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定款とは?記載事項の内容と目的、作り方から会社設立の流れを解説!

2022.3.22

定款とは?記載事項の内容と目的、作り方から会社設立の流れを解説!

会社を設立するにあたり、定款作成は必ず行う必要のあるステップの一つです。定款は会社の基本規則をまとめたものなので、細心の注意を払って作る必要があります。

定款作成は普段から馴染みのあるものではないですし、誰でも簡単に作成できるものではありません。会社設立にとって非常に重要なステップですが、なかなか苦労する方も多いと思います。会社設立経験者の多くはここでつまづいたことがあるのではないでしょうか。

今回は定款についての基礎情報を説明しつつ、定款の構成要素やプロセスを順序立てて説明していきます。この記事を読んで、ぜひ定款に関する理解を深めてください。

1.定款とは

定款とは

そもそも定款とは何なのでしょうか。定款とは「会社運営を行うにあたり必要不可欠な基本ルール」です。会社の根本的なルールを定めており、社内の多くのルールはこの定款に定められたものを参考にして作られています。

定款は会社の憲法?

定款は会社の根本的なルールなので、会社にとっての憲法と言っても過言ではありません。社内で発生した懸案についてどのような判断を下せばいいか迷う時があります。その際は、定款を参考にしてみましょう。「定款にはこう書かれているから、こう判断すればいい」という判断の道しるべとして活用できます。

定款は会社設立時に必ず必要

会社設立手続きを進める中で、定款作成は避けて通れません。必ず作らなければならない書類であり、書類の書き方は法律で決められています。正しく作成しないと、やり直しとなります。詳細は以下で解説しますが、定款は以下の3点を記載します。

  1. 絶対的記載事項・・・必ず記載が必要な事項。一つでも抜けていると定款自体無効。
  2. 相対的記載事項・・・定款で定めなければ効力を発揮しない事項。
  3. 任意的記載事項・・・無理に定める必要はないが、定めておいて損はない事項。

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2.定款の作成が必要な理由

定款の作成が必要な理由

定款作成は会社法で作成が義務付けられています。では、なぜ定款を作るのでしょうか。理由は以下の2点です。

・「法人格」を与える

会社は人間と違って人格がありません。会社ができることを定めて登記することで、定款で定めた範囲内で「法人格」というものを形成できます。会社のことを「法人」と呼ぶのは、定款によって会社ができることを定めているからです。

・会社の自治を守る

会社に関することは会社法である程度定めていますが、会社法だけですべてをカバーできるわけではありません。そのため、定款を用いて会社法だけでは足りない部分を補っています。定款で定められたことについては、経営者も守らなければなりません。定款を上手く活用することで社内で発生するトラブルを事前に防ぐ役割を果たします。

3.定款の内容

定款の内容

前段で少し触れましたが、定款の内容は大きく分けて3点あります。それぞれについて説明していきます。

  1. 絶対的記載事項
  2. 相対的記載事項
  3. 任意的記載事項

絶対的記載事項

定款作成時に、記載必須となる項目です。一つでも抜けている場合は定款としての効力は発揮されず、無効扱いとなります。以下の5点について記載が必要です。

■事業の目的

会社として事業を行う目的を記載します。ここでは以下の3点を記載します。

  1. 営利目的であること
  2. 違法な事業でないこと
  3. 客観的で正確に事業内容を示していること

設立後にすぐ発生する事業を前半で記載し、後半に今後発生する可能性のある事業を記載します。定款内容を変更する際は、再度登記が必要なため、事業内容をたくさん記載する会社も多いです。

しかし、あまりにも多くの事業内容を記載すると何をやっている会社か分からなくなるので、適切な範囲で書きましょう。なお、ここに書かれていないからといって、事業を行えない訳ではありません。

■商号

ここでは会社名を記載します。必ず、『株式会社・合同会社・合資会社・合名会社』のうちどれかを使用しなければなりません。なお、有限会社は2006年5月1日以降、新設することができなくなっています。

