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IoTで変わる畜産のいま 自宅にいながら養鶏場を管理

カテゴリー:IoT×農業・畜産業

業種
養鶏業
課題
温度管理の効率化、防犯対策
活用技術
「eセンシング For アグリ」「ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション 農業タイプ」
成果
見回り頻度の削減、防犯効果

農業や畜産業に携わる人にとって、「温度管理」は生産性を左右する重要なテーマです。最近は猛暑などの異常気象が世界的に相次ぐなど、従来の経験だけではカバーできず、深刻な被害を受けることもあります。NTT東日本はIoT、クラウドといったテクノロジーを活用し、農業や畜産の現場で、温度を測定・管理するさまざまな技術を開発しています。茨城県の養鶏場での取り組みを紹介します。

養鶏にはシビアな温度管理が必要

安定価格での供給を長年キープしていることから「物価の優等生」ともいわれる卵。茨城県は鶏卵生産量日本一を誇り、県内には多くの養鶏場があります。県央地域に位置する小美玉市の「中村養鶏場」は創業45年を超える老舗で、設備の改善を進めながら、現在15~20万羽を飼養しています。

養鶏においては、温度管理が非常に重要です。ニワトリは高温に弱く、鶏舎内の温度が35℃以上になると死亡してしまう危険もあります。このため、数時間おきに各鶏舎を見回り、必要に応じて空調機器を調整するといった管理が欠かせません。まさに24時間、365日体制の努力が卵の安定供給を支えているのです。

中村養鶏場では全5棟の鶏舎のうち、3棟に温度管理を自動化するシステムを導入しています。しかし「実際の温度や鶏舎の状況を知るためには現地に行く必要があるため、1日6回のペースで確認していました。また、異常発生の際の警報に気付きにくいこともあり、改善が必要と感じていました」と中村養鶏場の社長である中村強氏は話しています。

中村養鶏場 社長 中村 強 氏
中村養鶏場 社長 中村 強 氏

機器故障などのトラブルで温度が上昇した際は、鶏舎内のサイレンが鳴る仕組みになっていましたが、夜間、自宅にいるときに作動したときなどはその音が届きにくいことがあったのです。また、鶏舎は道路に面していて出入りが自由なため、防犯の意味でも何らかの改善が求められていました。

IoTで温度異常を「見える化」

そのような課題を確認したNTT東日本は、遠隔地から鶏舎内の温度を確認できる「eセンシング For アグリ」と、ネットワークカメラで鶏舎の映像をモニタリングする「ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション 農業タイプ」の導入を提案しました。

「eセンシング For アグリ」は、センサーとクラウドストレージの活用で圃場(畑や畜産施設などの生産現場)を「見える化」するソリューションです。IoTセンサーで測定したデータをクラウド上で蓄積することにより、スマートフォンやタブレットでいつでも確認できるようになります。また、「ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション 農業タイプ」は、IoTデバイスとクラウドの運用サポートをセットにした農業向けのパッケージで、防犯カメラの導入とWi-Fi環境構築を同時に行うことが可能です。

中村氏からは、「ニワトリの健康を考えて、気温が上がる夏までに稼働させたい」「できるだけコストを抑えたい」という要望がありました。それに対して、NTT東日本は複数部署の連携で工期を短縮し、中村養鶏場で実施できる工事を切り分けるなど柔軟に対応してコストを削減しました。「大掛かりなシステムではなく、鶏舎内はセンサーと送受信機というシンプルな構成で導入できることと、防犯カメラと事務所のWi-Fi環境を同時に整備できることが導入の決め手になりました」(中村氏)

中村養鶏場では3棟の鶏舎内に、それぞれ温度と湿度を測定するセンサー2台と送信機1台を設置しました。測定したデータはLPWA(低電力で遠距離通信が可能な無線システム)で事務所に送られ、オンラインストレージ「フレッツ・あずけ~る」に蓄積されます。15分ごとに1回温度データが収集され、鶏舎内が35℃を超えた際の警報はスマートフォンに即時送信されます。

防犯対策では、クラウド型カメラを敷地出入り口と鶏舎付近の2カ所に設置し、Wi-Fiで事務所に送信。リアルタイムで映像をモニタリングできるようにしました。これにより出入り口の監視を強化するとともに、事務所内の通信環境向上を図っています。

検出精度を高めるため、センサー設置場所の選定は慎重に行いました。センサーと送信機の駆動には太陽光パネルを使用しています。設置に当たっては、実機を鶏舎内に持ち込んでテストを繰り返し、より正確で安定した測定をめざしました。

システム構成図
システム構成図

鶏舎の見回り頻度が半減し、防犯効果もアップ

こうして慎重に機器を設置して2018年7月、中村養鶏場でのIoT活用がスタートしました。導入の成果として、鶏舎の見回りの回数を1日6回から3回に減らすことができました。

見回りは3回に減った
見回りは3回に減った

また、警報がスマートフォンで確認できる点については、大音量のサイレンで近隣に迷惑をかける不安が解消するとともに、トラブルに迅速な対応ができることを挙げています。離れた場所にいてもいつでも温度異常がチェックできるので、「外出する回数が増え、泊まりで家族旅行にも行けるようになりました」と中村氏は話しています。

防犯対策についても、「単に撮影するだけでなく、動きを捉えて追いかけるモーション検知機能や、アプリ操作により音声出力やライト点灯が可能なことなども魅力でした。おかげで夜、安心して眠れるようになった」と評価しています。

ソリューションを導入した2018年の夏は記録的猛暑で、「災害級の暑さ」という報道が目立ちましたが、中村養鶏場の鶏舎のニワトリには幸い大きな被害がありませんでした。試験導入後、スムーズに本格稼働へと移行した中村氏は、今後の課題を、「取得したデータをどう活用していくかを考えること」と話します。

NTT東日本では、今後、同様の課題を抱えた養鶏事業者はもちろん、養豚などに対してもIoT技術によるサポートを展開し、日本の畜産業に発展に寄与していく方針です。

参考記事:
https://business.ntt-east.co.jp/case/2018/n014/

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