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ガバメントクラウド対象サービス「AWS」の強みと移行手順・事例

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ガバメントクラウドの基盤として、AWSを含む4社が採択されました。ガバメントクラウドへの移行期限が2025年末と近づき、どの基盤を利用するかお悩みの方もいるでしょう。

そこで本記事では、対象基盤のクラウドサービスであるAWSの強みを解説します。

そのほか、AWSで提供しているガバメントタスクリストの概要や、移行手順の流れに関しても解説しています。AWSへの移行を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

1.ガバメントクラウド対象サービスとして「AWS」が採択される

ガバメントクラウドとは、行政や自治体のみが使用できる政府の情報システムのことです。

この情報システムはオンプレミスではなくクラウドサービスを活用しており、自治体は4つのクラウドサービスの中から好きなベンダーを選べます。

利用できる4つのクラウドサービスは以下の通りです。

  • AWS(Amazon Web Services)
  • Google Cloud
  • Microsoft Azure
  • Oracle Cloud Infrastructure

ガバメントクラウドが生まれた背景として、自治体同士や自治体と行政の連携がしにくかったことが挙げられます。共通のシステムがないことから、自治体や行政が個々にシステムを導入しなければならず、同じ内容ができるシステムが多くあっても様式が異なっているなどの理由でデータ移行がしにくく、連携しにくかったのです。

またセキュリティに関しても、自治体の予算によってできる範囲が異なり、情報セキュリティ対策が問題視されています。

ガバメントシステムを利用し統一することで、より連携や管理がしやすくなり情報セキュリティ対策も強化できます。そのためにも自治体はガバメントシステムを活用するべきといえるでしょう。

移行の期限はすでに決まっており、2025年度末までに基幹業務である20業務を自治体は移行しなければなりません。移行するにあたって、どのクラウドサービスを選ぶかは非常に重要です。次章では採択された4つのクラウドサービスのうち、AWSについて詳しく解説します。

出典:デジタル庁「デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和4年度募集-の公募結果について

ガバメントクラウドの概要を詳しく知りたい方は、別記事「ガバメントクラウドとは?概要や開始時期、自治体の活用メリットなど」を参考にしてください。

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2.AWSは何がすごいの?AWSの強み

AWSはクラウドサービスの中でも、常に世界トップシェアを誇っています。調査会社のSynergy Research Groupによると、2023年第1四半期は全体の32%でシェア率1位です。

常に業界のトップであるAWSは、今回ガバメントクラウドに採択された他のクラウドサービスと比べ、以下の強みがあります。

  • 豊富な機能を利用し、さまざまなことに挑戦できる
  • Microsoft製品以外と連携しやすい
  • 柔軟な拡張を自動でしてくれるため、コスト削減を図れる
  • 日本語によるサポートもあり、情報が多い

AWSは200以上のサービスを展開しており、豊富なサービスを組み合わせることでさまざまなことに挑戦できます。また200以上のサービスの中の約90%は、クラウドの利用者の声を反映して作られたものです。サービスが多ければその分利用者側で細かく構築する必要がなくなるため、使い勝手も良いといえるでしょう。

2つ目の強みとして、AWSは他社製品との連携もしやすい点が挙げられます。Microsoft製品はMicrosoft Azureがおすすめですが、Apple製品などと連動させたいならAWSがよいでしょう。Microsoft Azureでは対応していない、Mac OSも対応しているためApple製品向けのアプリ開発もできます。またMac OSのファイル閲覧や編集などもスムーズに利用できるのも良い点です。

そのほかサービスやアプリを開発する際、複数のアプリケーションを連動させることもできます。

3つ目の強みは、拡張を自動でしてくれるため、適正な価格でクラウドサービスを利用できる点です。サーバーのスケールインやスケールアウトをワンクリックで変更したり、リソース状態を把握し自動で調整してくれたりします。たとえば、夜間は稼働率が低く日中は稼働率が高いのであれば夜間はスケールインをして、日中はスケールアウトをすることも可能です。

細かい調整が可能なため、コストの削減が期待できます。

また大きな特徴として、値下げがされるのもメリットでしょう。サービス開始をした2006年から、129回もの値下げが継続的にされています。値下げが継続してされることで新しいサービスなどを展開しやすくなります。自治体で新しいサービスを展開すれば、利用する住民の満足度は向上するでしょう。