会社名はローマ字表記でも問題ありません。海外取引を検討している場合、ローマ字表記も準備しておいた方がいいでしょう。

■本店所在地

本社の住所を記載します。本社と自宅の住所を同一にすることを気にされる方はバーチャルオフィスを活用することも可能です

■資本金額(出資財産額)

この会社を作るためにいくら出資したかを記載します。出資金額に上限や下限はありません。そのため、出資金をいくらで設定しても問題ありません。出資金額が増減する場合は再度登記しなおさなければならないので注意してください。

■発起人の氏名と住所

会社設立に関わった発起人の氏名と住所を記載します。なお、会社謄本には会社代表者の氏名と住所が記載されます。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、「定款上で定めておかなければ効力を発揮しない項目」のことをいいます。記載がなくとも無効とはなりませんが、記載しておかなければ後々のトラブルになりますので、しっかり記載しましょう。記載項目は以下の4点です

  1. 現物出資
  2. 財産引受
  3. 発起人の報酬および特別利益
  4. 設立費用

・現物出資
現物出資をした出資者がいる場合は、その価額と出資者の氏名を定款で定めることができます。

・財産引受
発起人が会社の場合、会社の設立を条件に特定の財産を譲り受ける契約のことをいいます。対象財産、価額、譲渡人の氏名もしくは名称を記載します。

・発起人の報酬および特別利益
会社設立にあたり、発起人が実施した労務に対する報酬若しくは享受した利益額を記載します。

・設立費用
会社設立に当然として発生する費用を除き、発起人は設立に際し発生した費用を会社に請求できます。その金額を記載できます。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、「わざわざ定款で定めなくても問題ないが、定めておいた方が無難な項目」です。記載する内容に特段制限はありませんが、会社法や公序良俗に反しない範囲にとどめる必要があります。ここでは、任意的記載事項の中で特に記載されやすい項目を列挙します。

・定時株主総会の招集時期
株式会社であれば、決算を迎えてから一定期間内に株主総会を開催し決算報告等を行います。その時期を定めることができます。

・役員の数
取締役会を設置している会社は、最低でも3人の取締役を記載します。なお、取締役会非設置にすると取締役は1名で問題ありません。

・事業年度の設定
会社の事業年度を記載します。多くの日本企業は「4月スタート」が多いです。事業年度は会社によって様々です。いつから始めても問題ないですし、途中で年度を変更することも可能です。

4.定款の作り方と会社設立までの流れ

定款の作り方と会社設立までの流れ

定款作成に必要な項目が分かったところで、実際に定款を作成していきましょう。また、作成後の手続きについても説明していきます。流れは以下の通りです。

  1. 定款作成
  2. 公証役場での定款認証
  3. 法務局での法人登記
  4. 会社設立

なお、定款は「保存用」「公証役場用」「法務局用」の3部を準備します。

定款にフォーマットはある?

定款作成時のフォーマット等は特にありません。しかし、A4サイズの紙で横書き記載、黒文字で統一、末尾に発起人全員の署名と捺印をする等、一般的な書き方は存在します。最近では、定款作成時に必要な項目を入力するだけで定款の雛型が作れるサイトもあります。なお、PDFファイルによる電子定款を作ることも可能です。その際は印紙代4万円分が節約できます。

定款の構成

定款の構成は以下の通りとなっています。シンプルかつ最低限の内容を記載するとこのような構成になります。

  1. 第1章 総則
  2. 第2章 株式
  3. 第3章 株主総会
  4. 第4章 取締役
  5. 第5章 計算
  6. 第6章 附則

・第1章 総則
会社の基本情報を記載しています。この部分を読めば「この会社は何をやるために設立されたのか」が分かります。

・第2章 株式
発行可能株式数や株式の譲渡制限を記載しています。非上場会社の場合、株式の譲渡については取締役会の承認が必要である旨を記載している会社が多いです。

・第3章 株主総会
株主招集方法や決議方法・議事録などについて記載します。株主招集方法は様々ですが基本的には一堂に会する方法が多いです。決議方法は多数決制が多いです。議事録も作成しましょう。

