「経理業務の効率化をしたいが、どうすればいいのかわからない」このようにお悩みではないでしょうか。
経理業務は専門の知識やスキルが必要であることや企業の利益に直結しにくいことから、担当している人数も少ない傾向があります。そのため、経理業務は人材不足になりやすく、属人化しやすい業務です。経理業務が属人化してしまうと、ミスの発覚が遅れたり問題点の改善もしにくく、効率化が難しくなります。
今回の記事では経理業務の効率化の問題点やメリットについて解説しています。効率化に有効な施策についても紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
経理は効率化が難しいとされている業務の1つです。経理業務の効率化をする上で企業が課題に感じる点は3つあります。
この3つの課題について何が問題になりやすいのかを理解していきましょう。
経理業務は簿記などの専門知識が必要なため、属人化しやすい業務です。経理のスキルが必要なため少人数で対応している企業が多く、担当者が独自の方法で業務をしていることもあります。
少人数で行う業務の問題点は、業務内容を把握している担当者が限られてしまい、問題点の確認や改善点の提案を外部の人間がしにくいことです。
業務が属人化してしまうと、担当者が離職したときに業務が滞る可能性があります。またミスが起こっても気づきにくく品質の維持や向上が難しくなります。
さらに属人化した業務は担当者がミスを隠したり、不正がしやすい環境です。不正が行われても、発覚までに時間がかかってしまうため企業の損失が大きくなる傾向があります。
経理業務は、請求書や領収書といった紙媒体業務が多いという特徴があります。以前から経理に関わる業務の多くは紙を利用したやりとりが主流だったため、ペーパーレス化が進みづらかった背景があります。また収支関連の書類も紙による保存が一般的だったため、紙のコストは必要経費とされていました。
しかし、現在は電子帳簿保存法が2022年1月に改正され、経理書類の電子保存がしやすい環境になりました。電子媒体で保存をしていれば、紙媒体の原本を用意する必要がありません。ペーパーレス化ができれば、紙や印刷にかかるインク代などのコスト削減が可能です。そのため、近年は経理業務のペーパーレス化に取り組む企業も増えています。
経理業務は企業の信用や経営判断にもつながるため、正確さとスピードが求められる業務です。しかし正確さを徹底するためには、ミスをしないために確認作業が必要になり、時間がかかりやすくなる問題が出てきます。
経理業務が遅れると、人件費などのコストが膨らみ、適切な経営判断ができないなどのデメリットが大きくなるため、正確さとスピードのバランスが重要な業務です。経理業務は効率化に成功すればミスや不正を防いだり、業務スピードの維持も可能になるため生産性の向上にも役に立ちます。
経理業務の効率化に有効な方法を5つ紹介します。
この5つはどの企業も取り入れやすい方法で、中にはシステムを導入すればほぼ自動化が可能なものもあります。ぜひ、この章の内容を参考にしてシステム導入を検討してみてください。
経理ソフトやクラウド型会計ソフトを導入することは経理業務の効率化にとても有効な方法です。
会計ソフトの一番のメリットは業務のスピードアップと正確さの確保ができることです。近年の会計ソフトには銀行口座やクレジットカードの情報を自動で取り込む機能があります。さらに取り込んだデータから自動で計算してくれるため、人為的な計算ミスもなくなります。入出金データの入力や計算といった業務の自動化が可能になり、担当者の負担を軽減する効果も高いでしょう。
さらにクラウド型の会計ソフトならクラウド上で作業・保存ができるため、経理業務専用のパソコンを用意する必要がありません。そのため経理業務ができるデバイスが限定されなくなり、属人化を防げます。
また税制改正など、法改正への対応も自動でアップデートしてくれるため、改正の度に業務が中断することもなく担当者の負担を少なくできるでしょう。
紙媒体で請求書や領収書を保存しようとすると、印刷・ファイリング・収納・取り出しに手間と時間がかかってしまいます。紙書類の保管スペースも必要になり保管スペースの確保にかかるコストが膨らむ可能性もあるでしょう。
また、取引相手との契約書類や資料なども紙媒体の場合は、発送するときの切手代や封筒代にもコストが必要です。しかし、オンライン化や電子媒体での保存・送信にすれば経理業務におけるコスト削減につながります。
国が定める電子帳簿保存法でもペーパーレス化を推進しており、2024年1月には全ての企業が電子取引のデータ保存が義務になりました。そのため、帳簿や取引データは紙媒体を利用する必要がなくなっています。
キャッシュレス化による効果は社員数が多い企業ほど、経理業務の負担を減らせる施策です。
小口現金の取り扱いは現金出納帳の記録と残高の確認などの目視と手入力の手間が発生します。そのため会計ソフトが自動でデータを取得し、計算してくれるキャッシュレス決済がおすすめです。
キャッシュレスに統一できれば、データが全て残るため使途不明金もなくなり、決算期の負担軽減につながります。
もし、キャッシュレス化が難しい場合は現金を扱う日を決めておくなどの対策がおすすめです。経理担当者がチェックしやすくなり、業務の効率化にも有効です。
経理業務ができる人員の確保が難しい場合や、どうしても担当者の負担が大きくなる場合は、専門のスキルを持った経理代行サービスや税理士事務所に業務委託することも有効です。
