CASE STUDY

取り組みの決め手は、担当者の知識、対応力、そしてスピード感。不妊治療のリーディングカンパニーが取り組むクラウド活用の現在地

医療法人オーク会

業種 医療業
従業員数
本社所在地 大阪市西成区
主な事業内容 産婦人科、不妊治療、体外受精、卵子凍結、など
ホームページ https://www.oakclinic-group.com/ 別ウィンドウで開きます
導入サービス
クラウド利用サービス Microsoft Azure別ウィンドウで開きます
サービス導入時期 2022年9月
ご担当者さま 情報システムセクション スーパーバイザー 上原 新治 さま

クラウドVDI導入前の課題
  • キッティングに手間がかかっていた
  • マシントラブル、交換の手間
  • 接続管理とセットアップ
NTT東日本を選んだ理由
  • 担当者やオーナーからの要望と、求めるスピード感に対応できること
  • NTT東日本の担当者がクラウドに関する知識を持っており、レスポンスが迅速だった
Microsoft Azureを選んだ理由
  • 事務系、医療系の両方でWindowsのアプリケーションを使用しているため、安定稼働やメンテナビリティ(保守性)を重視して選定した
クラウドVDI導入後の効果
  • ログインしているユーザーをMicrosoft Active Directoryで管理できるように
  • インターネットに繋がっていれば、連携しているクリニックや非常勤のドクターが、システムを利用できる
  • キッティングの手間がなくなり、セキュリティ対策された環境で外部からネットワークにつながるように
クラウドVDIを導入し、今後挑戦していきたいこと
  • 院内のデジタルリテラシー底上げに、正面から取り組んでいきたい
  • 内科やほかの診療科にも院内連携できるようにしたい
  • 連携しているクリニックさんをもっと広げていきたい

こちらの事例はPDFでもご覧いただけます。

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電子カルテシステムやオーダリングシステムの浸透など、医療業界においてもデジタル活用が昨今ますます広がっています。ただ他の業界と違い、医療の現場では患者さまのプライバシーに関わる重要なデータや個人情報を多々取り扱うため、より厳しいセキュリティ環境が求められています。

今回の導入事例では、厳しいセキュリティ環境を維持しながら、VDIを利用したクラウド化に取り組んでいる、医療法人オーク会の情報システムセクションでスーパーバイザーを務める、上原 新治 さまにお話を伺いました。

1. ご相談前の課題と背景

不妊治療をはじめとした最先端の高度生殖医療をご提供し、命の誕生に正面から向き合うオーク会

私たち医療法人オーク会は、大阪市住吉区に産婦人として2000年に開院しました。ホスピタリティに重きをおいた診療で、「お産のオーク」と当時呼ばれるほど、患者さまに高く評価いただきました。その後、患者さまからのお悩みに応えていく形で2007年には、不妊治療専門クリニックの事業を展開しています。

2023年現在では、住吉、梅田、そして東京の銀座にクリニックを開設しており、その他にもデイサービスを提供する介護事業も手がけています。

私たちが提供する体外受精は、完全にテーラーメードであることが特徴です。患者さま一人ひとりに合わせ、さまざまな検査や治療を組み合わせたプランをご提案しており、そのためにも積極的に技術や設備に投資をしています。たとえば、不妊症を扱うリプロダクションセンターでは、業界でも最高水準の設備や機器を備えており、また、学会認定のエンブリオロジスト(精子や卵子、受精卵を取り扱う医療技術者)を多数擁することで体外受精の新しい技術を導入しています。

スタッフ一同、命の誕生に正面から向き合い、使命を持って事業に取り組んでいます。

パソコンのキッティングやトラブルシューティング、接続管理に手間と時間がかかっていた

院内で管理しているデータと通信ネットワークは、患者さまの医療データを扱う医療系と、経理や総務に関わる事務系の、大きく2つに分かれています。

事務系はインターネットに常時接続されていた一方、医療系は患者さまの大事なプライバシーに関わるため、完全な閉域網でしかデータを扱えない状態であり、完全に自社内のオンプレミスのサーバーで管理していました。データファイルはファイルサーバー上にしか置かず、ソフトウェアVPNを使用してクライアントコンピューターで社員は作業していました。

閉域網は各拠点を繋いでいましたので、データのやり取りに不便さは感じていなかったものの、オンプレミスからクラウドへ移行しようと考えた背景には、大きく3つの課題があります。

課題①:キッティングに手間がかかっていた

当院はクリニックや事業所が多いため、管理しているパソコンやプリンタといったデバイスも比例して多くなっており、キッティングにとても手間がかかっていました。当院ではクライアントコンピューターにインストールするアプリケーションタイプの院内システムだったため、パソコンが壊れるたびにアプリケーションを再インストールし、設定しなおす必要があったのです。

