COLUMN
Amazon SESとは?メリットや使い方・注意点、料金などを一挙に解説
AWSが提供するAmazon SESとは、一度に大量のメールを配信できるサービスです。
本記事では、Amazon SESとはなにか、特徴やメリット、使い方について紹介します。またAmazon SESによるメール送信の注意点や、料金についても解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【入門編】「クラウド導入を成功させるためのお役立ちマニュアル」はこちらからダウンロード!
目次:
- 1.Amazon SES(Simple Email Service)とは?
- 1-1.Amazon SNS(Simple Notification Service)との違い
- 2.Amazon SESの特徴とメリット
- 2-1.送信オプションの選択
- 2-2.配信可能性の向上
- 2-3.メール送信アクティビティのモニタリング
- 2-4.メール受信後の処理の自動化
- 3.Amazon SESの使い方:メールを送信するための設定方法
- 3-1.メールアドレスまたはドメインを設定
- 3-2.送信者認証を行う
- 3-3.メールの送信
- 4.Amazon SESによるメール送信の注意点
- 4-1.送信制限や送信結果のモニタリングが必要
- 4-2.ユースケースによっては専用IPアドレスからの送信を検討
- 4-3.受取人が存在しないなどのバウンス処理が必要
- 5.Amazon SESの料金
- 6.AWSの導入・運用ならぜひNTT東日本にご相談ください
- Amazon SESについてまとめ
1.Amazon SES(Simple Email Service)とは?
Amazon SES(Simple Email Service)とは、AWS(Amazon Web Services)が提供するメール配信サービスです。メール配信サービスとは一度に大量のメールを配信できるサービスのことで、Amazon SESを導入すれば、管理画面より配信先やコンテンツの設定、登録、配信、分析などが可能です。
メールの配信自体はAmazon SESを利用しなくても可能なため、サービスを利用する必要性を感じない方もいるかもしれません。しかしAmazon SESを利用すれば、簡単な操作でコストパフォーマンスの高い業務が実現できます。
ビジネスにおいてSNSによるマーケティングが重視される一方、メールは会員登録の完了通知や本人確認としての手段、セール情報の告知などでいまだ必要とされていて、これからも需要があるでしょう。Amazon SESを利用すれば、統括的な顧客管理を簡単に行えます。
1-1.Amazon SNS(Simple Notification Service)との違い
Amazon SESと混同してしまいがちなサービスに、Amazon SNS(Simple Notification Servise)があります。Amazon SESとAmazon SNSの違いは、Amazon SESがメール機能中心である点に対して、Amazon SNSはSMS(Short Message Service)やモバイルプッシュ通知が利用できるなど、ユーザーに対しての通知機能が中心となる点です。
また、次の章から詳しく紹介しますが、Amazon SESはメール機能に特化したサービスであるため、Amazon SNSと比較して多くの送信オプションを持っている点も特徴といえるでしょう。名前の似ている二つのサービスですが、特徴を理解し、最適なサービスを選ぶことが大切です。
Amazon SNSについては、以下の記事で詳しく解説しています。Amazon SNSの特徴や機能、具体的な用途や導入例も記載していますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
2.Amazon SESの特徴とメリット
Amazon SESの特徴やメリットには、以下の4つが挙げられます。
- 送信オプションの選択
- 配信可能性の向上
- メール送信アクティビティのモニタリング
- メール受信後の処理の自動化
順番に見ていきましょう。
2-1.送信オプションの選択
Amazon SESは、送信オプションを選択できる点が特徴です。具体的には、以下の送信オプションが利用できます。
- Amazon SESコンソール
- Simple Mail Transfer Protocol(SMTP)インターフェイス
- Amazon SES API など
SMTPとは、インターネット上でEメールを送受信するために利用される通信プロトコルです。またAPIとは、ソフトウェアやプログラム、Webサービスをつなぐインターフェースを指します。
Amazon SESはSMTPおよびAPIからの送信が可能であるため、プログラムに簡単に組み込めて、既存のホームページに機能を追加する形での開発も可能です。
2-2.配信可能性の向上
