特定の従業員が突然退職してしまったため、業務が停止したことがある企業は多いのではないでしょうか。このような、業務が特定の従業員に依存する状態を属人化と呼びます。属人化状態が進む事自体が担当者の負担になり、退職につながるケースもあります。
そこで本記事では、属人化の概要と担当者が退職する理由・解消法について解説します。属人化の問題点について詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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属人化とは、担当者が特定の業務につきっきりになることで、他の従業員では内容が分からなくなる状態を指します。属人化は担当者が退職などで不在になるタイミングで問題が発覚するケースがあり、ネガティブな意味で捉えられるケースが多いです。
この属人化に対し、業務内容が管理されており、誰でも取り組める状態を標準化と呼びます。属人化が進行すると、担当者が休職や退職した際に、業務が進められなくなる可能性があるため解消が必要です。業務の効率化や生産性の向上の妨げとなるため、属人化の解消に取り組む企業が増えています。
属人化が進行した結果、担当者が退職するケースがあります。ここでは、属人化が原因で社員が退職する理由を4つ紹介します。
属人化状態の従業員が退職すると業務が停止するなど問題が起きるため、本章の内容をぜひ参考にしてみてください。
属人化している業務の担当者は、責任が重くなっているケースがあります。業務内容が自分しか知らない状態では、他の従業員に頼ることができません。また、自分が対応しなければ業務が停止してしまうというプレッシャーがあり、責任を重く感じてしまいます。
さらに、属人化していると業務が集中する傾向があります。また、他の従業員から仕事を任されることも多く、依存されるケースが多いことも責任を感じる原因です。このように、責任の重さを理由に退職につながってしまいます。
属人化状態では、業務の担当者が自分だけというケースがあり、他の従業員に任せることができません。そのため、自分が不在になると業務が停止してしまうため、体調不要や私用があっても仕事を休めなくなります。
属人化状態では業務が集中するため多忙であるケースが多く、さらに仕事が休みにくくなります。体調不良でも仕事を休めない状態が続くと心労が重なり、最終的に休職・退職になるケースがあります。
属人化した業務の苦労は、他の従業員になかなか理解して貰えません。業務を進めているとさまざまな不満が蓄積しますが、悩みを共有できないケースが多くなります。担当者は悩みを一人で抱え込むことになり、不満がより蓄積されます。
不満が解消されず蓄積することで心労につながり、結果として退職を選ぶケースが増えるでしょう。特に、他の従業員と意見交換ができないなど、社内の風通しの悪さも原因となります。
属人化状態となる業務は専門的な知識が必要であり、企業にとって重要な役割を担っているケースが多いです。ただ、企業の給与システムによっては、専門性や多忙さが給与に反映されず、年齢や勤続年数に則った金額しかもらえない場合があります。
特に属人化された業務を担当していると、自分がいないと仕事が進まないと考えていることが多いです。自分が企業にとって必要な人材と考え、、給与が見合っていないと感じます。
その結果「自分のスキルに見合った給与をもらいたい」と転職を考えるようになります。これは、スキルと役割に則った給与システムが整備されていないことが原因です。
属人化の解消には、さまざまなメリットがあります。ここでは、そのメリットを4つ紹介します。企業として属人化を解消する重要性が理解できる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
属人化が進行すると担当者の負担が大きくなり、不満が蓄積されます。その結果、担当者が退職してしまうケースがあります。属人化を解消することで担当者の負担は軽減されるため、退職者が減少し定着率の向上につながります。
また、属人化を解消することで、テレワークなどの多様な働き方に対応可能です。テレワークでは従業員が「どのような仕事をしているのか」把握しにくいため、属人化された業務には不向きです。
ただ、標準化することで業務内容が明確になれば、テレワークを推進しやすくなります。企業として多様な働き方に対応すれば、従業員の不満も軽減され定着率の向上につながります。