またビジネスプラン以上であれば、24時間365日、日本語によるサポートを受けられます。問い合わせ方法もチャットや電話などがあるため、安心してクラウドを活用できるのも大きなメリットです。さらにインターネットでの検索をする際、さまざまな情報が掲載されています。情報量が豊富でサポートも充実していると、よりクラウドを活用しやすいと言えるでしょう。

AWSの特徴をより細かく知りたい方は、別記事「AWSとは?初心者にもわかりやすく特徴・概要を纏めました」もご参照ください。

3.AWSは自治体向けの「ガバメントクラウド利用タスクリスト」を公開

ガバメントクラウドへ移行するにあたって作業が多く、クラウドの知識がない自治体の場合難易度が高いのは明らかです。総務省でも移行に関する手順書を用意して、作業の手順や洗い出し方法を記載しています。しかし手順書だけでガバメントクラウドに移行するのは、難易度が高いといえるでしょう。

そこでAWSは、ガバメントクラウドを利用する方のために「タスクリスト」を作成してくれています。タスクリストはExcelまたはPDFでダウンロードできますので、活用しましょう。

タスクリストの内容は、以下4つの環境に分けて掲載されています。

  • ネットワーク構築の運用補助者用
  • 共通機能用
  • 単独利用方式の運用管理補助事業者用(アプリケーションのサービス事業者も含む)
  • 共同利用方式でパッケージを構築する際のリスト

注意点としてタスクリストは、全ての自治体に当てはまるものではありません。そのためタスクリストを利用する場合は、必要項目をタスクリストの中から個々に選びましょう。

具体的なタスクリストの内容を知りたい方は、以下の公式サイトよりご確認ください。

参考:Amazon Web Services「自治体のお客様向け「ガバメントクラウド利用タスクリスト

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4.自治体システムをAWSを基盤とするガバメントクラウドへ移行する手順

現行の自治体システムから、AWSを基盤としたガバメントクラウドへ移行する手順を解説します。

手順を理解し、移行する際のイメージをしておきましょう。

4-1.現行システムの構成と機能を洗い出し

始めに、今利用しているシステムの情報を整理し、リストアップします。現行のシステムの情報をより細かく調べることで、この後に行う移行計画が円滑に進んでいくからです。

具体的には、以下の5つの項目を整理します。

現行システムの情報
  • システム名と主管部署
  • 構築や保守で利用しているベンダー
  • システムの利用開始や契約開始日
  • システムの所在地
委託している業務の有無
  • 外部に委託しているものをリストアップ

    (発送業務や印刷業務など)

現行システムの活用実態
  • システムは利用されているか
  • 利用人数や端末台数の把握
データの洗い出し
  • データ項目や数の把握
周辺機器の把握
  • 周辺機器の種類など

より細かく現行システムを精査することで、今後の移行がスムーズに進むでしょう。

4-2.現行システムとAWSの標準仕様の差を分析

自治体で使用しているシステムと、AWSの標準仕様に差があるか分析しましょう。分析は、フィット&ギャップ分析を活用するとうまく刷り合わせられます。フィット&ギャップ分析とは、AWSの標準仕様とどれだけズレが生じているかを確認し、ズレをAWSにできるだけ適合させていけるかを細かい点まで分析をしていくものです。

4-3.移行計画を作成

フィット&ギャップ分析が完了したら、その分析結果をもとに移行計画を作成します。具体的には、移行の目的や他のシステムとの連携などの移行方法、構築内容・調達方式、移行の予定表などを記していきましょう。

移行の予定を短い期間で検討すると、システム利用者である住民に影響がでてくる可能性もあります。余裕をもって移行する必要があるため、慎重に検討していきましょう。

4-4.標準準拠システム提供ベンダーおよびデジタル庁と契約を締結

続いて、AWSとデジタル庁、両者と契約を締結します。

締結と同じ時期に、現行システムで利用しているベンダー・自治体・標準準拠システム提供ベンダーの3者で、データを精査して内容を理解しておく必要があります。データ内容を理解しておかないと、スケジュール通りに移行が進まないといった事態になりかねません。

そのためにも自治体はデータの精査だけでなく、早めに入出力作業などを済ませておくと安心でしょう。

4-5.システム移行時の設定

データを移行する前に、AWSへシステム移行するときの設定を行います。AWSの機能を確認して、再度フィット&ギャップ分析を行い最終の刷り合わせをしておきましょう。

4-6.データを移行

AWSにデータを移行しますが、移行の前に本番の移行と同様の動きを練習しておきましょう。

実際に同様の動きを試しておくことで、遅延やリスクがないか、しっかり把握しておけます。また万が一のためにも、バックアップは必須です。

4-7.運用テストの実施

運用テストを行って、データの移行がしっかりされているか確認します。運用テストは、連携ができるか、稼働できるかを確認するための重要なテストです。システム障害などが起きないかしっかり確認しましょう。

