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ビッグデータとは?基礎知識やどう活用されるかを分かりやすく解説

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ビッグデータとは、簡単に言うと「日々生成される多種多様なデータ群」のことです。

その明確な定義は定まっていませんが、例えば交通系ICカードに記録される乗車履歴やGPSから得られる位置情報、メールの内容、SNSの投稿やコメントといったデータが大量に蓄積されたものをビッグデータと呼ぶことができます。

こうしたビッグデータを分析し、そこから得られた知見をビジネスにおける意思決定に活かすケースが増えてきています

あなたの会社でも、こうしたビッグデータを活用していこうとする動きがあるのではないでしょうか?

ただ、これまでにビッグデータを活用した経験が無い場合、

「そもそもビッグデータとはどういったものなのだろう?」

「本当にビジネスに役立つのだろうか?」

と、半信半疑の状態でいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、ビッグデータはきちんと使えばビジネスに非常に役立つものです。

そのことに納得して、あなたの会社でもうまくビッグデータを活用していけるように、この記事では以下のことを説明します。

本記事の内容

  • ビッグデータの概要・活用意義などの基礎知識
  • ビッグデータの活用事例
  • ビッグデータを活用するメリット
  • ビッグデータを活用する際に課題となること
  • ビッグデータを利活用して効果を得るためのポイント

ビッグデータの概要や、ビジネスにどう役立てるべきかが分かり、ビッグデータ活用に向けて一歩踏み出せるような内容となっています。

早速読み進めていきましょう。

目次:

1. ビッグデータとは
1-1. ビッグデータが持つ特徴
1-2. ビッグデータを構成する2タイプのデータ
1-3. ビッグデータの例
2. ビッグデータが普及した背景
2-1. データ量の爆発的な増加
2-2. テクノロジーの発展
3. ビッグデータを活用する意義
3-1. そもそもデータを活用するのは当たり前のこと
3-2. ビッグデータからはより充実した知見が得られる
4. ビッグデータの活用は企業の将来にとって重要なこと
5. ビッグデータの活用事例
5-1. 観光地の食堂で来客予測を実現
5-2. 自動販売機利用時の消費者行動を把握
5-3. 通行人の入店率やディスプレイ視聴率を算出
5-4. 製造現場のボトルネックを究明
6. ビッグデータを活用するメリット
6-1. 将来の状況を精緻に予測できる
6-2. 通常では難しい現状把握が可能になる
6-3. 意思決定の質が向上する
7. ビッグデータを活用する際の課題
7-1. プライバシーを侵害する恐れがある
7-2. ビッグデータに関するスキル不足
7-3. うまく効果が出ない場合もある
8. ビッグデータで効果を得るためのポイント
8-1. ビッグデータの活用目的を明確にする
8-2. 短期的に効果を得ようとしない
8-3. ビッグデータに知見のある企業の力を借りる
9. ビッグデータの活用を始めるならNTT東日本へご相談ください
9-1. データサイエンティスト×クラウドのプロによるワンストップサポート
9-2. ビッグデータの活用に欠かせないクラウドサービスの利用をスムーズに
10. まとめ

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1. ビッグデータとは

冒頭でもお伝えした通り、ビッグデータとは「日々生成される多種多様なデータ群」のことを言います。

とはいえ、これだけではビッグデータがどのようなものかイメージしづらいですよね。

そこでここでは、以下についてお話ししていきます。

    • ビッグデータが持つ特徴
    • ビッグデータを構成する2タイプのデータ
    • ビッグデータの例

まずはビッグデータがどういったものなのか、その概要をしっかりと掴んでいきましょう。

1-1. ビッグデータが持つ特徴

「ビッグデータ」という言葉から、その特徴としてなんとなく膨大さや容量の大きさが思い浮かぶのではないでしょうか?

たしかにそれも間違っていませんが、一般的にビッグデータには以下のような3つの特徴があると言われています。

ビッグデータの3つの特徴

Volume(量)

  • 膨大な容量を持つ。
  • (目安:数テラバイト〜数ペタバイト)

Variety(種類)

  • 列と行によって表現されるデータだけでなく、テキスト、音声、画像、動画、位置情報など多様な種類がある。

Velocity(速度)

  • 発生速度や頻度が高く、その処理にもスピードが求められる。

こうした特徴は、その頭文字を取って「3つのV」と呼ばれています。

この3つのVの特徴の全て、あるいはいずれかを持つデータ群のことをビッグデータと言い、多量さだけがその特徴というわけではないのです。

出典:ガートナーの用語集ービッグデータ(Gartner,Inc.)

