| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

「会社内でムダな出費や作業が多いと感じる」「生産性向上させたいけど何から始めれば良いかわからない」といったお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。企業は少しでも売上を伸ばすためにさまざまな方法を試み、1つの施策として生産性の向上が挙げられます。

しかし、生産性と一括りにしても企業の業務は多岐にわたります。業務の中でどの部分を改善するべきか判断するのは難しいです。そこで本記事では、生産性の種類や向上させるメリットなどを解説します。自社の業務を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.生産性向上とは?業務効率化との違いも解説

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

企業が売上を伸ばそうとするとき、非常に効果が高いのが生産性の向上です。生産性を伸ばすと、より少ない投資で大きなリターンを得られます。

しかし、生産性向上について理解できていないと、自社で展開しているサービスや業務をどのように取り組めばいいのか分かりません。そこで、まずは生産性向上について理解を深めましょう。

生産性向上とは

生産性向上とは、自社事業への投資に対する成果の比率を増やす方法です。1つの事業に投資をしたことで、生み出された成果を生産性と言います。

企業はより少ない投資で成果を上げなければ、利益を大きくするのが難しいです。企業が成長するには、利益を生み出し売上を伸ばす必要があるので、生産性が高い事業が必要です。

また、生産性が高い事業への取り組みが成功すれば、得た利益をもとに新規事業への再投資ができます。生産性向上への取り組みは、既存だけでなく新規事業にも影響を与えるため、会社のムダを省き成長させたいと考える方は、生産性を高める働きが必要です。

業務効率化との違い

業務効率化は、既存の業務に必要ない部分を削減・改善し時間あたりの処理速度を上げる手法です。一方で生産性は、ヒト・モノ・カネ・情報の資源に投資した結果、どれだけの成果が生まれるかを示す指標です。つまり、資源を削減する業務効率化は生産性を向上させるための施策の1つになります。

2.生産性の3つの種類

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

生産性は、得たい効果によって種類が変わります。主に以下の3種類に分類されます。

  • ・物的生産性
  • ・付加価値生産性
  • ・全要素生産性

生産性の種類を理解すると、自社のどの部署や業務を改善すれば良いかが明確になります。

物的生産性

物的生産性とは、生産するモノの重さや数、大きさなどの物量を単位として計算する指標です。物的生産性は、以下の3種類に分けられます。

  • ・労働生産性(1人当たり)=生産量÷労働者数
  • ・労働生産性(1時間当たり)=生産量÷(労働者数×労働時間)
  • ・資本生産性=生産量÷資本ストック量

参照:公益財団法人日本生産性本部

物的生産性は、主に製造業などで用いられる指標です。

付加価値生産性

付加価値生産性とは、企業が新しい取り組みによって生み出した金額の価値を単位として計算する指標です。付加価値生産性は、以下の3種類に分けられます。

  • ・労働生産性(1人当たり)=付加価値額÷労働者数
  • ・労働生産性(1時間当たり)=付加価値額÷(労働時間×労働者数)
  • ・資本生産性=付加価値額÷資本ストック量

参照:公益財団法人日本生産性本部

付加価値生産性は、商品を販売する際の原材料や人件費、外注加工費などの原価からどれだけ金額を上乗せして販売するのか計算するときに活用されます。

全要素生産性

全要素生産性とは、生産要素に関する労働生産性を測るための役割を持たせた指標です。全要素生産性は、物的生産性・付加価値生産性に分けられ以下の式で求められます。

  • ・全要素生産性(物的生産性)=生産量÷合成投入量(労働+資本+原材料等)
  • ・全要素生産性(付加価値生産性)=付加価値額÷合成投入量(労働+資本+原材料等)

参照:公益財団法人日本生産性本部

全要素生産性は、生産性向上で生まれた成果をどのように配分するのか考えるときに活用されます。

3.生産性向上によるメリット3選

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

生産性を向上させるメリットは以下のとおりです。

  • ・労働環境の改善
  • ・高品質なサービスの提供
  • ・コストの削減

生産性の向上が与えるメリットは、業務以外にも影響を与えられます。生産性を上げたい企業の方は、メリットを理解しておくとより取り組みに力を入れられるでしょう。

労働環境の改善

生産性の向上は、労働環境の改善につながります。労働者にとって毎日利用する環境は重要です。働きやすい職場になれば、仕事へのモチベーションが高まり、さらに高い生産性を発揮することが期待できます。