・第4章 取締役
取締役に関する規定が記載されます。取締役の選任方法や任期等を決めます。取締役会を設置するケースや監査役および監査役会を設置するケースは別章を設けて説明することもあります。

・第5章 計算
事業年度や利益剰余金使途などの決算に関するものを記載します。利益は株主に配当として還元することが原則ですが、必ずしも配当還元しなければならない訳ではありません。株主より配当還元しなくてもいいという決議をもらえれば配当還元は必要ありません。

・第6章 附則
上記以外で会社設立に関する取り決めがある場合は、この章で記載します。記載しておいた方が後々のトラブル懸念を回避できるというものを中心に考えてみてください。

定款認証

定款認証とは「公証人が公証役場で定款を認めること」です。作成した定款はそのままでは効力を発揮しません。公証人に作成した定款を認めてもらう必要があります。定款認証をうける公証役場は本店所在地の都道府県内でなければなりません。

公証役場とは、全国にある法務省法務局管轄の公的機関です。公証人は元裁判官や元検事といった法律業務に携わってきた人物で、定款認証の権限が与えられています。

法人登記

公証役場で定款認証を受けたら、次は法務局にて法人登記手続きを行います。持ち物は「定款・就任承諾書・収入印紙・印鑑証明書・出資金払い込みを証明する書類」です。

就任承諾書とは、設立する会社の取締役や監査役に就任を承諾する書類です。承諾者の氏名・住所・印鑑が必要になります。

印鑑証明書は、取締役会を設置する場合は代表取締役の印鑑証明書、設置しない場合は役員全員の印鑑証明書が必要です。

出資金払い込みを証明する書類は以下の書類のことを指します。なお、すべてのページに法人実印で割印をします。

  1. 法務局においてある払込証明書
  2. ホチキス止めした銀行通帳の表紙・裏表紙・出資金と出資者が分かるページのコピー

書類に不備等がなければ申請から約1週間~10日で登記完了します。

会社設立

法務局で法人登記が完了すると登記事項証明書が発行されます。これで会社設立は完了です。

しかし、まだ手続きが残っています。会社設立が終了すると、これから法人税等の税金を支払わなくてはなりません。法人を設立したことを管轄内の税務署や年金事務所に申請を行います。また、法人銀行口座を作成する手続きも必要です。

各種申請時に法人の謄本や印鑑証明書を求められることがありますので、数枚準備しておきましょう。

5.定款作成は自分で行うと大変

定款作成は自分で行うと大変

ここまで定款作成の流れを解説してきましたが、自分で行うとなると大変です。発起人と役割分担して対応できれば良いですが、細かいルールや規則があります。公証役場や法務局にて申請したものの、書類不備のため何度もやり直しが必要になる可能性もあります。

もし、自分でできる自信がない人は司法書士への依頼やクラウドツールを活用してみるのも良いでしょう。多少の費用はかかりますが、正確に対応してもらえますし、余計な時間がかかりません。早く起業して事業を始めたい人は、外部の力も効果的に使ってみてください。

6.定款作成後に考えたいオフィス環境整備

定款作成後に考えたいオフィス環境整備

定款を作成した後、会社設立の次に考えることとして、オフィス環境を整えることが大切です。会社設立後には、必要最低限の設備投資で問題ないかもしれませんが、ニューノーマルな時代に合わせたデジタルツールを活用することで業務を円滑に進めることができます。ICTの活用は事業成功の鍵です。また、ICTの整備について、より詳しく知りたい方は以下の資料を参考にしてください。

ニューノーマルな時代に合わせたICT整備に関してもっと詳しく知りたい方はこちら

7.まとめ

まとめ

今回は定款に関する基礎事項を紹介しつつ、定款の中身や作成の流れを説明しました。会社設立に伴い、定款作成は切っても切り離せないステップです。定款はその会社の根本規則ですので、適当に作ることは決しておすすめしません。自分が納得するまで考え抜いて作成してみてください。

作成に際しては記載事項が法律で決められています。法的手続きをしっかり踏んで対応しないと後々面倒なことになりますので、注意してください。どうしても作成に困った場合、その時は自分一人で抱え込まずに、外部の力を活用しましょう。

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