1-2. ビッグデータを構成する2タイプのデータ

ビッグデータは、一定の形式や構造を持っているかどうかで次の2タイプに分類することができます。

構造化データ

  • 行と列を持つ二次元の表形式になっているデータ。
  • あるいは、一見して表形式に変換できることがわかるデータ。
  • 表計算ソフトなどで扱うことができ、集計や分析が行いやすい。

非構造化データ

  • データに規則性がなく、表形式に変換することが困難なデータ。
  • テキストのみならず、音声や画像、動画といった多様な形式のデータが含まれる。
  • そのままの形では、集計・解析することが難しい。

このようにビッグデータは、私たちが従来より扱ってきた表形式に変換できる構造化データである場合もあれば、規則性を見出すことのできない集計には不向きな非構造化データである場合もあります

では、この構造化データや非構造化データに分類されるビッグデータには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。続けてご紹介しますね。

1-3. ビッグデータの例

ここからは、実際のビッグデータの例を、構造化データ・非構造化データそれぞれでいくつかご紹介します。

まずはビッグデータのうち、構造化データに分類されるものの例を見てみましょう。

ビッグデータの例(構造化データ)

  • コンビニやスーパーなどのPOSデータ(販売情報)
  • 顧客データ(氏名・住所・クレジットカード情報・その他属性など)
  • 日別の在庫データ
  • 各種統計データ

こうした構造化されたビッグデータは、一定の表形式でまとまっているため分析しやすく、ビッグデータの中でも利活用のハードルは低いと言えるでしょう。

次にビッグデータの中でも非構造化データに分類されるデータの例をご紹介します。

ビッグデータの例(非構造化データ)

  • 商品やサービスについてのWeb/SNS上のレビュー
  • 監視カメラの動画データ
  • GPSなどで収集される位置情報
  • デザインデータ
  • 機器や設備に搭載されたセンサーから得られる情報
  • 企画書・見積書などの文書データ

このようなデータが、構造化されていないビッグデータの一例です。

そのままの状態では一定の形式を持たないため、ビッグデータの中でも分析のハードルは高いですが、その多様性から利活用の幅はかなり広いと言えます。

2. ビッグデータが普及した背景

例に挙げたようなビッグデータの活用が注目され始めたのは2010年代の初頭ごろからです。

しかし、企画書や見積書といった文書データやデザインデータ、監視カメラの動画データはそれまでにも存在はしていたはずですよね。

ではなぜ、2010年代になってその活用が普及し始めたのでしょうか?

それには、

    • データ量の爆発的な増加
    • テクノロジーの発展

といった2つの背景が大きく関わってきます。

順番にお話ししますね。

2-1. データ量の爆発的な増加

ビッグデータの活用が普及し始めた背景の一つに、世界中で扱われるデータ量の爆発的な増加が挙げられます。

実は、ビッグデータが注目され始めた時期の前後には、データ量の増加に繋がる大きな変化がいくつかあるのです。

例えば2000年代後半にはスマートフォンの発売が開始され、普及していくと共にFacebook、TwitterといったSNSの活用(=テキストや画像データの投稿)も盛んになっていきました。

さらに、2010年代の前半には画像や動画といったデータを従来よりスムーズに閲覧・アップロードすることができるようになり、画像・動画コンテンツも増加の一途をたどります。

こうした情報通信端末やSNSの普及も影響して、全世界で扱われるデジタルデータの量は年々増え続け、2025年には175ZB(175兆GB)に達するとも予測されています。

出典: Intel ArchitectureDay2020プレゼンテーションスライド を元に作成

このような膨張し続けるデータを有意義に活用することこそが「ビッグデータの利活用」であり、データ量の飛躍的な増加はビッグデータ普及の一端を担ったと言えるでしょう。

2-2. テクノロジーの発展

データを収集・蓄積・分析するための技術の発展も、ビッグデータが活用されるようになった背景の一つです。

先ほどデジタルデータの増加についてお話ししましたが、そのような膨大な量のデータを管理し分析するためにはそれ相応のコンピューターやシステムが必要となります。データを蓄積するためのストレージも同様です。

