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ガバメントクラウドとは?概要や開始時期、自治体の活用メリットなど

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ガバメントクラウドは、行政のデジタル化推進の一手として注目されています。ガバメントクラウドの実現することで大きなメリットが期待できますが、仕組みや詳細がわからず不安を感じる方や、開始までに何を行えばよいかわからないという方は多いかもしれません。

そこで今回は、ガバメントクラウドとはどのようなものか、特徴や概要、開始時期や自治体が行うべき事項について詳しく解説していきます。

1.ガバメントクラウドとは?概要と仕組みについて

ガバメントクラウドとは、中央省庁や独立行政法人、地方自治体などの行政機関が、行政システムをクラウドサービスとして共同利用できるようにした「IT基盤」を指します。ガバメントが日本語で政府を意味することから、「政府クラウド」や「Gov-Cloud」とも呼ばれています。

現在、国や自治体によって利用されている業務システムは、それぞれの機関が独自に構築し、運営を行っています。そのため、システム要件やデータフォーマットが異なり、情報連携がスムーズにできない、保守運用に手間やコストがかかるという課題がありました。このような課題を解決するため、クラウドサービスを活用し、共通化、標準化したうえで、一元的に監視運用を行うのがガバメントクラウドです。

ガバメントクラウドの大まかな仕組みは以下の通りです。

出典:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室「地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況

ガバメントクラウドでは、国が共通のクラウド基盤(IaaS、PaaS、SaaS)や必要なアプリケーションを準備し、提供します。

アプリケーションは一定の要件に基づき、各ベンダーが開発し、クラウド経由で提供されます。クラウド上には複数のアプリケーションが用意されるため、各自治体は業務に応じて、必要なアプリケーションを選択、導入できます。また、従来は各自治体が保有するデータも標準化された状態でクラウドに格納されるため、異なるアプリケーションからでもデータの閲覧が可能です。

クラウドについてより詳しく知りたい方は、別記事「クラウドとは? IT初心者でもわかる主要サービスを含めた簡単解説」をご確認ください。

2.ガバメントクラウドはいつから開始?自治体は何を移行するの?

2022年10月に、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」が閣議決定され、2025年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムの移行をめざすことが発表されました。これにより、原則として2025年度末までに、システム標準化の対象となる20業務のデータ移行を完了させることがすべての自治体に求められています。標準化の対象となる業務は以下の通りです。

  • 住民基本台帳関連業務:住民基本台帳・国民年金・選挙人名簿管理
  • 税関連業務:固定資産税、個人住民税・法人住民税・軽自動車税
  • 国民健康保険関連業務:国民健康保険
  • 障害者福祉関連業務:障害者福祉
  • 介護福祉関連業務:後期高齢者医療・介護保険
  • 児童/子育て支援関連業務: 児童手当・児童扶養手当・子ども子育て支援
  • 戸籍関連業務:戸籍・戸籍附票
  • その他業務:生活保護・健康管理・就学・印鑑登録

また、本格実施を前に、政府は2021年にクラウド移行における課題や投資対効果の検証を行うガバメントクラウド先行事業者の公募を行いました。

応募のあった52団体のうち、神戸市、倉敷市、盛岡市、佐倉市、宇和島市、須坂市、美里町、笠置町の8つの自治体が採択され、先行してプロジェクトに取り組むこととなりました。各自治体の取り組み内容や中間報告については、デジタル庁ホームページにて詳細の確認が可能です。

なお、ガバメントクラウドの移行手順等についてより詳しく知りたい方は別記事「地方自治体のガバメントクラウドへの移行期間・対象業務・手順」をご参照ください。

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3.地方自治体がガバメントクラウドを活用するメリット4つ

ガバメントクラウドの活用は地方自治体に以下のようなメリットをもたらすとされています。

  • サーバー構築・運用のコストを削減できる
  • 情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張が可能となる
  • データの連携が容易になる
  • 情報セキュリティが強化される

