「業務効率化を進めるために、申請できる補助金について知りたい」という方は多いのではないでしょうか。業務効率化を進めるため、ITシステムなどの導入を検討している企業にとって、リスクになるのはコストがかかることです。そのような場合に活用したいのが、企業の業務効率化を推進する補助金制度です。補助金制度は、国や商工会など管轄によってさまざまな種類があります。また種類によって、申請できる条件や補助額も変わります。
そこで今回の記事では、企業の業務効率化における補助金制度の種類や、活用するメリットについて紹介します。業務効率化に向けて設備投資するにあたって、自社で利用できる補助金の種類が分かる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
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近年、企業の業務効率化や業務改善の必要性が重要視されています。その原因となるのが、少子高齢化による働き手不足や働き方改革による労働時間の減少です。これまでの業務フローで成り立ってきたスタイルは、豊富な労働人口が確保できていたからといえるでしょう。企業は、働き手が少なくなっても業務をスムーズに回す必要があるため、これまでの業務を見直して効率化する必要があります。
そのためには、ITシステムの導入などの業務効率化が必要です。業務効率化に向けての設備投資を支援するのが、補助金制度です。利用する補助金の種類によって、申請できる条件や補助額が異なります。自社に合う補助金制度を選んで、業務効率化に活用しましょう。
業務効率化を進めるために利用できる補助金・助成金には、以下の5つがあります。
中には、過去に受給したことがあっても再度申請できる補助金制度があります。この章では、それぞれの補助金制度の説明と、対象者と補助額について紹介するので参考にしてください。
業務改善助成金は、業務改善を行った企業の生産性向上を支援して、事業場内の最低賃金を引き上げるための制度です。厚生労働省が管轄する補助金制度で、生産性を向上するため設備投資を行った企業が、事業場内の最低賃金を一定の額上げた場合に、必要となった費用の一部を助成します。
同じ場所にあれば、1つの事業場としてみなされます。。ただし、同じ工場内で生産業務を行う労働者と、食堂で食事を作る労働者がいる場合など、違う業態が同じ場所にある場合には別の事業場とみなされます。事業場には、さまざまな定義があるので、自社に当てはまるかどうか確認すると良いでしょう。
事業規模100人以下の中小企業、または小規模事業者で、地域別最低賃金と事業内における最低賃金との差額が、30円以内の事業場が対象となります。支給要件は、以下の通りです。
過去に受給したことがあっても、再度申請できます。
申請コースごとに、引き上げ額が決められています。引き上げ額を超えて最低賃金を上げることで、費用の一部が補助される仕組みです。
コース区分 | 引き上げ額 | 助成上限額(※) |
30円 | 30円以上 | 30~130万円 |
45円 | 45円以上 | 45~180万円 |
60円 | 60円以上 | 60~300万円 |
90円 | 90円以上 | 90~600万円 |
※引き上げる労働者数と事業場規模によって上限額が変わります。
持続化補助金は正式には「小規模事業者持続化補助金」といい、企業の新規の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。日本商工会議所が、管轄しています。事業者が自社の経営を見直し、経営を持続できるよう計画を作成することが、申請の条件です。全国商工会連合会や各都道府県商工会連合会、商工会議所など、企業が所属する管轄地域によって問い合わせ先が異なるので、注意しましょう。
また、持続化補助金には「低感染リスク型」があります。コロナ対策を取り入れた新ビジネスやサービス、また生産過程を改善するための取り組みを支援する制度です。
対象となるのは、小規模事業者や特定非営利活動法人です。小規模事業者の定義は以下の通りになります。
業種によって従業員数などの定義が異なるので、注意が必要です。
通常枠では最大50万円、低感染リスク型で最大100万円です。共同申請する場合は、連携する事業者数ごとに50万円で、最大500万円の補助額となります。
時間外労働の削減や有給休暇および特別休暇の取得促進など、働き方改革に取り組む中小企業事業者を対象にした助成金制度です。目的を達成するために導入した設備など費用の一部を、国が助成します。取り組む内容によって、以下の4つのコースに分けられます。
支給対象となる取り組みには「市場調査の事業」「新しいビジネスモデルの開発および実験の事業」「材料費や水道・光熱費、在庫などの費用低減実験の事業」など、さまざまな種類があります。自社で導入している事業がないか、詳しく確認してみてはいかがでしょうか。
