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AWS Outpostsとは?メリットや対応サービスから利用の流れまで

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AWS Outpostsとは、AWSの環境をオンプレミスに拡張して使えるフルマネージド型のハイブリッドクラウド製品です。AWS Outpostsを活用すれば、オンプレミスでAWSサービスを利用でき、低レイテンシー接続が期待できます。一方、どのようなサービスなのかよく分からない方もいるでしょう。

そこで本記事では、AWS Outpostsの概要やメリット・対応サービスなどについて詳しく解説します。

ぜひ参考にしてください。

1.AWS Outpostsとは?

AWS Outpostsとは、インフラストラクチャやAPI・サービスなどAWSの環境をオンプレミスに拡張して使えるフルマネージドサービスのことです。通常、AWSのサービスを使う場合、データセンターのサーバーをほかのユーザーと共有しながら使用します。

一方、AWS Outpostsを利用すれば、AWSのデータセンターと同様のハードウェアをラックやサーバーとして指定した場所に設置が可能です。

接続されたリージョンはペアレントリージョンと呼ばれ、ペアレントリージョンのマネジメントコンソールやAPIなどを利用し、AWS Outpostのリソース管理や作成ができます。リソースは、オンプレミスのローカルネットワークでアクセスができるため低レイテンシーが実現します。

1-1.従来のハイブリッドクラウドとの違い

従来のハイブリッドクラウドとは、ラックやサーバーの所有者・管理者が異なります。

通常のオンプレミスサーバーは全て、自社の資産となり保守・管理・運用すべてを自社で行わなければなりません。

一方、AWS OutpostsではAWSが管理・監視・運用をしてくれるため、サーバー管理のコスト削減が期待できます。

ハイブリッドクラウドについて、詳しい内容を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

関連記事:ハイブリッドクラウドとは?基本情報からメリット・デメリットを解説

1-2.AWS Outpostsの2種類のサービス

AWS Outpostsには、2種類のサービスがあります。サイズや設置方法が異なりますので、順番に解説します。

1-2-1.AWS Outpostsラック

AWS Outpostsラックとは、AWSの42Uラックを設置するサービスです。

Amazon EC2やAmazon EBS・Amazon S3・Amazon RDS・Amazon EMRなどの組み合わせで提供されており、自社の担当者は電源を入れ、ネットワークを接続するだけで利用できます。

サイズは、高さ203.2cm・幅60.96cm・奥行き121.92cmと大きいので設置できる場所の確保が必要です。

また、管理をAWSが行ってくれているとしても施設の管理は自社で行う必要があり、ラックを設置する場所では、温度や湿度の管理をしなければなりません。

納品時は組み立てられた状態でAWSの技術者によって配送され、設置までしてくれるため効率よく導入ができます。

1-2-2.AWS Outpostsサーバー

AWS Outpostsサーバーは、以下2種類から選べます。

  • 1Uサーバー
  • 2Uサーバー

ラックのように大きくないので、設置場所が用意できない方でも利用可能です。ただしリソースプールの拡張はなく、コンピュート機能のみの提供なので注意しましょう。

また契約後配送されてきますが、設置は自社の担当もしくは委託業者が行う必要があります。

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2.AWS Outpostsのメリット

本章ではAWS Outpostsの活用メリットについて解説します。メリットを理解し、自社で利用すればどのような変化が起きるか、想像してみてください。

2-1.自社のデータセンターでAWSサービスを使用できる

メリット1つ目は、自社のデータセンターでAWSサービスを利用できる点です。

業務やプロジェクトによっては、サーバーの位置が明確でなければならない場合などもあるでしょう。そのような理由でも、AWS Outpostsを使用すればAWSのサービスが利用できるようになります。

また指定した場所にラックやサーバーを設置できるため、オンプレミスと物理的な線でつなぐことが可能です。ネットワークを経由しAWSのデータセンターとつなぐよりも、低レイテンシー接続が期待できます。

