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Azure Blob Storageとは?3種類のリソースやメリット・料金を解説
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音楽や動画のストリーミング配信の普及、AIによる画像認識や音声認識の需要拡大、災害等に備えたバックアップデータの格納など、オブジェクトデータストレージの必要性は年々高まっています。
今回は、3大クラウドサービスの1つである「Azure」が提供するオブジェクトストレージサービス「Azure Blob Storage」について、サービスの概要や仕組み、メリットについて解説します。料金や他社のオブジェクトストレージサービスとの比較も紹介しているので、参考にしてみてください。
目次:
- 1.Azure Blob Storageとは
- 2.Azure Blog Storage3種類のリソース
- 2-1.ストレージアカウント
- 2-2.ストレージ アカウント内のコンテナー
- 2-3.コンテナー内の BLOB
- 3.Azure Blob Storageのメリット
- 3-1.世界中からアクセス可能
- 3-2.大量のデータを格納できる
- 3-3.高い可用性
- 3-4.安全なデータ移行が可能
- 3-5.ストレージ層を分けられる
- 3-6.複数のレプリケーション方式
- 4.Azure Blog Storageと他のストレージサービスの比較
- 4-1.ストレージの特徴比較表
- 4-2.Google Cloud Storageの特徴
- 4-3.Amazon S3の特徴
- 5.Azure Blog Storageの料金
- 5-1.Azure Blog Storageの料金
- 5-2.料金をシミュレーションする
- 6.Azure Blog Storageを導入するならぜひNTT東日本にご相談ください
- 7.まとめ
1.Azure Blob Storageとは
Azure Blob Storageは、Microsoft社のクラウドサービス「Azure」が提供するオブジェクトストレージサービスです。オブジェクトストレージとは、ファイルストレージのようなディレクトリ構造を持たず、一意のIDによって管理するストレージを指します。Azure Blob Storageでは、格納するデータを「BLOB」、BLOBを格納する入れ物を「コンテナー」と呼びます。
クラウド上での画像やドキュメント、動画、音楽などの管理・配信に適しており、主に以下のような目的で使用されています。
- 画像、ドキュメントのブラウザへの直接配信
- 動画、音楽のストリーミング配信
- バックアップ、復元、リカバリ、アーカイブなどのためのデータ格納
- オンプレミスやAzureのサービスで分析するデータの格納
HTTP/HTTPS経由で世界中のどこからでもアクセスでき、ペタバイト級の大容量データでも長期間の保存が可能なため、ビッグデータの格納や、自然災害からの復旧に備えたバックアップデータの保存などにも利用されています。
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2.Azure Blog Storage3種類のリソース
Azure Blog Storageには以下の3種類のリソースがあります。
- ストレージ アカウント
- ストレージ アカウント内のコンテナー
- コンテナー内のBLOB
それぞれのリソースについて詳しく解説していきます。
2-1.ストレージアカウント
Azure Blog Storageを利用するためには、まずはストレージアカウントの作成が必要です。ストレージアカウントを取得することで、Azure Storageのデータオブジェクトに対して一意の名前空間が提供され、世界中のどこからでもデータへアクセスが可能となります。
Azure Blog Storageでサポートされているストレージアカウントは、「汎用 v2」「ブロックBLOB」「ページBLOB」の大きく3種類で、それぞれの特徴は以下の通りです。
- 汎用v2アカウント
BLOB、ファイル共有、キュー、テーブルを網羅したStandardタイプのアカウント
- ブロックBLOBストレージアカウント
ブロックBLOB、追加BLOBに特化したPremiumタイプのアカウント
- ページBLOBストレージアカウント
ページ BLOBに特化したPremiumタイプのアカウント
汎用v2は、Azure Blog Storageをはじめとしたほとんどのストレージサービスで推奨されているストレージアカウントです。PremiumタイプのブロックBLOBアカウントは、汎用v2アカウントと比較すると、トランザクションが高く、ストレージの待機時間が短いのが特徴とされています。
2-2.ストレージ アカウント内のコンテナー
