COLUMN
TCOとは|計算方法・削減するポイントをわかりやすく解説
システム環境のコスト最適化や見直しを実施したい方、NTT東日本の無料オンライン相談窓口までお気軽にお問い合わせください。
TCOとは、企業がITシステムを導入する際に必要となる、ソフト・ハードの購入や維持管理にかかわるすべての費用の総額を指します。
TCOを明らかにする目的は、無駄なコストを削減し、企業の利益アップにつなげるためです。
いわゆる「初期費用」「ランニングコスト」の総額で、「目に見える、わかりやすい費用」だけでなく、運用やトラブル対応などの「日頃意識をしづらい、目には見えづらいランニングコスト」もすべて含めて、TCOは構成されています。
目に見えるコスト |
初期導入費用 |
---|---|
目に見えづらいコスト |
ランニングコスト |
ただし、TCOは自社の場合はどのくらいかかっているのかをまずは計算できるようにならないと、具体的に何を削れば、いくらのコスト削減になるのかを判断できません。
また、TCOを削減する際のポイントや注意点を知っておかないと、TCOを見直すタイミングをミスしたり、安易なコスト削減に走ってしまい、結局あまりコストを削減できないといったことが生じる可能性があります。
そこで、この記事では、以下の内容を解説します。
この記事を読むことで、TCOの基礎知識について理解できるだけでなく、TCOが計算できるようになり、どういう点に気をつけてTCO削減をすれば成功するのかを理解した上で、コスト削減を実施できるようになります。
目次:
- 1.TCO(Total Cost of Ownership)とは
- 1-1.TCOとは、ITシステムの購入・導入から管理維持にかかる費用の総額のこと
- 1-2.TCOが重要視される理由
- 2.TCOを削減する3つのメリット
- 2-1.コスト削減できる
- 2-2.安易なコスト削減を避けられる
- 2-3.企業の発展が期待できる
- 3.自社のTCOを算出する方法3ステップ
- 3-1.【ステップ①】初期導入コストを算出する
- 3-2.【ステップ②】運用管理コストを算出する
- 3-3.【ステップ③】機会損失コストを算出する
- 4.TCOのシミュレーション
- 5.TCOを削減する際のポイント2つ
- 5-1.将来的な変化を予測する
- 5-2.TCOを見直すタイミングは「システム導入時」「システムの入れ替え時」
- 6.TCO削減をする際は、安易なコスト削減はしないように注意する
- 7.大幅にTCOを削減するにはクラウド移行がおすすめ
- 8.クラウド移行でTCO削減をしたい場合はNTT東日本へご相談ください
- 8-1.予算内で最適かつ最高なクラウド環境のご提案・実現が可能
- 8-2.150社以上のクラウド導入実績に裏付けされた信頼できるサービス品質
- 9.まとめ
システム環境のコスト最適化や見直しを実施したい方、NTT東日本の無料オンライン相談窓口までお気軽にお問い合わせください。
1.TCO(Total Cost of Ownership)とは
まずは「TCO」とはどういうものなのかについて解説します。
1-1.TCOとは、ITシステムの購入・導入から管理維持にかかる費用の総額のこと
TCOとは「Total Cost of Ownership」の略称で、企業がITシステムを導入する際に必要となる、ソフト・ハードの購入や維持管理にかかわるすべての費用の総額を指します。
TCOを整理し削減することで、企業の利益アップに直接的につながる可能性が高くなります。
具体的に、TCOは「目に見えるコスト」「目に見えないコスト」の2つのタイプの費用で構成されています。
目に見える コスト |
初期導入 |
|
---|---|---|
目に見えづらい コスト |
ランニング |
|
このように、ITシステム導入時の「目に見える、わかりやすい費用」だけでなく、運用やトラブル対応などの「日頃意識をしづらい、目には見えづらいランニングコスト」もすべて含め、TCOは構成されています。
1-2.TCOが重要視される理由
それではなぜ、「TCO」が重要視されるようになったのでしょうか。
それは、従来よりも、初期導入費用に対するランニングコストの割合が増大し、コスト削減項目を検討するうえで無視できなくなってきたからです。
従来、企業では「ハードウェア導入費」と「ソフトウェア開発費」などの初期導入費用の比重が高い傾向にありました。
しかし最近では、
- ハードウェア価格の下落
- クラウドサービスの活用
- ERPパッケージ(※1)の活用
- OSS(※2)の活用
などによって初期導入費用の割合は下がる傾向にある一方、
- クラウドサービスの利用料
- 品質要求の高度化やセキュリティ要件の増加に伴う保守料