また、当院では連携しているクリニックや非常勤のドクターさんなどの外部パートナーに、ソフトウェアVPNをセットアップしたパソコンをお渡しし、当院のシステムを利用いただいています。その場合、OSをアップデートする度にアプリケーションを毎回インストールし直さなければならず、とても手間だったのです。

課題②:マシントラブル、交換の手間

多拠点で多くのデバイスを現場で使用しているため、パソコントラブルはほぼ毎日10〜20件起きている状態が続いていました。たとえば、劣化したハードディスクをSSDに換装したり、保守が切れてしまったOSをセットアップしたりといったトラブルが挙げられるのですが、その作業だけでも半日がかりです。

キッティングとトラブルシューティングを行いながら、同時に院内システムの開発も進めるのは本当に大変でした。

課題③:接続管理とセットアップ

今回の取り組み以前はソフトウェアVPNを使用していたので、ルーターの設定やIPアドレスの払い出し、マシン名の決定などは私たちが実行する必要があります。この作業も、キッティングと同じように手間がかかっていました。

医療を止めないためにも、クラウド化によるBCP対策が必要だった

キッティングやマシントラブルにかかる手間を削減し、柔軟にデータやアプリケーションを活用できることがまずひとつ。

もうひとつの観点が、BCP対策(事業継続性)です。私たちは、何があっても医療を止める訳にはいきません。オンプレミスのネットワークだけに頼っていた場合、もし物理的なトラブルが発生して使用不可になれば、紙で運用するしかなくなります。

ただ、オンプレミスよりも絶対的にクラウドがいいという訳ではありません。運用する側が課題を解決するために、オンプレミスとクラウドをいかに使いこなすかが大事なのです。今回の取り組みでは、オンプレミスとクラウドを使い分けることで、より安心、安全な診療を患者さまにご提供できる環境を目指しました。

3. Microsoft Azure選定の理由

安定稼働やメンテナビリティ(保守性)の観点から、Microsoft Azureを選定

クラウド事業者はAWSと二者択一でしたが、最終的にMicrosoft Azureを選定しました。AWSは運用の柔軟性が魅力だったのですが、事務系、医療系の両方でWindowsのアプリケーションを使用しているため、安定稼働やメンテナビリティ(保守性)の観点から、Microsoft Azureを選定しています。

また、リージョンは海外の選択肢もありましたが、何かのトラブルで繋がらなくなるリスクを考慮して、日本国内を選んでいます。

患者さまのプライバシー情報を最大限守るため、「クラウドVDI(Azure Virtual Desktop)」を導入

当院が連携しているクリニックや非常勤のドクターさんなどの外部パートナーにお渡ししたパソコンから、セキュリティが確保された安全な環境で当院のアプリケーションを使用していただくために「クラウドVDI(Azure Virtual Desktop)」を採用しています。「アプリケーション仮想化」「アプリケーションストリーミング」とも呼びますが、患者さまのプライバシー情報を最大限守るためには必須であると判断しています。

4. NTT東日本を選んだ理由

オーク会が求める要望とスピード感に応えられる対応力と担当社の知識を評価

NTT東日本さまへのご相談と並行し、他社サービスと比較検討を行っていました。その中でNTT東日本さまとのお取り組みに決定した一番の決め手は、私や当院のオーナーからの要望と求めるスピード感にお応えいただけたことです。

他社さんにご相談したときのことですが、オンライン会議で弊社側の要望をお伝えすると、SEさんからはとても困ったような反応はありまして……。こちらの要望に対して一つひとつ対応するとの返答があったのですが、それだと到底スケジュールが間に合わないのです。開発リソースやレベルの問題ではなく、おそらくソリューション全体の組み立てや設計の実績やノウハウが不足していたのだと思います。

その一方で、NTT東日本さまの担当者の方は、実際の開発担当でないにもかかわらず、ご自身もクラウドに関する知識をお持ちだったため、私たちの要望を適切に打ち返していただけました。他社だと「宿題とさせていただきます」と返ってくるような要望でも、迅速なレスポンスで返答いただけました。また、いろいろと無理なお願いもあった中で、最短のスケジュールをご提示いただけたと思っています。

また、今回の取り組みでは、「クラウドゲートウェイクロスコネクト」と「Managed SD-WAN」も採用しています。閉域ネットワーク内のカルテや患者さまの情報をセキュアな接続でクラウドサービスに接続するには、「クラウドゲートウェイクロスコネクト」が必要だと判断しました。

「Managed SD-WAN」を選定したのはBCP対策(事業継続性)の観点からです。もし有事が起こってしまい、関西のクリニックとネットワークが完全に切れてしまっても診療を止める訳にはいきません。「Managed SD-WAN」を導入するとSIMカードを使うことができ、有事であってもモバイルで閉域ネットワークを維持することが可能になります。