ストレージアカウント内にあるコンテナーは、BLOB を格納する入れ物を指し、ファイルシステムにおけるディレクトリのように、BLOBのセットを整理するために利用されます。1つのストレージアカウントに対して格納できるコンテナー数に上限はなく、コンテナー内に格納できるBLOB数にも上限はありません。
ストレージアカウント内にコンテナーを作成する際には、以下の命名規則に従い、有効なコンテナー名を指定する必要があります。
- コンテナー名は3文字〜63文字で指定
- 始まりと終わりに使用できるのは英文字もしくは数字
- 英小文字、数字、ダッシュ (-) のみ使用可
- 2つ以上連続したダッシュ (-) の使用は不可
2-3.コンテナー内の BLOB
BLOBは、「Binary Large Object」の略称で、コンテナーに格納されるデータを指します。Azure Blob Storageには、「ブロックBLOB」「追加BLOB」「ページBLOB」の3種類のBLOBストレージがあり、それぞれの特徴は以下の通りです。
- ブロックBLOB
個別管理可能なデータブロックで構成されており、ドキュメントやメディアファイルなど、大量のバイナリデータを効率的にアップロードするのに適しています。最大で約190.7 TiB のデータが格納できます。
- 追加BLOB
ブロックBLOB同様、個別管理可能なデータブロックで構成されており、仮想マシンのデータログや監視ファイルの記録などの追加的な操作に適しています。
- ページBLOB
Azure仮想マシン用のディスクとして用いられます。最大8TBのランダムアクセスファイルを格納できるため、頻繁に読み取り操作や書き込み操作をおこなうケースでの利用が適しています。
また、コンテナー内にBLOBを作成する際は、以下の命名規則に従い、有効なBLOB名を指定する必要があります。
- BLOB名は1文字〜1,024文字を指定
- 任意の文字を組み合わせて作成可能
- 英大文字と英小文字は区別される
- URLの予約文字は適切なエスケープが必要
- BLOB名を構成するパスのセグメント数は254個を超えないように設定する
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3.Azure Blob Storageのメリット
Azure Blob Storageには以下のようなメリットがあります。
- 世界中からアクセス可能
- 大量のデータを格納できる
- 高い可用性
- 安全なデータ移行が可能
- ストレージ層を分けられる
- 複数のレプリケーション方式
それぞれについて詳しく確認していきましょう。
3-1.世界中からアクセス可能
Azure Blob Storageには、HTTP/HTTPSを使用したURLベースで、保存したデータへアクセスできるという特徴があります。そのため、データ保存先のURLを把握していれば、世界中のどこからでもストレージへのアクセスが可能です。
3-2.大量のデータを格納できる
Azure Blob Storageは、大量の非構造化データを格納するために最適なストレージサービスです。ペタバイト規模の容量を備えているため、テキストや画像、音声、動画など容量が大きくなりがちなデータでも問題なく保存できます。
3-3.高い可用性
Azure Blob Storageをはじめとしたクラウドストレージサービスの利点として、オンプレミスと比較して可用性が高い点が挙げられます。
Azure Blob Storageの可用性も99.9%以上と高い水準を維持しているため、サービスやシステムの停止、障害などによるリスクを抑えられます。
3-4.安全なデータ移行が可能
Azure Blob Storageには、Import/Exportサービスというデータ移行サービスが用意されています。
Import/Exportサービスは、Azureのデータセンターへハードウェアドライブを送付することで、安全にデータ移行ができるサービスです。大量のデータや、容量の大きなデータなど、ネットワーク回線を利用しての移行では時間やコストがかかるケースでも、Import/Exportサービスを利用すれば、迅速に効率良くデータ移行が可能となります。
3-5.ストレージ層を分けられる
Azure Blob Storageでは、データへのアクセス頻度と保存期間に応じて、使用するストレージ層を分けられるというメリットがあります。ストレージ層には、「ホット」「クール」「コールド」「アーカイブ」の4種類が用意されており、それぞれの特徴は以下の通りです。
- ホットストレージ層
データへのアクセスや内容変更が頻繁におこなわれるデータの保存に最適なストレージ層です。ストレージコストは最も高額ですが、アクセスコストは最も安価に設定されています。
- クールストレージ層
データへのアクセスや内容変更の頻度が低いデータの保存に最適なストレージ層です。ホットストレージ層と比較すると、ストレージコストは安く、アクセスコストは高く設定されています。クールストレージ層のデータは最低30日間保存する必要があります。
- コールドストレージ層
