| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

【2023年最新】企業のワーケーション事例8選!導入状況や推進

【2023年最新】企業のワーケーション事例8選!導入状況や推進

昨今、休暇を取りながら好きな場所で仕事ができる「ワーケーション」を導入する企業が増加しています。ワーケーションは、取り入れ方次第ではオフィスで働くよりも生産性が向上するため、注目されている働き方です。

しかし、どのような形でワーケーションを取り入れれば良いのか、お悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回の記事ではワーケーションの導入事例を紹介します。ワーケーション誘致を目的とした自治体の取り組みもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1.ワーケーションの概要を紹介

ワーケーションの概要を紹介

ワーケーションという言葉を知ってはいても「どのような働き方なのか」「なぜ注目されているのか」と疑問を持っている方は多いでしょう。まずは、ワーケーションの基本的な知識と注目されている理由を紹介します。

ワーケーションとは

ワーケーションとは、休暇中に観光地やリゾート地でリモートで仕事をする方法で「バケーション」と「ワーク」を組み合わせた造語です。テレワークを活用して、休暇を楽しみながらオフィスではない場所で仕事をする働き方です。

ワーケーションは、有給や長期休暇の取得促進を目的に、インターネットが急速に普及した2000年代にアメリカで始まりました。取り入れ方次第では、オフィスで仕事をするよりも高い生産性を上げられる働き方として注目されています。

ワーケーションが注目されている理由

日本でワーケーションが認知され始めたのが、2017年頃です。日本で長年問題視されている「有給取得率の低さ」を改善できる働き方として注目され始めました。国も問題を解決すべく、ワーケーションを推進しています。

新型コロナウイルス感染症の流行によって普及したテレワークも、ワーケーション推進の後押しとなりました。さらに、コロナ禍で打撃を受けた観光業界の活性化を図るために、積極的にワーケーション誘致を行う自治体が増えています。

2.企業のワーケーションの導入状況【導入率5.3%】

企業のワーケーションの導入状況【導入率5.3%】

2021年3月に国土交通省観光庁が発表した「今年度事業の結果報告」によると、ワーケーションの認知率は企業が66.0%(昨年度 48.5%)、従業員が80.5%(昨年度 79.1%)と、どちらも前年度より増加しました。

しかし、実際にワーケーションを導入中の企業は5.3%(前年度 3.3%)、ワーケーションをしたことのある従業員は4.2%(昨年度 4.3%)に留まっています。つまり、認知はあるものの導入が進んでいないのが現状です。

ただ、導入企業の成果を見ると、ワーケーションは生産性向上につながる効果的な取り組みであるとわかります。すでに事例数が多く、今後もさらに普及すると予想できます。

3.【企業】ワーケーションの導入事例5選

【企業】ワーケーションの導入事例5選

企業がワーケーションを導入する際、従業員に積極的に利用してもらうためにも、最適な取り入れ方を考える必要があります。実際に、企業でのワーケーションの導入方法はさまざまです。ここでは、5つの企業での導入事例を紹介します。

株式会社野村総合研究所

株式会社野村総合研究所はコンサルティングやITソリューションなどのサービスを幅広く展開している企業です。当社は2017年から、社員のモチベーション維持と、働く環境の変化による新しい気づき・発見の獲得のため、ワーケーションを取り入れました。

徳島県三好市の古民家を、サテライトオフィスとしても利用できる宿泊場所として従業員に提供する施策です。平日はサテライトオフィスで通常の業務を行い、週末は休暇を取れる仕組みにしています。オフィスとは違った新しい環境で仕事を進められ、利用した社員は以下のような気づきが得られました。

  • ・時間の使い方の見直し
  • ・地方課題に対する視野の広がり
  • ・地域活動において自分が役立てたことへの喜び

社員の考え方の変化や視野の広がりにつながった、ワーケーションの成功事例の1つとして知られています。

ランサーズ株式会社

クラウドソーシングサービスを提供するランサーズ株式会社は、もともと従業員の働く場所に制限がなく、ルール内であればワーケーションが可能な環境を整えていました。そんな中、2017年に「社員さすらいワーク制度」を作り、地域でのワーケーションを推奨しました。制度では、当社と提携している地域の中から好きな場所を選び、テレワークで仕事を進められます。

ワーケーション中は、当社が取り組んでいる地域創生プログラムの運営や推進に関われるのが特徴です。地域の人たちやランサー(ランサーズに登録しているフリーランス)と交流でき、スキルアップにつながると期待されています。さらに、ランサーとの情報共有は、ユーザー理解やサービス向上にも貢献しています。

参加した社員は満足度向上だけでなく、地域課題の発見・モチベーションアップなど、さまざまな効果が得られました。

株式会社LIFULL

住宅や不動産に関わる情報を発信するポータルサイトの企画・運営を行う株式会社LIFULLは、宿泊もできるコワーキング施設「Living Anywhere Commons」を全国52カ所に展開しています。「Living Anywhere Commons」の利用によって、従業員は場所に縛られない自由な働き方や暮らし方ができます。

また、地域に常駐しているコミュニティーマネージャーを中心に、滞在者同士での交流が可能です。従業員はさまざまな人との出会いによって、新しい発見や視野の広がりが得られます。さらに、自由な働き方の導入は、採用力の強化にもつながっています。

ユニリーバ・ジャパン

世界最大の消費財メーカーの日本法人であるユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社は、働く場所と時間を自由に選べる働き方「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」を2016年7月に導入しました。業務に支障がない限り理由を問わず、上司に申請の上で社外のどこででも仕事ができる制度です。

