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Writer:北森 雅雄

法律改正に対応した勤怠管理のためにタイムカードを電子化するメリット・デメリット7選を解説

    労務関連の法律への対応や業務効率化を図ることを目的として、勤怠管理で使うタイムカードを電子化したいと考えている方がいらっしゃるのではないでしょうか?紙で管理するタイムカードは、従来の一般的な勤怠管理方法の1つでした。しかし、近年はタイムカードを電子化して、社員の勤労状況を確認する企業が増えつつあります。

    しかし、タイムカードの電子化にはコストがかかるため、具体的な導入効果を把握したうえで検討したいと考える企業は多いです。そこで、今回の記事では企業がタイムカードを電子化するメリット・デメリットについて解説します。

    また、法律改正に対応するためにタイムカードの電子化が必要な理由についても理解できる内容になっています。法律への対応や働き方改革に伴う必要性にも触れているので、導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

    この記事の目次

    1.タイムカードの電子化は法律改正に対応した勤怠管理に有効

    タイムカードの電子化は、法律改正に対応した勤怠管理に有効です。2023年の法律改正で、企業は割増賃金率の引き上げを行うよう以下のように定められました。

    • 時間外労働
    • 深夜労働は25%以上
    • 休日労働は35%以上
    • 月60時間を超える時間外労働は50%以上

    割増賃金率の引き上げに伴い、賃金への反映が複雑化されています。紙のタイムカードをもとにExcelで一人ひとりの勤務時間から割増率を計上し、給与に反映させるのは時間がかかるだけではなく、ミスも生じやすいです。

    紙での勤怠管理を廃止して勤怠管理システムを導入することで、労働時間の管理が容易になるだけでなく、割増賃金の計算も速やかに行えます。また、勤怠管理システムによって打刻方法はさまざまであり、従業員が所有するスマホやICカード・生体認証などがあります。

    企業にとって適した打刻方法の勤怠管理システムを導入することで、担当者はもちろんのこと、出社する従業員の手間を軽減できるでしょう。現在、法律改正に勤怠管理が対応できていない企業は、タイムカードの電子化を検討することをおすすめします。

    2.タイムカードの電子化が進んでいる背景

    タイムカードの電子化が進んでいるのには、以下の2点の影響が大きいです。

    • 働き方の多様化
    • 法律の改正や変化

    近年、企業が勤怠管理システムなどでのタイムカード電子化が進んでいる背景について、見ていきましょう。

     

    2-1.働き方の多様化

    タイムカードの電子化が進んでいる背景には、働き方の多様化があります。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大に伴いリモートワークの普及が進んだり、サテライトオフィスが活用されるようになったりするなど、働き方の多様化が急速に進んでいます。

    働き方の多様化によって勤務形態が複雑になり、労働時間集計における担当者の作業負担が大きくなることが問題視されていました。実際にリモートワークでは、従業員の勤務開始時間や終了時間が把握しにくいと感じている方は多いです。

    勤怠管理システムなどでタイムカードを電子化することは、働き方の多様化に伴う担当者の負担を軽減するとともに、従業員がさまざまな場所から勤務できるようになります。

    タイムカードを押すために出社する必要がなくなるので、自宅勤務やサテライトオフィスといったワークスタイルを実現しやすくなります。さまざまな働き方に柔軟に対応するためにも、タイムカードの電子化は欠かせない取り組みでしょう。

     

    2-2.法律の改正や変化

    法律の改正や変化は、タイムカードの電子化が進む要因の1つです。新しい法律の施行や改正のたびに勤怠管理の方法を変更するのは、企業にとって負担が大きいでしょう。また、給与の計算方法が変わったり手作業が残っていたりするとミスが生じやすく、大きな問題となってしまいます。

    しかし、タイムカードを電子化すれば手作業によるミスを減らせる上に、計算方法の変更をサービス提供会社に依頼できる場合が多いため負担軽減にもつながります。今後も法律の改正などが想定されるので、タイムカードの電子化を済ませておくことは適切な判断と考えられます。

    3.法律改正による勤怠管理への影響

    法律改正に伴い、勤怠管理に大きな影響があります。2019年4月に「改正労働基準法」が施行されたことで、正確な勤怠管理が求められるようになりました。従業員の出社・退社時間だけでなく、残業時間や有給の取得義務、割り増し賃金などを正確に管理する必要があります。そのため、勤怠管理に関わる管理部門などの負担が増えている状況です。

    タイムカードの電子化は必須ではないものの、法律改正に対応するためにも勤怠管理システムの導入は重要です。既に勤怠管理に負担を感じていたり、賃金計算などでミスが生じていたりする企業にとって、タイムカードの電子化はおすすめできます。

    4.タイムカードの電子化するメリット5選

    タイムカードを電子化することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、現場が得られる主なメリットを5つ紹介します。

    • 集計作業の負担軽減につながる
    • 紙で保管するスペースが不要となる
    • 従業員の労働時間の把握がより正確になる
    • リモートワークに対応しやすい
    • イレギュラーな対応の負担が軽減できる