以下の3つの条件全てが当てはまる、中小企業事業主を対象としています。
取り組み計画の承認をもらうための交付申請を行う際に、以上の条件を満たしている事業主であることとされています。
補助額は、申請するコースによって上限が異なります。成果目標をどれだけ達成できたかという基準で設定されます。
コース名 | 上限額 |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 49~630万円(※1) |
労働時間適正管理推進コース | 100万円 |
勤務時間インターバル導入コース | 40~100万円 |
団体推進コース | 500万円(※2) |
※1:成果目標1~4と加算賃金の合計額によって変わります
※2:10以上の企業で構成される事業主団体等に当てはまる場合は1000万円が上限です
賃金の引き上げを達成した金額や、従業員数によって助成額がプラスされます。
IT導入補助金は、日常のルーティン業務を効率的に進めるためのITツールや、クラウドシステムなどの導入を補助するための制度です。システムを導入する目的によって、以下の4つの種類に分類されます。
セキュリティ対策推進枠で導入するシステムは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表するリストに掲載されているサービスであることとされています。
中小企業および小規模事業主が対象です。業種分類ごとに常勤する従業員の人数が定められています。
補助額は、以下の通りです。
デジタル化基盤導入類型の補助額は、導入する会計ソフトや決済ソフトなどの機能要件が、単一か複数かによって補助額が変わります。
ものづくり補助金は、生産性を向上させるための製品やサービスの改善、生産プロセスを見直すための設備投資を支援する、中小企業や小規模事業に向けた制度です。全国中小企業団体中央会が管轄しています。「ビジネスモデル構築型」と「一般型・グローバル展開型」の2種類に分けられます。
例として「一般型・グローバル展開型」の対象者について解説します。対象となるのは、以下のどれかに該当する事業者です。
中小企業については、従業員数や資本金などの制限があるため、詳細は公募要項を確認しましょう。
「一般型・グローバル展開型」の一般型は、さらに4つの枠に分けられます。それぞれの補助額は以下の通りです。
種類 | 上限額 | |
一般型 | 通常枠 | 750~1,250万円 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 750~1,250万円 | |
デジタル枠 | 750~1,250万円 | |
グリーン枠 | 1,000~2,000万円 | |
グローバル展開型 | 3,000万円 |
業務効率化に向けて補助金を利用するメリットには、以下の2つがあります。
この章では、それぞれのメリットの詳細について解説します。
補助金を活用して、自社の働き方改革を進めることで、残業の削減や有給休暇の取得推進につながります。子供の急病や自分のリフレッシュのため、有給休暇を取りやすくすることで、従業員が働きやすい環境づくりができるでしょう。
また、従業員の満足度は、離職防止にもつながります。企業が人材不足にならないために、従業員の離職を防ぐことが大切です。従業員の労働環境を整えられることは、補助金を活用するメリットといえるでしょう。
補助金を取得したことで、働き方改革を実施していることや業務効率化に取り組んでいることを、周囲にアピールできるため、イメージアップにつながるでしょう。
補助金の支給を受けるため、数々の条件をクリアする必要があります。厳しい条件を達成していることや労働環境が整えられた企業であることを示すことで、自社の信頼性も向上します。また、事業計画の将来性や優位性が認められたという証明にもなるため、事業の価値も上がるでしょう。
補助金の活用をはじめ、自社の業務効率化をどのように進めれば良いのか、悩んでいるという担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。NTT東日本では、「業務効率化の手法まとめebook」を公開しています。
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国が推進する働き方改革や業務効率化を進めるためには、設備投資などコストがかかります。そのような時に活用したいのが、補助金制度です。補助金には、以下のように5種類があります。
補助金を活用することで、従業員が働きやすい環境を整えたり、会社のイメージアップにつながることがメリットです。どの補助金が自社に向いているのか検討するために、NTT東日本の「業務効率化の手法まとめebook」を、参考にしてみてはいかがでしょうか。
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。