COLUMN
2020年10月7日開催ウェビナー「“テレワーク”をもっと活用する!~“クラウド“活用によるあたらしい働き方~」レポート
東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)東京事業部は、2020年10月7日NTT品川TWINSビル1階セミナールームにて開催された、「“テレワーク”をもっと活用する!~“クラウド“活用によるあたらしい働き方~」と題したウェビナーの模様をレポートさせて頂きます。当日に参加頂けなかった方のご参考となれば幸いです。また、レポートをご覧になっての疑問点や質問事項などございましたら、お問い合わせ頂ければと思います。
第1部「クラウドを活用したテレワークの最前線」
第1部では、ネクストモード株式会社 代表取締役社長 里見氏より、実際に利用しているテレワーク環境をご紹介いただきつつ、活用しているSaaSについてご講演をいただきました。
なお、里見氏はワーケーション中ということで北海道からセミナーに参加され、そこで気づいた点などもご紹介頂きました。
1. ネクストモード会社紹介
ネクストモード社は2020年7月1日にNTT東日本とクラスメソッド社の合弁により設立されました。「クラウドで新しい働き方を」をミッションとしています。
全社員がテレワークで働く会社で、オフィスを持たない業務形態が特徴となっております。
業務内容は「クラウドからネットワークまでを一元提供」で、具体的には以下のような業務を展開しています。
①クラウドSI構築
オンプレからのマイグレーション、データ移行
AWSやGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azureなどパブリックなクラウドを使っての構築作業を実施
②クラウド保守運用
高度なクラウドの代行作業
③クラウドへの最適なNetwork
ゼロトラストネットワークを得意とする
2. 新型コロナウィルス感染症によるテレワークの増加
新型コロナウィルス感染症が登場してからテレワークを導入する会社が増加しました。
特に首都圏では導入スピードが早く、4月くらいには既に53%の会社で導入したと言われています。
ただ、全国規模で見た場合、中小企業でのテレワーク実施率が低く、特に100人未満の会社では16.6%に止まっています。
テレワークを導入しない理由については“テレワークをすることによって仕事上のストレスが増えるのではないか”と、懸念される企業が多く、実際に“テレワークをすることにより6割の方が仕事上のストレスが増えたと感じた“という調査結果が報告されています。
その原因について、調査結果によりますと、オンラインのツールを上手く使えていないためと分析されています。
仕事上のストレスを解放
仕事上のストレスを具体的には何か?と考え、ネクストモード社では従来通りの働き方を引きずったままテレワークを行っても仕事上のストレスが増えるばかりなのではないか?と考えています。
紙を印刷しての業務や押印の文化などを続けていると、どうしても出社の必要が発生します。
また、お客さまのとのやり取りにチャット、Backlogのようなプロジェクト管理ツールなどを用いることを禁じている会社もあるそうです。
勤怠についても会社に出社して働くという従来型の勤怠形式を引きずったままになっていたりします。
リモートであっても従来通り社内会議向けや上司に提出するためにきれいな資料を作らなければならないという会社は少なくなく、リモート環境では事前チェックのため朱入れが難しく、これがストレスになります。
“労働は苦行”という思考からの脱却
「テレワークを行うと仕事とプライベートの境目が曖昧になる」という意見をよく聞きます。
その根本には「労働は苦行という考え」があります。
テレワークの時代には「働く」という考えを変えていく必要があるとネクストモード社は考えています。従来型の指示待ちの受け身姿勢なやりかたでは自宅にいてもリラックスできません。働き方そのものに関する環境やカルチャー、会社の仕組みというものが重要ファクターになります。
ネクストモード社でのテレワーク環境について
ここではネクストモード社でテレワークをやってみてどうだったか、そのメリットを紹介しています。
リモートだから得られた価値として以下を挙げています。
- 通勤時間がゼロになる
睡眠時間を確保できる。プライベートの時間が増える - 空き時間にランニングができる
ランニングなどで頭をリセットできる - 家族で食事する時間が増えた
- ワーケーションができる
北海道など出先からでも仕事ができるというとで、発信先の北海道 名寄の風景や北海道の鶴井村での仕事環境などの紹介を交えて説明されました