2-2.AWS側がフルマネージドな管理を行ってくれる

AWS側がフルマネージドな管理を行ってくれるのも、メリットでしょう。

AWS Outpostsでは、更新などの管理をする必要もなくAWSリージョンのように活用できます。

もしもハードウェアに問題が起きたとしても、2営業日以内にAWSの担当者が訪問して対処してくれるので安心です。

管理をAWSへ任せられるため、サーバーの管理や保守にかかる時間的コスト・人件費が抑えられ、効率的に業務がすすめられます。

3.AWS Outpostsのデメリット

AWS Outpostsを利用するデメリットとして、システムが複雑になり運用や管理が難しくなるといった点が挙げられます。

オンプレミスのサーバーひとつを利用するよりも、AWS Outpostsを併用するほうがシステムは複雑になるからです。

管理や保守自体はAWSがしてくれるものの、アクセス制御や情報セキュリティ対策などは自社で行わなければなりません。

他社サービスでも同様の課題ですが、システムが複雑になる点は考慮する必要があるでしょう。

4.AWS Outpostsの対応サービス一覧

AWS Outposts上で対応するサービスや機能は、下表の通りです。

  • 横にスクロールします
AWS Outpostsラック AWS Outpostsサーバー
コンピューティング
  • 汎用 (M5/M5d)
  • コンピューティング最適化 (C5/C5d)
  • グラフィック最適化 (G4dn)
  • I/O 最適化 (I3en)
  • メモリ最適化 (R5/R5d)

1Uサーバー:Amazon EC2 C6gd コンピューティングに最適化

2Uサーバー:Amazon EC2 C6id コンピューティングに最適化

ストレージ
  • Amazon EBS
  • Amazon S3
raw NVMe SSD インスタンス ストレージ(最大4つ)
ネットワーク
  • VPC拡張機能
  • ロードバランサー
  • ローカルゲートウェイ
  • プライベート接続
  • VPCインスタンス間通信
  • VPC拡張機能
  • ローカルネットワークインターフェース
コンテナ
  • Amazon EKS
  • Amazon ECS
  • Amazon ECS
データベースやデータ分析
  • Amazon RDS on Outposts
  • Amazon ElastiCache on
  • OutpostsAmazon EMR
該当なし
利用できるAWSサービス
  • AWS CloudFormation
  • AWS CloudTrail
  • Amazon CloudWatch
  • AWS Cloud9
  • Amazon Elastic Beanstalkなど
  • IoT Greengrass
  • Sagemaker Edge Manager
  • AWS CloudFormation
  • AWS CloudTrail
  • Amazon CloudWatch
  • AWS Cloud9
  • Amazon Elastic Beanstalkなど

※2023年12月時点での情報です。

それぞれ利用できるサービスも異なるので注意が必要です。詳しい内容を知りたい場合は、公式ページよりご確認ください。

出典:AWS Outposts ラックの特徴

出典:AWS Outposts サーバーの機能

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5.AWS Outpostsのユースケース

AWS Outpostsを活用できるユースケースを4例解説します。自社の利用用途や課題とすり合わせながら検討材料にしてください。

5-1.低レイテンシーなコンピューティング

AWS Outpostsは、レイテンシー要件が厳しいコンピューティングでも使用できます。

東京リージョンや大阪リージョンなどが物理的に遠く、パブリッククラウドが近くにないけれど、できる限り低レイテンシーにしたい場合もあるでしょう。

そのようなケースにAWS Outpostsを設置し、オンプレミスにAWSを拡張すれば低レイテンシー接続が実現可能です。

具体的にはマルチプレイで行われるリアルタイムゲームや医療・製造業などで活用できます。

5-2.データレジデンシー

規制や契約上、データの移動が不可能な場合にも、AWS Outpostsは使いやすいサービスです。

AWSのデータセンターは、実際の場所が分からず利用できない事例も少なからずあるでしょう。しかしAWS Outpostsを利用すれば、自社内にあるAWS Outpostsラックを活用し、ワークロードの実行やデータの保管を制御できます。そのためデータレジデンシーの要件が厳しかったとしてもAWSサービスを自在に利用できます。