4-8.新システム環境構築・ネットワーク接続

最後に新システムが使えるようネットワーク接続と構築をします。ネットワークの構築には、細かい要件があるためしっかり留意しておくようにしましょう。

ネットワークの構築方法と接続サービスに関して詳しく知りたい方は、以下の別記事を参考にしてください。

関連記事:ガバメントクラウド接続におけるネットワークの構築と運用

関連記事:ガバメントクラウド接続サービスとは?主な要件・接続回線の課題

またネットワーク接続が完了したら、ほかに利用している業務システムとも連携して活用していきましょう。

詳しい移行に関しては、総務省の手順書を熟読のうえ進めていってください。

参考:総務省「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書【第2.0版】

ガバメントクラウド移行に関してのご相談や見積作成などNTT東日本のクラウドエンジニアにて無料で対応いたします。マルチクラウド/マルチベンダー環境における構築から運用まで一元的な対応ができますので、ぜひお気軽にお問合わせください。

5.自治体システムをAWSを基盤とするガバメントクラウドへ移行した事例

AWSを基盤とするガバメントクラウドへ移行した事例を2つ紹介します。具体的な事例を参考にし、検討してください。

5-1.神戸市のガバメントクラウド移行事例

神戸市では、4社の中からAWSを選択し移行しました。共通基盤システムをAWSに移行し活用できるよう、ネットワークや情報セキュリティ対策の仕組みを導入しています。

AWSを活用した理由として、以下2つの内容を挙げています。

  • もともとAWSを活用しており知見があったため
  • LGWANの連携など、新しい取り組みに意欲的だったこと

神戸市では、AWSを活用しオンライン申請などの取り組みをすでにしています。クラウドを活用することで、事務負担が減り効率的に審査が可能となりました。
今後さらにDXを進めるためには、成功事例と知見があるAWSが最適です。そのためAWSをガバメントクラウドの基盤として選択しました。さらに、新しい取り組みにも意欲的で自治体目線でいてくれるAWSに将来性があると感じたためAWSを活用しています。

実際のインタビュー内容は、以下の公式サイトよりご覧ください。

出典:Amazon Web Services「ガバメントクラウド先行事業に採択された神戸市が考える 自治体でDXを進めていくためのポイントとは?

5-2.盛岡市のガバメントクラウド移行事例

岩手県盛岡市は先行事業に応募し、いち早く活用を始めた自治体のひとつです。すでに税関連や住民情報をAWSに移行し活用しています。

盛岡市では現行システムで利用しているハードウェアのリース期限が近く、コスト面を考え早めの移行を決めました。移行した結果、ランニングコスト・イニシャルコスト含め、経費を8%削減することに成功しています。

さらに、AWSへ移行したことでBPC対策もでき、メリットは大きかったそうです。今後もAWSへの期待は高く、デジタル化を進めていきます。

盛岡市の詳しい事例に関しては、以下の公式サイトよりご確認ください。

出典:Amazon Web Services「盛岡市、ガバメントクラウド先行事業を機に基幹システムをAWSに移設

6.AWSを基盤とするガバメントクラウドへの移行ならぜひNTT東日本にご相談ください

AWSを基盤とするガバメントクラウドを検討中だけれど、クラウドサービスに知識がある職員がおらずお困りの方は、NTT東日本にご相談ください。NTT東日本では、ガバメントクラウドの導入から移行・保守・ネットワークまでワンストップでサポートします。今後クラウドを活用できるよう育成プログラムの提供や移行時の現地対応サポートなどもできます。

AWSの基盤を活用してクラウド移行を検討中だけれど、知見がなく困っている方はぜひNTT東日本へご相談ください。

NTT東日本のガバメントクラウドソリューション

まとめ

AWSは、クラウドサービスの中でも常に世界トップシェアを誇り、ガバメントクラウドの基盤としても採択されています。また豊富なサービスを展開しており、柔軟な拡張も可能なためコスト削減も期待できます。

現行システムをAWSの基盤へ移行する場合は、細かい精査を行い綿密な移行計画をしなければなりません。移行期限が2025年末と迫っているなか、知見がなく困っている方は、NTT東日本のガバメントクラウドソリューションをご検討ください。

NTT東日本のガバメントクラウドソリューション

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