ、前向きに検討する意義があります。
コールセンターを設置するメリットには、以下のようなものがあります。
- 他の業務中に電話対応をする負担がなくなる
- 顧客満足度を高めることができる
- 顧客の声を事業に活かすことができる
- 売上アップにつながる可能性がある
以下、それぞれのメリットの詳細を解説します。
3-1.他の業務中に電話対応をする負担がなくなる
コールセンターを設置すれば、業務中の電話対応から解放されます。問い合わせ対応は全て、コールセンターに任せることができるからです。
顧客からの電話は直接コールセンターにつなげられるため、オペレーター以外のスタッフは自分の業務に集中できます。
現状、電話対応によって業務に支障が出ている場合には、コールセンターの設置によって本来の業務がスムーズに進むようになるでしょう。
3-2.顧客満足度を高めることができる
顧客満足度を高めることができるのも、コールセンターの大きなメリットです。
コールセンターを設置すると、顧客にとって「いつでも質の高い対応が受けられる」状況をつくることができるからです。
電話対応専門の窓口があることで、顧客と企業双方向でのコミュニケーションが可能になります。また、電話対応に特化したスタッフが適切に回答するため、顧客満足度の向上につながるでしょう。
自社のファンやリピーターを増やしたい場合にも、コールセンターは最適です。
3-3.顧客の声を事業に活かすことができる
コールセンターを設置すると、顧客の声を事業に活かすことが可能です。
コールセンターには、数・種類共に多くの顧客の声が集まるからです。顧客の声は、事業を成長させるためのヒントになります。
たとえば、顧客の声は以下のように活用できます。
- 商品の使い方についての問い合わせが多い⇒取扱説明書の内容をより詳しく修正する
- 購入者からよい評価が集まる商品がある⇒広告の露出を増やす・リピート割引を設ける
顧客の声を事業に反映させたい場合には、コールセンターを設置することで有益な情報が収集できるでしょう。
3-4.売上アップにつながる可能性がある
コールセンターの設置は、売上アップにつながる可能性があります。
コールセンターで質の高い対応を行うと、顧客満足度が高まり、「この企業から買いたい」と思う人が増えます。
また、コールセンターで収集した顧客の声に応じて、商品やサービスの内容をブラッシュアップしていけば、より売れやすくなるでしょう。
加えて、アウトバウンドである見込み客へのセールスが成功すれば、新たな顧客を開拓していくことも可能です。
コールセンターの導入に関するご相談やお悩みはお気軽にNTT東日本までお問い合わせください。
【コールセンターはコストセンターからプロフィットセンターへ】
これまでのコールセンターは利益を生み出さない「コストセンター」と位置付けられていました。
しかし近年では、売上アップにつながる役割を果たすことで、利益を生み出す「プロフィットセンター」へと進化していくことが求められています。
4.コールセンターを設置するデメリットと対策
自社にとって、コールセンターを設置するメリットよりも、デメリットが大きければ慎重に検討しなくてはなりません。ただ、デメリットがあっても、適切な対策を行えばカバーできるケースもあります。
コールセンターを設置するデメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
- ある程度の手間と費用がかかる
- 人材確保に苦労することがある
- 常に質の高い対応を求められる
- 電話だけでは問い合わせに対応しきれない場合もある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.ある程度の手間と費用がかかる
コールセンターを設置・運営するには、ある程度の手間と費用がかかります。また、拠点やシステムの構築・組織やマニュアルの整備などの業務が必要です。
手間と費用を投じるだけのメリットが得られるかどうか、よく検討することが大切でしょう。
手間と費用を抑えるための対策は、以下のとおりです。
