業種別開業までのダンドリ解説
失敗しないための
開業の進め方
開業までの進め方全体像
※ 3ヶ月~8ヶ月で準備されるケースが多いです。
開業に向けた資格・許認可更新:2023年1月現在
建設業許可が必要かどうかで大きく変わります。
あなたの事業に必要かどうかまず確認しましょう。
個人・法人、元請け、下請けに関わらず建設業を行う場合は、工事の種類ごとに許可が必要ですが、
軽微な建設工事であれば許可をうけなくても工事を請け負うことができます。
- 01
建築一式工事※1以外の建設工事で1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込)
- 02
建築一式工事で次のいずれかに該当する場合
- 01
1件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込)
- 02
請負代金の額にかかわらず、木造住宅※2で延べ面積が150㎡未満の工事
詳細は税理士・社会保険労務士・
行政書士にご相談ください。
建設業許可を取得する場合に必要
フォーマットをダウンロードして
提出するもの
- 以下の様式番号の書類は用意しましたか?
- 建設業許可申請書(様式第一号)
- 工事経歴書(様式第二号)
- 直近3年間の施策金額(様式第三号)
※ 実績がない場合も必要
- 使用人数(様式第四号)
- 誓約書(様式第六号) …等
- 別紙の提出書類は用意しましたか?
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 経営業務の管理責任者一覧表 …等
そのほか、必要な添付書類
- 確認資料は用意しましたか?
- 管理責任者の確認資料(住民票と事業所名の印字がある健康保険証)
- 専任技術者の確認資料(免許証や資格証明書の原本など)
- 営業についての確認資料(名刺、案内図、営業所の写真)
- 法人番号を証明する資料(法人番号指定通知書など)
- 社会保険への加入を証明する資料(保険料領収書の写しなど) …等
- 各役所から入手する資料は用意しましたか?
- 登記されていないことの証明書【法務局から】
- 登記事項証明書【法務局から】
- 身分証明書【区役所から】
- 納税証明書【都道府県税事務所や税務署から】 …等
営業所の所在地によって、提出先が異なります。
1つの都道府県にしか営業所がない場合
「都道府県知事」に提出
2つ以上の都道府県に営業所がある場合
「国土交通省大臣」に提出
開業に向けての想定予算
建設業の平均的な開業資金
800万円
自己資金200万円+創業融資300万、
開業資金500万程度
規模に応じた開業資金の目安
開業資金700~1200万程度で
始める場合
- 専用事務所あり、店舗5~10坪、
家賃10~15万円程度
- 従業員 なし
- 建設業許可 あり
開業資金1000万以上で
始める場合
- 専用事務所あり、店舗5~10坪、
家賃10~15万円程度
- 従業員 1名
- 建設業許可 あり
進め方全体像と注意点
押さえるべきポイントやよくある失敗例を確認しましょう。
関連のお役立ちコンテンツもご紹介しています。
-
事業計画書と資金計画書を作成し、コンセプト設定や標的顧客、競合分析などを行い、
自社の優位性を明確にします。また準備の抜けや漏れを回避します。
POINT
建設業は競合が多く、価格競争に陥りがちです。価格競争に陥らないために、自社にしかない付加価値を提案していきましょう。
「事業計画」チェックリスト
- 開業する理由を他人に説明できますか
- 自社のコンセプトは固まりましたか
- セールスポイントはありますか
- 販促・集客方法は考えましたか
- 競合に対する優位性は固まりましたか
- 事業計画書は作成しましたか
-
建設業法を満たす事務所を構えなければなりません。
早めに物件探しを進めましょう。
POINT
建設業を開業するには満たさないといけない事務所の要件がいくつかあります。また、建設業許可を取得する際は、事務所の写真の添付も必須です。認可の観点からも物件を正しく選びましょう。
許認可におけるチェックポイント
- 自己所有の建物か賃貸借契約などを結んでいること
- 住居専用契約ではないこと
- (自宅開業やシェアオフィスの場合)居住スペースや他会社のスペースと独立したスペースがある
- 固定電話が設置できる(業務用の携帯電話でも可)
- 商談スペースがある
- 外から見て営業所と分かる看板が設置できる(雑居ビルの場合は、1階の集合ポストに自社名を入れるなど、標識を置くことができる)
-
建設業許可を申請する場合は、許可要件や必要書類など
都道府県の建設業許可担当部署や詳しい行政書士に相談しましょう。
-
打ち合わせ・商談スペースや施工事例、バックオフィス、工具や資材置き場など多用途です。
事務所の広さや間取りから最適なレイアウトを考えましょう。
よくある失敗例 1
失敗しないためには…
必要な設備・IT環境の洗い出しと、
早めの手配を行いましょう。
よくある失敗例 2
失敗しないためには…
所轄の行政窓口や専門の社会保険労
務士に
事前相談を行いましょう。
-
5オペレーション/採用・教育
(開業1~2ヶ月前)
スタッフを採用する場合は、2か月前から1か月前を目処に採用し、育成します。
-
オープン前からプレプロモーションを開始します。
営業活動が始まった後には、あいさつ回りなど案件発掘に向けた営業活動を開始します。
-
開業のタイミングに合わせて、告知や宣伝、メディアリリース、
地域住民や近隣店舗への挨拶を行いましょう。
開業準備は必要なタイミングで
検討・行動することが重要です
先輩経営者の
開業体験談をみる
建設業
株式会社橋本工務店
代表取締役 橋本 和博様
A.
