「業務効率化と生産性向上はどう違うのかがわからない」「どうすれば生産性を向上できるのか知りたい」このようにお悩みではないでしょうか。
今後は労働人口の減少により人員の確保が難しくなることが危惧されるため、業務効率化と生産性向上への対応は急務です。
そこでこの記事では業務効率化と生産性向上の違いやメリットに加えて、具体的な方法について解説します。すぐに導入できる生産性向上の方法が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
目次:
業務の効率化と生産性向上は混同されがちですが、違う意味があります。そして日本の企業には、早急な生産性向上が求められています。まずは業務効率化と生産性向上の意味の違いを理解していきましょう。
業務の効率化とは、業務におけるムリ・ムダ・ムラをなくして生産性を向上ができる方法の1つを指します。具体的に「ムリ・ムダ・ムラ」には、以下のようなものがあります。
ムリ | ・現在の環境では達成が難しい目標 ・実践不可能なスケジュール ・人員不足での過密な作業 |
ムダ | ・不要な定例会議 ・不要なプロセスや時間がかかり過ぎている業務 ・重複して作業している業務 |
ムラ | ・適切な人員配置ができず、部署により業務に偏りがある状態 ・マニュアル化されていない業務で「ムリ」と「ムラ」の間で行き来している業務 ・従業員の独自の工程でしている業務 |
業務効率化に成功すれば、従業員の負担軽減やコストダウンにつながり、企業全体の生産性の向上が可能です。
生産性とは投入した資源(人員や費用、原材料、時間など)に対して、生み出せた生産物の割合を指しています。生産性は以下の式で算出できます。
生産性=投入した資源(input)÷生産物(output)
生産性を向上させるには、投入するコストや時間・労働力を少なくしつつ、大きな利益や成果を上げる必要があります。つまり、生産性向上とは、設備投資や業務の課題を解決することで効率化を図り、成果物を増やすことです。
日本が生産性の向上が必要とされる理由は2つあります。
現在の日本は、少子高齢化により労働人口が減少しています。そのため少ない人員で生産性を維持、向上をしなければ、企業全体の利益が減少してしまうでしょう。また、OECD(経済協力開発機構)では2021年の日本の時間当たり労働生産性について、加盟国38カ国中27位と発表されています。
日本の労働生産性は世界的にも低迷しており、生産性の向上を図らなければ国際社会でも競争に負けてしまいます。そのため日本企業には、早急な生産性向上の施策が必要とされているのです。
参照元:公益財団法人 日本生産性本部|労働生産性の国際比較2022
生産性の向上によるメリットは3つです。
この3つはそれぞれが影響し合い、より高い生産性につながります。どのように影響し合い、メリットがあるのか理解できれば、業務の効率化への施策にもつなげやすくなります。
生産性の向上により従業員に時間的な余裕を生み出せれば、顧客のリクエストへの対応力が高くなり満足度向上が可能です。
工場などで働く従業員も、業務のムダやムラを削除できれば、残業時間の減少などにつながります。
節約できた人件費を品質向上に投資できれば、良い商品作りができるため、さらに顧客満足度の向上が可能です。顧客満足度が高くなれば、サービスの継続やリピートにもつながり、企業の利益にもつながるでしょう。
生産性を向上させるために残業時間の削減や業務内容の見直すことで、従業員の労働環境改善につながります。従業員の業務内容の見直しや環境が改善されれば、従業員の業務の負担が減り残業時間の減少や休暇取得にもつながるでしょう。従業員の満足度が向上すればモチベーションアップや離職率の低下につながり、企業へのメリットが大きくなります。
さらに低い離職率は、優秀な人材の確保にも有効です。良好な職場環境をアピールできれば、優秀な人材が集まりやすくなり、企業全体の生産性向上につながります。
また、離職率の低下は同じ従業員が顧客へ継続して安定したサービスを提案し続けることができ、顧客満足度向上が可能です。
少ないコストで成果を上げる「生産性向上」を実現することで、コスト削減につながります。例えば、業務の見直しにより残業時間が減れば人件費の削減が可能です。また、原材料費の見直しにより仕入れコストの減少を期待できます。
削減したコストを労働環境改善やシステム導入に当てることで、さらに業務効率化ができ、生産性の向上につながるという好循環を作れます。
生産性を向上させるために有効な方法には、以下の4つがあります。
それぞれの具体的な方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
生産性向上のためには、業務の効率化を進める必要があります。そのためにもまずは全ての業務を見える化し、必要性を判断して仕分けます。業務を見える化するためには2つのステップで取り組むと良いでしょう。