- 最初にしっかりと組織編成し、業務マニュアルを整備する
- 設置は外部業者に委託する
- クラウド型のシステムを利用する
- システムや業者は複数比較検討し、サービス内容と費用のバランスがよいものを選ぶ
クラウド型のシステムは、一定のランニングコストを要するものの、機器の購入は不要です。アプリケーションの開発量も、自社内でシステムを構築するオンプレミス型に比べて少なく済むため、初期コストを圧縮できます。また、機器のメンテナンスはクラウドサービス提供事業者が行うため、必要ありません。
コンタクトセンターシステムに必要な機能や選び方については以下の記事で詳しく解説しています。
コンタクトセンターシステムに必要な機能とは?選び方のポイントも解説
4-2.人材確保に苦労することがある
人材確保に苦労することがある点も、コールセンターのデメリットです。
コールセンターのオペレーターは離職率が高い傾向にあり、常に必要な人数を揃えておくのが難しい場合があります。
また、人手不足の状況では新人オペレーターの教育が十分に行えず、質の高いサービスを提供できる人材がなかなか育たない状況もあり得ます。そのため、オペレーターの定着率を上げ、スムーズにスキルアップできる環境を整えることが必要です。
人材確保のための対策は以下のとおりです。
- 在宅勤務や採用条件の緩和によって雇用を確保する
- 自動応答システムを活用し、オペレーターの負担を軽減する
- オペレーター向けFAQシステムやトークスクリプト(対応シナリオ)を用いて自己学習を促進する
- オペレーターの対応内容をモニタリングし、管理者やベテランからアドバイスする
電話でのコミュニケーションやトークスクリプト、システムの使い方といった業務遂行に必要な研修内容を検討してみて下さい。同時に、マニュアルの活用、外部研修なども組み合わせることが大切です。
4-3.常に質の高い対応を求められる
常に質の高い対応をすることが求められるという大変さも、デメリットだといえるでしょう。
コールセンターを設置したものの、対応の質が低かったり、オペレーターによって当たり外れがあったりする状況では、顧客満足度は上がりません。たとえば、「問い合わせたのに疑問が解決されない」「複数回電話すると、オペレーターによって返答が異なる」といった状況になれば、顧客は不信感を抱いてしまいます。
そのため、コールセンターの組織全体で質の高い対応のためのノウハウを構築し、共有することで対応のばらつきをなくしていくことが必要です。
対応品質向上と均一化のための対策は以下のとおりです。
- トークスクリプト(対応シナリオ)機能を用いて、ベテランのノウハウを共有する
- 顧客情報を表示するシステムを活用し、過去の経緯を踏まえて対応できるようにする
- 入電分配機能を活用し、不慣れなオペレーターに入電が集中することを防ぐ
- オペレーターの対応をモニタリングして内容を分析し、改善策を検討する
コールセンターに電話をかけてくる顧客の中には、困りごとを上手に言葉で表せない人や、混乱しながら話す人もいます。そのため、相手に寄り添えるホスピタリティも求められるでしょう。
4-4.電話だけでは問い合わせに対応しきれない場合もある
電話だけでは問い合わせに対応しきれないことがあるという点も、デメリットのひとつです。
インターネットの普及によって、人々のコミュニケーション手段の主流は電話からメールやチャット・SNSへと変化してきています。そのため、問い合わせ対応の手段が電話に限定されるコールセンターでは、顧客のニーズに応えられない場合があるのです。
特に「顧客の年齢層が幅広い」「広告・販売経路の種類が多い」といったケースには注意が必要です。顧客の好むコミュニケーションや商品との接点のバリエーションが増えるため、電話以外の対応手段も準備しておく必要性が生じます。
対策としては、顧客対応の手段が電話のみでよいか否か、自社の事業の内容に照らしてよく検討することが有効でしょう。
コンタクトセンター運営のポイントやキーマンとなるスーパーバイザーの育成方法は以下の記事で詳しく解説しています。
5.今すぐにコールセンターを設置する必要はないケースとは?
