業務の属人化は、専門的知識に特化した人が業務を担当することで、効率よく専門性の高い業務を行えます。一方で特定の従業員に業務が集中してしまい、長時間労働や進捗状況が把握しづらくなることがデメリットです。
また、業務の属人化が長期的に続くと、担当の従業員の心身に支障をきたすだけでなく、企業全体の業務効率が下がり、生産性を下げてしまうことも考えられます。
そこで今回の記事では、属人化してしまうことで起こるリスクや業務を標準化する方法を紹介します。業務効率化の手法を紹介する資料も案内していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次:
属人化とは、特定の社員が担当する業務を引き継ぐことができず、本人でなければ遂行できない状況を指します。
例えば「担当者が出張中にクライアントから連絡があったが、スムーズに対応できなかった」という状況は、業務が属人化していることで発生します。
業務に習熟した従業員が担当することで、効率よく高品質な対応が可能です。一方で、特定の従業員に依存しなければ業務を遂行できないという欠点があります。
この章では、業務が属人化してしまう4つの原因について解説します。
業務を属人化させると顧客からの信頼は得やすいですが、担当者が不在の場合などにフォローできないリスクがあります。自社に該当する項目がないかどうか、チェックしてみましょう。
従業員それぞれが担当している案件対応に追われて多忙な状態が続くと、業務が属人化しやすいです。
担当者が業務に追われていると、他の社員に任せるより自身で対応したほうが早いケースがよくあります。
担当者の業務を分散化させなければ、ますます業務が属人化してしまうでしょう。特定の社員が多忙になる状況を改善し、適切に業務を分散化させていく取り組みが必要です。
専門性を求められる業務であるほど、従業員1人に対する業務負担が大きくなります。特にマーケターやプログラマーのような専門性の高い仕事は、本人の裁量に任されることが多いです。
普段から従業員同士の共有・教育の体制を整えなければ、ノウハウを持つ従業員に業務が一極化しやすくなり属人化が進んでしまいます。
売上や業務効率を優先させるあまり、組織としての情報共有まで意識が行き届かなくなります。そのため、普段から従業員同士の共有・教育の体制が整っていないと、他の従業員がその案件に対応したとき、その都度業務のやり方を模索しなければいけません。
また、マニュアル化できない専門性を必要とする業務は、従業員間でのOJTが必要になります。しかし、担当者が多忙で時間的・体力的余裕がなく、教育する機会が設けられないケースが多いです。
担当者以外が業務内容を理解できていないため、業務の生産性低下につながります。さらに、問題を早期に発見できないことで、自社に損失を発生させる恐れもあります。
成果主義とは、従業員の業務成果や成績、仕事の実力などに応じて待遇を決定する人事制度です。成果主義は、従業員自ら成果を上げるために何をするべきかを自発的に考えられるようになるため、効率よく成果を上げるよう意識改革を行えるメリットがあります。
しかし、成果主義では、従業員が企業の利益よりも個人の利益追求を優先してしまいがちです。組織全体が成果主義になりすぎているとどうしても業務を遂行する際、個人プレーになってしまうことがあります。
特に、個人成果主義が根付いている現場ではどうしても情報・ノウハウが自分の地位を維持するための武器となります。このような環境で業務を行うと、自然と属人化が進んでしまうでしょう。
業務が属人化することで、以下の4つのようなリスクが懸念されます。
ここでは、業務が属人化することでどんなことが起こるのか詳しく見ていきましょう。
業務が属人化すると、担当者以外は業務のやり方・ノウハウが見えにくくなります。特定の従業員に依存している状態なので、急な休みや退職があると対応できなくなるでしょう。
属人化が進むと、業務の「ブラックボックス化」を引き起こす恐れがあります。「ブラックボックス化」とは、担当者以外は業務のやり方や進捗状況がわからなくなっている状態です。
業務のブラックボックス化は従業員同士で連携・業務の割り振りができなくなるリスクだけではありません。ブラックボックス化は、従業員同士のシナジーも生めなくなることにも繋がります。
