| Writer:NTT東日本 北森 雅雄(Masao Kitamori)

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

工場の生産性向上への取り組みは、販売数や利益の増加につながる重要な施策です。しかし、自社の工場で生産性向上を実現するために、具体的な取り組みができていない方は多いのではないでしょうか。

製造業の現場では、コストを抑えて安定した質の製品を多く供給することが求められます。少子高齢化が進む日本にとって、より少ない人員で多くの製品を生み出せるように工夫することは重要です。

そこで、今回の記事では工場の生産性向上に取り組むメリットについて解説します。生産性向上を実現する方法が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

1.工場の生産性向上とは省コストで多くの製品を生み出す施策

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

生産性とは「成果」を「投入したコスト」で割って求められる指標です。そのため、工場における生産性向上とは「より少ないコスト」で「多くの製品を生み出す」ための施策を指します。製造コストに含まれる要素は、以下のとおりです。

  • ・人件費
  • ・設備費
  • ・原材料費
  • ・在庫の管理費

公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2022」によると日本の時間あたり生産性はOECD38カ国中27位で、海外と比べて低い水準にあります。生産性が低いままでは、少子高齢化が進む日本は若い労働力を持つ海外との競争力を失ってしまうでしょう。そのため、生産性を向上させて海外の製造業との競争力を高める必要があります。

参照元:公益財団法人 日本生産本部|労働生産性の国際比較2022

多くの製品を生み出すことに成功しても、それに比例してコストが増加していると企業の利益は増えません。工場の生産性向上を実現するには「生産量アップ」と「コスト低減」の両面から取り組むことが重要です。

2.工場の生産性向上によるメリット5選

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

工場で生産性向上に取り組む5つのメリットは、以下のとおりです。

  • ・コスト低減
  • ・利益の拡大
  • ・労働意欲の向上
  • ・品質の担保
  • ・人手不足を軽減

生産性向上への取り組みには企業のコスト面だけでなく、現場で働く作業員にとってもメリットがあります。それぞれ詳しく解説するので、自社で生産性向上に取り組む際の参考にしてみてください。

コスト低減

生産性向上に取り組むことで、製造にかかるさまざまなコストを低減できます。具体的に低減できる製造コストの例は、以下のとおりです。

  • ・人件費
  • ・光熱費
  • ・原材料費
  • ・過剰在庫の管理費

コスト低減を目的とした生産性向上の取り組みには、以下の例が挙げられます。

  • ・一部の工程をITツールで自動化し少ない人数で運用する
  • ・電力会社を見直して電気代の安いプランに切り替える
  • ・在庫の管理を見直し借りていた倉庫を解約する

生産性向上によって、企業は金銭的な負担を軽減できます。

利益の拡大

生産性が低い工場は、稼働時間に対して製造できる量が少ない状態です。生産性の向上に取り組むと同じ時間で多くの製品を製造・販売できるようになるため、利益の拡大が期待できます。

工場が引き受けられる依頼の量は、生産能力の大きさに影響されます。生産性がアップすると対応できていなかった顧客との接点が増え、取引の規模を拡大できるでしょう。多くの収益を得ることによって、企業は会社規模の拡大や設備投資にさらに資金を投じられます。

労働意欲の向上

生産性を高めるためには、作業員が能力を発揮しやすいよう工場の環境整備が欠かせません。能力を発揮できる環境が整うことで、作業員の労働意欲をアップできます。

完了までにムダな時間がかかる効率の悪い業務は、作業員の労働意欲を低下させてしまいます。作業員のモチベーション低下は、製品の品質悪化につながるでしょう。より短い時間で同じ生産性を確保できれば、残業や休日出勤が減り作業者が働きやすい環境の構築につながります。生産性向上の取り組みは、企業だけでなく作業員にもメリットがあります。

品質の担保

供給量を増やすためには、不良品を減らし品質を安定させることが重要です。しかし、作業者によって仕上がりにムラが発生している工場では、品質が安定しないので生産量の最大化が進みません。生産性向上への取り組みによって製品ごとのムラが減少し、一定の品質を担保できます。

製品の品質は、企業のイメージを形成する要素の1つです。品質が安定すると、顧客満足度の向上や企業の信頼感につながるでしょう。

人手不足を軽減

製造ラインを少ない人員で運用できれば、人手不足の影響を軽減できます。総務省の統計によるとピークの1995年以降、日本の生産年齢人口は年々減少しており、2050年には2021年と比べて29.2%減少すると見られています。

参照元:総務省|第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~|

日本の少子高齢化は今後も進み、工場で働く人材の確保はさらに難しくなるでしょう。生産性の向上へ取り組むことで業務効率化が進み、人手不足に悩まずに安定した製造ラインを確保できます。

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3.工場の生産性向上を阻害する要因3選

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

工場の生産性向上を阻害する3つの要因は、以下のとおりです。

  • ・優秀な人材の不足・流出
  • ・標準化の未徹底
  • ・コミュニケーション不足

3つの要因がある工場では、生産性の向上は進みません。自社に当てはまっている要因はないか、チェックしてみてください。

優秀な人材の不足・流出

スキルを持った作業員の不足は、製造ペースの遅れを引き起こします。そのため、高いクオリティを発揮できる作業員が足りない工場は、生産性の向上が進みません。優秀な人材に大きく負担がかかる現場では、専門性を発揮できる業務以外の作業が増加することでモチベーションが下がりやすいでしょう。

