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合同会社と株式会社の違い!メリット・デメリットや設立の流れ

2022.3.22

合同会社と株式会社の違い!メリット・デメリットや設立の流れ

「合同会社」という言葉の意味を知らない方も多いでしょう。株式会社や有限会社はよく耳にしますが、合同会社はほとんど見かけません。会社形式として真っ先に思いつくのは株式会社である方が多いかも知れません。

また、株式会社との違いを聞かれた際に、正確に答えられる人も少ないでしょう。しかし、合同会社を選択する方が後々に好影響をもたらす事例もあります。また、合同会社について理解を深めることで、取引の仕方なども見えてきます。

今回の記事では、合同会社にかかわる基本情報を説明しつつ、メリット・デメリット、設立までの流れについて解説します。

1.合同会社とは

合同会社とは

合同会社とは、「経営者と出資者が同一で、出資者は有限責任者である会社」のことをいいます。経営者とは会社の向かうべき方向性を指し示す人物です。また、出資者とは会社に投資をしている人物です。有限責任とは出資金の範囲内の責任しか負わないということです。

株式会社との違いは?

株式会社との大きな違いは「経営者と出資者が同じかどうか」です。株式会社は、経営者と出資者が違っても構いません。出資者は会社経営を行う権限を持ちませんが、株主総会にて経営陣の選任や解任の権限を持ちます。この権限を使って間接的に経営に携わります。

また、合同会社は出資者と経営者が同一なので、経営を行いつつ経営陣の選任や解任もできます。

合同会社には例えばどういう会社が存在する?

合同会社として有名な企業は、「Apple・Google・Amazon」などの日本法人が挙げられます。株式会社の場合、重要な経営判断をする時には株主の意見を聞かなくてはいけません。しかし、合同会社なら、経営者の判断のみで進められるため迅速な経営判断を行えます。

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2.合同会社の役職について

合同会社の役職について

合同会社には株式会社で聞き慣れない役職を持つ人がいます。それは以下の2つです。

  1. 代表社員
  2. 業務執行社員
この2者は株式会社等の従業員とは性質が異なります。以下では、それぞれの役目について説明していきます。

代表社員

代表社員とは、「会社を代表する権限をもつ社員」です。株式会社では代表取締役という肩書を持つ人物です。合同会社は、出資者全員に業務執行権と代表権が与えられています。しかし、代表者を決めておかなければ、取引先に混乱をきたす可能性があったり、意思疎通が難しくなったりします。それを防ぐために、定款に代表権を付与する社員を定めることが普通です。

なお、代表社員を複数人決めることは問題ありません。各出資者が高い経営能力やノウハウを発揮させて、物事を決めていくことでスピード感のある経営判断が実現します。また、部分的に代表権を与える場合もあります。

業務執行社員

業務執行役員とは、「会社の各種業務を執行する権限を持つ社員」のことです。株式会社では取締役という肩書を持つ人物です。業務執行役員は代表権を有していないので、重要な意思決定を下すことは難しいです。例えば、契約関連の署名捺印を業務執行役員名義で行うことは許されません。しかし、業務の遂行状況の監視や財産調査・監視は可能です。

なお、経営能力の高い一部の人間に全権を委ねる方が会社にとって良い判断となる事もあります。その際に、業務執行役員を定款で定め、経営に携わる者と携わらない者を分けることで、効率的な経営を実現します。

代表社員と業務執行社員のポジション

代表社員は代表権を保有しており、業務執行役員は業務執行権を保有しています。両者ともに登記が必要です。両者に当てはまらない一般従業員は登記の必要はないです。

なお、代表社員や業務執行役員は法人でも問題ありません。法人を就任させる場合、業務を執行する職務執行者を選定する必要があります。法人だけの登記では実際誰が業務を行っているのかが分からないため、責任の所在を明らかにする観点から職務執行者を選定します。また、職務執行者に特別な要件も存在しません。法人の役員や従業員でもいいですし、まったく法人と関係ない第三者を選定しても法的には問題ありません。

