数千にも及ぶAmazon VPCやオンプレミスネットワークの接続を簡単にスケールするAWS Transit Gatewayとは

グローバルに展開するなど、複数の離れた拠点で活動する組織において、各部門でAWSアカウントを持ち、それぞれが複数のAmazon VPCを展開していくと、それらを統合して相互に活用したいニーズも出てくるでしょう。Amazon VPC同士を個々につないでいく場合、数百、数千となった場合には設定が容易ではありません。本稿では、そのようなニーズに応えるサービス「AWS Transit Gateway」についてご案内します。

連携すべきクラウド・オンプレミスのリソースが増えた場合、どうやって管理する?

「Amazon Virtual Private Cloud」 (Amazon VPC)とは、AWSクラウドにおいて、ユーザーが定義した仮想ネットワークの中で、仮想サーバーやロードバランサー、ストレージ、データベースなどのAWSリソースを起動できるサービスです。セキュリティグループやネットワークアクセス制御などの機能により、セキュアにアクセスできます。ネットワークや端末からAWSのリソースにプライベートな暗号化ネットワークで接続可能なサービスである「AWS Virtual Private Network」(AWS VPN)を使うと、データセンターなどのオンプレミス環境とAmazon VPCとを接続することも可能です。

組織において、複数の支社や部門、あるいはセクションでAWSアカウントを持ち、それぞれが複数のVPCを展開していくと、それらを統合して活用したいニーズも出てくるでしょう。Amazon VPC同士はピアリングという方法を使ってプライベート接続を確立できます。ただし、Amazon VPCの数が数百から数千と多くなり、それらを相互に接続していく必要がある場合、ピアリングのための設定や管理運用は煩雑になる恐れがあります。複数のAmazon VPCと複数のオンプレミス拠点とをつなぐ必要が場合にはその煩雑さは一層増すでしょう。

数千規模のリソースやアカウントを容易にスケールするAWS Transit Gateway

このような大規模な組織のニーズに応え、数百、数千の接続を簡単に構築できるのが、「AWS Transit Gateway」というサービスです。AWS Transit Gatewayを、数多あるAmazon VPCやオンプレミス環境などが接続する、ネットワークの中央に位置したハブのように見立てて管理できます。

Amazon VPC間の相互のピアリングの必要はなく、それぞれをAWS Transit Gatewayに接続するだけで、同じく接続されたほかのAmazon VPCやオンプレミス環境にも接続可能となります。接続先のAmazon VPCやAWS VPN、AWS Direct Connectゲートウェイ、別のAWS Transit Gatewayと柔軟に接続してスケーリングできるのです。

AWS Transit Gatewayを使うことにより、数千あるAmazon VPCにまたがって動作するアプリケーションやAWSのリージョンを超えて地域をまたいだグローバルなネットワークを構築したり、ワークロードの需要増加に伴うAmazon VPCの増設対応などができます。

また、AWS Transit Gatewayはマルチキャストにも対応しています。マルチキャストとは、単一のデータの流れを多数のユーザーに同時配信することで、たとえば、ニュース記事や株価、動画や音声などのマルチメディアコンテンツの購読者向けのデータを、購読者グループ別に分けてストリーミングするときなどに有効です。

セキュリティ面では、AWS Transit Gatewayへのアクセス許可・拒否など、AWSサービスやリソース管理のためのAWS Identity and Access Management(IAM)との統合よって安全に管理できるようになっています。

なお、非常に多くのAmazon VPCやAWS VPNなどが接続できるAWS Transit Gatewayですが、以下のような接続数などの制限があります。

制限項目
アカウントあたりの AWS Transit Gateway 5
AWS Transit Gateway アタッチメントの数 5,000
VPN 接続ごとの最大帯域幅 1.25 Gbps
AWS Transit GatewayあたりのDirect Connect Gatewayの数 20

制限についての詳細は、公式サイトの「よくある質問」をご覧ください。
https://aws.amazon.com/jp/transit-gateway/faqs/別ウィンドウで開きます