近年、在宅ワークを取り入れる企業が増えています。そのため、会社によってオンラインでも働きやすい環境を整えるために、システムを利用した生産性向上が重要です。

システムの導入は、生産性を高め企業の利益を求めるだけでなく、作業を自動化できれば労働環境の改善も行えます。自動で作業ができるようになれば、残業も減りワークライフバランスを重視できます。

生活環境が改善されれば心理的に余裕が持てるため、働く意欲が上昇しやすいです。生産性向上への取り組みを実施すれば、会社の利益を増やすだけでなく労働環境の改善も行えるのは大きなメリットでしょう。

テレワークでの勤怠管理には「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」がおすすめです。現行の勤怠ルールからもスムーズに移行でき、オンラインサポートに対応しているので安心してご利用いただけます。

「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」の詳細はこちら

高品質なサービスの提供

生産性が向上することによって、少ない資源でより高品質なサービスが生み出せます。また、従業員の自己投資や研修に時間を活用できるため、技術や知識などの向上が期待できます。

生産性向上によって社員一人ひとりのレベルが向上すれば、クライアントへ質の高いサービスが提供できるでしょう。サービスが高品質になれば顧客満足度も向上するため、リピート獲得にも繋がり、好循環が生まれます。

コストの削減

生産性が向上すると、人件費などのコスト削減に繋がります。企業には、人件費や光熱費などの固定費が存在します。人件費や光熱費などの固定費が削減できれば、浮いた費用を事業投資に回すことが可能です。

事業投資に費用を活用できれば、さらに生産性向上ができるため、他のコストを削減できます。生産性向上をすれば次々に余分なコストを削減でき、必要な事業に投資ができるため、好循環を生み出せます。

4.生産性向上を効果的に進めるためのポイント5選

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

生産性向上を効果的に進めるためには、以下のポイントを抑えることが重要です。

  • ・仕事の見える化
  • ・必要ない業務の削減
  • ・社員の成長
  • ・人材配置
  • ・ツールの活用

生産性向上がうまくできてきない場合は、取り組みまでのポイントを抑えましょう。

仕事の見える化

生産性を向上させるには、現状の仕事を要素ごとに見える化しましょう。見える化とは、今度に必要な業務なのか、または改善すべき仕事なのか判断する取り組みです。生産性を算出する際、以下の要素で計算できます。

  • ・量的要素:原材料、商品原価、有形固定資産、光熱費、労働時間、労働者数などのコスト
  • ・質的要素:ビジネスモデル、作業ノウハウ、従業員のスキルや実績、業務手順、スキーム

上記のコストや業務を改善するためにも見える化が必要です。また、見える化を実施するには以下の方法が活用できます。

原価管理表 財政状態を財務諸表に示すために必要な真実の原価を計算する表
組織図 企業の内部構造を解説する図
フローチャート 業務の手順や処理、流れなどを示す図。
業務のマニュアル サービスや商品の品質向上を示したマニュアル。
目標管理シート 目標を達成するまでの過程をはっきりさせ、進捗や達成度を管理するシート。

仕事の見える化ができていない場合は、上記の方法がおすすめです。

必要のない業務の削減

現在取り組んでいる業務を、以下の仕事の3つに分けると、必要のないコストが見つけやすくなります。

注力すべき仕事
現状維持すべき仕事 黄色
なくしたほうが良い仕事

また、それぞれの業務の重要度を決める際、色ごとに分けると整理しやすく実行に移しやすいでしょう。

社員の成長促進

生産性向上を実施するには、従業員の成長も重要です。社員一人ひとりのレベルが向上すれば、業務スピードや高品質サービスの提供に期待が持てます。

そのためには、管理職やリーダー職の社員に必要なスキル・知識・能力のヒアリングを行い、研修を実施するのが効果的です。

研修を実施するまでには、目的やプログラム、実施内容などを計画的に進める必要があります。研修を実施する前は、計画的なプログラムを制作してから取り組みましょう。

適切な人材配置

従業員は一人ひとりスキルや能力、技術などの得意分野が異なります。そのため、企業は従業員の特徴を理解して適材適所に配置することが重要です。

例えば、営業が向いている社員に経理の仕事をさせるなど、ミスマッチが起きると従業員の能力が活かせません。企業は採用時に配置したままで終わるのではなく、その後の成長に合わせてスキルや能力、特徴などに合った部署に配属する必要があるでしょう。

