「紙から電子契約書への移行を検討しているがやり方がわからない」「おすすめのサービスが知りたい」という方はいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では契約書を電子化する方法とメリットについて解説します。
電子化を進める際の注意点も説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次:
ここでは、書類の電子化について以下のポイントを解説します。
電子化を進める前に、対象となる取引などを確認しておきましょう。
書類の電子化とは、紙の書類をPCやスマホ等で扱えるようデータ化することを指します。また、WordやExcelなどPC上で作成した書類も電子データで作られた書類です。
契約書や企画書などの紙書類を電子化することで、場所を選ばず承認手続きや閲覧を行えるので業務の効率化につながります。加えて、データベース上での一元管理のため、情報共有が簡単に行えるメリットがあります。
「電子帳簿保存法」では発行・受領が電子的に行われた取引に関する情報の電子保存が義務付けられています。メールやインターネット経由での取引については、電子保存された帳簿書類のみが申告書類として認められます。印刷した書類のスキャンは、認められないので注意しましょう。
添付ファイルを含めたメールやインターネットでの取引の全てを「磁気的記録」に保存しておく必要があります。なお2023年12月末まで2年間に行われた電子取引については、従来どおり紙の状態での保存が可能です。
既存の書類を電子化する方法として上げられるのは、以下の3つです。
書類を電子化させる3つの方法にはそれぞれ良い面があるので、自社に合った手段で書類を電子化させましょう。
企業で使われているコピー機や複合機の多くにスキャン機能が備わっているので、書類を読み込ませて電子化させるのが一番手軽な方法です。
普段から使用している機器なので操作に戸惑うこともなく、外部委託する必要もありません。扱う紙媒体の量が少ない企業に向いた方法であり、コストを最小限に抑えられ業務の合間にスキャンできるのもメリットです。
ただしスキャンしただけの書類は画像ファイルとして保存しているに過ぎないので、法的効力を持たせることができません。
書類を電子化する手段としてスマートフォンやカメラを使って書類を撮影し、PDF化する方法もあります。
無料の撮影アプリが多くリリースされており、単に撮影をするだけでなくORC機能で読み取った文字データをPDF化できるため、利用しやすいのが長所です。
ただし1枚ずつ撮影する必要があるため時間がかかり、多くの資料を電子化したい場合には向きません。また撮影の仕方によっては、画像データの文字が読み取れない可能性がある点にも注意が必要です。
近年では、書類の電子化を代行する業者やサービスが充実しています。サービスを提供する業者が会社を訪問して電子化を進めてくれるサービスや、書類を郵送してスキャンするサービスなどがあります。
契約書や請求書に対して法的効力を持たせたまま電子化できるサービスもあるため、利用するメリットの大きいサービスと言えます。
書類を電子化するメリットは5つあり、以下のとおりです。
5つのメリットを理解して、書類の電子化を進めていきましょう。
書類を電子ファイルとして作成・保存することにより、必要な資料の検索が簡単に行えます。紙の書類から必要な資料を探す場合、ファイリングされている資料を一つひとつ探す必要があります。
書類を電子化することで、資料に含まれる特定のキーワードを検索して探し出せます。さらにPDFのファイル名やフォルダ名をわかりやすくしておけば、より早く欲しい資料を見つけ出せるので業務効率の向上が可能です。
電子化された書類はPCやサーバー、クラウド上に保存されるので保管場所が必要性がなくなります。紙の書類を使用している場合、企業活動が長くなる程に保存する紙の書類が増えていきます。
結果として会社内に書類を保管するための場所とコストが必要となり、書類の量によっては外部の倉庫を契約しなければなりません。また、オフィスの外に倉庫を借りて書類の保管を行う際には、取り寄せの際も費用が生じることも無視できません。
そこで書類を電子化すれば、保管場所や保管費用の問題は解決します。保管コストの削減に加えてオフィスのレイアウトを有効に活用できるようになるのも魅力です。
書類を電子化することにより、書類データがクラウド上で保管されるようになるので従業員間での書類の共有が容易になります。