3. ネクストモードで活用しているSaaS
どんなツールを活用して実施しているのか、システムの話について具体例を交えて紹介
クラウドの実演販売
ネクストモード社ではSaaSと呼ばれるクラウドの一つ一つのサービスを組み合わせて業務を行っています。以下に導入ツールを紹介します。
SaaS導入時の注意点として、今までの働き方を維持しながらSaaSを導入するのではなく、SaaSに合わせて働き方を変えていくことが重要です。
例えばfreeeの場合、クレジットカードなどキャッシュレス決済にスイッチしなければ意味がありません。現金決済を持続する場合は導入メリットを得ることができなくなります。
ツールを選択する場合は、お客さまの業務にマッチしたものを見つけていくのが大切であると述べています。
電子化が進まない理由
ここでは、ペーパーレス化が進まないジャンルを紹介しています。
取締役会議事録の場合
会社法369条(取締役会の決議)により議事録には出席した取締役及び監査役の署名または記名押印が必要です。
議事録が電子媒体の場合、法令で定める署名または記名押印に代わる措置(X509 PKI方式)が必要になります。
なお、ネクストモード社では、X509 PKIがメジャーな電子署名方式では搭載されていないことが多いため、電子化が進んでいないと発言されていました。また、2020年5月29日に法務省の解釈の変更によりDocuSignを含めたクラウド型電子署名の有効との見解も発信されましたが、登記の添付書類として利用する取締役会議事録には未だX509 PKIのみとなっているので注意が必要とのことでした。
ここからは各ツールについての解説になります。
GSuiteの紹介
スケジュール調整
スケジュール調整がGoogleカレンダーで簡単にできます。
スケジュールのURLを相手先に送ると、相手に空き時間、予定時間の全てが伝わり、更に相手側からスケジュール予約もすることができます。
会議の効率化
議事録を作るというスタイルを取らず、共同編集機能により全員で同じ資料の修正が可能なため、特定の書記が不要になります。また、最新資料が共有できるため、バージョン管理が不要になります。
更に、会議の録画機能を使って会議不参加の場合も後日会議内容を把握することができます。
Amazon ConnectとSlackを使った電話の自動応答
ネクストモード社では代表電話を持っていません。SlackとAmazon Connectの組み合わせを使って電話の自動応答を実現しています。
電話がかかってきた場合、Slackの画面に着信の履歴が残るので、後から折り返し電話ができます。
メリットとして以下のようなものがあります。
- ①電話の時間を減らせる
- ②電話の取次ぎを減らせる
- ③電話による業務の中断を無くすことができる
社内簡易決済のフローの作成
Backlog→Slack→GSuite(Gmail)など複数のSaaSの組み合わせにより簡易な決済フローを作成しています。
メリットとして、メンバーはSlackさえ見ていればPC、携帯からでも何処にいても仕事が出来ます。
効率的なSIフローの作成
同様に、Backlog→Slack→GSuite(Meet機能)の組み合わせにより効率的なSIフローを作成しています。
メリットとして以下のように業務の効率が改善されています。
契約に要する日数/件:20営業日 → 0.1営業日に短縮
納品に要する日数/件:20営業日 → 1営業日に短縮
(お客さまのオフィスまでの移動の省略。納品ドキュメントの自動化)
1人あたり担当できる案件数:1件 → 4件に増加
(課題管理の簡易化、個人稼働の見える化)
※ネクストモード社のレポートより
テレワークに変えて行く上で重要な事項
最後にネクストモード社の里見氏がお伝えしたいこととして次のことを紹介されました。
働き方をテレワークに変えて行くために重要なものとして以下を挙げています。
情報システムの仕分け
- コア業務
お客さまにとって重要なコア・コンピタンスとなる業務、即ち基幹システムや主軸の業務と密接に連携した業務については従来通り、1から開発を行うスクラッチ開発が必要であると考えています。場合によってはオンプレ環境も必要となります。 - ノンコア業務
社外とやり取りするシステム(メール、WEB、チャット、プロジェクト管理、ゼロトラスト、シングルサインオン、クラウド基盤(AWSなど))につきましてはお客さまとのコア・コンピタンスとなるのは稀です。思い切って外出をしてSaaSのような既存システムを組み合わせて実施すればコスト削減と柔軟な会社運営ができます。