それぞれについて順番に確認していきましょう。

3-1.サーバー構築・運用のコストを削減できる

ガバメントクラウドへ移行すると、これまで自治体ごとに行っていたサーバーやネットワーク機器などの設置が不要になります。さらに、サーバーの監視や機器のメンテナンス等の作業も不要になるため、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストの削減にもつながります。

また、ガバメントクラウドでは、クラウド上に置かれたアプリケーションを自治体が自由に選択できる仕組みがとられています。そのため、開発ベンダー間で競争原理が働き、アプリケーションのコストダウンや利便性、性能の向上も期待できます。

3-2.情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張が可能となる

ガバメントクラウドが提供する機能を活用することで、自治体が独自にシステム構築を行う必要がなくなります。システム構築にかかっていた時間が短縮できるため、新サービスをよりスピーディーに住民へ届けることが可能です。

また、システム構築後であっても、システム負荷やアクセス数の増減に応じて、容量や機能の柔軟な拡張ができる点も大きなメリットといえるでしょう。

3-3.データの連携が容易になる

ガバメントクラウドでは、クラウド上でデータが一括管理されます。政府、自治体間のデータ連携がスムーズに行えるようになるため、煩雑だった行政手続きが簡略化され、住民や職員の負担軽減が実現します。

3-4.情報セキュリティが強化される

システムに関わる情報セキュリティ対策は、ガバメントクラウドが一括して行います。そのため、これまで各自治体が個別に実施していた情報セキュリティ対策が不要となり、運用や監視にかかっていた時間やコストが削減できます。

また、自治体単体では導入・運用が難しかった最新・最高レベルの情報セキュリティ対策の導入も実現できるでしょう。

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4.ガバメントクラウドの対象クラウドサービス一覧

政府が情報システム基盤としてクラウドサービスを利用する場合、「ISMAP(イスマップ)クラウドサービスリスト」の登録先からサービスの選択を行うことが原則とされています。ISMAPとは、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program)」の略称で、日本政府が定めたクラウドサービスのセキュリティ評価制度を指します。

ガバメントクラウドでは、住基情報や税務情報など、よりセンシティブな情報を多数扱うことから、ISMAPクラウドサービスリストへの登録に加え、不正アクセスや暗号化において最新、最高レベルの情報セキュリティ環境を確保できる等、より厳しい情報セキュリティ基準を選定条件としています。

2021年度の公募では「Amazon Web Services(AWS)」と「Google Cloud」が、2022度の公募では、「Microsoft Azure」と「Oracle Cloud Infrastructure」がそれぞれ選定され、現在4つのサービスがガバメントクラウドの対象となっています。

ここからは、ガバメントクラウドの対象となった4サービスの概要や特徴について解説します。なお、2023年度には選定要件を一部変更、緩和した形で公募が行われました。これにより、ガバメントクラウドの対象サービスに国内企業が採択される可能性も浮上しました。

出典:デジタル庁「デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和4年度募集-の公募結果について

4-1.Amazon Web Services(AWS)

Amazon Web Services(AWS)はAmazon社が提供するクラウドサービスです。2006年のサービス開始以降、順調に利用者数を増やし、現在では世界最大のシェアを誇るサービスに成長しています。

AWSには200を超える多彩なサービスが揃っています。代表的なサービスとしては、仮想サーバー「Amazon EC2」、オブジェクトストレージサービス「Amazon S3」、サーバーレスコンピューティングサービス「AWS Lambda(ラムダ)」などが挙げられます。

拡張性や高い可用性が特徴で、日本語によるサポートも充実しているため、初めてクラウドサービスを導入する場合にもおすすめです。

Amazon Web Services(AWS)については以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:ガバメントクラウド対象サービス「AWS」の強みと移行手順・事例

4-2.Microsoft Azure

Microsoft Azureは、2010年にサービスがスタートしたMicrosoft社のクラウドサービスです。WindowsやOffice365、SharePointなどのMicrosoft社製品と相性が良く、アプリケーション連携・移行が容易な点が特徴です。