5. クラウドVDI・Microsoft Azure導入後の成果

パソコンを用意せずとも、連携するクリニックや非常勤のドクターが院内ネットワークにつなげられるように

全体のスケジュールとして、まずはおよそ6ヶ月で完全閉域網である医療系のネットワークを構築いただき、その後に事務系ネットワークの構築に着手いただいています。

現場の具体的な業務フロー自体はまだ変わっていないのですが、情報システムセクションの管理がしやすくなっています。ログインしているユーザーをMicrosoft Active Directoryで管理しながら、Microsoft Azureや「クラウドVDI」を連携できている点はとても助かっていますね。

たとえば、連携しているクリニックや非常勤のドクターさんにお貸ししたパソコンで何かトラブルがあった際、インターネットに繋がってさえいれば、どのようにセットアップされているかをすぐに確認することができます。以前であれば、直接確認しなければならず、トラブルシューティング全体で2週間もかかってしまうことは珍しくありませんでした。

しかし今では、当院がパソコンを用意しなくとも、クリニックや非常勤のドクターさん側で使用しているパソコンに各種ツールをインストールしていただくだけで、セキュリティ対策された環境で当院のネットワークにつなげることができるようになりました。実際に操作しているユーザーにとっては、表示されている画面は以前と何も変わっていませんので、戸惑うこともありません。

実現したいビジョンを汲み取り、ソリューション全体をご提案したことを評価

一部、弊社側の都合で出戻りが発生したこともありましたが、NTT東日本さま側で大きなトラブルが起きたことはなく、とてもスムーズに進めていただけました。スムーズに進行できたのは、担当者の方のおかげです。

他社と比較検討した際に評価したポイントでもありましたが、一つひとつのサービスを導入いただいたのではなく、私たちが実現したいビジョンを汲み取ってソリューション全体をご提案いただいたことです。

6. クラウド・Microsoft Azureを導入し、今後挑戦していきたいこと

院内のデジタルリテラシーを底上げすることに、正面から取り組んでいきたい

今回の取り組みは、まだファーストステップでしかありません。今回はMicrosoft Azureを導入したことで基盤が出来上がりましたので、当院オーナーの要望を反映しつつさらに発展させていきたいと考えています。

たとえば、現在は婦人科や不妊科だけの取り組みでしたが、内科やほかの診療科にも院内連携できるようにしたり、連携しているクリニックさんをもっと広げていったりといった展望が挙げられます。そのためには、たとえ看護職や検査技師であっても、職員一人ひとりが自らパソコンを操作でき、自分たちでスクリプトを書けるくらいデジタルリテラシーを高めたいですね。実際、現場にはGoogle Apps Script(GAS)やExcel VBAを自力で作成できる女性スタッフもいます。

DXはシステム部門のような専門部隊が勝手に進めるものではなく、会社全体がトランスフォームしてこそ意味があります。だからこそ、現場へデジタルを浸透させること、デジタルリテラシーを底上げすることに正面から取り組んでいきたいですね。

7. これから取り組む方へのアドバイス

デジタル活用は、思いつくことよりも決断すること、実行することが重要

昨今のデジタル活用によって、クリニックの医療事務は遠くないうちに自動化、省力化されるでしょう。クラウドでつながるようになれば、受付に人がいなくてもリモートで会計や診察の手続きができるようになるかもしれません。

ただ、そうした医療のデジタル活用は、思いついていざチャレンジとなると、なかなか実行に移せないものです。エジソンの有名な言葉を引用すると、「1%のひらめきと99%の決断力・実行力」です。

また、当院のような生殖医療だけでなく、医療施設のネットワークは患者さまの生死や人生に間接的に関わるからこそ、安心、安全に構築すべきであり、そのためにNTT東日本さまのようなパートナーに頼ってみるのはいかがでしょうか。

8. おわりに

クラウドVDIを検討されている方は、NTT東日本へご相談ください。

オーク会さまでは、パソコンのキッティングやトラブルシューティング、接続管理にかかっていた手間と時間を削減するために、クラウドVDI(Azure Virtual Desktop)を導入されました。

他社サービスとも比較検討するなかで、オーク会さまが求める要望とスピード感に応えられる対応力と担当社の知識が決め手となり、NTT東日本を選んでいただきました。

NTT東日本のクラウドVDI(Azure Virtual Desktop)は、患者さまやお客さまのプライバシー情報を最大限守りながらクラウド化を実現し、社内SEの負担を軽減するサービスです。

クラウドVDIの導入にお悩みなら、ぜひNTT東日本にお問い合わせください!

  • 文中記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべて2023年7月時点(インタビュー時点)のものです。
  • 事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。
  • Microsoft Azure、Microsoft Active Directoryは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。

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