委託をする場合は、どこまで経理業務を委託するべきなのかを検討すると良いでしょう。担当者と面談し、時間がかかっている業務や、経理担当者の負担になっている業務を洗い出しをすれば、少ないコストで効率化を図れます。
経理業務はさまざまな部署から書類が届きやすい部署です。書類のフォーマットを社内全体で統一すれば、入力ミスが減り、確認時間の短縮も可能です。
またフォーマットを作るときには、経理担当者にとってわかりやすい形式にしておくと経理業務の効率化につながります。
経理業務はルーティン作業が多いため、一度効率化ができれば担当者の負担軽減や効率化の恩恵も大きいです。
しかし、経理業務などの属人化が進んだ業務の場合は、担当者が独自のプロセスで業務を進めている場合が多いでしょう。そのため担当者や周囲にも問題点が見えづらく改善点の提案もしにくい特徴があります。
効率化を進めるときに必要なステップは2つあります。
この章では、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。
まずは、経理担当者がしている業務内容やプロセスを可視化するために、業務内容の洗い出しをします。出社してからどのような業務をしているのかを時系列に沿って書き出すと「抜け」や「漏れ」がありません。
ポイントとしては、大まかに業務内容を書くことです。まずは全体の業務内容を把握していくようにします。
次に可視化した業務内容を細分化します。業務が完結するまでにどのような作業をしているのか細かく書き出していけば、無駄な作業や問題点が発見しやすくなるでしょう。
細分化するときの注意点は、担当者の行動までが分かる程度まで書き出すことです。外部の人間も問題点に気づきやすくなり、改善の提案もしやすくなります。
業務の工程を可視化できたら、次に業務の問題点や改善点の洗い出しをします。業務の見直しには「ECRSの原則」を使用すると有効です。
ECRSの原則とは以下の4つの項目で構成されています。
上記の4つの項目を順番に確認することで業務の効率化を図りやすくなります。一般的に「1」の排除できる業務を増やすことが効率化において最も有効です。システムの導入や外注化によって従業員がする業務や作業を削減できないか考えてみてください。
経理業務の効率化はシステムの導入や、業務内容・プロセスの見直しで改善が可能です。業務の効率化ができれば、以下の4つのメリットを得られます。
作業の効率化は経理業務だけでなく、企業全体の利益になる施策になります。この章では、それぞれのメリットについて詳しく紹介していきます。
経理の大きな負担になっている業務の1つに紙媒体での業務が挙げられます。具体的には紙媒体への印刷やデータの入力などです。
印刷やデータ入力は単純作業なので、経理に関する専門のスキルは必要ありません。このような単純作業を効率化できれば担当社員の負担が軽減でき、他の重要な業務に集中できるようになります。
経理担当者が専門的なスキルの必要な業務に集中できることで、業務のスピードアップにつながり企業の生産性の向上にもつながるでしょう。
経理業務において、人件費や紙、インク代などの書類に関わるコストが削減しやすいです。
経理業務の効率化に成功すれば、業務の時間短縮ができます。残業代などの人件費を削減が可能です。また、紙媒体から電子媒体に変更すれば、印刷に必要な紙やインク代、輸送費などのコストを削減できます。
節約できたコストを新規事業やシステム導入への投資に回せば、企業全体の生産性の向上にもつながるでしょう。
経理ソフトの導入を行い、データの入力作業や計算を自動化できれば人的ミスを減少させ、業務の大幅な時間短縮が可能です。
人的ミスを減らせれば、確認作業の時間も短縮できるため、人件費の節約や社員の負担軽減にもつながるでしょう。
また人的ミスが起こりやすい業務は何かを明確にし、システム導入によって正確性が向上すれば、企業全体の信用にもつながります。
適切な経営判断をするためには、企業の決算資料が必須です。経理業務は企業全体の損益を正確に示す「決算資料」の作成もあり、重要な業務になります。経理業務の効率化に成功すれば、月次決算によって自社の財務状況を早期に経営陣に伝えられます。
経営判断は迅速さが重要です。決算資料や損益情報を早く経営陣に伝えることができれば経営方針の決定を早期にできます。企業全体の損失を少なくでき、利益をさらに大きく伸ばせるきっかけになるでしょう。
経理業務は属人化しやすい性質があり、属人化が進むとミスや不正にも気づきにくく、企業全体の信用問題や大きな損失にもつながりやすい業務です。
経理業務は専門的な知識が必要なため、外部の人間が問題点を把握しにくく、改善方法の提案をしにくい傾向があります。しかし経理業務はルーティンとなっている作業が多く、業務内容の見直し、適切なシステム導入ができれば効率化を図りやすい業務です。業務の効率化に成功すれば、担当者の負担軽減や、コストの削減、ミス防止にも効果を期待できます。
経理の業務の見直しには経理の知識やスキルも必要になるため、専門的な知識やスキルを持ったプロへの外注化が効果的です。外注することによって、自社の社員しかできない業務に集中ができるため、担当者の負担軽減にもつながります。
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NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。