3.合同会社のメリット

合同会社のメリット

会社設立を検討する際に、多くの人は株式会社設立を考えるでしょう。しかし、合同会社設立には5つのメリットがあります。順を追って説明していきます。

  1. 設立費用が安い
  2. 法人の節税メリットが大きい
  3. 経営の自由度が高い
  4. 決算を公表しなくても良い
  5. 出資者全員が有限責任である

設立費用が安い

会社の設立には大きく分けて4つの費用がかかります。定款用収入印紙代、定款の謄本手数料、定款の認証料、登録免許税です。株式会社は、約250,000円以上かかりますが、合同会社は、約100,000円で設立可能です。また、合同会社設立時には、定款の謄本手数料と定款の認証料が無料です。

項目

合同会社

株式会社

定款用収入印紙代
(電子定款では不要)

40,000円

40,000円

定款の認証料
(証人に支払う手数料)

0円

約2,000円
(250/1ページ)

定款の認証料
(証人に支払う手数料)

なし

50,000円

登録免許税

60,000円
または
資本金額×0.7%
のうち高いほう

150,000円
または
資本金額×0.7%
のうち高いほう

合計

約100,000円〜

約250,000円〜

なお、合同会社は決算公表の義務がないので官報への掲載費(60,000円)も0円で済みます。また、株式会社役員の任期は2年間と決まっていますが、合同会社には特に定められていません。したがって、役員任期終了の際に発生する重任登記費用(10,000円)も発生しません。

法人の節税メリットがある

合同会社は個人事業主より経費として認められるものが多いので、節税メリットが大きいです。例えば、自宅を事務所として使用すると、個人事業主は仕事場として利用している部分の賃料しか経費計上できません。一方、合同会社は、自宅兼事務所として利用しているなら賃料全額を経費計上することができます。

また、税率面でも大きく差があります。個人事業主は累進課税制のため、稼げば稼ぐほど税率は高くなり、最大で45%の税率が適用されます。それに対し、合同会社の法人税は所得が800万円以下なら22%となり、800万円以上なら30%と一定税率となります。加えて、設立から2年間は消費税納税免除が適用されます。

経営の自由度が高い

株式会社と違い、出資比率に応じて支配権は変わりません。よって、出資比率に関係なく有能な従業員には多く利益分配できるのです。

株式会社は、経営陣と株主が同一でないことが多く、重要な経営判断を行う際は株主の意向を確認しなければなりません。しかし、合同会社は、経営陣の判断で大きな意思決定を下すことができます。

決算を公表しなくても良い

株式会社と違い、決算公表をしなくても構いません。そのため、決算発表の準備時間やコストもかかりません。なお、決算を発表しなくても良いというだけであり、決算書等を作成しなくても良いというわけではないので、注意が必要です。

出資者全員が有限責任である

出資者全員が有限責任です。したがって、出資額以上の責任は発生しません。例えば、1億円の損失が発生した場合、第3者から出資者に損害賠償責任を問われたとしても、出資額が100万円であれば100万円の損失責任を被ります。あくまで損害の責任は会社です。

株式会社の株主は間接有限責任です。これは、株主が債権者より債務弁済請求を受けないことをいいます。考え方は合同会社のあり方と同じです。債務は会社の責任であり、株主の責任ではないという考えです。

4.合同会社のデメリット

合同会社のデメリット

合同会社にもデメリットはあります。会社設立時にはメリットとデメリットを比較し、適切な選択を行いましょう。デメリットは大きく分けて3点です。

  1. 株式会社と比べると認知・信頼性に劣る
  2. 資金調達方法が限られる
  3. 対立する社員が出てくる可能性がある

株式会社と比べると認知・信頼性に劣る

合同会社は圧倒的に認知度が低いです。法務省の調査によると、2020年度の株式会社総数は983,704社に対し、合同会社の総数は87,409社です。

また、会社取引という観点で見ると大きな差はありませんが、普段見慣れない合同会社という文言を見ると、本当に取引しても問題ないかと考えてしまい、まったく意図しない部分で信頼を損ねてしまう可能性もあります。

