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足立区教育ICTセミナー アクティブ・ラーニングを意識した授業による子供たちの特性に応じた学びの変容

  • 文中に記載の内容は、すべて2017年2月時点のものです。

指導講評

小中一貫校におけるタブレット端末活用と観点別学習状況の評価に着目した効果測定・講評

国立大学法人東京学芸大学
教育学部 自然科学系 技術・情報科学講座 情報科学分野
准教授 北澤武先生

[実践報告]

タブレット端末は「考えや意見を他者に伝える」、「協働学習をする」ことに極めて有効

公立小中学校ICT教育環境整備支援事業では、ICTを活用した授業の実践を進めるほか、活動報告を兼ねた公開授業が行われます。当セミナーでも、国立大学法人東京学芸大学 教育学部 自然科学系 技術・情報科学講座 情報科学分野 准教授 北澤武先生による効果測定の結果、指導講評が行われました。

指導講評に先立ち、興本扇学園のICT教育への実践報告が同校の主幹教諭・安藤良介先生より行われ、ICT教育での生徒の反応について「低学年層ではタブレット端末などの映像の活用により学習への理解が進んだ」こと、「わからないことをネットで調べる習慣付けが浸透しつつある」ことが報告されました。

ICT教育環境の導入への成果として、「生徒たちの学習意欲の向上」と、「友だちや先生方とのコミュニケーションが深化している」ことを挙げ、先生方としても授業自体が改善され、より充実した授業作りができるようになったことが報告されました。

今後の課題としては、タブレット端末の使用環境をさらに充実させること、ICT教育への理解を深めるべく、教育研修の実施の必要性が挙げられました。

[調査・効果測定]

続いて、東京学芸大学 准教授 北澤武先生より、興本扇学園のタブレット端末利活用の効果測定・講評が行われました。

北澤先生は、これまでの他校などでのICT教育について、学習効果(成績面)と学習意識の向上は概ね認められているとし、主体的・対話的で深い学びを意識した授業をどれだけ実践できるかを課題として挙げられました。

今回の効果測定を行うにあたり、生徒たちへICT環境導入についての事前アンケートと事後アンケート、そして小テストを行い、それらを学習者特性に応じて分類・分析していき、ICT教育が生徒に及ぼす影響・効果を測定しています。

学習者の特性は、「貧困の状態」「外向/内向(特に公的自己意識)」「主体性」、「対話」、「深い学び」の5つを挙げ、それぞれの特性をもつ生徒が事前と事後でどのように変化があったのかを測定。また、事後アンケートでは非認知能力(※)についての質問項目を設けています。

調査から判明したことは、小テストは事前と事後でははっきりと上昇傾向にあり、学習者特性による差異もなく、ICT教育は成績の向上に寄与することがわかりました。

学習者特性別に見ると「公的自己意識」では〈公的自己意識が高い〉生徒がICT教育により「他者へ考えを伝えること」や「グループ学習への積極的参加」意識が大きく上昇していることを示して、他者を気にする生徒にとってタブレット端末学習は効果的、と北澤准教授は推定しています。

(公的自己意識が高い=他者を気にする生徒)

※非認知能力:IQ(知能)に関係なく、「意欲」「協調性」「粘り強さ」「忍耐力」「計画性」などの個人の特性。社会情動的スキルと呼ばれることもある。

[調査・効果測定]

北澤准教授は、これらの調査報告をまとめて、タブレット端末を使用したICT教育環境は「自分の考えや意見を他者に伝えること」「協働学習をすること」に極めて有効であるとし、子どもたち自身もそのことを認識しているとしました。

タブレット端末を活用する教育では、自分の考えを分かりやすく他者に伝えること、グループ学習への参加意識は、公的自己意識が高い生徒や、対話傾向が低めの生徒でもはっきりと上昇傾向が見えていること。

そして、主体性が低い生徒でも、興味関心、自分の考えや意見を他者に伝える意識が上昇していることを注目点として挙げて、タブレット端末の活用から自分の考えを他者に伝え、他者と対話をしながら、「主体性」や「深い学び」を高めるような学習活動が相応しく、これにより学習への参加意識を高めていける可能性に期待していると報告を結ばれました。

タブレット端末を通して、生徒たちの学習意識・意欲を大きく伸ばせる教育環境づくりが、いまこそ必要であり、その一助を出前ICT事業が確かに担っているといえるでしょう。

表示価格は、特に記載がある場合を除きすべて税込です。

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