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AWSリザーブドインスタンス(RI)とは?メリットや注意点を解説
AWSリザーブドインスタンスとは、あらかじめ1年や3年といった長期間の利用を予約することで、大幅な割引を受けられるサービスです。支払い方法や購入期間を選べるなど、多くのメリットがある本サービスですが、利用前に知っておくべきデメリットや、注意点も存在します。本記事で、AWSリザーブドインスタンスの概要やメリット・デメリット、注意点などを確認していきましょう。
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目次:
- 1.AWSリザーブドインスタンス(RI)とは
- 1-1.リザーブドインスタンスの種類
- 1-2.調達できるインスタンスタイプ
- 2.AWSリザーブドインスタンスのメリット
- 2-1.オンデマンドインスタンスに比べて大幅なコストを削減できる
- 2-2.支払い方法を選べる
- 2-3.購入期間を選べる
- 3.AWSリザーブドインスタンスのデメリット
- 3-1.途中で解約できない(支払った分は返金されない)
- 3-2.運用の柔軟性に欠ける
- 4.AWSリザーブドインスタンスのユースケース
- 5.リザーブドインスタンスを使う際の注意点
- 5-1.スポットインスタンスとの混同に注意する
- 5-2.スケールアップすると割引の適用外になる
- 5-3.リージョンを確認すること
- 6.リザーブドインスタンスの活用ならNTT東日本にご相談ください
- 特性を把握して大幅なコスト削減を実現しよう
1.AWSリザーブドインスタンス(RI)とは
AWSリザーブドインスタンス(RI)とは、1年や3年といった長期間の利用をリザーブ(予約)することで、大幅な割引を受けられるサービスです。電車やバスの定期券は1〜6ヶ月単位の金額を前払いすれば一定の割引を受けられるサービスですが、AWSリザーブドインスタンスも同様で、最大75%の割引が受けられます。
割引率は以下の組み合わせで決まり、支払い方法は、「前払いなし(NURI)」「一部前払い(PURI)」「全額前払い(AURI)」の3種類から選べます。
- インスタンスの種類
- 契約期間
- 支払い方法
割引率は、支払う金額が多ければ多いほど高くなる仕組みです。たとえば1年契約と3年契約であれば契約期間の長い3年のほうが割引率が高く、支払い方法は、全額前払いが一番割引率が高くなります。
3年契約の全額前払いを選べば、最大の割引率が適用となります。AWSでシステムを運用するのであれば、AWSリザーブドインスタンスは上手く活用したいサービスといえるでしょう。
1-1.リザーブドインスタンスの種類
リザーブドインスタンスは、「スタンダード」と「コンバーティブル」の2種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
スタンダード |
|
---|---|
コンバーティブル |
|
スタンダードは割引率が高いものの、契約期間中の変更はできません。コンバーティブルであれば割引率が低いものの、差額の支払いで交換ができます。
割引率を取るか、将来的な拡張性を取るかにより、最適なリザーブドインスタンスの選択は変わってくるため、インスタンスの種類は慎重に検討しましょう。
1-2.調達できるインスタンスタイプ
リザーブドインスタンスは、それぞれサービス名称が決まっており、サービスごとに調達できるインスタンスタイプと仕様が決まっています。2024年1月現在、用意されているサービスは、以下の4種類です。
リザーブドインスタンスの対象インスタンス | Amazon EC2 |
仮想サーバーを提供する、もっとも代表的なAWSサービスのひとつ。 |
---|---|---|
Amazon RDS |
リレーショナルデータベースを提供する。RDSは「Amazon Aurora」「PostgreSQL」「MySQL」「MariaDB」「Oracleデータベース」「SQL Server」などから選択可能。 |
|
Amazon Elasticsearch Service | 全文検索システム「Elasticsearch」をマネージドサービスとしてAmazonが提供している。REST APIで、大量データに対して高速検索が可能。 | |
リザーブドキャパシティの対象インスタンス | Amazon DynamoDB |
高速のデータ処理が可能なNo AQLタイプのデータベース。 |
リザーブドキャッシュノードの対象インスタンス | Amazon ElastiCache |
高速なデータアクセスを可能にするキャッシュシステムを実装できるクラウドサービス。 |
リザーブドノードの対象インスタンス | Amazon Redshift |
一度に大量のデータの書き込みや読み出しを可能にするデータウェアサービス。 |
調達できるインスタンスタイプは4種類ですが、いずれも前払いによるサービスであることには変わりありません。
2.AWSリザーブドインスタンスのメリット
AWSリザーブドインスタンスの概要や種類、調達できるインスタンスタイプについて見てきましたが、ここからはAWSリザーブドインスタンスのメリットについて、紹介します。
- オンデマンドインスタンスに比べて大幅なコストを削減できる
- 支払い方法を選べる
- 購入期間を選べる
順番に見ていきましょう。
2-1.オンデマンドインスタンスに比べて大幅なコストを削減できる
AWSリザーブドインスタンスのメリットは、オンデマンドインスタンスに比べて、大幅なコスト削減ができることです。一般的な課金方法であるオンデマンドインスタンスは、実際にインスタンスを利用した時間に基づき課金され、使用した分だけ支払いが発生しますが、リザーブドインスタンスは事前にインスタンスのスペックを指定し、予約します。
最大75%ものコスト削減ができるリザーブドインスタンスは、システム運用において非常に魅力的なメリットがあるといえるでしょう。
2-2.支払い方法を選べる
前述しましたが、支払い方法を選べるのも、AWSリザーブドインスタンスのメリットです。支払い方法は以下の3種類が用意されているため、予算などを考慮して選べます。
