業種別開業までのダンドリ解説
失敗しないための
開業の進め方
開業までの進め方全体像
※ 3ヶ月~8ヶ月で準備されるケースが多いです。
開業に向けた資格・許認可更新:2023年1月現在
飲食店の開業においては、必要な手続きが多数存在します。
対応の抜け漏れがないよう、まずは洗い出しから始めましょう。
開業に向けての想定予算
飲食業の平均的な開業資金
600万円
自己資金200万円+創業融資400万、
開業資金600万程度
規模に応じた開業資金の目安
開業資金300万程度から
始める場合
- 店舗5~10坪、家賃10~15万円程度
- 従業員1~2名
- 客席5~20席程度のバル・カフェなどが目安
開業資金750万程度から
始める場合
- 店舗10~20坪、家賃15~30万円程度
- 従業員2~4名
- 客席20~40席程度の居酒屋・カフェなどが目安
開業資金900万程度から
始める場合
- 店舗20~30坪、家賃30~50万円程度
- 従業員4~6名
- 客席30~60席程度の居酒屋・洋食屋などが目安
進め方全体像と注意点
押さえるべきポイントやよくある失敗例を確認しましょう。
関連のお役立ちコンテンツもご紹介しています。
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事業計画書と資金計画書を作成し、コンセプト設定や標的顧客、競合分析などを行い、
自店舗の優位性を明確にします。また準備の抜けや漏れを回避します。
POINT
お店のコンセプトや対象顧客が明確でなければ適切な物件を探すこともできません。
必ず、まず事業計画を考えることから始めましょう。
「事業計画」チェックリスト
- 開業する理由を他人に説明できますか
- お店のコンセプトは固まりましたか
- セールスポイントはありますか
- 販促・集客方法は考えましたか
- ライバル店の動向は確認しましたか
- 事業計画書は作成しましたか
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お店のコンセプトや対象顧客にふさわしい立地や物件を選びます。
POINT
集客したい時間帯の通行量やライバル店の動向などを、ネットの情報だけで見極めるのは非常に危険です。必ず現地に赴き、ご自身の目で確かめるようにしてください。
主な視察ポイント
- ライバル店の集客状況・価格帯と主要メニュー
- 近隣の企業 / 住宅環境
- 昼夜の人通り
- アクセスの良さ
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業者により実績や強み、見積もりが異なります。自身に合った業者を選びましょう。
場合によっては複数社から見積もりを取りましょう。
よくある失敗例1
失敗しないためには…
必要な設備・IT環境の洗い出しと、
早めの手配を行いましょう。
レイアウト検討段階でICTサービスや
通信機器の検討も必要です。
よくある失敗例2
失敗しないためには…
中古設備は壊れる前提で想定し、
新たな設備を入れる資金的な余裕を見ておきましょう。
※ (株)NTT東日本サービスのページへ遷移します。
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店舗の図面が完成したら、保健所に事前に確認してもらいましょう。
よくある失敗例
失敗しないためには…
店舗の図面が出来上がったら、
保健所の事前確認を受けましょう。
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宅配メニューは今や飲食店に欠かせないものになっています。
宅配サービスはお店の集客にもつながるため、併せて検討しましょう。
また宅配アプリサービスと連携する場合にはピックアップ場所などのレイアウトの変更も必要になる場合もあります。
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6オペレーション/採用・教育
(開業1~2ヶ月前)
店内オペレーションをマニュアル化します。店舗の要員を採用し、育成します。
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オープン前後のプロモーションはどちらも重要です。
よくある失敗例
失敗しないためには…
オープン前からWebサイトや広告媒体で
プロモーション(プレプロモーション)を行い、
認知度向上を図りましょう。
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オープン前に最低1度は想定したオペレーションができているかを検証しましょう。
改善点があればオープンまでに見直します。
POINT
実際のお客さまを相手にするのが心配な場合は、家族や友人にお客さま役を頼んでやってもらうだけでも大丈夫です。シミュレーションの検討の際には、感染症対策などオペレーションに取り込めているかも気を付けてみましょう。
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開業準備は必要なタイミングで
検討・行動することが重要です
先輩経営者の
開業体験談をみる
飲食業
飲食店「acero」(アチェロ)
石川 貴士様
A.