AWS Transit Gatewayを使いこなすための5つのキーワード

キーワード1:アタッチメント

アタッチメントとは、AWS Transit GatewayにAmazon VPCやAWS VPN、AWS Direct Connect Gatewayを関連づけるアクションのことです。これによってVPCやVPN同士で通信できる準備ができますが、それだけでは通信はできません。

キーワード2:ルートテーブル

ルートテーブルとは、ネットワークトラフィックの経路や行き先を判断する際に使用される、ルートと呼ばれる一連のルールを含んだものをルートテーブルといいます。AWS Transit Gatewayはデフォルトのルートテーブルがあり、オプションで追加のルートテーブルを持つこともできます。

キーワード3:アソシエーション

アソシエーションとは、アタッチメントにて関連づけたAmazon VPCなどをルートテーブルに結びつけ、パケットを送信できるようにすることです。アソシエーションは1つのルートテーブルにしか適用できません。

キーワード4:プロパゲーション

プロパゲーションとは、アタッチメントにて関連づけたAmazon VPCなどをからルートテーブルに経路を伝播することです。アソシエートに関係なく複数のルーティングテーブルに設定できます。アソシエートしたルートテーブルにプロパゲートすることによって経路表ができ、VPC間での通信ができるようになります。

キーワード5:スタティックルート

ルートテーブルにはスタティックルートを書くことができ、アソシエートされていないAmazon VPCなどへも接続するように設定可能です。たとえば、ネットワークアドレス変換ゲートウェイ〜インターネットゲートウェイの経路を記しておいて、戻りの経路をAWS Transit Gatewayに向けることで、全体のリソースのインターネット接続部分を集約することもできます。

AWSとオンプレミス、SD-WANパートナーのサービスも一手に管理

AWSリソースと AWSで実行するアプリケーションのモニタリングサービスである「Amazon CloudWatch」を使用すると、AWS Transit Gatewayにてやり取りされる帯域幅の使用量、パケット流量などの統計やログを得ることができます。また、AWSとオンプレミスでのイベントやネットワークに異常がないかどうか、品質を監視することもできます。

クラウドとオンプレミスネットワークの両方にリソースがあり、それらのグローバルネットワーク全体を一度にモニタリングしたい場合には、「AWS Transit Gateway network manager」を利用します。

これは、ダッシュボードひとつでグローバルネットワークを視覚化してとらえられるもので、AWSのリソースとオンプレミスにて異常が発生したり、パフォーマンスが変化したりした場合に通知が可能です。異なる場所のさまざまなツールから通知を受け取る場合と比較して、問題を速やかに特定して対応できます。

AWSパートナーのSD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)ソリューションを活用している場、これをAWS Transit Gateway network managerに統合して管理できます。たとえば、CiscoのSD-WANソリューションは、AWS Transit Gatewayと統合することにより、アプリケーションネットワーキングの可視性、セキュリティ、管理のシンプル化をサポートしています。

AWS Transit Gatewayの利用料金

AWS Transit Gateway では、時間ごとに行われた接続数と、AWS Transit Gateway を経由するトラフィック量に対して課金されます。

詳しくは公式サイトへ
https://aws.amazon.com/jp/transit-gateway/pricing/別ウィンドウで開きます

AWS Transit Gateway活用のまとめ

組織内でAWSの利用が進んでいくと、アカウントやAmazon VPC間のネットワークを効率的に管理する必要があります。Amazon VPC間を個々に接続していく方法では、数百、数千のAmazon VPCを接続していくには多くの労力がかかり、またミスも発生しやすくなります。こうした課題をシンプルに解決するのがAWS Transit Gatewayで、中央に位置したハブとしてAmazon VPC、データセンター、リモートオフィスなどへ接続を構築して集中管理ができるのです。

AWS Transit Gateway network managerのSD-WANパートナーのソリューションを活用することで、複数の拠点から適切なアプリケーションや組織内のデータにセキュアに接続して利用したり、異なる拠点の利用者同士が速やかにコラボレーションしたりするような環境を構築できるようになります。

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