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ストレージ導入お役立ちコラム

法人向けファイル共有サービスの選び方や代表的なサービスを比較

個人・法人でのどちらでも、近年ではインターネット上にファイルを保存したり、それを人に共有したりする機会が増加しています。

ファイル共有サービスはたくさんの種類があり、新しく利用する際どのようなポイントで比較するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、そもそもファイル共有サービスとはどのようなものなのか、メリットやデメリット、また選び方のポイントや代表的なサービスについて紹介していきます。

ファイル共有サービスとはそもそも何か

ファイル共有サービスとは、一般的にはインターネット上にデータを保存しておけるサービスのことを指します。オンラインストレージやクラウドストレージとも呼ばれます。パソコンやスマートフォンの容量を使うことなく、ファイルを保存できます。

アップロードしたファイルはログインすれば、複数のデバイスで閲覧・ダウンロードが可能です。いつでもどこからでも利用できるだけでなく、ファイルやフォルダごとに共有リンクや共有範囲を指定できるため、自分以外のユーザーにファイルを共有することが可能です。

家族の写真などを保存するだけでなく、ビジネスの現場でチームや会社単位での利用も増えています。

一般的に月額料金制で、保存できるデータ量の上限によってプランが変わり、値段があがるほど利用できるデータ量が増えていきます。

①ファイル転送サービスとの違い

ちなみに、古くからサービスとして利用されている「ファイル転送サービス」というものがあります。メールでは添付できない大きいファイルサイズのデータなどをWebサービス上にアップロードして、パスワードを知っている人がダウンロードできる仕組みです。こちらはストレージとして利用するというより、一時的なファイルの共有に利用されるもので、今回の記事で紹介するファイル共有サービスには含みません。

②ファイル共有サービスの種類

ファイル共有サービスの区分には、大きく分けてパブリッククラウドストレージ、プライベートクラウドストレージ、ハイブリッドクラウドストレージの3種類があります。

(1)パブリッククラウドストレージ

自社用の専用のサーバーやハードウェアは利用せず、サービスとして提供されているものを利用する形式です。一般的なクラウドストレージはこちらの区分に入り、本記事でもこちらを紹介しています。導入しやすく運用コストも下げられます。

(2)プライベートクラウドストレージ

オンプレミス(自社で構築・運用)型のクラウド型ファイルサーバーを用意する方式です。オフィス内でのLAN環境や特定のIPアドレスでの認証によりアクセスさせるなどの設定や、ストレージの細かい設定を自社用にカスタマイズできます。サーバーを設置して運用する必要があるため、コストがかかりますが、セキュリティ性やカスタマイズ性に優れています。

パブリッククラウドストレージを自社で構築して運用するようなイメージです。

(3)ハイブリッドクラウドストレージ

パブリッククラウドストレージとプライベートクラウドストレージを組み合わせて運用する方式です。自社でサーバーの構築や運用は行わずコストは削減しながら、機能のカスタマイズやセキュリティを自社用に強固にすることが可能です。

③ファイル共有サービスのメリット

ファイル共有サービスにメリットが多くあります。

(1)デバイスの容量を気にする必要がない

パソコンやスマートフォンのデータの容量には物理的な上限がありますが、ファイル共有サービスではプランをアップグレードしさえすれば容量を気にすることがありません。

(2)いつでもどこでも利用できる

外付けのHDDなどは利用するデバイスと接続しておく必要がありますが、ファイル共有サービスはインターネットに繋がっていればいつでもどこでも利用可能です。

(3)共同でファイルを同時に編集できる

ユーザー同士でクラウド上にある書類ファイルなどを変更した場合、リアルタイムで共同編集を進められます。

(4)初期コスト・運用工数が少ない

サービスに申し込みを行えばすぐに利用開始ができ、自社でのサーバー構築や、保存用のデバイスを購入する費用がかかりません。また機器のメンテナンスやデータ消失を避けるためのバックアップなどの必要も少ないため、運用工数も少ないです。

(5)最新機能を利用可能

自社でファイルサーバーを構築しているわけではなく、サービス提供企業が利便性を向上させるための開発を行っているため、常に最新の機能を利用可能です。

④ファイル共有サービスのデメリット

ファイル共有サービスのデメリットを紹介します。

(1)利用するネット回線の速度・安定性に左右される

オンライン上のファイルにアクセスするため、インターネットの回線の速度が遅い場合にはファイルの閲覧やダウンロードまでに時間がかかることがあります。また、スマートフォンやモバイルWi-Fiなどでデータ量の多いファイルをやりとりする場合、通信制限の影響を受ける可能性もあります。