こうした課題を克服し、一般企業でビッグデータを活用するための土台を作ったのが次のようなテクノロジーの進歩でした。

    • インターネットやIoTの発展
    • クラウドサービスの普及
    • データの分散管理技術の確立
    • ビッグデータを活かしたツールの進展

こういった技術の発展や進歩が、ビッグデータの収集・蓄積・分析の技術的、金銭的ハードルを下げることになったのです。

つまり、ビッグデータを活用するための技術が確立したことが、ビジネスにビッグデータを役立てる風潮を拡大させたと言えるでしょう。

3. ビッグデータを活用する意義

ここまでで、ビッグデータの概要と普及した背景についてご紹介しました。

しかしこれだけでは、

「なぜビッグデータをビジネスに活かすのか?」

といったところは見えてきませんよね。

そこでここでは、ビッグデータを活用する意義についてお話ししていきたいと思います。

3-1. そもそもデータを活用するのは当たり前のこと

ビッグデータを活用していなくても、ほとんどの企業においてデータは欠かせないものであるはずです。

あなたの会社でも、例えば次のような方法でデータを活用しているのではありませんか?

    • 過去の売り上げデータから発注数・生産数を決定する
    • アンケート結果を集計し、新商品や新サービスの開発に活かす
    • 過去の受注額や顧客に関するデータをもとに営業計画を立案する
    • 財務データから課題を探り、経営改善につなげる
    • Webサイトのアクセスログをもとにコンテンツなどの改修・更新を実施する

このように、データを分析して、そこから把握できた知見や傾向を意思決定の根拠とするのは特別なことではありませんよね。どんな企業でも行っている当たり前のことであり、データを活用する意義や重要性は広く理解されているはずです。

そしてビッグデータも、データの一種であることには変わりません。

つまりビッグデータの活用というのは、私たちが当たり前に行っている一般的なデータ活用の延長線上にあるもので、意思決定の根拠となる知見を得るために行うことなのです。

そう考えると、ビッグデータを活用することへの疑問はかなり解消されるのではありませんか?

3-2. ビッグデータからはより充実した知見が得られる

従来から扱ってきた一般的なデータに比べて、より充実した知見・発見が得られることにもビッグデータを活用する意義があります

ビッグデータには、数値やテキストを表形式に変換する構造化データの他、画像や動画、音声といった非構造化データもあることはお伝えしましたよね。

特にこの非構造化データには多種多様なものがあり、その分データから得られる知見も幅広いのです。

その例として次のようなことが挙げられます。

      • 産業用の機器に取り付けたセンサーで観測される振動や動作音をデータ化し分析することで、機器故障の予兆を捉える


      • カーナビの走行データを収集し分析することで、事故が起こりやすそうなエリアを特定する


      • SNSの投稿から得られる位置情報や投稿内容(画像・テキスト)を蓄積し分析することで、観光客の行動パターンを把握する

このように、ビッグデータからは通常のデータからでは得られないような知見や発見も得られます

そしてそれらは、これまでとは違う観点の、課題解決の糸口や新たなビジネス創出のヒントとなり得るのです。

4. ビッグデータの活用は企業の将来にとって重要なこと

なぜビジネスにビッグデータを活用するのか、という点についてはご理解いただけたでしょうか?

ただ、日本国内ではビッグデータの活用はまだまだ浸透しているとは言えず、あなたの会社内でも現実味のある計画を策定するには至っていないかもしれませんね。

では、世界ではビッグデータはどのようにみなされているのでしょうか?

MarketsandMarkets社による市場調査レポートによれば、世界における2021年のビッグデータの市場規模は1,626億米ドルに及び、さらに今後も年平均成長率11.0%で成長し続け、2026年には2,734億米ドルに達すると予測されています