紙の書類で作成された稟議書や報告書は「印刷」「上司や関係部署へ持ち込み」の手間が生じるので、素早く業務をこなすのに支障があるでしょう。
しかし書類を電子化することで複数人での共有が可能となり、紙媒体での手間が解消されスピーディーな業務進行の実現に繋がります。テレワークや外出先でも情報を確認できるのも魅力的です。
書類の電子化はコストカットや情報共有のしやすさだけでなく、個人情報や社外秘情報の紛失防止にも繋がります。電子化された書類のデータはサーバーやPC、クラウド上に保管されています。
そのため「誰が持っているのかわからない」「持ち出した際に紛失してしまった」などの状況を防げるでしょう。また災害が起こった場合など、紙媒体であれば紛失が起こる可能性がある状況でも電子データであればリスク軽減が可能です。
紙媒体の書類では日々増えていく書類の管理の為に、ファイルや書棚などのコストが必要です。しかし、電子化によって書類の保管に要していたコストを削減できます。削減できる費用の例は、以下のとおりです。
また書類の搬送や処分にかかる費用も軽減できるので、電子化によるメリットは大きいと言えます。
書類の電子化を行う際には注意点が3つあり、以下のとおりです。
導入時に想定外のトラブルが発生しないよう、必ず内容を把握しておきましょう。
契約書を電子化する場合には「電子署名」と「タイムスタンプ」の2つがなければ法的効力を持てません。法的効力を持たせたいなら、電子契約サービス等を利用しましょう。
なお、検索性能や情報の共有を目的として電子化する場合には、スキャナーや撮影により電子化しても問題ありませんが、原本の保管が必須です。
機密情報を扱う書類を電子化する場合、社内の人間によるミス等から生じる情報漏えいや外部からのサイバー攻撃による不正アクセスのリスクがあります。情報漏えいや不正アクセスによる被害を防ぐためにも、セキュリティ対策が必須です。
対策方法として、以下の方法が挙げられます。
紙媒体の書類と異なり、電子化された書類は社内の人間であれば誰でも気軽に情報を共有できます。そのため、セキュリティ対策を徹底することが重要です。
書類の電子化を進める際に注意すべき点の1つに「公正証書は電子化できない」ことが挙げられます。公正証書とは、契約の成立などについて内容を証明する書類であり、押印・対面・書面を原則としているため電子化できません。
公正証書とみなされる書類(契約書)は、以下のとおりです。
この他にも書面での作成が義務付けられている契約書があるので、電子化を進める際には事前に確認しておきましょう。
書類の電子化を進める上で、文字が上手く読み込めず電子化移行に手間取る場面が想定されます。そこでおすすめなのが「AI-ORC」を利用して書類の電子化です。「AI-OCR」とは、AIを活用して文書のスキャン、読み取りを行う仕組みです。
「AI-OCR」は手書き文字や訂正された文字、FAX等の利用により傾いた文字に対しても読み取りができるので、既存の書類を電子化するのに適しています。
書類の電子化を進める上でお困りの方や「AI-OCR」を導入してスムーズに書類の電子化を進めたい企業担当の方は「AI-OCR」の詳細を以下の資料でご確認ください。
「【よくある活用事例10選】AI-OCR導入ガイドブック」の資料ダウンロードはこちら
書類の電子化を行うメリットは、以下のようなものがあります。
書類の電子化を進める上で「契約成立についての内容証明を行う公正証書などは電子化できない」「単に書類をスキャンして電子化した書類には法的効力がない」ことに注意する必要があります。
契約書や手書きの書類には適した電子化方法が異なり、契約書であれば電子契約サービスを、手書き書類であればAI-OCRを用いるのがおすすめです。書類の電子化を検討されている方は、ぜひ以下の資料をご確認ください。
「【よくある活用事例10選】AI-OCR導入ガイドブック」の資料ダウンロードはこちら
NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄
NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。
2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。
2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。