参考・出典:e-STAT 政府統計の総合窓口

資金調達方法が限られる

株式会社は、増資等による資金調達も選択肢の一つですが、合同会社はそのような資金調達ができません。出資のみは許されないので、社員として迎え入れなくてはいけません。また、合同会社は上場ができないので、株式公開による資金調達も許されていません。

したがって、国や自治体の補助金もしくは銀行調達に限られます。合同会社だからという理由だけで融資を断られることはないでしょう。健全な経営と確固たる事業を行っていれば融資検討をしてもらえます。

対立する社員が出てくる可能性がある

社員全員が出資額に関係なく同じ権利を有するので、対立が起こった場合、経営や業務に大きな影響が発生する可能性があります。代表者の継承や出資者の権利譲渡などは社員全員の同意が必要です。また、経営に係る重要事項の決議では社員の半数超の応諾が必要です。

加えて、自由に利益配分ができるため、ここでも対立する可能性が潜んでいます。なお、定款に「出資額に応じた利益配分」等の記載をすることで対立を未然に防げることもあります。

5.合同会社に向いている業種

合同会社に向いている業種

一般的には、株式会社を念頭にして設立を検討する場合が多いかもしれませんが、実は合同会社設立の方が向いている業種があります。以下2点に当てはまるのなら合同会社設立も選択肢の一つとして考えてみてください。

一般消費者向け事業(BtoC)

前述のように、合同会社は認知度が低く、信頼性に若干欠けることが想定されます。本当はこのようなことはあってはならないのですが、会社形式だけで判断されてしまうこともあります。したがって、企業向け事業(BtoB)取引を進める際に、合同会社だからという理由で不本意な扱いを受けることもしばしばです。

一方で、一般消費者向け事業(BtoC)であれば、上記のようなことはごく少数です。一般消費者は、企業名やブランド名はチェックしますが、会社形式までチェックして商品やサービスを購入することはほとんどないでしょう。したがって、自社の製品やサービスだけで勝負できる環境が整っています。ITサービスやカフェ、サロン、学習塾などは合同会社で運営しても問題ないでしょう。

創業間もないスタートアップ企業や個人事業主から法人成りした企業

スタートアップ企業は、他社より速い意思決定や経営判断を行わなければなりません。その際、合同会社であれば、経営陣の判断だけで物事を決めることができるため、適切です。ベンチャーキャピタルなどの出資が必要になってきた段階で株式会社に登記変更するという形でも良いでしょう。

個人事業主から法人成りした企業もおすすめです。前述のように設立コストは10万円程度なので低コストで設立できます。年商1,000万円を突破するタイミングで法人成りすると設立後2年間は消費税免除です。したがって、節税メリットが大きくなります。

6.合同会社設立までの流れ

合同会社設立までの流れ

合同会社設立には大きく分けて8ステップ存在します。ステップ数は多いですが、一つひとつを見るとさほど難しくありません。順番に確認していきましょう。

①事業内容を決める
まずは事業内容を決めます。「どのような商品もしくはサービスを提供するのか」などを誰が見ても分かるような文言に落とし込みます。その際、許認可事業を行う際も許可が取れている旨を記載します。

②出資者を決める
最低出資人数は決まっていないので、自分一人でも問題ありません。自分以外の人に出資してもらう際は、その出資者も合同会社の社員として業務を執行するので、その点を出資者に説明しましょう。出資者が決まれば、出資者全員の印鑑証明書原本を1通準備します。

③資本金を決める
資本金の最低金額や最大金額は決まっていません。よって、1円でも設立OKです。しかしながら、現実的には会社経営に必要な費用等を考えると、資本金1円で設立することはほぼ有り得ません。事業開始の際に必要な費用がどのくらいかを計算して、資本金を設定しましょう。

④商号を決める
同一住所内で同一商号がなければ問題なしです。似たような会社名だと紛らわしいので、管轄内の法務局で自身が考える会社名が存在するのかをチェックすると良いでしょう。