    従業員の勤怠管理に関わる担当者の方は、メリットを正しく把握したうえで導入を検討しましょう。

     

    4-1.集計作業の負担軽減につながる

    タイムカードを電子化することで、集計作業の負担軽減を実現できます。勤怠管理システムを活用すれば、従業員の出社状況が自動で反映されるようになります。紙のタイムカードに記載されている情報をパソコンなどの端末に入力する手間がなくなり、業務の効率化につながります。

    また、集計作業でのミスも減らせるので、修正作業に追われることもありません。これまで集計作業にかけていた時間を採用・雇用管理や社内の制度・環境整備など、別の業務にあてられるようになるでしょう。

     

    4-2.紙で保管するスペースが不要となる

    タイムカードを電子化すれば、紙の保管スペースが不要になるメリットがあります。労働管理の重要書類は3年の保管義務があるため、紙のタイムカードを使っていると安易に処分できません。そのため、年々社内の保管スペースが圧迫されてしまいます。

    タイムカードを電子化すれば、端末から勤怠管理の情報を管理できるので、紙の保管に使っていたスペースを別の用途で活用できるでしょう。備品の保管スペースとして活用したり、別の重要書類を置いておいたりするなど、保管スペースに問題があった企業はタイムカードの電子化がおすすめです。

     

    4-3.従業員の労働時間の把握がより正確になる

    従業員の労働時間をより正確に把握できるのは、タイムカードを電子化するメリットの1つです。

    勤怠管理システムであれば、勤務開始時間に従業員のスマホや生体認証などを利用して速やかに打刻できるので、従業員の労働時間をより正確に記録しやすくなります。

    また、端末上で従業員の労働時間を即時確認できるため、長時間労働を未然に防ぎやすくなります

    紙のタイムカードよりも労働時間の把握がスピーディーかつ正確になるので、社内の働き方改善にも役立てやすいでしょう。

     

    4-4.リモートワークに対応しやすい

    タイムカードを電子化することで、リモートワークにも対応できます。勤怠管理システムの機能で、通信環境があればどこからでも勤務開始時間を記録できます。そのため、リモートワークやサテライトオフィスの利用などでも、勤務開始したことを記録できます。

    勤怠管理の難しさを理由にリモートワークに対応できなかった企業でも、タイムカードを電子化すれば勤務場所が制限されないので、多様な働き方を進めやすくなるでしょう。

     

    4-5.イレギュラーな対応の負担が軽減できる

    勤怠管理システムを使ってタイムカードを電子化することで、イレギュラーな対応の負担を減らせます。たとえば、従業員が誤って打刻してしまった際、紙のタイムカードはその場で修正できません。そのような状況でもタイムカードを電子化しておけば、すぐに修正の申請が可能です。個別での対応が不要となり、勤怠管理に関わる業務全体の負担軽減につながります。

    5.タイムカードを電子化するデメリット

    タイムカードの電子化には魅力が多いですが、一方で以下のような注意すべきポイントも存在します。

    • 導入の手間と時間がかかる
    • 選ぶツールによっては紙の方が効率が良くなる可能性がある

    具体的にタイムカードを電子化するにあたって、どのようなデメリットがあるのかを解説します。

     

    5-1.導入の手間と時間がかかる

    タイムカードを電子化するデメリットは、導入に手間と時間がかかることです。まず、勤怠管理のシステムやサービスを選定する必要があります。システムの決定後も、運用をスタートさせるまでにも初期設定や社内説明会などの準備が必要です。

    また、操作方法について社内で共有したり、使い方に不安がある従業員を個別でフォローしたりする必要もあります。社内での活用に慣れるまでは、担当者の手間や時間がかかることが予想されるでしょう。

     

    5-2.選ぶツールによっては紙の方が効率が良くなる可能性がある

    選ぶ勤怠管理システムによっては、紙のタイムカードの方が効率が良い可能性があります。たとえば、従業員がスマホを使って記録する場合は、端末を忘れると勤務開始の登録ができない場合があり、打刻時間が遅れてしまったり、担当者が個別で勤務時間を記録したりしなければならなくなります。

    また、システムエラーを引き起こすと、全社員が勤務時間を記録できないリスクがあります。イレギュラーな対応に追われて時間や手間がかかる可能性があるので、勤怠管理システムのツール選びは慎重に行うことが重要です。

    6.タイムカードの電子化で勤怠管理の法律改正に対応しよう

    タイムカードの電子化は勤怠管理に関する法律や、多様な働き方に対応しやすいことから、年々導入する企業が増えている状況です。また、紙のタイムカードよりも勤怠管理システムを利用する方が人事の現場の負担が軽減でき、多くにメリットがあります。

    勤怠管理に関わる社員の負担軽減につながるうえに、ミスの予防の観点から見てもタイムカードの電子化は魅力的です。現在の勤怠管理の仕組みに負担・疑問を感じている企業は、複数のサービスを比較しながら、自社に合うシステムを導入してください。

     

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    この記事を書いた人

    NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

    NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

    2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

    2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
    NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

    北森雅雄 masao kitamori

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