その結果、テレワーク業務もやり易くなります。
ノンコアな業務かコアな業務か社内システムで切り分け、ノンコアな業務をクラウドに切り替えてテレワークがやり易い環境を作っていくことを推奨され、本講義を締めくくりました。
第2部 「Amazon Connectを使った在宅コールセンターの実践例」
目的 テレワーク(在宅勤務)化におけるコールセンターの導入事例を知る
ここからはNTT東日本 奥谷氏によるAmazon Connectを使った在宅コールセンターの実践例について、Amazon Connectの特徴からお客さまの導入事例について紹介しました。
1. はじめに
かねてよりコールセンター業務は在宅で出来るように検討すべきと言われてきました。ここでは、その背景について説明しながら在宅コールセンターのソリューションの一つと成り得るAmazon Connectについて解説されました。
コールセンターを在宅で行うように検討すべき理由について、以下の2つの観点を挙げています。
①人材不足の観点
少子化に伴う労働人口が減少する中、企業の成長において如何に新たな労働力(地方、主婦、シニア等)を確保していくかが重要です。
テクノロジーを駆使して業務を自動化し、労力を省力化することは重要ですが、企業活動においては、電話応対業務のような人を介する業務は残ります。
そうした場合に、人材不足を補うために新しい人材の確保と退職率を下げることが大事になります。どちらのアプローチにおいても、どこでも働ける環境の整備が重要な要素になります。
②BCP(事業継続計画)の観点
これまでの整備は、自然災害等を想定して分散化や地理的な距離を考慮したロケーションについてシステムの在り方を検討してきました。
現在のコロナ禍の環境整備では、分散ではなく拡散化したロケーション、つまり在宅を整備することに変わってきています。
コールセンターにおけるテレワーク(在宅勤務)の現状と課題
現状
在宅コールセンターの必要性は世の中でかなり認知されてきていますが、企業の79.2%で在宅のテレコミュニケーターの採用予定が無いという調査結果を紹介しています。(日本コールセンター協会の調査データより)
理由
上記アンケート結果より「在宅環境下におけるセキュリティ上の問題」が一番問題視されました。
導入時に想定される課題
上記の問題を解決した際に、導入する際の課題として以下のようなものが挙げられています。
①在宅用に専用電話機、VPN環境、コンタクトセンターのライセンスが必要
②セットアップするために数カ月の期間が必要
③専用機器を自宅に送付。在宅勤務者自らが設置&セットアップが必要(不慣れな人にはハードルが高い)
これらの課題解決をサポートする一つのソリューションと成り得るのがAmazon Connectになります。
2. Amazon Connectとは
Amazon ConnectはAWS上で動作する仮想コールセンターシステムです。
主な特徴は以下になります。
- 100%クラウドベース
- 設定・変更はセルフサービス
オープンプラットフォーム - AWSのエコシステム
それぞれの特徴について詳細な解説をしました。
①100%クラウドベース
図が示すように全てAWSが管理するクラウド上の基盤で動作しています。
Amazon Connectの利用者はPBXを準備したり、電話回線を準備する必要がありません。
お客さまが準備するものはPC、UBSヘッドセット、インターネット環境の3点があれば何処にいてもコールセンターのシステムが利用することができます。
クラウドサービスですので利用料金は、オンプレミスではエージェント(オペレーター)数によってライセンス料が上昇したりしますが、利用した時間に対し課金される完全従量課金制で利用することができます。
②設定・変更はセルフサービス
オンプレミス環境では、コールセンターシステムであれば数カ月かけて環境構築するとこをAmazon Connectは数時間もあれば利用することができます。
非常に簡単なステップで設定することが出来、エンジニアでなくても簡単に環境を整えることが出来ます。
図にあるようなステップで設定します。
- 手順1;
Amazon Connectインスタンス作成 - 手順2:
ユーザの作成 - 手順3:
問い合わせフロー(コールフロー)の作成
電話した人に対し、どの自動音声を流すか、といったフローを作成 - 手順4:
電話番号取得(Amazon Connect内で新たに電話番号が取得できる)
この後、デモ動画で実演しながら構築手順の説明となりました。
③オープンプラットフォーム