ツールの活用

生産性向上を実施するのであれば、ツールの導入がおすすめです。企業によって導入する部分は異なりますが、ツールを活用できる業務は積極的に利用し、無駄な労力を削減しましょう。

ツールの活用には初期導入費用はかかりますが、長期的には従業員を雇うよりも安価で利用できます。業務の中でツールを活用できる仕事があれば、積極的に利用できると良いでしょう。

そこで、おすすめなツールが「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」です。企業によってツールが必要な業務は異なりますが、どの会社にも共通して生産性向上を行える部分があります。それは、労務関係の業務です。

従業員数が増えるほど勤怠管理に時間を割く必要がありますが、KING OF TIME for おまかせ はたラクサポートを活用すれば、在宅ワークでもリアルタイムで確認ができるため、都度確認する必要がなくなります。

勤怠管理の生産性が向上すれば、労務以外に属する従業員にも働きやすい環境を提供できるので、企業全体の生産性を上げられます。「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」は、以下から無料お試しが可能です。

「KING OF TIME for おまかせ はたラクサポート」の詳細はこちら

5.【業種別】生産性向上の成功事例3選

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

ここでは、実際に生産性向上の取り組みに成功させた以下の企業について紹介します。

  • ・京の宿 綿善旅館
  • ・株式会社みすずコーポレーション
  • ・株式会社さえき

他社の生産性向上への取り組みを参考にしたい方は、ぜひ取り組みを確認しましょう。

宿泊業の事例

京都の宿綿善旅館では、フロント係と客室係の業務連絡が非効率であることが課題でした。その場での連絡が取れずにフロント間を往復していたため、以下のムダが発生しています。

8往復/日×3分/1往復=24分/日(さらに体力の消耗)

上記のムダを解決するために、タブレット端末とLINEによるIT技術を活用し、業務連絡の効率化に成功しました。IT活用の実施によって、労働時間が年間146時間の削減に成功したのです。

参照元:宿泊業の生産性向上事例報告

飲食業の事例

株式会社みすずコーポレーションは、作業手順やルールによる生産性向上が課題でした。改善前の作業は、以下のとおりです。

  1. ・不良品がある場合、足元の廃棄箱に入れる
  2. ・良品を手元のコンテナに入れる
  3. ・コンテナが良品でいっぱいになったら、良品が入ったコンテナを置き場に運ぶ
  4. ・空コンテナを置き場に運ぶ

上記の方法だとムダな時間や人員配置が多く、生産性が悪くなっていました。そこで確認作業をビデオ解析による作業分析をしたところ、以下の生産性向上に成功しています。

  • ・繰り返し確認できる
  • ・各々の作業ごとに止めて確認できる
  • ・カウンターを活用して各作業の時間計測ができる

上記の作業に変化したことで労働生産性が33%増加し、作業員数が4名から3名に減らせました。

参照元:総菜製造業「みすず」の例

小売業の事例

株式会社さえきの事業である総合食品スーパーマーケットでは、キャベツカットにおける1人あたりの生産性向上が課題でした。そこで、以下の問題点を抽出しています。

  • ・仮置きのスペースがムダ
  • ・取り置き動作による時間のムダ

上記のムダを削減するために、以下の作業を実施しました。

  1. ・「まとめ加工」から「一個流し加工」
  2. ・仮置きの廃止
  3. ・屑入れの廃止見直し

上記の方法を実施し改善したことで一個あたりの作業時間が8秒短縮し、22%の生産性向上に成功しました。

また、年間9,000個と仮定した場合、年間で20時間の削減ができただけでなく、時給1,000円と仮定した場合、年間で1人あたり2万円のコストカットに成功しています。

参照元:スーパーマーケットの生産性向上活動報告

6.生産性向上により企業の競争力・従業員の満足度をアップさせましょう

生産性向上とは「成果の比率を増やすこと」3つの種類やメリット・成功事例を解説

事業が停滞したり衰退している際、生産性向上への取り組みを実施すれば、少ない投資額で大きな利益に期待できます。

また、時間や人件費、ムダな業務などのさまざまなコストが削減できるため、他の事業やシステムに投資が可能です。結果、企業自体の生産性がさらに向上し、事業の利益拡大ができるでしょう。生産性向上へ取り組む際は、事前に改善が必要な業務を明確にし、計画を立てて実行しましょう。

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

ページ上部へ戻る