
AWS入門 初心者が覚えておくべきAWSの基本
メールサーバーとは「メールの送受信の役割を担うサーバー」のことです。
郵便局が配送元から郵便を受け取り、配送先の最寄りの郵便局まで配送し、配送先へと郵送しますが、メールサーバーも同じような役割を果たしています。
▼メールサーバーが行うメール送受信の流れ
さらに詳しくメールサーバーについて解説すると、メールサーバーにおけるメール送受信には、「SMTPサーバー」「POPサーバー」「DNSサーバー」など、複数のサーバーがそれぞれの役割を果たしてメールが送信者から受信者まで配送されます。
ただしこれらのサーバーのそれぞれの役割を知っておかないと、実際にメールサーバーの設定を行う際に、スムーズに設定ができない可能性があります。
そこでこの記事では以下の内容をお伝えしていきます。
▼本記事の内容
この記事を読むことで、メールサーバーとは何かわかるだけでなく、メールサーバーの仕組みを理解した上で、メールサーバーの設定に取り組むことができます。
ぜひ最後までお読みください。
メールサーバーとは、メールの送受信の役割を担っているサーバーのことです。
メールサーバーは、以下のような郵便が届くまでの流れで考えてみると、イメージしやすくなります。
▼郵便が届くまでの流れ
この郵便が届く流れをメールサーバーに置き換えると以下のようになります。
▼メールサーバーが行うメール送受信の流れ
このようにメールサーバーは、郵便局と同じような役割で、メールの送受信を行っています。
メールサーバーにおけるメールの送受信には3つのサーバーが必要になります。
メールサーバーには、メールの送信の役割を持つ「SMTPサーバー」とメールを受信する役割を持つ「POPサーバー」の2つがあります。
またメールを宛先メールアドレスに送信するため、そのメールアドレスから宛先のメールサーバーのIPアドレス(※)を「DNSサーバー」によって割り出します。「DNSサーバー」はメールサーバー内のサーバーではありませんが、メールを送信するうえで必ず必要になるサーバーです。
このように、「SMTPサーバー」「POPサーバー」「DNSサーバー」の3つのサーバーによってメールを送受信できます。
この3つのサーバーにおけるメール送受信の仕組みは以下の図のようになっています。
▼「SMTP」「POP」「DNS」におけるメール送受信の仕組み
ちなみに「POPサーバー」は、同じようにメールの受信の役割を持つ「IMAPサーバー」が代わりに利用されることもあります。
次の章からは、「SMTPサーバー」「POPサーバー」「IMAPサーバー」「DNSサーバー」について、それぞれの役割を解説していきます。
※IPアドレス:スマホやPC、タブレットなど、ネットワーク上の機器に割り当てられるインターネット上の住所のようなもの。インターネット上でデータを送受信する際に、通信相手を指定するために使われる。
おおまかなメール送受信の仕組みを理解したところで、メール送受信で必要となる各サーバー「SMTPサーバー」「POPサーバー」「IMAPサーバー」「DNSサーバー」の役割について、それぞれ解説していきます。
SMTPサーバーはメールアドレスの「@」以降の部分であるドメイン名ごとに存在しており、「送信の役割」を担っています。
具体的には、SMTPサーバーは以下のようにメールを送信します。
このように、SMTPサーバーはメールを送信する役割を担っています。
POPサーバーは「受信の役割」を担っています。
詳しくお伝えすると、以下のとおりです。
ちなみに、パソコンやスマホなどの端末側でメールをダウンロードしたあと、POPサーバーにデータを残さない設定であるため、メールサーバーの容量を圧迫しません。またメールデータは端末側で保存されるため、過去に受信したメールはインターネット上に接続していないオフライン状態でも閲覧が可能です。
IMAPサーバーは、POPサーバーと同じく「受信の役割」を持っています。
IMAPサーバーはPOPサーバーと同じようにメールを受信する役割を持ちます。
こうして、IMAPサーバーもPOPサーバーと同じ役割を持ってメールの受信を行いますが、この2つのサーバーには以下のような違いがあります。
POPサーバーとIMAPサーバーの違い | |
---|---|
サーバー | 説明 |
POPサーバー |
受信メールを受信者の端末(パソコンやスマホ)などにダウンロードしてメールを閲覧 |
IMAPサーバー |
メールサーバー上にメールを保管・保存しておき、メールソフトがインターネットを通じてメールデータを読み込んでメールを閲覧 |
メールサーバーを設定する際には、「POP」「IMAP」のどちらかを選択して設定を進めていくことになります。
自社にとってどちらが適しているのか選ぶ際には「4.メールサーバーの設定時には「POP」「IMAP」の違いを理解した上でいずれかを選択・設定しよう」を参考にして選びましょう。
DNSサーバーの役割は「宛先照合」です。
メールアドレスの「@」以降の部分であるドメイン名から送信先のIPアドレスを割り出す役割を担っています。
たとえば「1234user@jjrr00.co.jp」にメールを送る場合、ドメイン名である「jjrr00.co.jp」のIPアドレスを管理しているDNSサーバーに問い合わせ、ドメインに紐付いているIPアドレスを取得します。
そうすることで、送信者側のメールサーバー内のSMTPサーバーは、送信先のIPアドレス宛にメールを配送できるようになります。