⑤定款を作成する
定款は会社の根本規則です。したがって、会社の実情に合わせて検討します。合同会社は経営の自由度が高いので、定款作成作業は非常に重要です。定款には絶対的記載事項というものがあります。以下の項目のうち1つでも記載がないと、定款そのものが無効となってしまいます。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店所在地
  4. 社員の氏名及び住所
  5. 社員全員が有限責任である旨
  6. 社員の出資目的及びその価額

なお、定款で定めておくと効力を発揮するものを相対的記載事項と呼びます。以下の2点は設定しておくと便利です。

  1. 業務執行社員および代表社員の選定
  2. 損益配分の比率

⑥出資金を払い込む
誰がいくら出資金を払い込んだのかが明確になるように、出資者の預金口座に振り込みましょう。出資者が複数いる場合、出資者が1人ずつ各人の出資金を振り込みます。振込が完了しましたら、振込証明書と通帳コピーをホチキス止めして、すべてのページの境目に法人実印を用いて割印をします。

⑦設立登記の申請を行う
定款と出資金の払込証明書の準備が完了したら、設立登記申請書を作成しましょう。登記申請に必要な書類と収入印紙6万円分を準備して、管轄内の法務局に提出します。法務局への提出日が「会社設立日」となります。

⑧登記完了後の届出をする
法務局への届出を行い登記完了したら、各種機関に登記完了報告を行います。主な報告先は以下の通りです。

  1. 税務署
  2. 都道府県税事務所
  3. 市区町村役場
  4. 年金事務所(旧・社会保険事務所)
  5. ハローワーク
  6. 労働基準監督署

合同会社設立にかかる費用

合同会社設立費用は約10万円です。また、合同会社設立後にも、以下のようなランニングコストが掛かります。

  1. 法人税
  2. 法人事業税
  3. 法人住民税
  4. 消費税
  5. 固定資産税
  6. 社会保険料
  7. オフィス賃料

・法人税
事業を行うことで生まれた利益に対して税金がかかります。事業所得のうち利益が800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.20%の法人税がかかります。

・法人事業税
公共サービス維持のために必要な経費を負担する税金です。都道府県によって税率が異なります。

・法人住民税
登記先の都道府県や市町村に納める税金です。こちらも都道府県や市町村によって税率が異なります。

・消費税
商品やサービスが消費される際に発生する税金です。購入者が支払う消費税を事業者が預かり、一括納税します。また、資本金1,000万円以下の企業は設立1年目の消費税は免除されます。2期目以降は一定の条件を満たすことで免除されます

・固定資産税
機械や建物など有形固定資産を保有していると発生する税金です。固定資産を保有していなければ発生しません。

・社会保険料
健康保険料と厚生年金保険料を支払います。健康保険料と厚生年金保険料は、加入者の標準報酬月額に税率を掛けて計算します。健康保険料は年度によって異なりますがおよそ10%、厚生年金保険料は18.3%となっています。この合計金額を会社と従業員で折半して払います。

・オフィス賃料
事務所を賃貸すると毎月発生します。自宅兼事務所として利用する際、自宅の賃料をオフィス賃料として経費計上できます。

設立後の環境整備が大切

近年では、オフィス環境やIT整備などの設備投資を行う企業が多くなっています。新型コロナウイルス感染症の影響により、今までの働き方とは大きく変化しており、オフィス環境も変わらなければなりません。より生産性を向上させるためのデジタルツールの活用が事業成功のカギになるでしょう。もし法人設立後のICT整備に興味のある方は、以下の資料を参考にしてみてください。

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7.まとめ

まとめ

今回の記事では、合同会社の基本知識を中心に、メリットとデメリット・設立までの流れ等を説明しました。会社設立となると、どうしても株式会社を想像してしまうと思いますが、実は合同会社設立の方がメリットが大きい事例もあります。本格的に事業を行っていきたいものの初めは小さく始めていきたい場合は合同会社設立が有効です。

また、誰もが一度は聞いたことがある企業も、実は合同会社だったということも多いです。合同会社は決してマイナーな会社形式ではありません。会社設立の際には幅広く選択肢を考えつつ、将来の事業展開を見据えながら検討してみてください。

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