「生産性を向上させてサービスの品質を上げたい」「具体的な何から取り組めば良いかわからない」といったお悩みを抱える方が多いのではないでしょうか。生産性を向上させると少ない投資で利益を伸ばせるため、企業にとってはメリットが多いです。
何から始めれば良いか分からない場合は、事例を参考にして、自社で取り組むべき方法を検討するのがおすすめです。
そこで今回の記事では、生産性向上の成功事例や注意点を解説します。会社の売上が伸び悩んでいるなどのお悩みがある方は、ぜひ参考にしてみてください。
生産性向上は少ない投資でより大きな成果を上げる仕組みであり、企業が成長するには必要な要素です。しかし、生産性向上にも企業によって手法が異なるため、必ずしも正解はありません。
自社に最適な方法を見つけるには、生産性向上を成功させた企業の事例と比較するのがおすすめです。
ここでは生産性向上の成功事例について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください
鳥取県にある物品賃貸業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 物品賃貸業 |
課題 | 営業所から本社までの距離が往復3時間かかり、営業機会の損失 |
取り組み内容 | 助成金を活用してパソコンやタブレット上から会議に参加できるWebシステムの導入 |
実施した結果 | ・月の移動時間が12時間以上短縮 ・最低賃金を40円引き上げ |
鳥取県にある物品賃貸業は毎週本社で営業会議を実施していましたが、営業所から本社まで往復3時間の距離がかかるため、営業機会の損失が課題でした。そこで、オフラインではなくオンラインで会議を実施するために、Web会議システムを導入します。
Web会議システムを導入した結果、月の移動時間を12時間以上短縮して営業活動に時間を当てられました。また、移動時間の短縮で生産性向上ができたため、4人の従業員の時給を40円引き上げています。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例2(厚生労働省)
福岡県にある自動車整備業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 自動車整備業 |
課題 | 自動車修理の際、資料請求や発注に係る部品業者との連絡に時間を要し、顧客への対応が滞る場合がある |
取り組み内容 | 助成金を活用して部品業者とシステム上で連絡をシステムを導入 |
実施した結果 | ・事務処理にかかる時間が40%短縮 ・全従業員の昇格 ・最低賃金を40円引き上げ |
自動車修理の際に資料請求や発注に関するやり取りに時間を取られ、顧客へのフォローが不十分になる課題がありました。
そこで、自動車整備ネットワークシステムを導入し、部品業者とのやり取りをシステム上で行うよう変更します。
システムを導入した結果、事務処理の時間が40%短縮でき、顧客へ質の高いフォローができて満足度が上昇しました。また、作業時間の短縮によって生産性が向上したため、2人の従業員の時給を40円引き上げています。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例3(厚生労働省)
石川県にある飲食業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 飲食業 |
課題 | ・ホールから厨房へのオーダー伝達に時間がかかる ・オーダーと調理品の食い違い ・会計時の入力が手間 |
取り組み内容 | 助成金を活用してオーダーエントリーシステムを導入 |
実施した結果 | ・注文、レジ関連業務の作業時間が40%短縮 ・人的ミスの削減 ・最低賃金を60円引き上げ |
注文を受ける際に紙伝票で管理していましたが、ホールから厨房へのオーダー伝達や調理品の食い違いが課題でした。また、会計時の入力作業の手間が懸念されていました。
そこで、オーダーエントリーシステムを導入し、人的ミスを削減する取り組みを実施しています。システムを導入した結果、注文・レジ関連業務の作業時間が40%短縮され、人的ミスも減ったため顧客からの評価が上昇しました。
また、作業時間・人的ミスの削減により生産性が向上したため、2人の従業員の時給を60円引き上げています。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例4(厚生労働省)
福岡県にある飲食業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 飲食業 |
課題 | ビルの1階から3階まで料理を運ぶ時間と商品ロスリスク |
取り組み内容 | 助成金を活用して料理を運ぶ機会を導入 |
実施した結果 | ・配膳の作業負担が20%削減 ・商品ロスのリスク回避 ・最低賃金を50円引き上げ |
3階建てのビルで飲食業を開いており、厨房から客席へ料理を運ぶ際、移動の負担や商品ロスが課題でした。
そこで、料理を運ぶ小荷物専用昇格機を導入し、移動負担と商品ロスの削減を実施しました。
機械を導入した結果、時間や労力、商品ロスが解消され、作業負担が20%軽減し廃棄リスクも減り、課題を解決したのです。
また、人的要因のミスが減少しムダな出費を抑えられたため、2人の従業員の時給を50円引き上げました。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例5(厚生労働省)
滋賀県にある飲食業は、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 飲食業 |
課題 | ・接客のマニュアルがなく、新人教育に時間を要する ・質の高い接客が維持できない |
取り組み内容 | ・助成金を活用して専門家に業務フローの見直しを依頼 |
実施した結果 | ・マニュアル作成によって接客の質が向上 ・注文から提供までの時間が10%短縮 ・最低賃金を40円引き上げ |
接客業務のマニュアルがないため、接客の質が均一化できずレベルの高い接客が維持できないことが課題でした。そこで、専門家に業務フローの見直しを依頼し、接客の向上に取り組みました。
マニュアルを導入した結果、接客の質が上がり注文から提供までの時間が10%短縮され、顧客回転率の向上に成功しています。
また、教育にかける時間を削減し生産性向上への取り組みができたため、2人の従業員の時給を40円引き上げただけでなく、正社員の昇給を実施しました。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例6(厚生労働省)