「DNSサーバー」はメールサーバーとは別のサーバーですが、メールアドレスから送信先の住所(IPアドレス)を割り出して間違いなくメールを届けるために、なくてはならない存在なのです。
メールサーバーの設定時には「POP」「IMAP」の違いを理解した上でいずれかを選択・設定するようにしましょう。
先にも述べたとおり、POPサーバーとIMAPサーバーは受信の役割を持つサーバーですが、それぞれの特徴には違いがあります。
もし自社のニーズに合わない受信サーバーを選んでしまうと、たとえば外出先でもメールを確認したいのに、メールを受信できるPCを持ってきていないのでメールが確認できないという事態が発生したり、メールサーバーの容量がすぐに満杯になってしまい、手動でメールを消していかなければならなかったりするなど、不便さのほうが勝ってしまうというリスクがあるのです。
以下のメリット・デメリット、向いているケースを参考にしながら、どちらが自社に向いているのか検討しましょう。
サーバー | POPサーバー | IMAPサーバー |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
向いてるケース |
|
|
メールサーバー設定後、「メールサーバーを設定したのに、接続できない」「エラーが発生してしまう」という事態はしばしば生じることがあります。
もしものときに慌てず、スムーズに対応できるように、
を知っておきましょう。
よくあるメールサーバーのエラーは以下の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
550エラーとは、「宛先のメールサーバーやユーザー名が存在しない」などの理由によって、送信先を見つけられなかった場合に発生するエラーです。
550エラーには、さらに以下2つのエラーに分類されます。
エラー | 説明 |
---|---|
550 HostUnknown |
宛先のメールサーバーが特定できなかった場合に発生 |
550 UserUnknown |
宛先のユーザー名が特定できなかった場合に発生 |
これらのエラーは多くの場合、宛先メールアドレスの打ち間違いが原因です。
スペルミスなどをしていないか確認し、再度メール送信を試みてみましょう。
551エラーとは、送信先が無効であったために、メールの送信を拒否された場合に表示されるエラーです。
入力したメールアドレスの送信先は存在していない、ということを表しています。
対処法としては、まずメールアドレスのスペルミスを確認しましょう。
また、送信先のメール管理のサーバーの契約が切れていないかを確認しましょう。
552エラーとは、送信先のメールサーバーの設定で受信メール容量に制限がかけられている場合に表示されるエラーです。送信先のメールボックスの容量が満杯であったり、添付ファイルの容量が大きすぎて送信先のサーバーが拒否しているケースが多い傾向にあります。
そこで、以下の対処法を実行しましょう。
554エラーとは、メールの送信先との通信に失敗した際に表示されるエラーです。多くの場合、送信先のメールサーバーが停止していたり、転送サービスを使ったりしていることで、発生します。
対処法としては、以下の方法を試してみましょう。
企業で利用するメールシステムの構築・維持には、要件によっては膨大な時間やコストが必要になります。
特に自社でシステムを用意する場合、複数のハードウェアやソフトウェアを用意し、セットアップしなければなりません。また、環境構築後には定期的にソフトウェアのアップデートが必要になり、データのバックアップや災害発生時の復旧の備えも必要になります。
メールシステムとして、いくつかある中の一つとして、クラウドサービス「AWS」のアプリケーションである「Amazon WorkMail」をご紹介します。
「Amazon WorkMail」を利用することによって、自社のEメールインフラストラクチャを簡単に管理できるため、「オンプレミスのEメールサーバーのライセンス付与」や「ネットワークやコンピューターなどの設備が必要になった場合に、すぐに利用や運用ができるようにしておくための先行投資」も不要になります。また「Amazon WorkMail」によって、パッチ適用やバックアップ、アップグレードがすべて自動的に処理できるため、複雑なソフトウェアのインストールや保守、ハードウェアの管理も不要になります。
さらに「Amazon WorkMail」はクラウドベースの企業向けEメールサービスであるため、災害時でもデータを失わず、すぐに復旧することが可能です。
NTT東日本では、AWSサービスの販売および、導入運用コンサルティングをご提供しています。
もちろん、メールのシステムを導入する際もお手伝いさせていただきます。
ぜひ一度、AWSの「Amazon WorkMail」をご検討ください。
この記事では、メールサーバーとは何か、そしてメールサーバーのメール送受信の仕組みなどを解説しました。
ここで改めて記事の内容をおさらいしましょう。
◆メールサーバーとは、メールの送受信を行うサーバーのこと
◆「SMTP」「POP」「IMAP」「DNS」のそれぞれの役割
◆メールサーバーの設定時には「POP」「IMAP」の違いを理解した上でいずれかを選択・設定しよう
サーバー | メリット | デメリット | 向いているケース |
---|---|---|---|
POP |
|
|
|
IMAP サーバー |
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|
◆メールサーバーが接続できない・エラーの場合の対処法