Amazon SESの特徴として、配信可能性の向上も挙げられます。配信可能性とは、送信したEメールがスパムや迷惑メールフォルダに振り分けられることなく受信トレイに届くことで、Eメール戦略を成功させるためのコアとなる要素です。
Eメールによる顧客接点の維持は手軽に始めやすい一方で、送信する内容によっては、受信者やインターネットサービスプロバイダ、アンチスパム組織などに、迷惑メール送信者と判断されてしまうリスクも持ち合わせています。配信可能性は送信元の評価によって決まるため、常に質の良いコンテンツを送信することが大切です。
Amazon SESでは低評価を回避できるように、以下をシミュレートする機能を備えています。
- 低品質のメールをふるいにかける機能
- 送信前にどの程度配信されるか判断する機能
- 苦情がどのくらい発生するか予測する機能 など
また、配信に悪影響を与える問題を究明するためのダッシュボードも用意しているため、苦情の状況やアンチスパム組織からの報告など、イベント発生に応じて通知を受けることも可能です。
2-3.メール送信アクティビティのモニタリング
メール送信アクティビティのモニタリングができる点も、Amazon SESの特徴です。Eメールで顧客にアクションを求める際、すべての人に同じ内容の文章を送るよりも、個々の顧客の志向や行動履歴に基づいて最適化されたコンテンツを送る方が、より共感が得られます。
Amazon SESにはいくつかのテンプレートが準備されており、個人最適化できる部分を自動的に置き換える機能もあります。またメールの送信状態をモニタリングして、以下の数値を取得することも可能です。
- 送信数
- 開封数
- クリック数
- バウンス数
- 苦情数 など
取得したデータはストレージサービスである「Amazon S3」や、データウェアハウスの「Amazon Redshift」に保存し、分析ツールである「Amazon Kinesis」で処理できます。Amazon SESはAWSによって提供されているため、AWSのサービスとシームレスに連携できることも、メリットといえるでしょう。
2-4.メール受信後の処理の自動化
最後に挙げるAmazon SESの特徴は、メール受信後の処理の自動化です。Amazon SESでは、一般的な受信用のメールボックスが用意されているわけではありません。しかし送信だけでなく、利用者のドメイン宛てのEメールを受信できるメールサーバーとしても利用できます。
送信者のEメールアドレスやIPアドレス、ドメインに基づいてメールの受信許可または拒否ができるだけでなく、以下の各サービスによって受信後のアクションを制御することも可能です。
- Amazon S3バケット
- Amazon SNSトピック
- AWS Lambda
- Amazon WorkMail など
あらかじめ設定した受信ルールを評価して各サービスに実行権限を与え、次のアクションが実行できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
3.Amazon SESの使い方:メールを送信するための設定方法
Amazon SESとはなにか、特徴やメリットについて説明してきましたが、具体的にメールを送信するための設定について知りたいと思う方も多いでしょう。
Amazon SESの具体的な使い方は、以下の通りです。
- メールアドレスまたはドメインを設定
- 送信者認証を行う
- メールの送信
順番に解説します。
3-1.メールアドレスまたはドメインを設定
Amazon SESでメールを送信するためには、まずメールアドレスまたはドメインの設定が必要です。AWSにログイン後、検索欄に「simple email service」と入力し、「Amazon Simple Email Service」をクリックしましょう。
Amazon SESナビゲーションメニューの「検証済みID」をクリックし、「IDの作成」ボタンをクリックします。「IDタイプ」で「Eメールアドレス」を選択し、任意のアドレスを入力した後「IDの作成」ボタンをクリックしてください。
3-2.送信者認証を行う
メールアドレスまたはドメインの設定が終われば、送信者認証を行います。上記の手順で「IDの作成」ボタンをクリックすれば、入力したメールアドレスにメールが届くため、本文中のリンクを開きましょう。
メールアドレス検証に成功したという表示が確認できれば、設定完了です。
3-3.メールの送信
指定したメールアドレスでメールが送信できるかテストしてみましょう。Amazon SESナビゲーションメニューより、「検証済みID」をクリックし、一覧の「ID」列に表示されているメールアドレスをクリックします。
「テストEメールの送信」をクリックするとEメール形式の選択画面に進むため、「フォーマット済み」を選択し、シナリオに「カスタム」を選択しましょう。カスタム受信者に登録したメールアドレスを入力し、件名と本文に任意の値を入力した後、「テストEメールの送信」をクリックしてください。
登録したメールアドレス宛てにメールが届いていることを確認し、あわせて件名や本文の内容も一致しているか確認しましょう。受信トレイに見当たらない場合は、迷惑メールフォルダを確認してください。
