「RPAツールを導入したいが、種類が多くてどのツールを選べば良いかわからない」という方は多いのではないでしょうか。
日本では少子高齢化が深刻化しており、このまま進むと労働人口はさらに減少し「働き手不足」の状態を引き起こすと言われています。このような状況の中、人の手に代わる労働力として期待されているのが「RPAツール」です。
今回の記事では、RPAツールの概要やメリットに加え、3つの種類と導入のリスクまで紹介します。RPAツールの導入を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
目次:
近年の日本では、新型コロナウイルスの拡大や少子高齢化によって働き方が大きく変わっています。このような中、企業が注目しているITツールが「RPA」です。
RPAツールを使うと、定型業務を自動化でき、効率的に仕事をこなせます。この章では、RPAツールの基本知識や、どのようなシーンで利用できるのかを紹介します。
RPAツールとは、人工知能や機械学習等の技術を活用した、主にホワイトカラー業務を自動化するツールです。以下のような定型業務を、自動で処理できます。
人件費の削減や生産性の向上といったメリットがあり、近年注目を集めています。
業務自動化の方法として「AI」が有名ですが、RPAは自立的な判断はできません。その代わり、入力や転記など、判断を必要としない繰り返し業務を強みとしています。
多くのRPAツールは複雑なプログラミングの知識を必要とせず、感覚的に設定や変更ができるため、導入や途中ルールの変更まで現場レベルで行えます。
RPAツールは、自動化できる業務の範囲が広いため、領域を問わずさまざまなシーンで活用されています。具体的なシーンは、以下のとおりです。
受注管理 | ・受発注データの自動取り込み ・基幹システムへの自動入力 |
在庫管理 | ・日々の在庫データの確認 ・不足時の自動発注(自動通知) |
請求管理 | ・売上データを利用した月末の請求書の自動作成や自動送信 |
営業 | ・問い合わせへの自動返信 ・営業管理ツールへの記録・アラート |
マーケティング | ・SEOデータの収集 ・分析レポートの自動作成 ・異常発生時のアラート |
RPAツール導入の判断基準は「発生頻度が高い」「ルールが決まっている」「大量の業務」の3つです。自動化したい業務にRPAツールが活用できるか、当てはめてみてください。
RPAツールの導入が企業に与える主なメリットは、以下のとおりです。
定型業務に関しては、人力で行うよりも圧倒的に早く処理できます。業務スピードが上がれば、生産性の向上・人件費のコスト削減・労働環境改善が期待できます。
また、単純作業を人の手で行っていると、どうしても注意力が落ちてミスが発生しやすくなります。作業ミスは、時間のムダになるだけでなく、顧客満足度を下げる原因にもなります。しかし、RPAツールであれば人的ミスなく正確に業務を行うことができます。
この章で、RPAツールを導入するメリットを詳しく確認しましょう。
RPAツールの導入により、スピーディー・正確・高品質な業務遂行ができます。単純かつ大量な作業をRPAツールに任せることで、従業員が人にしかできない業務に専念できるからです。
例えば、定型業務・反復業務・定期業務をRPAに任せれば、従業員は判断力や想像力、コミュニケーションが必要な業務に注力できます。また、業務の属人化を解消し、引き継ぎも効率的に行えます。また、RPAツール導入が良い機会になり、既存の業務の見直しも進むことでしょう。
このようにRPAツールを導入すれば、従業員は付加価値の高い仕事に集中でき、業務全体の改善につながります。
人が行っていた作業をRPAツールにさせることで、人件費などのコスト削減につながります。RPAツールが自動化できる単純作業は、人間が行うと手間や労力がかかるものが多いからです。
今まで従業員が時間外や休日労働として行っていた膨大な業務を、RPAであれば24時間365日、迅速にこなせます。単純作業にかかっていた人件費を抑え、将来的な労働力減少にも対応できます。
導入時には一定のコストがかかりますが、複数人で長時間の作業であるほど、長期的にみたコスト削減になるでしょう。
RPAツール導入によって、集中力が途切れる単純作業における人的ミスをなくせます。RPAツールはロボットであり、人の手で起きる抜け漏れやタイピングミスなどの人為的ミスは起きません。
例えば、メール送信や、顧客情報の転記作業といった事務作業は同じ作業を長時間繰り返すため、従業員の心理的ストレスにつながりやすく、入力ミスも多発します。RPAツールを導入することで、期限や正確性などのストレスからも解放され、人的ミス防止だけでなく、業務品質改善にもつながります。
RPAツールは24時間365日稼働し、人より多くの業務量をこなすため、業務量や労働時間を減らし、働き方改革を促進します。時間外や休日労働を減らせるだけでなく、業務スケジュールの大幅な短縮にもなります。