- サポート等の人件費の増加など運用中に係る費用
などが必要になるため、ランニングコストの割合が増加傾向にあるのです。
これでは、いくら初期導入費用の中でコスト削減を行っても、ランニングコストに変化がなければ大きなコスト削減効果は見込めないでしょう。
そこでコスト削減を行う際に、ランニングコストも削減対象に加える必要があるといわれるようになり、初期導入費用に加えてランニングコストを含めて計算する「TCO」という考え方が広まっています。
※1「ERPパッケージ」:各部門ごとに別々に構築されていたシステムを統合し、相互に参照・連携できるようにするもの。調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売・受発注管理、人事・給与、財務・会計などの機能が共通のシステム基盤のもとに提供されます。
※2「OSS」:作成者がソースコードを無償で公開していて、利用や改変、再配布が自由に許可されているソフトウェアのことです。
2.TCOを削減する3つのメリット
TCOを削減することによる、企業のメリットは以下の3つです。
2-1.コスト削減できる
1つめは「コスト削減できる」という点です。
TCOを削減することで、先にもお伝えしたとおり、以下のコストから自社にとって無駄なものを削減でき、コスト削減につながります。
目に見える コスト |
初期導入 |
|
---|---|---|
目に見えづらい コスト |
ランニング |
|
昨今ではITシステムの低価格化が進んだことで新システム導入のハードルが下がっているため、多くの企業がITシステムを取り入れています。月額や年額払いのサブスクリプションのソフトウェアも増えている一方で、使っていないのに1アカウント分、または1ユーザー分を古いパソコンが占有したりするなどの無駄コストが多いのも実情としてあります。
こうしたITシステムによる無駄なコストが多い状況であるからこそ、TCO削減を行えば、無駄なコストを削減できるのです。
2-2.安易なコスト削減を避けられる
2つめは「安易なコスト削減を避けられる」という点です。
TCOでは「目に見えやすいコスト」も「目に見えにくいコスト」も含めて、コスト全体を俯瞰して見ることができるため、「目に見えやすいコストを削る」といった、安易なコスト削減を避けられる可能性が高くなるのです。
たとえば、自社のITシステムのコスト削減を行う際、以下のようにTCOを算出すれば、普段は意識しづらいようなランニングコストも含めて可視化できるため、「本当は何が無駄なのか」を見つけやすくなります。
目に見える コスト |
初期導入 |
|
---|---|---|
目に見えづらい コスト |
ランニング |
|
TCO削減の視点を持つと、日頃、現行システムにおける機会損失コストを見るようになり、システム入れ替え時にも機会損失コストを意識するようになるため、何も考えずに中古システムを導入するなど、安易な目先のコスト削減に走りづらくなります。
一方で、TCO削減の視点がない場合、普段運用しているシステムの、機会損失を含めたランニングコストを意識しないため、システム入れ替え時に「中古のシステムを導入することで、安易に初期導入コストを抑える」といった安易な判断をしてしまうことがあります。
こうした場合、システムは中古であるがゆえにシステムトラブルが増え、
- トラブル復旧のためのランニングコスト
- トラブル時にシステムが利用できなくなることによる機会損失
が発生してしまいます。
そして結局、TCOの視点で見ると、余計にコストが増えてしまうばかりか、効率も落ちて機会損失につながってしまう可能性があります。
こうしたことから、TCOの算出を行って削減を行うことによって、安易にコストの削減項目を判断せず、「本当の無駄コスト」を削減でき、コスト削減の効果を最大化できる可能性があるのです。
2-3.企業の発展が期待できる
3つ目は「企業の発展が期待できる」という点です。
企業が長期的に発展するには、生産性を高め、付加価値の高いサービス・商品を生み出す必要があります。
その仕組み化という点で効率的な生産体制を整備することが重要になります。
最近では様々なITツールがあるので、長期的に何が必要で、不必要なのか見極めないといけません。
機器や設備のコストを正しく把握し、IT資産や生産設備を見極めることで、最小の投資で最大の成果を上げることができます。
その点でTCOへの理解を深めることで組織全体の生産性を向上させることができるのです。
さらに、将来を見据えた戦略的なIT投資や設備投資が可能になります。
TCOを理解することで得られるメリットが理解できたら、TCOを算出する方法へ進みます。
自社のTCOがどの程度なのか、見ていきましょう。
3.自社のTCOを算出する方法3ステップ