4.Amazon SESによるメール送信の注意点
さまざまなメリットがあるAmazon SESですが、メールを送信する際に気をつけなければいけない以下の注意点があります。
- 送信制限や送信結果のモニタリングが必要
- ユースケースによっては専用IPアドレスからの送信を検討
- 受取人が存在しないなどのバウンス処理が必要
順番に見ていきましょう。
4-1.送信制限や送信結果のモニタリングが必要
Amazon SESによるメール送信の注意点としてまず挙げられるのは、送信制限や送信結果のモニタリングが必要である点です。Eメールはプログラムによって自動で送信できますが、制限なしに無数のメールを配信してしまえば、受信者側のサービスプロバイダに、悪質な送信者と判断されてしまう場合もあります。
Amazon SESには、一定期間に送信できる最大の送信数を制限する仕組みが備わっているため、サービスプロバイダとの信頼関係が保てます。またAmazon SESのコンソールやAPI、AWSのモニタリングサービスである「Amazon CloudWatch」などから、確実にメールが送信されたか、拒否されたかなどの情報も取得可能です。
4-2.ユースケースによっては専用IPアドレスからの送信を検討
次に注意点として挙げられるのは、たとえば以下のように、ユースケースによっては専用IPアドレスからの送信を検討しなければならない点です。
- コンプライアンス上、専用IPでの送信が求められる場合
- 固定した単一IPからの受信に制限されるシステムとの連携が必要な場合
- 連携するプログラムごとにIPアドレスを変更して評価するような場合
また受信側のサービスプロバイダによっては、これまでやりとりしていないIPアドレスからの大量のメールを受け付けない場合もあります。この場合はIPアドレスの評価を高める必要がありますが、Amazon SESでは共用のIPアドレスや、すでにある専用IPアドレスを使用して、新たに設定したIPアドレスからの送信を自動的に分散し、数週間かけて送信メールの数を徐々に増やす機能がついています。
4-3.受取人が存在しないなどのバウンス処理が必要
最後に挙げられる注意点は、受取人が存在しないときなどのバウンス処理が必要である点です。バウンスとはメールを受け取れない状態を指し、たとえば受取人が存在しない、受信側のサーバーがなんらかのトラブルによりダウンしている、などの状況が考えられます。
バウンス率が高い場合、送信先としての評価が低下してしまうため、バウンスされたアドレスをメーリングリストから削除し、メール送信を停止しなければいけません。送信メールが少量の場合、バウンスをモニタリングし、該当のアドレスをメーリングリストから手動で削除することが可能です。
ボリュームが多い場合は、プロセスのオートメーションをセットアップする必要があります。そのためには、バウンスを受信したメールボックスをプログラムで処理するか、Amazon SNSを経由するようにバウンス通知を設定しましょう。
また、存在しない相手に今後メールを送信することがないよう、「Amazon SNS」や、同じくメッセージングサービスである「Amazon SQS(Simple Queue Service)」と連携し、バウンスを記録するシステムの構築も検討してください。
5.Amazon SESの料金
Amazon SESの概要や特徴、使い方、注意点について解説しましたが、ここからは、料金について確認しましょう。Amazon SESは使った分だけ請求される「従量課金制」で、具体的には以下のように料金が設定されています。
サービスタイプ | 条件 | 料金 | 追加料金 |
---|---|---|---|
送信 | EC2からの送信Eメール |
0〜62,000件については無料 それ以降は1,000件ごとに0.10USD |
添付ファイル1GBにつき0.12USD EC2を利用する場合、追加料金が発生 |
EC2以外からの送信Eメール | 送信する各1,000件のEメールについて、0,10USD | 添付ファイル1GBにつき0,12USD | |
受信 | − |
0〜1,000件については無料 それ以降は1,000件ごとに0,10USD |
受信するEメールチャンク(※)1,000件につき、0.09USD |
※2024年1月時点の料金です。
※チャンクは、受信メールのサイズのこと。ヘッダーや添付ファイルを含み、256KB=1チャンクで計算される
上記の金額に加え、Amazon SESは専用IPアドレスなどのオプションサービスに別途料金がかかります。月額利用料が気になる方は、Amazon Web Servicesの料金見積もりツールでシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
6.AWSの導入・運用ならぜひNTT東日本にご相談ください
Amazon SESは一度に大量のEメールを配信できるサービスで、管理画面より配信先やコンテンツの設定、登録、配信、分析などができます。一度に大量にコンテンツを送信できるEメールは便利である一方で、スパムや悪意のある攻撃と見なされてしまうリスクもあり、各サービスプロバイダは厳格な制限を設けています。