これはつまり、世界でビッグデータの活用が一層普及していくことの表れと言えるはずです。

日本だけがこうした流れに逆行することは考えづらく、今後国内でも徐々にビッグデータの活用が一般的になっていくでしょう。

そうなれば、ビッグデータを用いない企業は、ビッグデータの利活用を行っている競合他社に遅れをとってしまいかねません

そのような事態を回避し、他社より優位に自社を成長させていくためには、できるだけ早くビッグデータの利活用について検討するべきです。

その第一歩を踏み出せるように、ここからはビッグデータの活用事例やメリットなど、より実用的な部分をお伝えしていきますね。

5. ビッグデータの活用事例

では早速、ビッグデータの実際の活用事例を見てみましょう。

各企業がどのような目的を持ち、それを達成するためにどのようにビッグデータを活用したのかという点に着目してみてくださいね。

5-1. 観光地の食堂で来客予測を実現

毎年多くの観光客が訪れる伊勢神宮近くのある食堂では、ビッグデータを分析することで来客者の人数や属性を高い精度で予測できるようになりました。

以前のこの食堂の経営体制は、従業員の経験や勘に頼ったものでした。長年の経験に基づいて来客者数を予測し、食材の発注や従業員のシフト作成を行っていたのです。

しかしこの体制では、どうしても食材ロスや従業員の過剰配置といったムダが発生してしまいます。これを解決するため、同食堂では以下のようなビッグデータの活用に踏み切りました。

目的

  • 食材ロスや非効率な従業員の配置を解消
  • そのために従業員の勘に頼った経営体制を刷新

活用した

ビッグデータ

  • 気象データや周辺ホテルの宿泊予測データなど200種超のオープンデータ
    ※オープンデータ…二次利用できるように公開されているデータ
  • レビューサイトのアクセス数や直近の来客数などの自社保有データ

分析結果

  • 来客の属性や人数を95%の精度で予測できるようになった

成果

    • 食材ロスを削減
      廃棄ロスは72.8%の削減を達成)
    • 効率的な人員配置が可能に
      従業員一人当たりの売上高が約3倍になった)

このように精度の高い来客予測が実現したことで、過不足の無い食材発注や、効率良く食堂を運用するための人員配置が可能となったのです。

こうしたムダの削減が、経営にとってプラスであることは言うまでもありませんよね。

出典:公益社団法人 関西経済連合会

5-2. 自動販売機利用時の消費者行動を把握

コーヒーを主力商品とする飲料メーカーでは、自動販売機の商品配置をビッグデータに基づいて実施しました。

従来、「自動販売機を利用する際、ユーザーは左上からZを描くように視線を動かす」というのが定説であり、主力製品は左上に配置するのが一般的でした。

しかしビッグデータを収集・分析したところ、実際はユーザーが一番下の段から商品を眺めていることが分かり、この飲料メーカーでは主力商品を左下に配置することにしたのです。

目的

  • 自動販売機での効果的な商品配置
  • そのために自動販売機利用時のユーザー行動を把握

活用した

ビッグデータ

    • 自動販売機を利用する被験者のアイトラッキング・データ
      ※アイトラッキング・データ…視線の動きをデータ化したもの
    • 従来より行っていた消費者アンケートの回答データ

分析結果

  • 自動販売機を利用する際にユーザーがどのエリアを重点的に見ているかが分かった

成果

  • 視線が集まりやすいエリアに主力商品を配置し、売り上げが増加

「自動販売機前での視線の動き」という消費者行動を把握できたことで、効果的な商品配置が可能となり、結果的に主力商品の売り上げ増加につながったのです。

こうしたビッグデータの活用方法は自動販売機に限らず、店舗での商品陳列などにも応用できそうですよね。

出典:総務省

5-3. 通行人の入店率やディスプレイ視聴率を算出

洋服や植物も扱う雑貨店の運営会社では、店舗に設置した解析カメラのデータを活用し、店舗前を通行する人の入店率やディスプレイ視聴率を算出しました。

また、そこにPOSデータを掛け合わせて分析することで、入店率・視聴率と売り上げ金額に相関性があることも分かりました。

この結果を受けて、入店率・視聴率を向上させるために試行錯誤を繰り返したところ、なんと売り上げが倍増した店舗もあったというのです。

目的

  • 売り上げ向上
  • そのためのディスプレイ・商品陳列の改善

活用した

ビッグデータ

  • 動いている物体を検知するカメラが取得したデータ
  • POSデータ(販売情報)

