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足立区教育ICTセミナー アクティブ・ラーニングを意識した授業による子供たちの特性に応じた学びの変容

  • 文中に記載の内容は、すべて2017年2月時点のものです。

教育長講話

ICT教育に期待すること

足立区教育委員会 教育長 定野 司氏

生徒、教師、保護者それぞれがヒトとして成長できる教育

セミナーの最後には、足立区教育委員会 教育長 定野司氏による基調講演が行われました。

定野教育長は、講話で「ヒトが成長できる教育」の重要性についての考えを披露されました。たとえば、生徒は学習や日常において「できた」「わかった」の体験を繰り返すことで喜びを得て成長していく。一方、生徒を指導する先生は、生徒を教え、育てることで手応えを得て、教える喜び、素晴らしさを体験して成長する。また、保護者の方々はそれらを見守り、時に我慢し、時に手助けをすることを体験して保護者として人間としての向上を実感する。これらの体験を得て、成長していける、そんな環境を作っていきたいと語ります。

その実現にICTはどのように貢献すべきなのか。定野氏はICTを使って何を実現するのかが大切だと指摘されています。ただパソコンの操作法を学んでもらうのではなく、ICTの力を使って、“社会の変化に主体的に向き合える子ども”を育てること、解決力を身に付け、情報から何をするのかを考えられる判断力を育てていけるようにしていくべき、としています。

定野教育長は、ICT教育のための3大要素として「情報機器とネットワーク」「コンテンツ(教材)」「使うヒト(学習者、指導者)」を挙げています。この3大要素をどのように組み立て、運用していくかが極めて大事なことだとしています。
2030年頃には、シンギュラリティ(Singularity=技術的特異点)に到達し、コンピュータが人間の脳を超えるどころか、脳以上の機能をもつ人工知能が実現するとも言われています。いまの子どもたちは、その年代には成人もしくはまもなく成人を迎える年齢となり、そのような大きな転換期に立ち向かうことになります。その頃にしっかりと自身で判断して行動できるように、現在のICT教育は将来の社会変革に適応する力を育んでいくべきだと語ります。

また、日本のICT教育については、諸外国と比較して「周回遅れ」な面があることを指摘し、文部科学省をはじめとした、ICT教育の有識者たちは大きな危機感をもっていることを説明。いまの生徒たちの世代から、自ら考え、課題を見つけ、解決へと導けるような力=“成長力”を身につけられるように指導していかなければならないとしています。そのなかで、会場の先生方に向けて、これからの教師は黒板ばかりを見つめるのではなく、生徒たちを見つめて指導してあげてほしいと訴えました。先生が、生徒ひとりひとりをきちんと見つめて指導する助けをICT教育環境で実現して欲しいとしています。

コンピュータを使うことが当たり前の世代として

定野氏は、現在社会人として活動している自分たちにとって、コンピュータやITは社会に出てから仕事や生活に入り込んできた存在だったと語ります。それに引き換え、現在の小中学生たちには、コンピュータもインターネットも生まれた時にはすでに社会のインフラとして定着しはじめていたという大きな違いがあります。

この世代には、スマートフォンもインターネットもVR(バーチャルリアリティ)といった技術も当たり前のものとして存在しているという前提で指導していくべきであり、コンピュータを使いこなすためにもプログラミング教育は極めて重要だとしています。

そのような生徒たちに身につけてほしいのは「コンピュテーショナル・シンキング」と呼ばれる、問題をコンピュータが解決できるようにするための考え方や知識だとしています。生徒たちが、近い将来により高性能化しているコンピュータの働きや特性などを科学的に理解し、適切かつ日常的に活用し、問題解決に活かせる能力を身に付けてもらえるような教育こそ重要だと指摘します。

「優秀で疲れを知らない隣人」であるコンピュータと当たり前のように付き合い、これを活かして、学ぶ→考える→教える、というプロセスを自然にこなせる“成長エンジン”を子どもたちにつけてあげたいと、定野氏は語りました。

公開授業で、楽しそうにプログラミングを行う生徒たちを見て、この世代にはICT機器に対する苦手意識は少なくなっていることを改めて実感されたとのこと。

生徒たちが、さらにボードコンピュータなどを活用して、楽しさを感じながら、創意と工夫にチャレンジしていってもらえるとよい、とも定野氏は語っています。

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