Amazon Connectだけではなく、AWSの全体的な特徴となりますが、色々なAWSサービスとは他のAWSのサービスと連携することが出来ます。
(例)通話録音データのAmazon S3への保存などのAWSの他サービスとの連携
Amazon S3に保存した録音データを音声認識サービスAmazon Transcribeによりテキスト化して、テキスト化したデータを感情解析AIサービスAmazon Comprehendにかけて解析、結果を蓄積してオペレーターへ送信します。
オペレーター送信時に具体的なアクションを告知することでオペレーターの実際の電話応答の品質向上につなげることができます。
(例)Amazon Connect専用のソフトフォン(CCP:Contact Control Panel)と外部連携
Amazon Connect専用のソフトフォン(CCP)にオペレーターがつなぐと、電話をかけたり、電話の着信や応対可能かの状態をCCPで管理できます。
図にある通り、Amazon ConnectはSalesforce, Zendesk, ServiceNowなどの多くのCRMサツールとシームレスに繋がるため既存のCRM操作を損なうことなくコールセンター業務を行うことが可能です。
AWSのエコシステム
Amazon ConnectはS3だけではなくセキュリティ等のAWSのマネジメントサービス全てと連携することも可能です。
全てのサービスは使いたい時に、使いたいサービスを使いたいだけ必要なスペックで利用が可能ですので、クラウドの特徴を大きく活かせます。
セキュリティ対策について
在宅コールセンターの課題となっていたセキュリティについての解説になります。
ソフトフォンとAmazon Connectの間の通信は全て暗号化されているので安心です。
エージェントが利用する際に多要素認証(MFA)やIPアドレス制限を行うことが可能ですので、これらを使ったセキュリティ対策も出来ます。
仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpaces内でのコンタクトセンターのオペレーターの環境を作ることが出来るので更なるセキュリティの強化が可能となります。
料金
最後にAmazon Connectの料金ですが、以下のようになります。
- サービスの利用時間
- 電話番号の利用時間
- 発着信通話料金など
※詳細はAWSのサイトを参照して下さいとのことでした。
3, NTT東日本におけるAmazon Connectを使った在宅コールセンターの実践例
NTT東日本では多くの企業様と同様に沢山のコールセンターを持っています。
- フレッツ光の申し込みを受け付けるコールセンター
- 法人カスタマーサービスコールセンター
他
これまでは、オンプレミスのコールセンターシステムを多く利用してきました。
しかし、新サービスを世の中に出す場合、次のようなことが起こってしまいます。
- ビジネスサイドの要請から いきなり従来のオンプレミス相当のコールセンターシステムを導入するだけの予算が無い
- ビジネスの発展に合わせてガイダンスなどIVR等の設定を柔軟に変更したい
従来のオンプレミス方式ではなかなか上記の要件を満たすことが出来ませんでした。
Amazon Connectを導入することで、これらの要件を満たすことが出来ました。
NTT東日本におけるAmazon Connect導入の具体的効果
具体的な導入効果として以下のようなものがあります。
- (1)コールセンターの質向上
- (2)コスト抑制
初期投資なく利用可能
特に今回、環境を全て自前構築のため、イニシャルのキャッシュアウトは0円 - (3)導入までの期間が非常に短く設定変更も容易
導入までの期間(使用開始まで):約1ヶ月
NTT東日本における構成例
NTT東日本の本事例では可用性を高めるため、複数のインターネット回線を敷設して実際のコールセンターとつなげる形を取っています。
これらの回線を経由して特定のIPの通信みを許容してオペレーター用の専用のWebサイトを使い、ここからAmazon Connectを利用するという構成を取っています。
また、コールセンターが止まらないよう発着信問題なく行われていることをAWSのサービスを利用して監視しています。主担当者にアラートの通知する対応を取っています。
NTT東日本での新型コロナウィルス感染症の影響について
新型コロナウィルス感染症の影響が大きくなる前からAmazon Connectを利用したコールセンター業務を行っていたため、1ケ月未満で環境整備を推進することが出来たそうです。
4, お客さま導入事例のご紹介