分析結果

  • 入店率、ディスプレイの視聴率が算出できるようになった
  • 売り上げ金額と入店率、視聴率の相関性を把握できた

成果

  • 視聴率・入店率の向上に努めることで売り上げが倍増

こちらの事例は、先に紹介した自動販売機の商品配置におけるビッグデータ活用とも共通するところがありますよね。

両者の事例から分かるように、商品販売においては消費者行動を把握することが非常に重要であり、そのためにビッグデータは大変役立つのです。

出典:日経クロストレンド

5-4. 製造現場のボトルネックを究明

輸送用機器の部品製造会社では、自社の工作機械から得られたさまざまなデータを分析することで、生産性の妨げとなる原因を突き止めることに成功しました。

ボトルネックが判明したことでそれに応じた改善策を講じることができ、結果的に自社内の工作機械の稼働率が従来の2倍になったのです。

目的

  • 製造効率の向上(工作機械の稼働率向上)
  • そのために生産性の妨げとなる要因を突き止める

活用した

ビッグデータ

  • 工作機械の稼働箇所、稼働状況、稼働履歴、稼働率
    (工作機械と市販のシステムを繋ぐことでデータ収集)

分析結果

  • 工具を探す時間や従来の作業員の配置が生産性の妨げとなっていることが分かった

成果

    • 工具の整理、作業員の配置変更を実施することで自社内の工作機械の稼働率が2倍になる(売り上げも1.8倍に増加)

このようにビッグデータは、製造の現場でも大いに活用することができるのです。

出典:公益社団法人 関西経済連合会

6. ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータの活用事例を見ていただいたことで、そのメリットもなんとなく見えてきたのではないでしょうか。

ここで改めて整理してみると、以下の3点がビッグデータの活用メリットであると言えるはずです。

    • 将来の状況を精緻に予測できる
    • 通常では難しい現状把握が可能になる
    • 意思決定の質が向上する

一つずつ説明していきますね。

6-1. 将来の状況を精緻に予測できる

ビッグデータを分析することで、将来の状況を従来より正確に予測できるようになります。

こうした利点から、ビッグデータは来客予測や商品の需要予測に役立てられることが多いのです。

例えば先ほど紹介した食堂の事例のように、Webサイトのアクセスログや過去の来客者数といった自社保有のデータと、政府/地方公共団体が一般に公開している気象データや宿泊(人流)予測データなどを組み合わせて分析すれば、来客者数やその属性を予測することができます。

小売店においても、過去の商品別売り上げデータや気象データ、イベント・休日を反映させたカレンダーデータなどを分析することで、各商品の需要予測が可能になります。

このように、将来の状況が予測できると、その状況に見合ったリソース配分が可能になるのでムダを削減できるのです。

ムダな在庫を抱えないことや不必要な人件費を支払わなくて済むことは、営業利益の向上にも繋がってきます

このことから、「将来の状況予測を可能にする」というメリットが企業にとって重要なものであることがお分かりですね。

6-2. 通常では難しい現状把握が可能になる

ビッグデータを分析することで、現状についても明確に把握できるようになります。

例えば、通常では正確に把握することが難しい次のような状況を知ることができるのです。

    • 商品を購入するまでの顧客の行動
    • →どこに注目しているか、どういう経路でお店に来ているか など


    • 市場の動向
    • →何が人気なのか、何に需要があるのか、自社製品・サービスがどう捉えられているか など


    • 産業用機器の状態
    • →どこにどのような不調を抱えているか、故障の予兆があるか など


    • 製造現場の状態
    • →生産性に悪影響を及ぼすものは何か、安全な作業を行っているか など

こうした現状把握が可能となることで、それに基づいた対応や改善策を取ることができるようになります。

それは結果的に、

    • 売り上げや生産性の向上
    • 効果的な保守対応
    • 商品の開発や改善

といったことに繋がり、企業にとって大きなプラスとなるはずです。

6-3. 意思決定の質が向上する

ビッグデータをビジネスに活用すれば、意思決定の質が飛躍的に高まると言えます。

ここまででご紹介した通り、ビッグデータを分析することで将来や現在の状況を把握できるようになり、それに基づいた意思決定が可能となるからです。

ビッグデータを活用していない場合、将来の予測や現状把握を従業員の勘や経験に頼る場合も多いはずです。それを根拠にした意思決定というのは、客観的かつ正確なものとは言い切れないですよね。

つまり、質としては高いとは言い難いのです。

一方でビッグデータから得られた将来や現在の状況に関する洞察というのは、あくまで客観的なデータから得られたものです。それに基づいた意思決定も、自ずと客観的で正確なものになるでしょう。

ビッグデータを活用することによって、そのような勘や経験に依存しない質の高い意思決定が可能となるのです。

7. ビッグデータを活用する際の課題

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ビッグデータを活用するメリットについてご紹介しましたが、一方で利活用に際して課題となる点があることも事実です。