代表的なサービスとしては、仮想マシン 「Azure Virtual Machines(Azure VM)」、アプリケーション開発に適した「Azure App Service」、オブジェクトデータストレージサービス「Azure Blob Storage」、データベース「Azure Cosmos DB」などが挙げられます。

国際基準や規格に準拠した高いセキュリティ機能も備えているため、大企業でも多く導入されています。

Microsoft Azureについては以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:ガバメントクラウド対象サービス「Azure」の強みと移行手順

4-3.Google Cloud

Google Cloudは、Google社が提供するクラウドサービスで、Amazon Web Services、Microsoft Azureとならび3大クラウドサービスの1つとされています。

代表的なサービスとしては、オブジェクトストレージサービス「Cloud Storage」、ビッグデータ解析ツール「BigQuery」、AI/機械学習サービス「TensorFlow」や「AI Platform」が挙げられます。

安定性の高いインフラ環境を有しており、データ処理速度には定評があります。また、ビッグデータ分析やAI開発、機械学習などに関するサービスが充実している点もGoogle Cloudの大きな特徴と言えます。

Google Cloudの特徴やサービスについては以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:Google Cloudとは|特徴・サービス比較、向いているケースをまとめて解説!

4-4.Oracle Cloud Infrastructure

Oracle Cloud Infrastructureは2016年にリリースされたOracle社の提供するエンタープライズ向けのクラウドサービスです。

代表的なサービスには、クラウドデータベースサービス「Autonomous Data Warehouse」、データ分析ツール「Oracle Analytics Platform」、AI/機械学習サービス「AI Services」などがあります。

Oracle独自の「RAC(Real Application Clusters)」機能で障害に強く、オンプレミスからクラウドへの移行がスムーズに行える特徴があります。また、前述した3大クラウドサービスと比較して、同等機能が低コストで提供されており、コストパフォーマンスに優れている点もメリットとして挙げられます。

Oracle Cloud Infrastructureの特徴やサービスについては以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:OracleCloudとは?初心者にも分かる強みやメリットを解説

5.ガバメントクラウドへの移行ならぜひNTT東日本にご相談ください

経済産業省は2018年のDXレポートで、レガシーシステムが抱える「老朽化」「複雑化」「ブラックボックス化」の課題を克服し、DX化の推進ができなければ、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じると発表しました。この問題は「2025年の崖」と表現され、民間企業だけでなく国や地方自治体でも危惧すべき問題として捉えられています。

ガバメントクラウドは「2025年の崖」を乗り越えるため、国や自治体が先陣を切って行うプロジェクトとして注目を集めています。

しかし、ガバメントクラウドの必要性や重要性は理解しているものの、実際の移行には不安がある、クラウド運用について知識や技術を持ち合わせた人材が不足している等の課題を抱えている企業もいるでしょう。

NTT東日本では、ガバメントクラウドへの移行から、クラウド技術者の教育・育成プログラムの実施までワンストップでサポートするソリューションを提供しています。

ガバメントクラウドに関する無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

NTT東日本のガバメントソリューション

ガバメントクラウドについてまとめ

ガバメントクラウドは、国や地方自治体などの行政機関の基幹業務システムの標準化・共通化を行うことで、業務効率化やスムーズなデータ連携、住民サービスの利便性向上をめざしています。デジタル庁発足以降、着々と実行計画や検証作業が進んでいますが、課題や問題が残っていることも事実です。データ移行等、自治体に求められる作業も多いため、スムーズな移行やガバメントクラウド実現後の管理運用に不安を感じている方も多いでしょう。

NTT東日本では、ガバメントクラウドへの移行から管理運用までトータルサポートするソリューションを提供しています。業界トップクラスのクラウド技術者が揃い、運用実績も豊富なため、気になる方はぜひご相談ください。

NTT東日本のガバメントソリューション

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