- 初月に全額を支払う「全額前払い」
- 初月に一部を支払い、残りを毎月支払う「一部前払い」
- 費用を期間で等分し、毎月支払う「前払いなし」
全額前払いは最も割引率が高い支払い方法ですが、金額が大きくなれば、年度予算で対応しきれないケースも出てくるでしょう。予算とのバランスを考慮し、無理のない支払い方法を選べる点は、AWSリザーブドインスタンスの大きなメリットといえます。
2-3.購入期間を選べる
購入期間についても前述した通り、1年または3年から選べる点もメリットです。3年の購入期間を選択した場合、1年間よりも多くの割引が受けられますが、購入後のキャンセルはできないため、3年の購入期間を選択する場合、該当のインスタンスの長期的な利用計画を確認し、検討する必要があります。
支払いは複数アカウントをまとめて支払うこともできるため、支払業務を簡素化できるのも、メリットといえるでしょう。
3.AWSリザーブドインスタンスのデメリット
コストの削減ができ、支払い方法や購入期間が選択できるなどメリットの多いAWSリザーブドインスタンスですが、以下のデメリットについても考慮しなければなりません。
- 途中で解約できない
- 運用の柔軟性に欠ける
順番に解説します。
3-1.途中で解約できない(支払った分は返金されない)
AWSリザーブドインスタンスは、一度支払いを済ませてしまうと、後からキャンセルできない点がデメリットといえます。利用しなくても契約分のインスタンスは予約(リザーブド)されてしまっているためです。
デメリットを防ぐため、契約する際には、今後計画の変更がないかを十分に検討しましょう。また初めて利用する際は、購入期間を1年にしてリスクを抑えるなどの工夫がおすすめです。
3-2.運用の柔軟性に欠ける
運用の柔軟性に欠ける点も、AWSリザーブドインスタンスのデメリットです。AWSは柔軟に構成を変更できることがメリットですが、リザーブドインスタンスは、事前にある程度スペックを固定してしまうため、ニーズが増えてきたため拡張したいといった場合でも、対応できません。
他のインスタンスやリージョンに対してAWSリザーブドインスタンスを適用したい場合、新規に購入する必要が出てきてしまうため、需要の増減が見込まれるシステムへの適用は避けたほうがよいでしょう。
購入期間でも前述しましたが、該当インスタンスの長期的な利用計画を確認し、検討することが大切です。
4.AWSリザーブドインスタンスのユースケース
AWSリザーブドインスタンスのメリットやデメリットを紹介しましたが、ユースケースについても見ていきましょう。AWSリザーブドインスタンスのメリットを最大化するコツは、必要最低限の処理能力分を契約することです。
たとえばアクセス数が時間帯によって異なるWebサービスの場合、ピーク時の最大負荷処理をリザーブドインスタンスで契約してしまえば、無駄が生じてしまいます。この場合、夜間などの落ち着いている時間帯でも必要な処理能力を、AWSリザーブドインスタンスで契約するのがおすすめです。
まずは常時稼働が求められるEC2やRDSなどのサービスで、リザーブドインスタンスにできるかどうかを検討し、自社のサービスに適用していくとよいでしょう。
5.リザーブドインスタンスを使う際の注意点
リザーブドインスタンスを使う際の注意点は、以下の通りです。
- スポットインスタンスとの混同に注意する
- スケールアップすると割引の適用外になる
- リージョンを確認する
順番に見ていきましょう。
5-1.スポットインスタンスとの混同に注意する
リザーブドインスタンスを使う際は、スポットインスタンスとの混同に注意しましょう。スポットインスタンスとは、未使用のEC2インスタンスを入札で格安購入する仕組みのインスタンスのことです。
スポットインスタンスはオンデマンド価格と比較して最大90%ものコスト削減が可能ですが、落札できない場合、突然インスタンスが落ちてしまう可能性があります。クリティカルな処理をスポットインスタンスに任せるのは非常に危険であるといえるため、混同しないように注意しましょう。
5-2.スケールアップすると割引の適用外になる
スケールアップすると割引の適用外になることも、リザーブドインスタンスを使う際の注意点です。スケールアップの可能性がある場合は、割引率は下がるものの、コンバーティブルタイプを選択した方が無難であるため、契約の前によく検討しましょう。
スタンダードでスケールアップしなければならない場合、インスタンスを変更後にリザーブドインスタンスを新たに適用すれば、料金は自動的に割り引かれます。ただしすでに契約していた分については戻ってこないため、注意してください。
5-3.リージョンを確認すること
リザーブドインスタンスを使う際は、リージョンの確認も必要です。リージョンが異なるリザーブドインスタンスを購入してしまえば、割引が適用されません。
リージョンについては以下のコラムが参考になるため、ぜひ読んでみてください。
参考記事:AWSにおけるリージョンの特徴について
6.リザーブドインスタンスの活用ならNTT東日本にご相談ください
AWSリザーブドインスタンスは、大幅なコスト削減ができる魅力的なサービスです。しかしメリットがある一方で、途中で解約できず、運用の柔軟性に欠ける注意点もあるため、導入に躊躇している方もいるのではないでしょうか。
リザーブドインスタンスをはじめ、クラウドに関するご相談がある場合、ぜひNTT東日本のお問い合わせフォームをご利用ください。豊富な経験を持つ弊社のクラウド担当者が、お悩みについて共に考え、徹底的にサポートいたします。
特性を把握して大幅なコスト削減を実現しよう
AWSリザーブドインスタンスは、1年や3年といった長期利用を予約することで、大幅な割引を受けられるサービスです。インスタンスの種類や契約方法、支払い方法の組み合わせにより割引率は異なりますが、オンデマンドインスタンスと比較して、大幅なコスト削減ができる点に魅力を感じている企業も多いでしょう。
しかしAWSリザーブドインスタンスにはデメリットや注意点も存在するため、導入の際はよく検討することが必要です。
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