属人化された業務では、ノウハウが担当者に蓄積される一方で、企業には残りにくくなります。そのため、担当者が退職するとノウハウが失われる可能性があります。属人化を解消することは、企業としてのノウハウの蓄積につながるでしょう。
また、ノウハウが社内全体で蓄積されれば人材育成がしやすくなり、結果的にコスト削減となります。特に、採用後の新人教育にも役立つため、早期戦力化も可能です。
属人化状態では、従業員同士の意見交換がしにくくミスが発覚しづらいなど、社内環境が悪化する要因が多く存在します。そのため、属人化を解消すれば社内環境の改善が可能です。さらに、意見交換が活発になることで、従業員のモチベーション向上も期待できるでしょう。
属人化された業務では、他の従業員の仕事内容が分かりにくいため、人事評価への不満につながります。属人化が解消されれば、各従業員の仕事内容が理解できるようになり、人事評価への不満が抑えられるでしょう。
属人化を解消すれば、ベテランや新入社員などスキルが異なる従業員であっても、同じ水準で業務が実施可能になります。標準化により業務内容が個人のスキルに依存しないため、業務品質が安定するでしょう。
また、同じ業務を複数の担当者が関わることで、業務改善のアイデアが出てくるきっかけになります。その結果、業務品質の向上が期待できます。
属人化の解消を検討していても、具体的な方法が分からない方もいらっしゃるでしょう。ここでは、属人化を解消する方法を3つ紹介します。属人化の解消になかなか取り組めない方は、ぜひ参考にしてみてください。
属人化を解消するには、どの従業員でも業務に対応できる必要があります。そのためには、マニュアルの作成が必要です。マニュアルは従業員の知識の有無に関係なく、誰でも理解できる内容にしましょう。
マニュアルは、個別の業務ごとに作成します。文章だけでなく画像や図解を入れると、内容が理解しやすくなるのでおすすめです。また、分かりやすいマニュアルを作成しておけば、新しい従業員を採用した際の新人教育にも活用できるため、育成コストの軽減にもつながります。
属人化の解消には、業務の可視化が重要です。属人化している業務は、内容が複雑で担当者以外には分からないケースが多いです。そのため、業務内容をできるだけ可視化できるようにすると、他の従業員も理解できるようになります。
また可視化することで、誰でも対応できる業務をスキルが高い従業員から切り離すことが可能です。スキルが高い担当者を重要な仕事に集中させられるため、業務の効率化が可能です。
他にも、業務の可視化ができていれば、各従業員の進捗状況が確認できるため、トラブルやミスの早期発見にもつながります。また、業務の遅れを他の従業員がカバーすることも可能です。
属人化状態では、特定の担当者に業務が集中する傾向があります。そのため、各担当者の業務範囲を見直すことが重要です。業務の配分を見直して、担当者の負担を減らしましょう。また、業務範囲を見直すことで、業務効率化や最適化にもつながります。
複数の担当者で業務に対応することでノウハウが共有されるため、業務改善にもつながります。また、担当者の時間的な余裕ができるため、心身の疲弊の軽減も期待できます。結果として、担当者の退職を防ぐことも期待できます。
属人化を解消せずに長期間放置すると、さまざまなデメリットが発生します。さらに、属人化状態の担当者が退職してしまうケースもあります。そのため、属人化の解消は企業にとっての課題です。ただ、属人化にはさまざまな原因があり、具体的な解消法が分からないケースもあるでしょう。
もし属人化の解消がうまく進まない場合は、NTT東日本にお気軽にご相談ください。属人化の解消法や業務の効率化の手法などについてまとめた「業務効率化の手法まとめebook」という資料も用意しています。まずは以下のリンクから、資料をダウンロードしてみてください。
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属人化とは、業務内容や進捗状況が担当者にしか分からない状態です。属人化状態が進むと、担当者が退職した際に業務が停止するなどのデメリットがあります。また、属人化された状態が続くこと自体が、責任が重く不満が蓄積しやすいことで退職の原因となるため、企業にとって解消すべき課題です。
属人化を解消することで「業務品質の向上」「社内環境の改善」「人材育成コストの削減」につながります。もし属人化の解消法にお悩みの場合は、NTT東日本にお気軽にご相談ください。
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。