それが以下の3つです。

    • プライバシーを侵害する恐れがある
    • ビッグデータに関するスキル不足
    • うまく効果が出ない場合もある

一つずつ詳しく見ていきましょう。

7-1. プライバシーを侵害する恐れがある

ビッグデータは、その多様性が特徴の一つであるため、データによっては、あるいは活用方法によってはプライバシーの侵害に繋がる恐れがあります

また複数の種類のビッグデータを組み合わせて利用することで、個人を特定できてしまう可能性もあるでしょう。

そのため、プライバシーに留意しながらデータを慎重に取り扱う必要があります

例えば、来客者の属性データをカメラを用いて収集するなら、必要な属性についてのデータだけを残し、映像自体はデータとして残さないなどの工夫が有効です。

また情報セキュリティ対策をしっかりと行い、ビッグデータを厳重に管理することも大切です。

どこからがプライバシーの侵害となり、それを回避するためにどういった対応が必要となるかは、ビッグデータに知見のある企業に相談し慎重に検討するようにしてくださいね。

7-2. ビッグデータに関するスキル不足

ビッグデータを適切に活用するためのスキルを持ち合わせていないという企業も多く、その場合はビッグデータの活用ハードルが高くなってしまいます。

スキル不足を補うために人材を確保しようとしても、データサイエンティストやデータアナリストといったビッグデータを扱える人材は不足傾向にあり、なかなかスムーズには獲得できないでしょう。

この課題を克服するには、ビッグデータに知見のある企業の支援を受けるのが近道です。

スキルに自信が無いのであれば、自社の事業や業務をしっかりと理解してくれるサポート企業と協力してビッグデータの活用を進めていくと良いですよ。

7-3. うまく効果が出ない場合もある

ビッグデータは適切に活用しなければ、期待したような効果が得られない場合もあります。

これは特に以下のような場合において気をつけなければならない課題です。

    • ビッグデータの活用自体が目的となってしまっている
    • 活用のシナリオが描けていない
    • すぐに成果を出そうとしている
    • 自社のみでビッグデータの活用に取り組もうとしている

あなたの会社がビッグデータの活用に向けて動き出したとしても、こうした状況に陥っていれば一度取り組み方を見直す必要があります

そうならないために、いくつかのポイントを踏まえてビッグデータを活用していくと良いでしょう。

そのポイントについては続けてご紹介します。

8. ビッグデータで効果を得るためのポイント

お伝えしている通り、ビッグデータを活用して一定の効果を得るためには押さえておくべきポイントがあります。

ここでは、以下の3つのポイントについて説明します。

    • ビッグデータの活用目的を明確にする
    • 短期的に効果を得ようとしない
    • ビッグデータに知見のある企業の力を借りる

8-1. ビッグデータの活用目的を明確にする

まず一番重要なポイントが、ビッグデータの活用目的をできるだけ明確に決めておくことです。

また目的そのものだけではなく、目的を達成するためにはどのようなアクションが必要で、そのアクションのためにビッグデータはどう活かせるか、という風に戦略シナリオも描いておくと良いでしょう。

例えば、小売店において売り上げ向上を目的に掲げたとします。

この目的を達成する多くの手段のうち、「顧客のニーズを満たす商品を揃える」ことを実践していくなら、次に必要になってくるのが「顧客のニーズを正確に把握すること」です。

そのためのビッグデータの活用方法としては、過去のPOSデータを分析する、SNSの投稿を分析する、他社の売れ行きに関するデータを収集する…などが考えられます。複数のデータを組み合わせて分析するという方法もあるでしょう。