コールセンターは顧客と企業をつなぐ窓口であり、顧客と良好な関係を築く上で重要な機能です。そのため、基本的には設置した方がよいでしょう。
ただし、今すぐに設置する必要はないというケースも存在します。
以下のようなケースでは、コールセンターを設置しても効果的な運営が難しいことがあります。
- 設置・運用に必要な資源を確保できない
- 現行の手段で顧客対応をまかなえている
- 設置の目的が明らかではない
それぞれの内容について、解説していきます。
5-1.設置・運用に必要な資源を確保できない
コールセンターの設置・運営に必要な資金や人材などを確保できない場合には、無理に設置しない方がよいでしょう。
安定した品質のサービスを提供するためには、一定のスキルをもった人材を必要数雇用することが欠かせません。これらの資源を確保し続けられないと、運営が立ち行かなくなってしまいます。まずは、資源をどのように調達するのか、よく検討しましょう。
5-2.現行の手段で顧客対応をまかなえている
現行の手段で顧客対応をまかなえているなら、コールセンターの必要性は薄いかもしれません。
たとえば以下のようなケースでは、コールセンターを設置しても顧客満足度やスタッフの負担はあまり変わらない可能性があります。
- 顧客からの問い合わせが1日に数件程度と少ない
- 顧客と担当者の関係が強固で、直接やりとりをすることが多い
- 電話対応の窓口となるスタッフがいる
- 個々のスタッフが電話対応をしても他の業務に支障がない
コールセンターの設置・運営にはある程度の手間とコストがかかります。それを投じてまで現行の顧客対応手段を改善する必要があるかどうかを考えてみましょう。
5-3.設置の目的が明らかではない
コールセンターを設置する目的が明らかではない場合にも、すぐには設置しないことをおすすめします。
なぜなら、設置の目的とゴールが不明確だと、コールセンターの適切な規模や機能を見出すことができないからです。適切な形態でコールセンターを設置できなければ、期待したほどの成果を得られなかったり、必要以上にコストがかさんだりします。
「何となくよさそうだから」等の理由で、よく検討しないまま設置するのは失敗につながります。自社にとってなぜ必要なのかということを明確にしましょう。
6.コールセンターを設置するための4STEP
本章では、コールセンターを設置するための手順を解説します。手順を確認し、この先何をすべきか、具体的にイメージしていきましょう。
コールセンターの設置は、以下の4STEPで進めます。
【STEP1】目的とゴールを設定する
【STEP2】現状を把握し課題を明確化する
【STEP3】プランニングを行う
【STEP4】構築・実装する
それぞれの内容について、解説していきます。
6-1.【STEP1】目的とゴールを設定する
まずは、コールセンターを設置する目的とめざすゴールを設定します。
目的とゴールが不明確なまま設置してしまうと、その時々の状況によって運営方針が揺らぎ、サービスの質やスタッフのモチベーションが低下する可能性があるからです。
たとえば「顧客満足度を上げる」「解約率を下げる」などの目的と、それを評価するための指標を明文化することが求められます。
明確化した目的とゴールをコールセンター運営にかかわるスタッフ全員に周知し、同じ方向を目指して業務にあたれるようにすることが大切です。
6-2.【STEP2】現状を把握し課題を明確化する
コールセンターを設置する目的とゴールが決まったら、達成するために何をすべきなのか、現状把握と課題の明確化を行います。
具体的には以下のような内容について、「現状どうなっているか」「解決すべき課題は何か」を検討します。
- 運用プロセス
- マネジメント
- 組織体制
- 人材育成・トレーニング体制
- システム環境
たとえば運用プロセスでは、コールセンターの運用に必要な業務を洗い出し、既存の資源では対応できない部分を明確にし、何をどのようにすれば遂行できるかを検討します。
6-3.【STEP3】プランニングを行う
コールセンターを設置するために何をすべきかが明確になったら、実際にどのようにアクションしていくかをプランニングします。
プランニングは、以下4つを考慮して行いましょう。コールセンター設置のために必要な要素を、抜け漏れなく挙げることができます。
- 業務プロセス
- 管理方法
- 組織
- 人材育成
たとえば業務プロセスでは、目標と評価指標の策定・運営ルールやマニュアルの整備など、コールセンターを運営する上で必要な業務の方法や体制を決めていきます。
6-4.【STEP4】構築・実装する
プランニングの次は、その内容に沿ってコールセンターの構築・実装を行います。
このSTEPは、一般的に以下のような流れで進めていきます。
①システム構築(機器や通信・ソフトウェアの導入・設定)
②業務運用構築(業務・管理マニュアルの作成)
③人材の採用・研修(スタッフの確保と教育)
ここまでの準備が整った段階で、入念なリハーサルを行って不備がないことを確認し、コールセンター業務が開始できます。
【コールセンターで活用されるシステム】
コールセンターでは、以下のようなシステムを活用することで、顧客対応の質を上げたり効率化を図ります。
- CTI(Computer Telephony Integration)
CTIとは、電話とコンピューターをつなぐシステムです。
電話番号と顧客情報を紐づけて受信と同時に表示できるため、前回の問い合わせ内容や取引履歴を把握した上で、スムーズにやりとりすることが可能になります。
