給与計算のやり方を3ステップで解説!業務に伴うリスクやミスを防止するツールを紹介|コラム|ワークデジタルラボ|法人のお客さま|ワークデジタルラボ
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Writer:北森 雅雄

給与計算のやり方を3ステップで解説!業務に伴うリスクやミスを防止するツールを紹介

    「給与計算のやり方がわからない」「業務の際にミスやリスクを避けたい」という方は多いのではないでしょうか。給与計算は企業において欠かせない重要な業務ですが、精度を要求されるため、細かいミスやリスクを避けることが大切です。

    そこで今回の記事では、給与計算を行うための手順を詳しく解説します。また、給与計算に伴うリスクやミスを最小限に抑える便利なツールも紹介します。給与計算の効率化やミス軽減を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

    この記事の目次

    1.給与計算のやり方【3ステップで解説】

    給与計算は、従業員に対して正確な給与や手当を支給するための重要な業務です。勤務時間や給与規程に基づいて計算されます。特に正確性が求められるため、担当者は給与計算について詳しく理解する必要があります。

    給与の算出方法は以下のとおりです。

    • ・給与(手取り)= 総支給額(額面) - 控除額 - その他の控除額

    この章では、「総支給額」「控除額」「その他の控除額」の計算方法について解説します。

     

    1-1.総支給額の計算

    まずは従業員の勤怠データを集計し、総支給額の算出を行います。総支給額を算出する際は、以下の4つの項目を計算します。

    • ・基本給:就業規則などで規定されている
    • ・各種手当:通勤手当や住宅手当など
    • ・割増賃金:時間外労働や深夜労働など
    • ・欠勤控除額:遅刻や欠勤など

    「基本給」「各種手当」は給与規定を確認しながら算出しましょう。「割増賃金」は会社によって異なりますが、労働基準法によって割増率は25%以上と設定するように定められています。また、「欠勤控除額」の計算方法は、月給を1ヶ月の所定労働日数で割った1日あたりの給与です。それぞれの項目を会社の規定に沿って計算し、総支給額の算出をしましょう。

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    1-2.控除額の計算

    給与計算において、総支給額から差し引かれる要素が「控除額」です。控除される項目は「社会保険」「税金」であり、以下のようなものがあげられます。

    • ・健康保険
    • ・介護保険
    • ・厚生年金保険
    • ・雇用保険
    • ・源泉所得税
    • ・住民税

    それぞれの計算方法を解説します。

     

    健康保険

    健康保険とは、医療費や病気・ケガによる経済的リスクを分散する制度です。健康保険の負担額は、報酬月額や加入する健康保険組織によって異なり、基本的には会社と従業員で折半します

    健康保険料の算出方法は、「標準報酬×料率」です。標準報酬とは、4~6月の総支給額の平均値(報酬月額)によって決定され、毎年算出します。4~6月以外で毎月の総支給額が大幅に増減する場合は、別の計算・届け出が必要です。また、4月から入社した新入社員の場合は、今後支払う総支給額の見積りをしたうえで算出します。以下のモデルケースをもとに、健康保険料を算出します。

    4~6月を合算した総支給額

    600,000円

    加入している健康保険組織

    全国健康保険協会 東京支部

    1. 1.4~6月の総支給額の平均値(報酬月額)は、「600,000円(総支給額の合計) ÷ 3 = 200,000円」となる
    2. 2.「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の表を参照すると、4~6月の総支給額の平均値(報酬月額)が195,000~210,000円に含まれるので、標準報酬は200,000円
    3. 3.健康保険の負担額:「200,000円(標準報酬)×10%(料率)÷2(折半)=10,000円」

    算出された10,000円が、実際に総支給額から差し引かれる健康保険の負担額になります。

     