(2)カスタマイズ性は低い

自社専用のファイルサーバーではないため、細かい共有設定の変更やフォルダの仕様の変更などのカスタマイズ性は低いケースがあります。

(3)ランニングコストがデータ量や人数で上昇していく

同時に利用する人数が多くなる場合や、利用するデータ量が増えていく場合は比例してランニングコストが高くなるのが一般的です。企業や事業部のデータをストックしていく場合、基本的にはデータ量が減っていくことがないため、使い続けるほどコストは高くなっていきます。

(4)セキュリティ面

ファイル共有サービスにもセキュリティを高めるための仕組みはたくさんありますが、オンプレミスほどのカスタマイズはできません。いつでもどこでもアクセスできる利点を活かしていくためには、従業員のID・パスワード管理や情報漏えいが起きないようにセキュリティルールの設定・運用などが必要になってきます。

(5)安心できるサーバーであるか

サービスによりますが、なかには信頼性が足りない安価な海外サーバーを利用しているケースもあります。データセンターの立地が国内である点や、災害が起きてもデータ消失や障害が起きにくい立地にあること、また非常時の対策をしているかという点も確認する必要があります。

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NASとの違い

NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークで接続してデータを保存する物理的な記憶装置です。外付けHDDではパソコンをUSBケーブルで繋いで利用しますが、NASはその代わりにネットワークを通じてアクセスします。ファイル共有サービスと同様に、複数人数でのアクセスが可能となっています。

NASとファイル共有サービスの違いとしては、NASはストレージ機能に特化しているため、ファイル共有サービスのような豊富な機能はありません。

外付けHDDは利用するパソコンと物理的に近い距離に設置する必要があり、一方でNASはネットワークに繋がっていれば利用できる点で違いはありますが、容量が足りなくなったら新しい物理的なストレージが必要になる点では同様です。ファイル共有サービスとは拡張性や利便性で違いがあります。

関連リンク
NASの仕組みとは? 選び方やHDDとの違いもわかりやすく紹介

ファイル共有サービスを選ぶポイント

実際にファイル共有サービスを選ぶ時に、検討しておくべきポイントを紹介します。

①サービスやプランごとのデータ容量の上限

ファイル共有サービスはサービスごとにデータ量の上限が違い、また同じサービス内でも値段が上がるほど利用できる容量は増えます。利用する容量を想定しながら、その後のアップグレードも見据えて検討しましょう。

②利便性の高さ

単にデータを保存するだけでなく、ファイル共有サービスは社内・外の人に柔軟に権限を分けてファイルのアクセス範囲を指定できる点が利点です。また、ファイルをアップロード・閲覧・ダウンロードする画面の使いやすさや、スマートフォンやタブレットでも見やすいか、専用アプリがあるかなども考慮するポイントです。

③セキュリティポリシーに適しているか

基本的には、ID・パスワードを知っている状態でネットワークに繋がっていればいつでもどこでもアクセスできるため、社内の重要情報などを扱う場合、セキュリティ面で自社の要件を満たせるかは重要です。

例えば2段階認証や、IPアドレスでの制限、ワンタイムパスワードの発行、データの暗号化通信に対応しているかなど、導入前に情報システム担当者がチェックしましょう。

④発行する共有リンクの仕様

ファイルへのアクセス方法として、アクセスを許可されているユーザーが利用できるのはもちろん、プランの中に入っていない外部のユーザーでも限定的にファイルやフォルダを利用するための「共有リンク」を発行する機能があります。

リンクの有効期限を設けて一時的な共有に利用したり、膨大なファイルそれぞれにリンクを発行するのではなく、フォルダ単位でまとめて発行できるかなどの使いやすさをチェックしましょう。

⑤料金プランと機能の兼ね合い

ファイル共有サービスは無料または安価で簡単に利用できるものから、大量のデータ・大人数でのセキュアなアクセス・豊富な追加機能を備えた高品質のものまで、さまざまなサービス・プランが存在しています。

利用できる予算と、必要になる機能を考慮しながら、自社の要件にあったものを選びましょう。

代表的なファイル共有サービス

ファイル共有サービスの中から、代表的なサービスをいくつか紹介します。具体的なスペックや料金プランなどは各社のサイトをご確認ください。

①Box over VPN(NTTコミュニケーションズ株式会社)