最後に、お客さまの事例を3点紹介されました。
(1)医療系のお客さまの事例紹介(導入時期:2020年9月)
コロナ禍において、お客さまと従来通りの連絡体制が取れない状況であるにも関わらず、健康相談の電話は非常に増えてきました。
Amazon Connectを利用し、IVR(自動音声応答機能)・通話録音・文字起こしの電話受付システムを1ヶ月で構築することが出来ました。
(2)器具メーカの事例紹介(導入時期:2020年9月)
お客さまの環境に在った既存のCRMシステムと連携した在宅コールセンターを構築事例になります。
こちらの客様はセキュリティに対し非常に懸念されていましたので
仮想デスクトップ環境のAmazon WorkSpacesを活用し、セキュリティ強化を実現しました。
(3)株式会社コジマ(以下、コジマ社)の事例紹介(導入時期:2020年9月)
第3部で登壇されるコジマ社の事例を紹介されました。
店舗の改装や移転があった場合に、改装元の店舗から改装先店舗への電話転送された場合、どの店舗からの転送かを判別できない問題を抱えていました。
Amazon Connectを活用して、どの改装元店舗からの転送かを判別できるようにしました。
最後に
「NTT東日本ではAmazon Connectを含め、お客さまのクラウド活用に必要なことをインフラ面含めてトータルでサポートさせて頂いております。
在宅コールセンターを使いたい場合はご相談下さい。」
とのコメントで締めくくりました。
第3部 「クラウド導入業者を交えて対談」
テーマ:
- クラウドを活用して良かったこと
- テレワーク環境におけるクラウドの活用方法について
トークメンバ:
- 株式会社コジマ 情報システム部 課長 森下 万優 氏
- 里見 宗律 氏
- 奥谷 智 氏
第3部はクラウド導入事業者を交えた対談ということで。第1部の講師を務めたネクストモード社の里見氏、第2部の講師 NTT東日本の奥谷氏に加え、コジマ社の森下氏を交えてのトークセッションを行いました。
トークセッションはNTT東日本の奥谷氏が進行役となり、お二人に質問する形式で執り行われました。
先ず始めにコジマ社の森下氏より、企業概要の紹介をして頂きました。
株式会社コジマ
2016年で操業100年を迎えたペット総合専門店です。
関東を中心にコジマ動物病院を展開し、サービス部門にはトリミングサロンやペットホテル、トレーニングなどを展開しています。また、猫カフェやペットに特化したSNSアプリも展開しています。
ペット業界を取り巻く課題について
トークセッションでは先ず、ペット業界を取り巻く課題やコジマ社特有の課題についてから始まりました。
ペット業界の課題
①アナログな文化がまだまだ多い
取引先には個人経営者が多いためペーパーレス化が遅れており、デジタルツールを使った取引が難しい状況です。
②働き手の不足
生き物を世話する働き手の不足を感じています。
コジマ社の課題
同じく働き手が重要で、店舗、医師、トリミングなどの各分野での専門知識を持ったスタッフや獣医師の確保と育成がとても大事になっています。
専門分野の勉強は最も大切ですが、通常業務の中で勉強会を開催したりする時間を設けるのは困難であるため、アナログ文化から脱却することで業務の効率化をめざしています。
業務の効率化に対する具体的な対策について
次に、今まで業務の効率化について具体的にどのような対策を取られたかを尋ねました。
コジマ社でも効率化実施前は紙文化中心でしたが、先ずはペーパーレス化から着手しました。
ペーパーレス化環境を構築していく上で、これを管理するソリューションを検討しました。その結果、クラウドサービスを利用して管理する方法を構築しました。具体的には、販売契約書、保険申込書、トリミングの施術カルテの電子化を実現しました。
ペーパーレス化の実績について
コジマ社のペーパーレス化実施により、どのくらいの量の紙の消費削減につながったかについての質問になりました。
導入した2016年当初は、差ほどの成果はありませんでしたが、2020年初頭では以下のような成果を得られました。
- 販売契約書、保険申込書、トリミングの施術カルテの電子化の稼働率:99%
- 作業時間を60%短縮
- 文書のチェック作業を90%減
- 年間、紙利用20万枚以上を削減、紙を補完するスペースを削減
- 相乗効果で各分野の勉強会の出席率が向上
ペーパー利用からアプリ利用へ円滑な移行方法について
紙で処理していた人達を新しいシステムに上手く移行できたのかの質問になりました。
iPadなどタブレットPCを使ったアプリ導入に向け研修チームを立ち上げ、練習用アプリを用意して、全店舗を回って操作説明を実施しました。