    介護保険

    介護保険とは、高齢者や要介護者に対して介護サービスを提供し、生活支援や介護費用の負担を軽減する制度です。40歳以上65歳未満が対象です。負担額は、報酬月額や加入する健康保険組織によって異なっており、基本的には会社と従業員で折半します。また、介護保険料には健康保険料も含まれています。介護保険料の算出方法は、「標準報酬×料率」です。以下のモデルケースをもとに、介護保険料を算出します。

    4~6月を合算した総支額

    600,000円

    加入している健康保険組織

    全国健康保険協会 東京支部

    1. 1.4~6月の総支給額の平均値(報酬月額):「600,000円(総支給額の合計) ÷ 3 = 200,000円」
    2. 2.「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の表を参照すると、4~6月の総支給額の平均値(報酬月額)が195,000~210,000円に含まれるので、標準報酬は200,000円
    3. 3.介護保険の負担額:「200,000円(標準報酬)×11.45%(料率)÷2(折半)=11,820円」

    算出された11,820円が、実際に総支給額から差し引かれる介護保険の負担額になります。

     

    厚生年金保険

    厚生年金保険とは、65歳以上の人や障害を負った人などを対象に給付金を提供し、社会保障制度の一環として働く人々の年金を保障する制度です。健康保険の算出方法は、「標準報酬×料率」です。料率は全国一律となっています。以下のモデルケースをもとに、厚生年金保険料を算出します。

    4~6月を合算した総支給額

    600,000円

    加入している健康保険組織

    全国健康保険協会 東京支部

    1. 1.4~6月の総支給額の平均値(報酬月額):「600,000円(総支給額の合計) ÷ 3 = 200,000円」
    2. 2.「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の表を参照すると、4~6月の総支給額の平均値(報酬月額)が195,000~210,000円に含まれるので、標準報酬は200,000円
    3. 3.厚生年金保険の負担額:「200,000円(標準報酬)×18.3%(料率)÷2(折半)=18,300円」

    算出された18,300円が、実際に総支給額から差し引かれる厚生年金保険の負担額になります。

     

    雇用保険

    雇用保険とは、失業や解雇時の一時的な給付金を提供し、雇用者と労働者の経済的なリスクを軽減する制度です。雇用保険は健康保険や介護保険とは違い、事業所を管轄しているハローワークに申請する必要があります。

    雇用保険の負担額は事業の種類によって異なっており、基本的には会社と従業員で折半します。健康保険の算出方法は、「標準報酬×料率」です。2023年4月から料率があがっているので、「令和5年度雇用保険料率のご案内丨厚生労働省」を確認しておきましょう。以下のモデルケースをもとに、雇用保険料を算出します。

    4月の総支給額

    200,000円

    事業の種類

    一般の事業

    1. 1.「令和5年度雇用保険料率のご案内丨厚生労働省」の表を参照すると、一般事業者のもとで働く労働者の料率は0.6%
    2. 2.雇用保険の負担額:「200,000円(標準報酬)×0.6%(料率)=1,200円)」

    算出された1,200円が、実際に総支給額から差し引かれる雇用保険の負担額です。

     

    源泉所得税

    所得税とは、国や地方自治体に支払われる税金です。源泉所得税の負担額は、以下の項目によって決定されます。

    • ・総支給額から社会保険料や通勤手当を控除した額
    • ・扶養親族等の数
    • ・月給制かどうか
    • ・本業かどうか

    毎年、国税庁が発行する「源泉徴収税額表」と上記の項目を照らし合わせて、実際の負担額を確認しましょう。以下のモデルケースをもとに、健康保険料を算出します。

    4月の総支給額

    200,000円

    社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)

    29,310円

    通勤手当

    9,260円

    扶養親族等の数

    0人

    1. 1.総支給額から社会保険料や通勤手当を控除した額: 200,000円(4月の総支給額)-29,310円(社会保険料)-9,260円(通勤手当)=161,430円
    2. 2.「源泉徴収税額表(給与所得の源泉徴収税額表(令和 5 年分)丨国税庁)」の表を参照すると、控除後の給与が161,430円・扶養親族等の数が0人の場合、源泉所得税は3,480円となる