オフィスに人がいなくても業務が遂行されるため、テレワークの推進につながるだけでなく労働力減少にも貢献できます。
RPAツールには、以下の3つの種類があります。
近年では、1つで複数のタイプに対応できるものも増えています。それぞれ特徴が異なるため、自社にあった種類のRPAツールを選択しましょう。
サーバー型は、RPA環境をサーバー上に構築するタイプです。自社のサーバー内でロボットと各PCを接続し、業務を横断的に管理して作業を自動化します。
部署を問わず全社レベルでの業務自動化を行う場合、大量のデータやルールを一括で管理できます。ただし、他の種類より導入費用がかかり、初期設定の時間が必要なことがデメリットです。
デスクトップ型は、個人のPC上にRPAツールをインストールするタイプです。PC1台につきロボットが1台動き、PC内の個人の作業を自動化します。
担当者レベルでの管理ができ、柔軟に複数のシステムを連携できます。導入コストが安く、小規模向きのRPAツールと言えますが運用が個人に任される分、管理が行き届かずに活用されなくなりやすいというデメリットがあります。
クラウド型は、販売会社のサーバーを活用し、どんな場所からでも利用できるタイプです。ネット環境さえあればすぐにインストールでき、クラウド上での作業を自動化します。また、無料トライアルを提供している製品が多いのも特徴です。
面倒な運用管理も不要で導入コストも安価なため「手軽に業務を自動化したい」場合におすすめです。アップデートも自動で行われるため、常に最新の状態でRPAツールを使えます。
しかし、作業がPC環境に左右されたり、販売会社のサーバーを利用するためセキュリティ面に不安が残ったりするデメリットがあります。
RPAツールはメリットがある反面、以下のようなリスクもあります。
RPAはITツールであるため、トラブルに自分で対処するのが難しいです。そのため、トラブル発生時には業務が停止したり、誤作動が起こしたりする恐れがあります。
また、RPAツールにすべての作業を任せたままにしてしまうと、業務の内容がわからない「ブラックボックス化」を引き起こします。この章で、RPAツールのリスクを理解し、導入・運用に活かしましょう。
RPAはITツールであるため、システム障害が発生すると、業務が止まるリスクがあります。システム障害は予測困難なため、先手を打った対策が難しいです。
作業中のデータや保存していたデータが消えてしまう可能性もあるため、できるだけ安全に利用できるようにバックアップや対応マニュアルを用意しておきましょう。
RPAツールのアプリケーションやシステムに変更があると、誤作動や使用不可になるリスクがあります。人であれば、作業中でも間違いに気づいたときに修正できます。しかしRPAツールは、間違った動作であっても判断できず、ひたすら設定された通りに処理をしてしまうのです。
初期段階で誤りがあると、間違った動作を続けてしまい大幅に時間をロスします。正しく動作しているかを定期的にチェックをするなど、運用する上でのルールが必要です。
RPAツール導入によって、担当者へ業務の引き継ぎがされなくなり内容がわからなくなる「業務のブラックボックス化」のリスクがあります。
RPAツールの設定を最初に行ってしまえば、作業を任せて内容や手順を知らなくて良いと思われるかもしれません。しかし、それでは担当者が変わった際に、作業の引き継ぎ内容が正しく伝わらなくなる可能性があります。
またその結果、システムの更新や作業の変更が必要なときに、対応できる人がいない「野良ロボット化」の状態を引き起こす危険性があります。業務のブラックボックス化や野良ロボット化を防ぐために、以下のような対策を行いましょう。
これらの対策をすることで、安心して長期的なRPAツールの活用ができます。
NTT東日本の「おまかせRPA」は、手厚い支援・サポートのついた作業自動化サービスです。Windows端末上の様々な定型業務を自動化できるため、人的コストや作業時間の削減、業務の品質向上が期待できます。また、導入から運用まで、NTT東日本がサポートするため安心です。一度使ってみて使用感を確かめたい方は、2ヶ月トライアル版もあるため気軽に試せます。
「RPAを導入したいが、どのツールにしたら良いかわからない」という方は、ぜひお気軽にNTT東日本にご相談ください。
RPAツールを導入することで、以下のような効果が見込めます。
労働人口の減少が危惧される日本では、これからの会社の発展に欠かせないツールと言えるでしょう。しかし、RPAツールの導入にはリスクもあるため、シミュレーションを行ってから導入の可否を判断することが重要です。RPAツールの特徴を理解した上で、定型業務の自動化による効率化を実施しましょう。
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。