制限をクリアしつつ大量のEメール送信ができるAmazon SESは、Eメールによって顧客接点を強固にしたいマーケターや開発者にとって魅力的なサービスといえるでしょう。ただ、実際に導入を考えた際、詳細がわからない、時間が取れなくて検討が進まない、というお悩みもあるのではないでしょうか。
自社のクラウド化についてお悩みがある場合、ぜひNTT東日本のクラウド導入・運用サービスにお任せください。AWSの有資格者が直接お悩みを伺い、現状をふまえてご要件に合ったサービスをご紹介し、スピーディなクラウド環境を実現します。
自社でクラウド化を進める際の検討項目やアクションなどはすべてNTT東日本が実行するため、担当者さまは本当にやるべき業務のみに集中できるでしょう。
NTT東日本のクラウド導入・運用サービスについて詳しくは、以下のページに記載しています。興味のある方は、ぜひ一度ご覧ください。
Amazon SESについてまとめ
Amazon SESは一度に大量のEメールを送信できるサービスです。送信オプションの選択や配信可能性の向上、メール送信アクティビティのモニタリング、メール受信後の処理の自動化など、多くの特徴を持っています。無料枠が利用できる場合もありますが、有料であっても送信する各1,000件のEメールにつき0,10USDと比較的抑えた価格に設定されているため、使いやすいサービスであるといえるでしょう。
しかしAmazon SESの導入を考えていても、時間がなかったりやり方がわからなかったりする方も多いのではないでしょうか。そのようなときは、ぜひNTT東日本のクラウド導入・運用サービスをご利用ください。
クラウド導入・運用サービスについては、以下のページに詳しく記載しています。AWSの有資格者であるプロが提供するワンストップサービスを、ぜひご体感ください。
RECOMMEND
その他のコラム
無料ダウンロード
自社のクラウド導入に必要な知識、ポイントを
この1冊に総まとめ!
あなたはクラウド化の
何の情報を知りたいですか?
- そもそも自社は本当にクラウド化すべき?オンプレとクラウドの違いは?
- 【AWS・Azure・Google Cloud】
どれが自社に最もマッチするの? - 情シス担当者の負荷を減らしてコストを軽減するクラウド化のポイントは?
- 自社のクラウド導入を実現するまでの具体的な流れ・検討する順番は?
初めての自社クラウド導入、
わからないことが多く困ってしまいますよね。
NTT東日本では
そんなあなたにクラウド導入に必要な情報を
1冊の冊子にまとめました!
クラウド化のポイントを知らずに導入を進めると、以下のような事になってしまうことも・・・
- システムインフラの維持にかかるトータルコストがあまり変わらない。。
- 情シス担当者の負担が減らない。。
- セキュリティ性・速度など、クラウド期待する効果を十分に享受できない。。
理想的なクラウド環境を実現するためにも、
最低限の4つのポイントを
抑えておきたいところです。
-
そもそも”クラウド化”とは?
その本質的なメリット・デメリット - 自社にとって
最適なクラウド環境構築のポイント - コストを抑えるための
具体的なコツ - 既存環境からスムーズにクラウド化を
実現するためのロードマップ
など、この1冊だけで自社のクラウド化のポイントが簡単に理解できます。
またNTT東日本でクラウド化を実現し
問題を解決した事例や、
導入サポートサービスも掲載しているので、
ぜひダウンロードして読んでみてください。
面倒でお困りのあなたへ
クラウドのご相談できます!
無料オンライン相談窓口
NTT東日本なら貴社のクラウド導入設計から
ネットワーク環境構築・セキュリティ・運用まで
”ワンストップ支援”が可能です!
NTT東日本が選ばれる5つの理由
- クラウド導入を
0からワンストップでサポート可能! - 全体最適におけるコスト効率・業務効率の改善を
中立的にご提案 - クラウド環境に問題がないか、
第3者目線でチェック
してもらいたい - 安心の24時間・365日の対応・保守
- NTT東日本が保有する豊富なサービスの組み合わせで
”課題解決”と”コスト軽減”を両立
特に以下に当てはまる方はお気軽に
ご相談ください。
- さまざまな種類やクラウド提供事業者があってどれが自社に適切かわからない
- オンプレミスのままがよいのか、クラウド移行すべきなのか、迷っている
- オンプレミスとクラウド移行した際のコスト比較を行いたい
- AWSとAzure、どちらのクラウドが自社に適切かわからない
- クラウド環境に問題がないか、第3者目線でチェックしてもらいたい
- クラウド利用中、ネットワークの速度が遅くて業務に支障がでている
クラウドを熟知するプロが、クラウド導入におけるお客さまのLAN 環境や接続ネットワーク、
クラウドサービスまでトータルにお客さまのお悩みや課題の解決をサポートします。
相談無料!プロが中立的にアドバイスいたします
クラウド・AWS・Azureでお困りの方はお気軽にご相談ください。