徳島県にあるゴルフ用品販売業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | ゴルフ用品販売機 |
課題 | ・営業ツールで活用するカタログの持ち運びが負担 ・請求書発行や集金訪問による工数 |
取り組み内容 | 助成金を活用してモバイル端末を導入 |
実施した結果 | ・カタログが不要 ・端末で決済可能になり、集金訪問が不要 ・最低賃金を80円引き上げ |
営業ツールとして大量の商品カタログ持参による負荷と、成約後の請求書発行や集金訪問のよる阻害要因が課題となっています。
そこで、商品紹介や営業席で決済ができるモバイル端末を導入し、カタログ費用や移動時間の縮減に取り組みました。
モバイル端末を導入した結果、端末上で商品案内と決算ができ集金訪問の必要もなくなり、営業活動に費やせる時間の増加に成功しています。また、営業活動の生産性向上ができたため、3人の従業員の時給を80円引き上げました。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例7(厚生労働省)
山形県にある中古車販売・整備業では、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 中古車販売・整備業 |
課題 | 複雑な販売・経営管理に対応できず、入力ミスや漏れがある |
取り組み内容 | 助成金を活用して一元化できるシステムの導入 |
実施した結果 | ・書類割く時間が10%短縮 ・事務処理の工数が減り、顧客に注力が可能 ・最低賃金を60円引き上げ |
顧客管理や在庫管理をエクセルで行っており、複雑な販売・経営管理ができず入力ミスや漏れが課題となっています。そこで、顧客・在庫・帳票管理システムを導入し、業務効率化に取り組みました。
導入した結果、顧客情報や書類作成、在庫管理などの作業時間が10%短縮されたため、顧客フォローに注力する時価が増え、顧客満足度の向上を成功させています。
また、システムの導入によって人的ミスによる作業時間が解消されたため、1人の従業員の時給を60円引き上げました。
参照元:~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集事例8(厚生労働省)
広島県にあるホテル業は、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | ホテル業 |
課題 | 食器洗浄に要する人員・時間・電力・水・洗剤の削減 |
取り組み内容 | 助成金を活用して新型の洗浄機を導入 |
実施した結果 | ・人員が1名減少 ・洗浄、乾燥時間が2/3に短縮 ・最低賃金を40円引き上げ |
食器洗浄に要する人員・時間・電力・水・洗剤の削減が課題となっています。そこで、新型食器洗浄機を導入し、設備投資による業務効率化に取り組みました。
洗浄機を導入した結果、洗浄人員を1人減らせた上に食器洗浄・乾燥時間が2/3に短縮されたため、掃除や整理整頓などの他の業務に時間を費やせるようになっています。
また、従業員にかけるコストを削減できたため、1人の従業員の時給を40円を引き上げ、最低賃金以外の従業員の賃金も引き上げました。
熊本県にある情報サービス業は、生産性向上のために以下の施策を行いました。
事業の種類 | 情報サービス業等 |
課題 | 勤怠管理の効率化 |
取り組み内容 | 助成金を活用した怠管理システムを導入 |
実施した結果 | ・勤怠管理報告作業が月平均6時間削減 |
勤怠管理で重複しているムダな作業の削減が課題となっています。そこで、業務管理システムを導入し、勤怠管理の効率化に取り組みました。
システムを導入した結果、勤怠管理報告作業が月平均6時間削減できただけでなく、管理者が各社員の労働時間を把握できるようになっています。
上記のような勤怠管理で悩んでいる企業には、「KING OF TIME for おまかせ はらラクサポート」がおすすめです。
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生産性向上を実施する際、気をつけるべき3つの注意点は以下のとおりです。
上記3点を意識すると、自社でどの事業を生産性向上に注力すれば良いのか判断できます。失敗を予防したい方は、ぜひ確認してみてください。
不要な業務と伸ばしていきたい事業を決めることで、ムダな工数が発生している業務が見えてきます。ムダなリソースを作らないためにも、現在進行している業務を洗い出し、業務の全体像を把握する必要があります。
また、業務の全体像を把握する際は、大・中・小と各事業に優先度を設けると、自社において必要な仕事が明確になるでしょう。優先度を決め業務の全体像が把握できれば、ムダな工数を使用せず生産性向上へ取り組めます。
生産性向上への取り組みは、すぐに効果がでるとは限りません。生産性向上は、一度で効果が得られる場合と、複数回で効果が得られる場合に分けられます。
もし、一度で成果が生まれない場合は、目標とした数値に上がるまで、ABテストやPDCAサイクルを回し、納得がいくまで生産性向上への取り組みが必要です。
生産性向上に向けて取り組む際、一つひとつのデータを管理していると手間がかかるだけでなく、管理が大変になります。そこで、一括管理ツールを活用すれば、情報を一元化して管理できるため、生産性向上への貢献が期待できます。
たとえば、勤怠の情報管理に課題を感じる場合は「KING OF TIME for おまかせ はらラクサポート」がおすすめです。勤怠はどの企業でも管理する業務であるため、勤怠に関する情報を一元化できれば、他の時間にリソースを割けます。勤怠管理で悩みを抱える企業は「KING OF TIME for おまかせ はらラクサポート」の活用をご検討ください。
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生産性向上を正しく実施できると、小さな投資で大きな成果を得られる期待ができます。しかし、自社に適した方法で実行できないと、工数が増えるだけのムダな取り組みとなる可能性があります。
自社の取り組みが不安でや新しいアイデアを探してる場合は、成功事例を参考にすることで正しい方向性へと導けます。生産性向上への取り組みの際は、成功事例を活用して自社の考えに取り入れてみてください。
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。