このように、目的から逆算する形でできるだけ具体的にシナリオを描くようにしてください。

他社のサポートを受けながらビッグデータの活用を進める場合も、こうしたことを詳細に決めておけば行き違いが無くスムーズに話を進められるはずですよ。

8-2. 短期的に効果を得ようとしない

ビッグデータを活用する際に、その効果を急ぎすぎると結果的に失敗に終わってしまう可能性があります

ビッグデータは収集・入手しただけではもちろん意味がありません。また分析して、そこで終わってしまってもやはり効果は得られません。

重要なのは、分析結果を受けて、どのようなアクションを起こすかなのです。

場合によってはここでも効果が得られないこともあるでしょう。そうなれば、また別の角度から分析結果を捉え、再度行動に出る必要があります。

こうした試行錯誤を経て有効なアクションに辿り着くことで、はじめてビッグデータの活用効果が現れるのです。

このようにビッグデータの活用は、長期的な取り組みとなることを理解し、すぐに効果が得られないからといって頓挫させないことが大切です。

8-3. ビッグデータに知見のある企業の力を借りる

先ほどもお伝えしましたが、ビッグデータを活用するためのスキルが自社に不足しているなら、ビッグデータに知見のあるサポート企業を頼ることをおすすめします。

さらに言えば、「自社に合ったサポート企業」と協力することが重要です。

ビッグデータの利活用によって効果を得るために、以下のような点に注意してあなたの会社に合ったサポート企業を慎重に選ぶようにしてください。

    • ビジネス上の目的達成あるいは課題の解決を前提に話を進めてくれるか
    • データサイエンティストは在籍しているか
    • 自社の事業や業務に理解を示してくれているか
    • サポートの範囲は充分か(環境整備が必要になった場合は対応してくれるか)
    • 予算とコストが見合っているか
    • 実績はあるか

9. ビッグデータの活用を始めるならNTT東日本へご相談ください

NTT東日本では、お客さま企業におけるビッグデータの活用をサポートしています。

もしあなたの会社でもビッグデータの活用を検討されているのなら、ぜひお気軽にご相談ください。

NTT東日本では、単にビッグデータを事業や業務に利活用するだけではなく、「ビッグデータの活用で成果を得る」ための体制を整えています

ここではその一端をご紹介させていただきます。

9-1. データサイエンティスト×クラウドのプロによるワンストップサポート

まず、お客さま企業におけるビッグデータの活用については、ビッグデータの専門家であるデータサイエンティストチームがリードします。

以下のようなご要望もお気軽にお話しください。

    • ビッグデータを活用して業務を改善したい
    • 保有するデータをどのように活用すれば良いかアドバイスが欲しい
    • ビッグデータを活用して課題を解決したいが、費用は予算内に収めたい
    • データの収集からサポートして欲しい

こういったお客さまそれぞれの課題やご要望に応じて、ビッグデータの精鋭たちがご提案・ご支援を行います。

さらに、ビッグデータ分析には欠かせない環境や基盤の整備についても、Amazon Web Service(AWS)※の認定資格を持つクラウドのプロフェッショナルが全面的にサポートさせていただきます。

※グローバルシェア1位のクラウドサービス提供事業者

ビッグデータを活用するなら、データを収集・管理・分析するための環境を構築する必要があります。

クラウドを駆使して、それをスピーディーかつリーズナブルに実現することも私たちのサポート範囲となっているのです。

以下はサポート内容の一例です。

    • お客さまに適したクラウドサービスの選定
    • ビッグデータ分析に適したクラウドプラットフォームのご提案
    • クラウドサービス上のサーバーやストレージのご提案
    • クラウド上でのシステム構築

このようにNTT東日本は、ビッグデータの活用についてはもちろん、環境や基盤の整備もワンストップで対応することで「成果を得るためのビッグデータ活用」をサポートしています。

9-2. ビッグデータの活用に欠かせないクラウドサービスの利用をスムーズに

ビッグデータを活用するための環境・基盤となる多様なリソースを提供してくれるのが、クラウドサービスです。

しかし、使い勝手の良い大手クラウドサービスのほとんどは国外産であるため、サービス利用料の支払いに煩わしさを感じたり、日本語による迅速なサポートが受けられないといった難点があります。

こうしたデメリットを解消するため、NTT東日本では以下のようなサービスも行っております。

AWS・Microsoft Azureのご利用をサポート

  • AWSまたはMicrosoft Azureのアカウント作成を代行
  • お問い合わせを日本語でサポート
  • NTT東日本がクラウドサービス利用料を円建てでご請求
  • Amazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
  • ※Microsoft Azureは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。

このようなサービスにより、ビッグデータの継続的な利活用をサポートいたします。

ビッグデータの利活用でビジネス上の成果を得るためには、適切なデータの扱いやそのための環境構築も非常に重要です。

継続的にサポートを行える協力会社の存在も欠かせないでしょう。

NTT東日本なら、こうした領域を幅広くカバーすることができます。

あなたの会社でビッグデータを活用していこうとお考えなら、ぜひ一度お話をお聞かせください。

NTT東日本に相談する

10. まとめ

ビッグデータとはどのようなものなのかお分かりいただけたでしょうか?