Boxというファイル共有サービスを、NTTコミュニケーションズのVPNを利用して通信するサービスです。VPNとは、仮想通信網と呼ばれ、離れた場所での通信もオフィス内でのLAN環境のようにセキュリティ性が高い状態で通信できる仕組みです。

Box Zones Japan over VPNというオプションを利用すれば、日本国内のデータセンターを利用できます。各アプリケーションとの連携も豊富です。

参考・出典:プラン/料金 | Box over VPN | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/box/charge

参考・出典:シームレスな統合│Box
https://www.box.com/ja-jp/integrations

②Google Drive

Googleが提供する無料で利用できるファイル共有サービスです。Google版のOfficeであるGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなどはオンライン上での共同編集が可能であり、書類や表計算ファイルと同様にファイル共有サービスとしてドライブが利用できます。

個人向けプランと企業向けプランのそれぞれがあり、企業プランではGoogle Workspace(旧:G Suite)の一環として利用できます。

参考・出典:プランと料金設定 - Google One
https://one.google.com/about/plans?hl=ja

参考・出典:Google Workspace の料金設定 | Google Workspace (旧 G Suite)
https://workspace.google.com/pricing?hl=ja

③Dropbox Business

ファイル共有サービスとして長年使われているDropboxのビジネス版で、PC内の指定フォルダを自動で同期する機能や、PC内に保存する必要がないファイルのみをクラウド上にアップロードする機能などがあります。ファイルのダウンロード回数を制限できたり、専用のスマホアプリなども充実しています。

参考・出典:Dropbox プランの比較 - Dropbox Business
https://www.dropbox.com/ja/business/plans-comparison

参考・出典:簡単にファイルを同期│Dropbox Business
https://www.dropbox.com/features/sync

④One Drive for Business

Microsoft社が提供するファイル共有サービスで、Microsoft 365と連携して利用できます。セキュリティ機能が充実しており、2段階認証やウイルス検知機能、削除したファイルの復元機能などもあります。Googleドライブと同様に、表計算ソフトや書類ソフトなどのOfficeを利用するプランと併用して利用することも可能です。

参考・出典:OneDrive クラウド ストレージ プランの比較 | OneDrive の料金プラン
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/compare-onedrive-plans

⑤Bizストレージ ファイルシェア

NTTコミュニケーションズが提供するファイル共有サービスで、ファイルの送信先の制限や、上長の承認がないと送信できないようにする機能などがあります。セキュリティ機能も、各種ログ管理や不正アクセス対策、ファイルの暗号化などの機能が充実しています。

参考・出典:料金・お見積もり | Bizストレージ ファイルシェア | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
https://www.ntt.com/business/services/application/online-storage/bst-sh/pricing.html

⑥クリプト便

NRIセキュアテクノロジーズ社が提供するファイル共有サービスで、機密情報を扱うことに特化しています。ファイルを誤送信しないような操作性の高さや、事前の承認機能、ログのチェック機能などが豊富です。

参考・出典:セキュアなファイル転送やファイル共有に特化した「クリプト便」|NRIセキュア
https://www.nri-secure.co.jp/service/solution/crypto

⑦Smooth File 6

株式会社プロットが提供するファイル共有サービスで、ユーザー数の制限はなく、大容量ファイルをセキュアな環境で転送できます。また、日本語はもちろん、英語・中国語・韓国語にも対応しています。

参考・出典:クラウド 製品価格|Smooth File
https://www.smoothfile.jp/price/cloud.html

⑧セキュアSAMBA

Chatworkストレージテクノロジーズ社が提供する、中小企業での導入が多いファイル共有サービスで、パソコン内のデータとクラウドストレージ上のデータが非同期タイプです。ユーザー数の上限がなく、グローバルIP制限や端末認証といったセキュリティ機能も基本プランで利用可能です。

参考・出典:料金プラン | セキュアSAMBA
https://securesamba.com/product/samba/plan/

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まとめ

今回の記事では、ファイル共有サービスとはそもそも何か、メリット・デメリットや、選び方のポイント、代表的なサービス例を紹介していきました。

ファイル共有サービスは手軽に従業員の持つデータを集約させられる利便性がある一方で、ID・パスワードの流出をはじめとしたセキュリティ面での注意事項や、利用可能人数・データ量が増えるほど費用が高くなる点なども留意してください。

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