データへのアクセスや変更内容の頻度が低いデータの保存に最適なストレージ層です。 クールストレージ層と比較すると、ストレージコストは安く、アクセスコストは高く設定されています。コールドストレージ層のデータは最低90日間保存する必要があります。
- アーカイブストレージ層
データへのアクセスがほとんどおこなわれないデータの保存に最適なストレージ層です。ストレージコストは最も安価ですが、他のストレージ層と比較すると、データ取得にかかるコストが高く、取得までの時間も長くなります。 アーカイブストレージ層のデータは最低180日間保存する必要があります。
ストレージ層を使い分けることによって、コストを抑えながらAzure Blob Storageを利用できます。なお、コールドストレージ層は、2023年8月現在、プレビュー段階であり、全てのパブリックリージョンで利用可能となっています。
3-6.複数のレプリケーション方式
Azure Blob Storageでは、冗長性を確保するため、以下のような4種類のレプリケーション方式が採用されています。
- ローカル冗長ストレージ(LRS)
プライマリリージョンの単一データセンター内に3つのデータコピーを作成します。
- ゾーン冗長ストレージ(ZRS)
プライマリリージョンの異なるデータセンター内に3つのデータコピーを作成します。
- geo冗長ストレージ(GRS)
LRSを使用してプライマリリージョンの単一データセンター内に3つのデータコピーを作成し、さらにセカンダリリージョン内にもコピーを作成します。
- geoゾーン冗長ストレージ(GZRS)
ZRSを使用してプライマリリージョンのプライマリリージョンの異なるデータセンター内に3つのデータコピーを作成し、さらにセカンダリリージョン内にもコピーを作成します。
同条件での運用コストはローカル冗長ストレージ(LRS)が最も安価となります。レプリケーション方式を選択する際は、コストと可用性、耐久性のバランスを考慮し、自社に合うプランを選択しましょう。
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4.Azure Blog Storageと他のストレージサービスの比較
Azure Blog Storageと同様のオブジェクトストレージサービスには、Google社の提供する「Google Cloud Storage」、Amazon社の提供する「Amazon S3」があります。それぞれのサービスの特徴を、Azure Blog Storageのサービス特徴と比較しながら解説します。
4-1.ストレージの特徴比較表
Amazon S3、Google Cloud Storage、Azure Blog Storageの3つのサービスの特徴は以下のとおりです。
【GCP】 Cloud Storage |
【AWS】 Amazon S3 |
【Azure】 Azure Blob Storage |
|
---|---|---|---|
ストレージ料金体系 | 従量課金制 | 従量課金制 | 従量課金制 |
ストレージ料金 (条件) |
0.023ドル/GB (東京リージョン/Standard Storage) |
0.025/GB (東京リージョン/S3標準ストレージ) |
0.02ドル/GB (東日本リージョン/汎用v2(ホット)/LRS) |
ストレージ容量 | 無制限 | 無制限 |
500TB (申請により5PBまで引き上げ可能) |
オブジェクト数上限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ストレージ料金は2023年8月時点のものです。料金についての詳細は各サービスの公式サイトにてご確認ください。
4-2.Google Cloud Storageの特徴
Google Cloud Storageは、Google社のクラウドサービス「Google Cloud」が提供するオブジェクトストレージサービスです。豊富なセキュリティ機能と高い安全性が特徴で、Cloud SQLやBigQueryなどのGoogle Cloudサービスとの連携も可能です。ストレージクラスは「STANDARD」「NEARLINE」「COLDLINE」「ARCHIVE」の4種類が用意されています。
4-3.Amazon S3の特徴
Amazon S3 は、Amazon社のクラウドサービス「AWS」が提供するオブジェクトストレージサービスです。高いスケーラビリティと可用性が特徴で、Amazon AthenaやAmazon RedshiftなどのAWSサービスとの連携も容易におこなえます。豊富なストレージクラスを兼ね備えているので、ユースケースに合わせて柔軟に選択できるのも魅力です。
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5.Azure Blog Storageの料金
Azure Blog Storageの利用料金は、利用する地域や選択するパフォーマンス、ストレージの種類、冗長性オプションなどによって異なります。