業務を見える化するときは、できるだけ具体的に書き出すようにします。この時点で把握できていない業務がないように、従業員に「出社してから自分がどのような業務をしているのか」を時系列で書き出してもらう方法も有効です。
また、業務内容には量的要素と質的要素があります。この両方を書き出すことで、把握がしやすくなります。
業務内容の洗い出しが完了したら、見直しを行いましょう。現場の意見を取り入れながら無駄な業務や労働力を削減していけば「ムリ」「ムダ」「ムラ」を効率良く排除できます。
業務の内容によっては企業の従業員に任せるより専門家に外注化するほうが、効率的で業務の質が上がるケースがあります。
ネット環境の整備やシステムの導入を検討する場合は、専門への企業に外注化により、トラブル発生時にも効率良く早く対処できるでしょう。
また他の企業や社外の専門家に任せられる仕事を外注化することで、社内の人間にしかできない業務に集中して取り組めるメリットもあります。外注化できる業務がないかを検討することも生産性の向上には有効です。
人には得意な分野と苦手な分野があるため、従業員の能力やスキルに合わせた適切な配置は業務の効率化や生産性向上に重要です。能力やスキルにあった配置が出来るように、従業員の能力を把握することから始めましょう。
強みを伸ばし弱みを克服できる部署に配属できれば、従業員の能力が十分に活かせて企業全体の生産性向上につながります。
業務のオンライン化できれば、テレワークやフレックス制、週休3日制度などの働き方を取り入れやすくなります。業務をする場所や時間を選ばない働き方ができ、優秀な人材確保もしやすくなるメリットがあります。
また、オンライン化が進めば、業務の自動化や、電子契約、電子申請が可能になりペーパーレス化が進められるでしょう。さらに会議への移動時間や費用など、コストの削減につながります。
さらに、オンライン化によって新規顧客の獲得もしやすくなります。地理的なデメリットがなくなるため、地方や海外の新規の顧客へのアプローチも可能です。また営業にかかる人件費や時間などのコストも大幅に削減ができ、生産性をさらに上げられます。
生産性向上に取り組む時に注意点するべき点は、以下の2つです。
この2つのポイントに注意した施策を練らなければ、従業員の負担軽減やサービスの質の向上につながりにくく生産性も向上しません。ここでは、マルチタスクや長時間労働の防止に役に立つ方法を紹介します。
マルチタスクとは、複数の業務を同時進行することを指します。少ない人員で業務に当たるためには、マルチタスクで業務をする方が効率が良いと感じることもあるでしょう。しかしマルチタスク化すると、集中して業務に当たれなくなり、サービスの品質低下につながる可能性があります。
過度なマルチタスクになっている業務はないかを確認し、業務の見直しをしていくとサービスの質の向上や従業員の負担軽減につながります。
長時間労働は、人件費の上昇や離職率増加のきっかけになるため早急に是正すべきです。長時間労働になりやすい理由として、部署やチームのメンバーで様々な業務に当たるため、従業員が業務の選択と集中ができていない場合があります。
また従来の日本における従業員の評価は、早く仕事を終わらせることよりも残業をする人の方が上司から評価される風潮があったため、長時間労働になりやすい環境でした。
しかし、生産性向上のためには長時間労働を防止して、人件費のコスト削減や離職率低下していく必要があります。
業務の効率化や生産性を向上させるための施策は、実績豊富な専門企業に委託する方が短期間で成果を出しやすいです。
効率化施策において有効なのは、業務のオンライン化や自動化のシステム導入などです。システムを導入し業務のスリム化を図りたいなら、NTT東日本にお気軽にご相談ください。
NTT東日本はカバーエリアが広く、さまざまな企業のオンライン化やシステム導入のサポートしているため実例や実績が豊富にあります。そのため、企業の特色に合った業務効率化に関するアドバイスやシステム導入が可能です。
まずは自社でどのような取り組みができるか、以下の資料をダウンロードしてご確認ください。資料には業務効率化によるメリットと豊富な事例の紹介に加え、システムについて詳しく解説しています。
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企業の生産性向上のためには業務の効率化は必要です。近年、国際社会における日本の生産性は低迷しており、労働人口の減少も懸念されることから、業務効率化は必須課題となっています。
生産性向上のためには、以下の4つの方法があります。
この中でも、特にオンライン化による業務の自動化や電子化は従業員の負担軽減にもつながりやすい方法です。しかし、システム導入には専門的な知識や経験が必要なため、外注化の検討がおすすめです。
生産性の向上に成功すれば従業員や顧客満足度も上がり、企業価値も上げられます。5年後、10年後の未来を見据えて、システム導入などを検討してみてはいかがでしょうか。
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。