優秀な人材の育成には時間とコストがかかり、外部に流出してしまうと企業にとって大きな損失になります。研修や採用の推進だけで、人材育成の問題を解決するのは難しいでしょう。生産性の向上に取り組む上では、高いスキルを持った人材の確保が必要です。

標準化の未徹底

生産性向上のためには、作業の担当者に左右されず安定した品質の製品を供給し続ける必要があります。誰でも同じレベルで製造できるよう作業の標準化ができていないと、生産性の向上は達成できません。

たとえば、高いレベルで製造できるベテラン社員が離職し経験の浅い社員の割合が増えた場合、品質が安定せず生産性が低下する可能性があります。経験やスキルは作業員によってばらつきがあるため、ベテラン社員のノウハウを全体で共有することが重要です。

コミュニケーション不足

製造工程ではさまざまな役割の社員が関わっており、それぞれの動きをコミュニケーションなしで把握するのは困難です。たとえば、工場と部品を調達する部署はお互いの意見を共有して、適切な在庫管理を図る必要があります。

コミュニケーションが上手く取れていない工場では、不要な部品の過剰発注などにつながるでしょう。ひとつひとつの連絡ミスは小さくても、企業全体で見ると大きな損失になり得ます。部署間のコミュニケーション不足は、製造の生産性向上を阻害する要因です。

4.工場の生産性向上を実現する5つの改善策

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

工場の生産性向上を実現するためには、5つの改善策があります。

  • ・5Sを徹底する
  • ・ボトルネックを解消する
  • ・レイアウトを改善する
  • ・目標を数値化する
  • ・ITツールを導入する

5つの改善策を理解することで、自社の課題に適した方法を選びやすくなるでしょう。すぐに実践できる改善策もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

5Sを徹底する

5Sとは、工場の生産性に影響を与える以下の5つの要素を指します。

  • ・整理
  • ・整頓
  • ・清掃
  • ・清潔
  • ・しつけ

たとえば、工具置き場が散らかっていて必要な道具を探すのが遅れると、作業時間を圧迫し生産性の低下を招きます。「公衆衛生の向上」「モチベーションやモラルの向上」など、5Sの習慣化は時間的な効果だけでなく、作業員が気持ちよく働ける労働環境の整備にもつながります。5Sの徹底によって業務のムダをなくし、効率よく作業を進めることが重要です。

ボトルネックを解消する

ボトルネックとは、製造工程のなかで生産能力の低いポイントを指します。製造業において、生産能力を低下させている原因を明確にし、工程を改善することが重要です。

製造工程のボトルネックには「ムリ」や「ムダ」が潜んでいる可能性が高いです。ボトルネック工程の具体的な特徴は、以下のとおりです。

  • ・停滞することが多い
  • ・稼働率が高い
  • ・作業時間が長い
  • ・トラブルの発生が多い

工程を改善するごとに新たな問題があらわれるため、ボトルネックは完全にはなくなりません。しかし、改善を繰り返すことで全体の生産性は少しずつ向上できます。工程の生産能力は工場全体の製造量に影響を与えるため、ボトルネックは定期的に見直すことが重要です。

レイアウトを改善する

製造する品物によって、適した設備のレイアウトは異なります。生産性向上のためには、作業員の動きや流れがスムーズになるよう製造に適したレイアウトへの改善が必要です。

導線の検討が不十分なレイアウトは、納品までの工程にムダな時間や手間を生み、生産性の低下を招きます。レイアウトを変更する際は、実際に業務にあたる作業員の意見を取り入れながら進めることが重要です。いくつかのパターンを試しながら、作業しやすいレイアウトを探してみましょう。

目標を数値化する

言葉だけの目標では、達成度の判断があいまいになってしまう可能性があります。目標に具体的な数字を盛り込むことでゴールに対する途中経過や結果が明確になり、生産性の向上につながります。

一方で、現実的ではない目標設定は作業員のモチベーション低下を招くでしょう。目標に数字を入れる目的は、あくまでもムダをなくして効率的な生産につなげることです。生産性の向上に取り組むためには、実現可能な目標設定が大切です。

ITツールを導入する

ITツールを活用した自動化や無人化は、生産性の向上につながる設備投資の1つです。自動化や無人化には、以下の5つを低減できるメリットがあります。

  • ・人件費
  • ・時間のロス
  • ・手作業による作業ミス
  • ・人手不足
  • ・スキルのばらつき

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5.まとめ

工場の生産性向上に取り組むメリット5選!達成できない原因と5つの改善策を解説

コスト低減や品質の担保など、工場の生産性向上への取り組みにはさまざまなメリットがあります。しかし、標準化の未徹底や人材不足によって工場の生産性向上は阻害されてしまいます。工場の生産性向上を実現するためには、ITツールを活用した業務改善が効果的です。

NTT東日本では、ICTの活用による製造業の課題解決など豊富な実績を活かして、最適なソリューションをご提案します。今なら期間限定で、自社にあった業務効率化の手法がわかる資料を無料ダウンロード可能です。工場の生産性向上にお悩みの企業は、お気軽にNTT東日本にご相談ください。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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