- CRM(Customer Relationship Management)
CRMとは、顧客情報や対応履歴をデータとして蓄積し、部署間やオペレーター間で共有するシステムです。
オペレーターは顧客対応履歴を共有することで、対応の二重化や漏れを防ぐことができます。また、管理者は、CRMを参照して顧客ごとの対応状況をチェックできます。
- IVR(Interactive Voice Response)
IVRとは、音声による自動応答システムです。
自動音声で顧客に番号を選択してもらい、依頼を適切な窓口に振り分けることが可能です。オペレーター対応時間の短縮が期待できる、ピーク時には混雑メッセージを流せるといったメリットもあります。
- ACD(Automatic Call Distributor)
ACDとは、着信を自動分配するシステムです。
オペレーターの空き状況を監視し、手が空いているオペレーターへ優先的に着信を振り分けることで、顧客の待ち時間短縮やオペレーター業務量の平等化に寄与します。
7.小規模のコールセンターを短期間で実現するなら「Amazon Connect」
コールセンターについて理解した上で、設置したいとお考えの方には、「Amazon Connect」の利用をおすすめします。
この章では、Amazon Connectとは何かを解説し、おすすめの理由を紹介します。
7-1.Amazon Connectとは
「Amazon Connect」とは、AWS(アマゾンウェブサービス※)のクラウド型コールセンターサービスです。
クラウド型なので、一般的なコールセンターに必要な機能を短期間で手に入れることができます。もちろん特別な設備を用意する必要はありません。
Amazon Web Services(AWS)、Amazon Connectは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
7-2.Amazon Connectをおすすめする3つの理由
コールセンターの設置にAmazon Connectをおすすめする理由には、以下の3つがあります。
- 特別な設備や拠点が必要ない
- 短期間でコールセンターを設置できる
- 既存のシステムよりもコストを抑えられる可能性がある
それぞれ詳しく解説していきます。
7-2-1.特別な設備や拠点が必要ない
Amazon Connectをおすすめする一つめの理由は、設置するのに特別な設備や拠点が不要なことです。
Amazon Connectでは、以下の機器さえあればコールセンターを運用できます。
- インターネット環境
- ヘッドフォンとマイクがセットになったヘッドセット
- パソコン
従来のコールセンターのように、サーバーや電話・デスクスペースなどを用意する必要はありません。また、オペレーターが在宅勤務することも可能です。
7-2-2.短期間でコールセンターを設置できる
Amazon Connectをおすすめする二つめの理由は、短期間でコールセンターを構築できることです。
従来のコールセンターは、設置するためのスペースや人材の確保に加え、ハードウェア機器の設定やシステムの構築などさまざまな準備が必要でした。運用開始までに数ヶ月かかるケースもあります。
一方Amazon Connectでは、スペースやハードウェア機器といった物理的な準備が不要です。また、インターネット上でのシステム構築も簡単に行えるよう配慮されているため、運用開始までにかかる時間を短縮できます。
7-2-3.既存のシステムよりもコストを抑えられる可能性がある
Amazon Connectをおすすめする三つめの理由は、既存のシステムよりもコストを抑えられる可能性があることです。
従来のコールセンターシステムは定額制が多い一方で、Amazon Connectは従量課金制を採用しています。そのため、使った分しか費用が発生せず、常時同額の使用量を請求される場合と比較してコストを抑えられる可能性が高いのです。
【Amazon Connectの注意点】
Amazon Connectの利用にあたっては、「既存の電話番号を使用できない場合もある」点に注意が必要です。
8.コールセンターについてまとめ
コールセンターとは、電話を用いて顧客対応を行う窓口のことをいいます。
コールセンターの設置形態には拠点型、拠点常駐型(インハウス)、在宅型、ハイブリッド型の4つのタイプがあります。自社のリソースや運営目的によって、適した設置形態を選ぶことが大切です。
コールセンターは顧客と良好な関係を築く上で非常に重要な機能であるため、状況が許すのであれば基本的には設置するのがおすすめです。ただし、「顧客からの問い合わせが1日に数件しかない」といったケースでは、コールセンターを設置しても効果的な運営が難しいことがあるため、急いで設置する必要はないでしょう。また、コールセンターの設置にはメリットとデメリットの両面があるため、それぞれをよく理解した上で設置するかどうかを判断することが大切です。
コールセンターの設置は、顧客満足度を高め、売上アップを狙うための効果的な方法です。自社の状況を考慮し、必要ならば設置に向けて行動しましょう。
また、Amazon Connectの導入を検討しているものの、不安を感じている方はぜひNTT日本にご相談ください。
Amazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
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