「WAA」はすでに社内で欠かすことのできない、企業風土を表す働き方として浸透しています。従業員へのアンケートでは「時間の使い方を選択できるようになった」「ストレスが減り、仕事への意欲がアップした」など、高い評価を得ています。

株式会社JTB

旅行会社の株式会社JTBは、2019年4月1日から「ワーケーション・ハワイ」という海外でテレワークができる制度を導入しました。制度を使えば、従業員は休日や休暇中にハワイに滞在し、ワイキキの海が一望できる開放的なテレワークスペースで業務ができます。

利用者からは「普段と違う環境で良いアイデアが浮かびそう」「ストレスなくパソコンで仕事ができた」といったポジティブな声が寄せられています。

4.【自治体】ワーケーションの導入事例3選

【自治体】ワーケーションの導入事例3選

ワーケーション利用での来訪者が増えるよう、自治体もさまざまな取り組みを行っています。企業でワーケーションの導入を進めたい場合は、自治体の取り組みを利用するのも有効です。ここでは、ワーケーションを誘致する自治体の取り組み事例について紹介します。

北海道

北海道は、自然・食・歴史・アクティビティなどを生かして、参加者のさまざまな要望に対応する「北海道型ワーケーション」を、道内市町村や企業・団体と連携して展開しています。道内のサテライトオフィスを活用して、複数の自治体をまたいで長期滞在できるのが特徴です。

また、テレワーク施設やイベント情報など、ワーケーションに関する情報をまとめたポータルサイトを開設しています。サイトを通じて自治体と利用者のマッチングやプラン提案・コーディネートを実施しています。

長野県

長野県は「信州リゾートテレワーク」を展開し、観光地として人気の軽井沢町・松本市・茅野市・佐久市など30を超えるエリアでワーキングスペースや宿泊施設を提供しています。各エリアでワーキングスペースやWi-Fi環境のある旅館・ホテルをドロップインで使えるなど、受け入れ体制も万全です。

さらに「信州リゾートテレワーク実践支援金」という制度を設け、ワーケーションに必要な資金の一部を支援しています。ワーケーションは交通費や宿泊費などの費用が発生するため、コストを抑えたい企業にとっておすすめの制度です。

富山県

富山県は、県内のワーケーション情報を発信するポータルサイト「めぐるとやま」を運営し、以下の内容を案内しています。

  • ・ワーケーションモデルプラン
  • ・体験レポート
  • ・コワーキングスペース情報
  • ・宿泊施設情報

また「とやまワーケーション推進事業助成金」を創設し、県外の民間企業や団体に属する社員・個人事業主・フリーランスが富山県内でワーケーションをする場合、経費の一部を補助しています。相談窓口も設置し、積極的に誘致を実施している県の1つです。

5.ワーケーションを導入・推進する際のポイント3選

ワーケーションを導入・推進する際のポイント3選

ワーケーションを導入して社員に積極的に利用してもらうためには、まずは社内の環境から整える必要があります。ここでは、ワーケーションの導入・推進のポイントを紹介します。

セキュリティ対策

ワーケーション中の情報漏洩を防ぐために、万全なセキュリティ対策が必要です。例えば、社内のデータに安全にアクセスできるVPNの構築やセキュリティソフトのインストールなどが考えられます。

また、仕事用のパソコンやスマートフォンの紛失・盗難を防ぐために、社外で扱う端末のルール化をする必要があります。セキュリティ対策の重要性を従業員に理解してもらうために、研修や社内テストを実施するのも良いでしょう。

管理体制の見直し

ワーケーション中の従業員の勤務状況や進捗管理は、目で見て把握できないのが難点です。したがって管理体制の見直しが必要です。

労働時間把握のために、クラウド型の勤怠システムの導入や、出退勤時の報告ルールの設定などを行いましょう。仕事の進捗把握のためには、退勤時の日報の投稿や定例のオンライン会議などの決まりを作っておくのがおすすめです。

また、遠隔で仕事をするため社員の働き方が把握できず、人事評価がしづらいという課題があります。ワーケーション中の社員を公平に評価するために、評価制度の見直しが必要です。具体的な数値ではかれる目標を設定し、目標達成率に応じて評価するのが効果的です。

デジタル化の推進

ワーケーションを導入するには、社外でも滞りなく業務を行える環境を整える必要があります。そのためには、業務のデジタル化・ペーパーレス化が必須です。

紙ベースで行っている業務は全てペーパーレスでも対応できるよう、ツールの導入で環境を整えましょう。ペーパーレス化の推進について知りたい方向けに、以下の資料で詳しく解説しています。推進のポイントや進め方などを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

「【稟議にそのまま使える】ペーパーレス化推進ガイドブック」の資料ダウンロードはこちら

6.まとめ

ワーケーションとは、休暇中にリゾート地や観光地でリモートで仕事をする方法です。ワーケーションの認知率は上昇しているものの、実際に導入している企業は5.3%と進んでいないのが現状です。しかし、ワーケーションで効果を実感している企業は多く、社会的に多様な働き方を推進していることから、今後さらに普及すると予測されています。

ワーケーションの導入の際には、セキュリティ面の対策や管理体制の見直しを行う必要があります。また、リモートワークには業務のペーパーレス化も必須です。ワーケーション導入に向けて、社内のペーパーレス化を推進するなら以下の資料をぜひ参考にしてください。

「【稟議にそのまま使える】ペーパーレス化推進ガイドブック」の資料ダウンロードはこちら

この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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