例えば、他の担当者と連携すれば課題が解決できるのに、連携していないことでチャンスを逃してしまうことがあります。
また、業務がブラックボックス化してしまうと担当者でしか業務のやり方が分からないので、問題が起きたとしても気づきにくくトラブルが発生しやすくなるでしょう。
業務が属人化していると、周囲からのサポートが十分に得られないため、業務内容のクオリティ低下に繋がるだけでなく、業務が停滞してしまう恐れがあります。
例えば、本当は効率のよい方法があるはずなのに従業員同士での情報共有が行われないので、生産性の低い状態で業務が続いてしまいます。これでは、業務内容がますます不透明になり、社内の風通しが悪くなってしまいます。
業務の品質を向上させるには、従業員らが能力を発揮して同じクオリティで業務を遂行できる状態を目指す必要があります。そのためには、業務内容を共有したり、対策を他の従業員と話し合うなどしなければなりません。
しかし、業務業務が属人化していると上司や他の従業員と業務内容を共有できないので、仕事に対して適切な評価ができなくなります。品質管理ができなくなると、業務内容の改善策を立てられなくなってしまいます。
業務が属人化していると、社内にノウハウが蓄積されにくいといった状況が生まれます。例えば、顧客に合わせたサービスの提供方法やトラブル発生時の対応・連絡先など、担当者にしか分からないノウハウがあると、不在時に遂行できません。
また、担当する従業員は常に案件対応に追われており、他の従業員に情報やノウハウの共有が難しい状況です。そのため、マニュアルの作成や教育を行う機会を設けることが難しく、従業員のスキル向上をできる機会をも失う恐れがあります。
ここでは、属人化を解消する具体的な方法を3つ紹介します。
業務内容によって、属人化を解消する方法が違います。この章の内容を確認して、自社の状況に合った方法を見つけましょう。
属人化している仕事を分散化することで、特定の従業員でなくても業務を進められるようになります。また、仕事の責任を分散化すると特定の従業員にかかる業務負担を軽減できるため、よりクオリティの高いサービスを提供できるようになります。
業務を特定の人に集中させてしまうと、他の従業員のフォローが難しくなります。特定の従業員でなければわからない業務内容や案件対応では、情報共有不足により対応が遅れる恐れがあります。
業務を特定の人に集中させず、他の従業員にも仕事を割り振るようにすれば、自然と従業員同士で業務を共有することに繋がり、情報共有不足を解消できるようになります。
業務が属人化する原因に、特定の社員でないと行えないほど複雑になった業務の仕組みが挙げられます。誰でも分かるようなシンプルな仕組みに変えることで業務の分散化や共有を行いやすくできます。
例えば、使用するツールをできるだけ絞ったり、シンプルな業務フローを組み立てることなども業務を簡素化する方法として効果的です。簡素化できるようになると、ムラ・ムダを少なくでき、より効率的かつ生産性の高い業務を遂行できます。
マニュアルは、担当者が代わっても業務品質を維持できるように作成するものです。。マニュアルを作成する場合は、作成前に業務フローを洗い出してブラッシュアップしていきます。「この業務フローに無駄はないか」「効率的な方法に代替えできるか」を考えます。
作成時には従業員同士で意見交換の機会を設けると、より業務に合わせたマニュアルが作成可能です。マニュアルを作成する場合は、従業員の協力を得ながら組み立てていきましょう。
業務が属人化すると、特定の従業員に負担が集中するだけでなく、他の社員や部署との連携が難しくなり、生産性を下げることがあります。属人化の解消には、従業員が業務を遂行しやすい環境を整えることが大切です。
NTT東日本が提供している業務効率化のまとめebook」では、業務効率化の参考となるノウハウがまとめてあります。自社にあった業務効率化の手法を見つけやすいようになっているので、ぜひご覧ください。属人化を解消するためにも、業務を簡素化したり、ITツールを駆使するなど社内の環境を整備していきましょう。
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NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。