大変だったことはいくつかあります。税務関係がわからなかったので税理士の先生にお願いしようかどうかを悩みましたね。他にも、地場ではない土地での開…
先輩経営者の開業体験談
飲食業
飲食店「acero」(アチェロ)
石川 貴士様
今回インタビューするのは、東京都大田区鵜の木でイタリアンバルを経営している石川貴士さんです。石川さんは2022年7月29日にお店をオープンしました。コロナ禍での開業とあって色々と苦労されたことも多かったそうです。そんな石川さんに飲食業の開業についてお話を伺いました。
コロナ禍での開業でしたが、開業に至るキッカケや動機を教えてください。
まずは私自身が料理に興味を持った動機が、学生の時に学校のお弁当作り(自分と兄弟分)をすることが多くて、お弁当作りをしているうちに料理に興味を持つようになりました。そこから進路を定め、高校卒業後調理師専門学校に入学をしました。卒業後はホテルでの料理人として就職。こちらのホテルでは3年間お世話になりました。起業を考えたキッカケは、転職をした個人経営の飲食店での経験でした。オープンキッチンのお店で、お客さまの前で料理を行うライブ感に魅了されました。特にお客さまの反応がダイレクトに伝わるのを目の前にすると痺れるような感覚が忘れられず、いずれはオープンキッチンのお店を自分でやってみたいと思うようになりました。そこからは、スキルだけでなく、人との繋がりを大切にし、生産者さんなどと積極的にコミュニケーションを取るためにインプットすることを意識しました。
そうだったんですね。そこからご自身で開業にいたるまではどのようなスケジュールでしたか?
実際に動き出してからは約1年くらいの時間がかかりました。飲食店開業で一番大きなポイントは物件情報だと思います。まずは働きながら物件の情報だったり、資金繰りの方法について情報を集めるところから動き出しました。実際には物件は縁とタイミング次第であり、働きながらでは時間が取れないので開業半年前に勤務先を退職しました。そこから物件探しに重きをおくようになり、開業4ヶ月前に今の物件と出会いました。そこから、資金調達・内装工事業者との打ち合わせを行い、オープンの日程を決めました。私の場合は、居ぬき物件だったので比較的スムーズでしたが、スケルトンからだと内装工事も含め半年くらいの時間を見ておいた方が良いと思いますね。
開業する中で一番大変だったことを教えてください。
大変だったことはいくつかあります。税務関係がわからなかったので税理士の先生にお願いしようかどうかを悩みましたね。他にも、地場ではない土地での開業でしたので、以前のお客さまの来店もあまり見込めず新規のお客さまだけで勝負していくのに不安を感じていました。今に至るまでで一番大変だったことは、開業当初料理人目線で料理のメニューを作ったんですが、あまりにもメニュー数が多く提供時間がかかってしまいオペレーションが回らなくなってしまったことです。対応が後手後手になってしまいたくさんのクレームをいただきました。横の繋がりが強い地域柄なので挽回していくのがすごく大変でした。
それはとても大変でしたね。石川さんはどうやって乗り越えていったのですか?
個人店ですと自分含めリソースが限られてきます。一番の良さを引き出すためにメニュー数を絞り、人を増やすことを決めました。ここ最近では物価高騰の影響などもあり、試行錯誤の連続です。なるべく自家製のものを使うようにして料理にストーリー性を持たせたり、漁師さんと直接的に取引を始めたりなど、他のお店との違いが出るように工夫しています。また、自分は料理人として生きてきたので税務や会計についてはほとんどわかりません。そんな時に今の税理士事務所(税理士法人V-Spirits)さんに依頼をしました。税務・会計だけでなく資金調達のお手伝いもしてくれて本当に助かりました。専門的な部分は専門家に任せた方が不安はなくなりますね。
これから新たに開業する人に気をつけてもらいたいことはありますか?
飲食業界の世界で言いますと、もしかしたらしんどいことの方が多いかもしれません。精神的にも肉体的にもキツイときもあります。ただそれも、一度来店してくれてリピーターになってくれた方や口コミを聞いて来店してくれる人が居たり聞いたりしたときには、全てが吹き飛ぶくらい嬉しいです。飲食の世界に限らず、すぐに結果に繋がることは少ないけれども、目の前でお客さまの反応がわかる仕事は飲食ならではですし、そこにやりがいを感じます。それを味わうとやめられません!
これから新しく開業する方には、経営者として夢を見て追い求めていって欲しいと思います。ただし、継続していかないと意味がないので、近くにブレーキをかけてくれる人や信頼できる相談者(開業している先輩や専門家)がそばにいてくれる環境をつくりましょう。