自社のTCOを算出できるようになることで、ITシステムにかかる費用項目を明らかにでき、コスト見直し・削減に活かすことができます。
そこで3章では「自社のTCOを算出する方法」を3ステップで解説します。
それではそれぞれのステップを確認しましょう。
3-1.【ステップ①】初期導入コストを算出する
ステップ①は「初期導入コストを算出」します。
具体的には、
- システム導入時にかかる費用項目
- 各項目にかかる費用
をそれぞれ明らかにし、何にいくらかかるのかを見える化しましょう。
ITシステムの導入には、おおよそ以下の費用項目があるため、参考にして初期導入コストを明確化することをおすすめします。
- システムを構成するハード・ソフトの購入費用
- プリンタなどの周辺機器の総購入費用
- サーバー導入費用
- システム企画時に必要となる人件費
- 設置工事にかかる費用
3-2.【ステップ②】運用管理コストを算出する
ステップ②では「運用管理コストを算出」します。
システム運用・管理の際にかかるコストの項目を明らかにし、それぞれいくらかかるのか、その金額を見える化しましょう。
たとえば、運用管理コストには以下のようなものがあります。
- サーバー管理の人件費
- 物理サーバーを置く設備費
- 操作方法の教育、サポートなどを行う人件費
- ソフトのバージョンアップやインストールにかかる費用
- データのバックアップにかかる設備費
- トラブル時の対応や復旧にかかる人件費
上記を参考にしながら、運用管理コストを算出しましょう。
3-3.【ステップ③】機会損失コストを算出する
ステップ③は「機会損失コストを算出」します。
機会損失コストは、実際にシステム障害(停止や誤作動)によって失った利益と生じた費用を計算します。さらには、障害が発生した原因の救命や被害の復旧、予防策に要した費用なども含めて算出しましょう。
たとえば、機会損失コストとして、以下のようなものが考えられます。
- システムダウンにより実際に発生した機会損失費用
- ウイルス・人為的ミスにより発生した機会損失費用
- システム復旧・原因究明のために発生した人件費
これらを参考にしながら、この1年間で生じた機会損失費用を算出してみましょう。
こうして3つのステップでTCOを算出し、「何にいくらかかっているのか」を明確にすることで、コストがかかりすぎている項目や、不必要な項目を削減することが可能です。
TCOを算出したあとに、コスト削減を行う際のポイントは「5.TCOを削減する際のポイント2つ」で解説しています。
4.TCOのシミュレーション
TCO算出の方法を3ステップで解説しましたが、より具体的にTCO算出のイメージが持てるよう、業務用に使用するスマートフォンの移行(切り替え)を例に、TCOのシミュレーションをご紹介します。
業務用スマートフォンの移行を行う際、過去1年間の切り替え前の業務用スマートフォンのTCOをシミュレーションすると下記のようになります。
初期導入コスト |
|
---|---|
運用管理コスト |
|
機会損失コスト |
|
機会損失コストは、システム障害や情報の改ざん、ウイルス感染や人為的ミスが実際に生じた場合に算出を行う項目です。過去1年間で生じた障害やミス、被害などを挙げた上で、それぞれの損害費用や復旧にいくらかかったのかを算出すると良いでしょう。
このように3つのコストに分けてTCOを項目化し、それぞれの金額を明らかにすれば、何にいくらかかっているのかを見える化でき、「削るべきコスト」を決定することができるでしょう。
システム環境のコスト最適化や見直しを実施したい方、NTT東日本の無料オンライン相談窓口までお気軽にお問い合わせください。
5.TCOを削減する際のポイント2つ
TCOを削減する際のポイントは、以下の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.将来的な変化を予測する
1つめのポイントは「将来的な変化を予測する」ということです。
TCOを削減するうえで将来的な変化を予測することで、自社にとって不要なITシステムを導入しないようにできる可能性が高くなるのです。
将来的な変化を予測することなくITシステムを導入した場合、導入後しばらくしてから、
「事業規模の拡大に柔軟に対応できるシステムではなかった」
「事業規模の拡大に対応できるキャパシティを持ち合わせていなかった」
といった事態になりかねません。
たとえばTCO削減において、以下のような失敗が発生しがちです。
- 今期の予算がなくなってきたため、初期費用を抑えるために「中古のパソコン」を購入した。しかし利用する社員から遅い、すぐに落ちるとクレームが入ってしまった
- 現状のサーバーは高スペックすぎたため、運用・維持コストがかかりすぎていた。そのため、少しスペックの低いサーバーに入れ替えたが、業務データの増加を計算しなかったため、1年後には容量が圧迫されてしまい、結局買い換えることになってしまった。