大変だったと思ったことはないですね。問題を解決していけばいいだけのことで、純粋にさまざまな物事を吸収できることを楽しんでいます。創業してから働…
先輩経営者の開業体験談
建設業
株式会社橋本工務店
代表取締役 橋本 和博様
今回インタビューするのは、株式会社橋本工務店 代表取締役の橋本 和博さんです。橋本さんは2022年5月に東京都北区滝野川で創業しました。お父様が建設業を営んでおり、今回地盤を引き継ぎ創業しました。地域住民の方々に快適な住環境を提供するために住宅リフォームを展開しています。コロナ禍での独立でしたが持ち前の前向きな姿勢を武器に順調に同業できています。そんな橋本さんに建設業での創業についてお話を伺いました。
コロナ禍での開業でしたが、創業に至るキッカケや動機を教えてください。
私は大学を卒業後、ハウスメーカーで注文住宅の販売を3年、分譲住宅の販売と用地の仕入れに2年携わり、その後水まわり住設メーカーに転職し14年リフォーム業や工務店への営業に携わりました。全国でも15位に入る営業成績を残しており、会社からも将来が期待されておりましたが、父親が年を取ってきたこともあり、家業を引き継がなければという責任感が生まれました。得意先のリフォーム会社の社長に相談したところ「あなたは自分でやるべきだ」と背中を押してもらい自信を持てたこともあり、リフォーム業として創業を決意しました。
そこから開業にいたるまではどのようなスケジュールでしたか?
まずは建設業許可要件である専任技術者としての要件を満たすため、建築士の免許取得を目指しました。創業を決意したときに妻に相談したところ、妻も背中を押してくれたため、翌日には資格の受験予備校の検討を始め、翌週には通い始めました。資格取得には2年かかりましたが、何とか取得することができました。
建築士が取得できた翌日には会社に退職の意向を伝えました。会社からは強く残留を求められましたが、決意は固く自ら選んだ道を選択しました。
建築士を取得してから開業準備を進め、2か月後には会社を作り、許認可の申請を4か月後には取得、融資も獲得しました。建設業許可の必要ない小口の工事を中心に営業を進めていました。紹介もあり順調な滑り出しが出来ました。
開業する中で一番大変だったことを教えてください。
大変だったと思ったことはないですね。問題を解決していけばいいだけのことで、純粋にさまざまな物事を吸収できることを楽しんでいます。創業してから働いているという感覚ではなく、生活の一部になっていますね。強いてあげれば今回は父親の建設業許可を引き継ぐ事業承継だったため、単純な建設業許可と比べ手続きが煩雑だったことでしょうか。加えて会社設立登記や税務や社会保険、銀行口座開設手続きなど、許可以外にもやることがさまざまで、また各手続きが複雑に絡まっているため、自分でやらない方がいいと判断しました。
どのようにして乗り越えていったのですか?
創業専門の税理士や司法書士、社会保険労務士、行政書士、中小企業診断士といった専門家に相談し、手続き内容やスケジュールを管理してもらいました。単発で手続きをやってくれる専門家はいくらでもいますが、建設業の現場監督のように、他の専門家の領域も把握し、全体を調整できる司令塔役はそうはいません。総合力のある専門家事務所に依頼できたことでスムーズに進められました。
これからあらたに開業する人に気をつけてもらいたいことはありますか?
私は今回多くの手続きを専門家に依頼しました。やはり餅屋は餅屋で、自分の専門ではないことはその道のプロに任せた方が安心ですね。変に節約してこれだけ複雑な手続きを自らやっていたら、手戻りが絶えずいつになったら創業できていたかわかりませんでした。時間は限られています。自らは本業に注力し、専門外のことは専門家にアウトソーシングしたほうが、成功への早道かと思います。
許認可要件
- 01
経営管理責任者に関する要件
- 次のAかB、どちらかに該当する者をおくこと
- A.
常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
- 01
建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 02
建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
- 03
建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
- B.
常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
- 01
建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
- 02
5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
- 02
専任技術者に関する要件
- 次のいずれかに該当する人を専任でおかなければならない
- 01
指定された学科を修めて高等学校を卒業した後5年以上実務の経験を有する者または同様に大学を卒業した後3年以上実務の経験を有する者
- 02
10年以上の実務の経験を有する者
- 03
関連する資格(施工管理技士、建築士、技術士、電気工事士、消防設備士、技能士など)を有する者
- 03
財産的基礎に関する要件
- 次のいずれかの要件を満たしていること
- 01
自己資本が500万円以上
- 02
500万円以上の資金調達力がある(預貯金の残高証明、金融機関の融資証明)
- 04
誠実性に関する要件
- 法人の役員などが請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと
- 05
欠格に関する要件
- 01
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 02
不正の手段で許可を受けたこと、又は営業停止処分等に違反したこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
- 03
許可の取り消し処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者
- 04
上記03の廃業の届出があった場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
- 05
営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 06
営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
- 07
禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 08
建設業法又は一定の法令の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 09
暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 10
精神の機能の障がいにより建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 11
営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が01から10のいずれかに該当する者
- 12
暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 13
許可申請書類中に重要な事項について虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載が欠いたとき
- 06
社会保険への加入要件
- 「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」について、適切に加入している必要がある