インフラ整備について
iPad等の端末導入に続き、インフラの整備についての質問になりました。
コジマ社では、元々半分の店舗でWiFi設備があり、iPad導入に合わせて全店にWiFi環境(NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」を導入)を整備しました。
また、元々アナログ回線だったものを最大概ね1Gbps(※)の光回線に変更しました。
他の業界での導入時の課題(ネクストモードで手掛けた案件から紹介)
コジマ社よりペット業界の話を伺いましたが、ネクストモード社の里見氏より他の業界での業務の効率化やアナログからの移行についての課題について尋ねました。
コロナの影響で投資を抑制しているので、働き方を変えて行く方法として、SaaSを上手く組み合わせて安価で業務改善を実現する相談が多くなっています。
従来はNTTデータや東芝などの大企業に依頼していた相談案件がネクストモードに回ってくるようになりました。
SaaSやクラウドでお客さまが悩まれている点について
続いて、里見氏に対し、SaaSやクラウドについて、お客さまがどういった点に悩まれているかについての質問になりました。
官公庁系からの相談を受けることがありました。
オフィスを持たないでどうやって働いているのか?どのようなツールを使っているかなど質問されたそうです。中でも多かったのが、コミュニケーションツールSlackの相談でした。
面白かった事例としてSaaSの相談を受けた際のエピソードを紹介されました。
- 従来は“基幹システムとSaaSをどうやって繋いていくか”をここ数年検討していたが、基幹システムに手を加えることになるので遅々として進まなかった
- ネクストモードが相談を受けた際には、基幹システムに手を加えず、取り敢えずSaaSのPoCを進めたいので30ライセンスが欲しいと言われた
- スピード感を持ってクラウド化を進めるには既存のシステムには手を付けずにクラウド化できる分だけ導入する方法を進めた。
- 非公式にSlackを使っている人数の調査を実施(約1割で利用していた)
- 導入が遅れている会社では従業員の方が勝手にツールを使いだしてガバナンスの統制ができないという現象が起きている。コロナ影響以降、この手の相談が増えた
コロナ影響による経営や店舗運営の変化などについて
新型コロナウィルス感染症の影響が大きくなってきてからのコジマ社での経営や店舗運営について従来からどう変化していったか関しての質問になりました。
店舗運営に関しては、緊急事態宣言発令後、商業施設内で運営している店舗は休業しました。宣言解除後は時短営業を実施中です。
病院についても一部で診察時間を変更しているとのことでした。
コジマ社でのAmazon Connectの活用について
第2部で少し触れた、コジマ社でAmazon Connectをどのように利用しているかの質問になりました。
導入理由
- ボイスワープ対応の改善
従来は、店舗改装や移転の際に転送先にボイスワープをかけて終わりでした。ボイスワープでは何も説明なしに転送されるため、お客さまのトリミング予約を転送先で受けてしまうという事態が発生していました。
活用してみた感想
- お客さま・従業員ともに混乱しない対応が可能
緊急事態宣言に伴う店舗休業の際は、Amazon Connectのフローを活用し、近隣の営業している店舗に転送する対応ができました。メッセージに関しては休業中の店舗から営業中の店舗へ転送する旨のアナウンスを流したことでクレームが発生するような事例は発生しませんでした。 - 一時番号払い出しなど他のメリットも
Amazon Connectの電話番号取得機能を利用し改装期間中限定の電話番号を発行し、社内携帯のボイスワープに転送してお客さまとのやりとりに使用しました。また、動物用保育園の運営で通勤されるお客さまとの通話に早朝限定の番号の発行などの払い出しに利用しています。
導入時の操作方法に関する難易度や操作感について
新Amazon Connectを使った設定変更はコジマ社自ら実施しているかの質問になりました。
設定変更や番号払い出しはコジマ社側で実施しています。
レクチャーを受けていたこともありますが、導入後はすぐに操作することができました。慣れてしまえば操作は難しくないとの回答でした。
SaaS環境に慣れない人に対し対応させるためのコツについて
コジマ社のように上手く使いこなせる方も居れば、不慣れな方も居ます。不慣れな方がテレワークやクラウドを活用していくコツについてネクストモード社の里見氏への質問となりました。