このような事態にならないよう、
- 従業員の増加
- データ量の肥大
- 拠点の追加
- 今後新しいシステムが発売されるのかどうか
- 今後も継続されるシステムなのかどうか
- 市場変化にシステムが対応できるのか
などの将来的に可能性のある変化を予測したうえで、ITシステムを削減したり、導入しないことを決定したりすると良いでしょう。
5-2.TCOを見直すタイミングは「システム導入時」「システムの入れ替え時」
2つめのポイントは「TCOを見直すタイミングは『システム導入時』『システムの入れ替え時』」ということです。
システム導入時は実際にコストが発生する前であるため、事前にTCOについて考えることで、システム導入から破棄に至るまでの無駄なコストを省き、コストを最適化した上で新しいシステムを導入できる可能性があるのです。新しくシステム導入を行う際には、すでに導入しているほかのシステムを参考にしてTCOを算出することで、参考TCOを算出できます。
またシステムの入れ替え時は、既存システムの無駄な「初期導入コスト」「運用管理コスト」や、「本来であれば支払う必要のなかった機会損失コスト」を算出したうえで入れ替えが行えるため、削減するべきコストが見えやすく、TCOのベストな見直しタイミングといえるでしょう。
これまで利用していたシステムの「初期導入コスト」「運用管理コスト」「機会損失コスト」を算出し、TCO削減を行うようにしましょう。
機会損失コストに関しては、実際に機会損失コストを起こしたTCOの削減を
具体的なTCO削減方法としては、たとえば以下の方法があります。
固定電話やインターネットなどの通信費 |
|
---|---|
IT機器のライセンスのサブスクリプションにかかる費用 |
|
リース契約にかかる費用 |
|
サーバー運用にかかる費用 |
|
TCOの見直しはベストタイミングで行い、TCO削減を行いましょう。
6.TCO削減をする際は、安易なコスト削減はしないように注意する
TCOの削減を考えるには、安易なコスト削減ばかりを追い求めないように注意しましょう。
安易なコスト削減は、業務効率が悪く、ランニングコストや機会損失コストが多く発生するようなシステム導入につながる危険性があるのです。
たとえば「初期導入コスト」を抑えるために中古のシステムを導入した場合です。
中古であるがゆえに、システムトラブルが増えれば、システム管理者の負担は増えるばかりか、
- トラブル復旧のためのランニングコスト
- トラブル時にシステムが利用できなくなることによる機会損失
が発生し、結局、TCOの視点で見ると、余計にコストが増えてしまうばかりか、効率も落ちて機会損失につながってしまう可能性があります。
TCOの削減を考える際は、目に見えやすい「初期導入コスト」を削るといった安易なコスト削減ではなく、TCO全体を俯瞰してコスト削減を行うことで、システム導入によって得られる効果の最大化を目指すことが重要です。
7.大幅にTCOを削減するにはクラウド移行がおすすめ
クラウド移行を行うと、大幅にTCOを削減できるためおすすめです。
というのも、クラウド移行によって、サーバー・周辺機器の購入費用やシステム構築などの初期費用(設備投資)を抑えられる可能性があります。
サーバーを稼働させるための維持費、運用・監視する人件費も減らせるので、結果的に維持コストを抑えられる可能性もあります。
また、クラウドサービスの多くは従量課金制であり、利用量に応じて費用が発生するため、必要以上に経費がかからない傾向にあります。
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9.まとめ
本記事ではTCOの基礎知識やメリット、算出方法やシミュレーションを解説しました。
ここで改めてこの記事の内容をおさらいしましょう。
◆TCOとは、ITシステムの購入・導入から管理維持にかかる費用の総額のこと
◆TCOを削減する3つのメリット
- コスト削減できる
- 安易なコスト削減を避けられる
- 企業の発展が期待できる
◆自社のTCOを算出する方法3ステップ
- 【ステップ①】初期導入コストを算出する
- 【ステップ②】運用管理コストを算出する
- 【ステップ③】機会損失コストを算出する
◆TCOのシミュレーション
初期導入コスト |
|
---|---|
運用管理コスト |
|
機会損失コスト |
|
◆TCOを削減する際のポイント2つ
- 将来的な変化を予測する
- TCOを見直すタイミングは「システム導入時」「システムの入れ替え時」
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