今回は、東日本地域でAzure Blog Storageを利用する場合に必要となる料金について解説します。なお、紹介する情報は2023年8月時点のものです。最新の情報については公式サイトをご確認ください。
5-1.Azure Blog Storageの料金
Azure Blog Storageの料金は、大きくストレージコストと操作・データ転送等のコストにわかれます。
ストレージコストは、1ヶ月ごとの従量課金制で、必要となるコストは以下のとおりです。なお、冗長性については、最も安価に運用可能な「ローカル冗長ストレージ(LRS)」と、可用性や持続性に優れた「ゾーン冗長ストレージ(ZRS)」の2つの料金を比較しています。
冗長性 | 容量 | Premium | Standard | |||
---|---|---|---|---|---|---|
ホット | クール |
コールド (プレビュー) |
アーカイブ | |||
LRS | 最初の50TB/月 | 0.218ドル/GB | 0.02ドル/GB | 0.011ドル/GB | 0.0045ドル/GB | 0.002ドル/GB |
500TB以内/月 | 0.218ドル/GB | 0.0192ドル/GB | 0.011ドル/GB | 0.0045ドル/GB | 0.002ドル/GB | |
500TB超/月 | 0.218ドル/GB | 0.0184ドル/GB | 0.011ドル/GB | 0.0045ドル/GB | 0.002ドル/GB | |
ZRS | 最初の50TB/月 | 0.289ドル/GB | 0.025ドル/GB | 0.0138ドル/GB | 0.005ドル/GB | – |
500TB以内/月 | 0.289ドル/GB | 0.024ドル/GB | 0.0138ドル/GB | 0.005ドル/GB | – | |
500TB超/月 | 0.289ドル/GB | 0.023ドル/GB | 0.0138ドル/GB | 0.005ドル/GB | – |
※2023年8月時点の価格
1年以上の長期利用が見込まれる場合は、予約容量を使用すれば、ストレージコストを抑えられます。
冗長性 | 容量 | 1年予約 | 3年予約 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ホット | クール | アーカイブ | ホット | クール | アーカイブ | ||
LRS | 100TB/月 | 1,680ドル | 924ドル | 183ドル | 1,352ドル | 834ドル | 168ドル |
1PB/月 | 16,358ドル | 8,997ドル | 1,783ドル | 13,003ドル | 8,075ドル | 1,636ドル | |
ZRS | 100TB/月 | 2,100ドル | 1,159ドル | – | 1,690ドル | 1,046ドル | – |
1PB/月 | 20,448ドル | 11,287ドル | – | 16,253ドル | 10,130ドル | – |
※2023年8月時点の価格
上記のストレージコストにプラスして、書き込みや読み取り、リスト、コンテナー作成操作、データ取得などについて、操作の実行数や使用容量に応じて別途料金が必要です。
5-2.料金をシミュレーションする
Azure Blog Storageのおおよその料金はMicrosoft社の公式HPの「Azure 料金計算ツール」でシミュレーションが可能です。Azure 料金計算ツールの使用手順は以下の通りです。
①料金計算ツールへアクセス後、製品選択で「ストレージアカウント」を選び、見積もりに追加します。
②以下の項目を選択します。
- リージョン(日本の場合は、Japan WestまたはJapan East)
- タイプ(ブロック Blob Storage)
- パフォーマンスレベル(標準またはPremium)
- ストレージアカウントの種類(パフォーマンスで標準を選んだ場合のみ選択)
- ファイル構造
- アクセス層(パフォーマンスで標準を選んだ場合のみ選択)
- 冗長性オプション
③全て選択すると、Azure Blog Storageの利用にかかる月額料金と、操作やデータ転送等にかかる料金が表示されます。
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7.まとめ
Azure Blog Storageは、大容量のデータを長期間安全に保管できるオブジェクトストレージサービスです。HTTP/HTTPS経由で世界中のどこからでもアクセスができ、可用性、耐久性にも優れているため、さまざまな用途に活用できます。
ストレージアカウントのパフォーマンスやアクセス層、冗長性オプションなども細かく選択できるため、ストレージに格納したいデータの種類や使用頻度に合わせて、柔軟にプラン設定ができる点も魅力と言えます。
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