最後に今回の内容をまとめておきます。

ビッグデータとは…

ビッグデータとは「日々生成される多種多様なデータ群」のこと。

Volume(大量さ)、Variety(多種多様さ)、Velocity(発生頻度・処理速度の速さ)という3つのVの特徴を持ち、構造化データと非構造化データで構成されている。

ビッグデータもデータの一種であることには変わりなく、ビッグデータをビジネスに活用することは、私たちが当たり前のように行う一般的なデータの分析・活用の延長線上にあることです。

また、多様なデータを含むビッグデータを分析すれば、より幅広い知見や発見を得ることができるのです。

こうしたことから、ビッグデータは徐々にビジネスに活用されはじめているのです。

さらにビッグデータを活用することには、次のようなメリットもあります。

  • 将来の状況を精緻に予測できる
  • 通常では難しい現状把握が可能になる
  • 意思決定の質が向上する

一方で、活用するにあたって次のようなことが課題となってきます。

  • プライバシーを侵害する恐れがある
  • ビッグデータに関するスキル不足
  • うまく効果が出ない場合もある

このようなビッグデータを利活用して、きちんと成果を得るためには次のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • ビッグデータの活用目的を明確にする
  • 短期的に効果を得ようとしない
  • ビッグデータに知見のある企業の力を借りる

あなたの会社でもビッグデータを活用し、その成果を得られるよう願っています。

ビッグデータ活用のためにAIの導入をご検討の方はNTT東日本にお気軽にご相談ください。

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  • そもそも自社は本当にクラウド化すべき?オンプレとクラウドの違いは?
  • 【AWS・Azure・Google Cloud】
    どれが自社に最もマッチするの?
  • 情シス担当者の負荷を減らしてコストを軽減するクラウド化のポイントは?
  • 自社のクラウド導入を実現するまでの具体的な流れ・検討する順番は?

初めての自社クラウド導入、
わからないことが多く困ってしまいますよね。

NTT東日本では
そんなあなたにクラウド導入に必要な情報を

1冊の冊子にまとめました!

クラウド化のポイントを知らずに導入を進めると、以下のような事になってしまうことも・・・

  • システムインフラの維持にかかるトータルコストがあまり変わらない。。
  • 情シス担当者の負担が減らない。。
  • セキュリティ性・速度など、クラウド期待する効果を十分に享受できない。。
理想的なクラウド環境を実現するためにも、
最低限の4つのポイントを
抑えておきたいところです。
  • そもそも”クラウド化”とは?
    その本質的なメリット・デメリット
  • 自社にとって
    最適なクラウド環境構築のポイント
  • コストを抑えるため
    具体的なコツ
  • 既存環境からスムーズにクラウド化
    実現するためのロードマップ

など、この1冊だけで自社のクラウド化のポイントが簡単に理解できます。
またNTT東日本でクラウド化を実現し
問題を解決した事例や、
導入サポートサービスも掲載しているので、
ぜひダウンロードして読んでみてください。

クラウドのわからない・
面倒でお困りのあなたへ

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ネットワーク環境構築・セキュリティ・運用まで
”ワンストップ支援”が可能です!

NTT東日本が選ばれる5つの理由

  • クラウド導入を
    0からワンストップでサポート可能!
  • 全体最適におけるコスト効率・業務効率の改善
    中立的にご提案
  • クラウド環境に問題がないか、
    第3者目線でチェック
    してもらいたい
  • 安心の24時間・365日の対応・保守
  • NTT東日本が保有する豊富なサービスの組み合わせで
    ”課題解決”と”コスト軽減”を両立

特に以下に当てはまる方はお気軽に
ご相談ください。

  • さまざまな種類やクラウド提供事業者があってどれが自社に適切かわからない
  • オンプレミスのままがよいのか、クラウド移行すべきなのか、迷っている
  • オンプレミスとクラウド移行した際のコスト比較を行いたい
  • AWSとAzure、どちらのクラウドが自社に適切かわからない
  • クラウド環境に問題がないか、第3者目線でチェックしてもらいたい
  • クラウド利用中、ネットワークの速度が遅くて業務に支障がでている

クラウドを熟知するプロが、クラウド導入におけるお客さまのLAN 環境や接続ネットワーク、
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