お客さま観点で言うとコミュニケーション手段を用意しておくのが大事になります。
(例)メール、電話、LINEによる問い合わせ、HP上でのチャットポッドの用意など高齢者向けには一番馴染みのある電話を。
夜中の対応などはLINEに(オペレーターコストが高くなり、LINEが使える若い層のお客さまが多いため)
Amazon Connectを利用するまでは、PBXを用意するなど設備費が高価でしたが、今では一つ一つのサービスが安い金額で提供できるため、お客さまに合わせ間口を広く持つことが重要になります。
また、コジマ社でAmazon Connectの導入時に一店舗ずつ回って利用方法を説明したように、導入時の社内教育も重要になります。
社内にツールを導入した時は、細かく勉強会を実施するようにします。
この時、勉強会をライブでもやりますが、録画して時間差で見られるようにします。
これにより、何度も何度も同じ勉強会をやる必要がなくなります。
但し、動画は同じでも質問は毎回違ってくるので、動画を再生する時間を予め設定し、動画再生後にリアルタイムで質疑応答の時間を設けるなど、研修方法を工夫することが大切になります。
コジマ社からNTT東日本などのITベンダに期待すること
トークセッションの最後は、コジマ社よりネクストモード社やNTT東日本などITベンダに期待することという質問になりました。
5,6年前では、特定条件がハマればクラウドを選ぶのがベストではないかと思っていました。ピークタイム、オフタイムがはっきりしている場合はクラウドを選ぶのがベストで、ミニマムスタートでこの先展望が見えないので、とりあえず入れてみようという時はクラウドをチョイスするのが当たり前と思っていました。
今現在ではそういった条件抜きでクラウドをすることが標準であると考えています。
ただ、各企業によって考えが異なるのでどのクラウドを選ぶのがベストなのかは、クラウド導入時はNTT東日本など、戦略的パートナーに依頼するのが一番だと思います。
コジマ社としても今後を見据えて、オンプレは可用性の問題があるのでクラウドサービスを併用して今後も展開して行ければ、と考えているとのことでした。
ネクストモード社でサポート可能なクラウドサービス
ネクストモード社に対しても最後の質問としてサポート可能なクラウドサービスについて尋ねられました。
ネクストモードはコンサルティングから入るので、お客さまからこのサービスが欲しいと言われて提供するのではなく、お客さまの状況(今はどういう状況で、どんな業務をやっていくのかなどをリストアップ)をヒアリングした上で、お客さまにマッチするものをネクストモード側から積極的に提案できるようにしています。
クラウドサービスは日々変化し、日々新しいものが出てきているため、お客さま側で全てを把握するのは困難です。ネクストモードでは、現状の最先端のものを提案出来るので活用頂ければと回答されました。
以上でトークセッションは終了となりました。
Q&Aコーナー
引き続きQ&Aコーナーに移行しました。
Q:(ネクストモード里見氏に対する質問)
ワーケーションを行っている際の従業員とのリモート環境でのコミュニケーションで意識している点について教えてください。
A:ワーケーションをしている時と自宅にいる時で変わりはない
気を付けている点:
雑談を沢山行う。
細かいことでもWeb会議を行って顔を見て話すようにしている
リモートならではのコミュニケーションで色々取る
(飲み会などはできないので、部下との個別面談の際は、面談の時間に合わせて料理を送ったりするなど、お互い同じものを食べて面談をするなど、一緒に同じものを食べながらするとコミュニケーションの密度が高まったりする)
リモートならではの工夫を試行錯誤しながら、できるだけコミュニケーションを密に取るよう気を使っていると回答されました。
おわりに
本レポートではネクストモード社のテレワーク環境の紹介、Amazon Connectの概要と在宅コールセンター導入事例の紹介、クラウド導入業者を交えての対談の様子を紹介しました。テレワークの導入、Amazon Connectを使った在宅コールセンターの導入を検討中の方の参考になれば幸いです。
今後も随時ウェビナーを開催していきますので当社クラウドソリューションサイトのイベント・セミナーページを引き続きご確認ください。
また、テレワークの導入やAmazon Connectを使った在宅コールセンターについて、個別にご相談したい方は、オンラインでの個別相談会も開催しております。お気軽にお問合せください。
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