金融や医療などのセンシティブな情報を取り扱う場合であっても、安心してデータの保管が可能です。

5-3.オンプレミス環境のモダナイズ

AWS Outpostsは、オンプレミス環境のモダナイズとしても活用できます。オンプレミスからクラウドへ移行したいと考えていたとしても、一気にクラウド移行ができない場合もあるでしょう。そのようなときに前処理としてAWS Outpostsを活用すれば、まとめて移行することなく準備しながら移行を実行できます。

結果、低レイテンシーを維持しておきたいサービスがあったとしても安心してモダナイズできるでしょう。

5-4.ローカルなデータ処理

ローカルなデータ処理を行いたい場合にも、AWS Outpostsは活用できます。

AWS Outpostsでは、データをパブリッククラウドに出す必要がなくなるからです。そのため情報セキュリティ対策としても安心でしょう。

ほかにも、S3 on Outpostsを活用すればデータをローカルの環境で処理・保存し、Amazon S3へ転送・処理・アーカイブの保存なども可能です。

6.AWS Outpostsの利用の流れと注意点

実際にAWS Outpostsを利用する場合の流れは、以下の通りです。

1.電力やネットワーク・スペース要件を満たすよう確保する

2.AWSマネジメントコンソールからOutpostsの内容を選択する

3.注文

4.納品・設置

5.起動

前提条件として、AWSエンタープライズサポートの契約が必要です。そのほか最低限のスペース確保ができるか、AWSリージョンへの接続サービスや電力が準備できるかなど細かい要件も確認してから注文を行いましょう。

注文はAWSマネジメントコンソールから行い、Amazon EC2やAmazon EBSのボリュームなどを選びます。

注文後AWS OutpostsラックであればAWS担当者が訪問、AWS Outpostsサーバーであれば自社で設置して利用できる状態となります。

AWS Outpostsを利用する注意点としては、場所や電力、室温などの管理は自社で行わなければならないという点です。

室温は5〜35°C、相対湿度は 8%〜80%以内を維持し、結露などができない条件を整えましょう。またAWS Outpostsは単体では使用できません。必ずリージョンと接続する必要があることも理解しておきます。

ネットワークの接続に関しても、AWS Direct Connectを利用した専用接続などが必要なので、しっかり要件を満たしているか確認しておく必要があります。

7.AWS Outpostsの料金体系

AWS Outpostsの料金は、設定する内容によって大きく異なります。基本的にはAmazon EC2のキャパシティに合わせて価格が変動します。

契約の期間は3年間とし、一括前払い・一部前払い・前払いなしから選択可能です。前払いなしは、月額利用料として価格設定されますが、その分総支払額は高額になるため注意しましょう。また価格には、配送代金や回収の費用・サービス代金なども含まれています。

詳しい内容は以下の公式ページよりご確認ください。

AWS Outpostsラックの料金(AWS)

AWS Outpostsサーバーの価格設定(AWS)

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8.ハイブリッドクラウドの導入ならぜひNTT東日本にご相談ください

AWS Outpostsを活用してハイブリッドクラウドの検討はしているものの、うまく活用できるか不安だったり、エンジニアの人材不足でなかなか導入に踏み切れなかったりする方もいるでしょう。

そのような場合は、ぜひNTT東日本にご相談ください。NTT東日本では、AWSの有資格者であるエンジニアが担当者となり、構築・導入・運用・保守までワンストップで支援しています。

お客さまのニーズに合わせ親身に課題と向き合い、解決策を提案いたします。クラウド導入支援の実績を200社以上もつNTT東日本は、今までの知見を元にサポートが可能です。

ご興味のある方は、以下のページをご参考ください。

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AWS Outpostsについてまとめ

AWS OutpostsとはAWSの環境をオンプレミスに拡張して使える、フルマネージド型のハイブリッドクラウド製品のことです。

AWS Outpostsを活用すれば低レイテンシー接続が期待でき、自社のデータセンターにてAWSのサービスが活用できます。一方管理はAWSが行ってくれますが、物理的な場所の管理は自社で行わなくてはなりません。実際にハイブリッドクラウド導入に向けてAWS Outpostsが最適なのかお悩みの方は、一度NTT東日本にご相談ください。

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