     

    住民税

    住民税とは、居住地の市町村・都道府県に対して支払われる税金です。住民税の負担額は、前年度の所得や居住地によって異なります。住民税の算出方法は、以下のとおりです。

      1. 1.課税所得金額 = 総支給額 - 所得控除額No.1410 給与所得控除|国税庁
      2. 2.所得割額 = 課税所得金額 × 税率(居住地によって異なる) - 税額控除額No.1200 税額控除|国税庁
      3. 3.住民税 = 所得割額 + 均等割額(居住地によって設定されている一律の金額

    勤めている会社以外で収入がある場合は、労働者自身で納付できます。また、自身で納付する場合は、一括払いと4回払いのどちらかを選択できます。

       

      1-3.その他の控除額の計算

      法律によって負担しなければならない社会保険や税金の他に、社宅費や社内貯金、生命保険料なども「その他の控除額」として計算されます。「その他の控除額」は、会社によって異なるので社内規定を確認しましょう。

      2.給与計算業務で起こりやすい3つのリスク

      給与計算業務にはさまざまなリスクが伴います。この章では、給与計算業務において起こりやすいリスクについて解説します。

       

      2-1.賃金支払の5原則の違反による罰則

      労働基準法によって、「賃金支払の5原則」が定められており、違反した場合には、30万円以下の罰金が科せられます。

      「賃金支払の5原則」は以下のとおりです。

      • ・通貨で支払う
      • ・従業員に直接支払う
      • ・全額を支払う
      • ・毎月1回以上支払う
      • ・期日を決めて定期的に支払う

      ただし、銀行口座での賃金支払は、労働者の同意を得た場合に可能です。労働者が病気などの理由で受け取れない場合は、代理人が受け取っても良いとされています。記載されているルールは賃金支払において基本的なことといえるため、しっかりと守って支払いを行いましょう。

      参照:労働基準法 | e-Gov法令検索

       

      2-2.情報漏えいリスク

      給与計算の際に何らかの理由で労働者の個人情報が内部・外部問わず漏えいしてしまった場合には、個人情報保護法に抵触するおそれがあります。漏えいを起こしてしまった従業員には50万以下の罰金または1年以下の懲役が科せられます。会社にも1億円以下の罰金が科せられるため、個人情報は会社全体での厳重な管理が必要です。

       

      2-3.計算ミスによるリスク

      給与計算の業務に含まれる税金の計算をする際にミスがあり、誤った額を納税してしまった場合には追徴課税が課されます。税務署によって、税務調査をされる場合もあります。誤った額を納税してしまった際には、再び計算や情報の精査をする作業に大幅な時間を要するため、給与計算は慎重に進めていきましょう。

      また、給料の支払期日までに間に合わなかった場合には、労働基準法に抵触するおそれがあります。違反した場合には、30万円以下の罰金が科せられます。給与額のミスや支払いの遅れがあれば会社と労働者の信頼関係にも影響を及ぼすおそれがあるでしょう。そのため、給与計算業務には正確性や迅速な対応が求められます。

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      3.給与計算に伴うリスクやミスに注意して業務を進めましょう

      従業員に支払う給与の算出には「総支給額の計算」「控除額の計算」「その他の控除額の計算」が必要です。「控除額の計算」は社会保険や税金といった従業員ごとに計算方法が異なっており、特にミスが起きやすい項目です。

      また、給与計算業務は作業量が多いうえにスピード、正確さが求められる難しい業務と言えます。給与計算ミスにより、労働基準法や個人情報保護法などに抵触するおそれがあるため、給与計算は慎重に進めていく必要があるでしょう。

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      この記事を書いた人

      NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

      NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

      2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

      2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
      NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

      北森雅雄 masao kitamori

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