業種別事業計画書作成
事業計画書の
“より良い”書き方
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1創業の動機
『創業の動機』で大事なのは、開業が思いつきではなく、計画性があり、かつ事業継続への強い意欲を示すことです。
過去の経験と絡めて説明することで説得力が増します。
POINT
NG
大手企業で8年間勤務していましたが、残業も多く体調を崩すこともあったため、自営業で健康的な生活を送りたいです。
OK
大学卒業後、大手システムインテグレーターにて5年間エンジニアとして活躍し、その後大手人材紹介会社で10年間営業として勤務し、紹介先の企業と紹介者の開拓を行ってきました。主任として4人の部下のマネジメントも行っていました。
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2事業の経験など
自身の過去の経験や職歴を記載します。ここで注意すべきなのは、『創業の動機』で記載した内容と整合性を保つようにしてください。
また、会社員時代の実績なども記載しておくと、融資に向けたプラス要素になります。
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3取扱商品・サービス
ここで伝えるべきは、「自社の魅力」であり、「お客さまがサービスを利用する理由」です。競合店と何が差別化要因となるか明確になるように記載していきましょう。
POINT
NG
人材が不足している企業に対し、適切な人材を紹介します。
OK
ITエンジニアの経験があるため、前職ではITエンジニア人材に特化した紹介を行ってきており、多くの人脈も築き上げてきました。今後もITエンジニアに特化した紹介を行います。
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4取引先・取引条件等
『取引先』とは、販売先・仕入先・外注先の3つを指しています。取引先の店名など、できるだけ具体的に記入することで、信用性が上がります。
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5必要な資金と調達の方法
記入欄の左側には「資金を事業の何に使うのか」(資金の支出予定)、右側には「必要な資金をどうやって集めるか」(資金の調達方法)を記入します。この際、左右の合計金額が必ず一致するようにしてください。
開業するための資金は
どれくらい必要?
開業時の必要資金は、
以下のように考えます。
- 運転資金は、一般的に6ヶ月分用意するのが望ましいです。
- 今後の事業の成長のため投資分まで用意できると理想的です。
そもそも
自分はいくらまで
調達できるのか?
開業資金のうち、自己資金で足りない分は創業融資で調達することになります。
- 創業融資を借りるには、開業資金の概ね1/3以上の自己資金が必要です。
- つまり、創業融資で借り入れできるのは、自己資金の最大2倍程度まで。
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6事業の見通し(月平均)
「事業の見通し」欄は、通常の財務諸表でいうところの損益計算書に該当します。融資審査の際には、納得のいく根拠に基づいた算出となっているかにより、融資の成功が大きく左右されます。
売上予測の
計算方法を考える
人材紹介業の計算式
人材紹介成功者数
紹介手数料の平均額
人材紹介業の場合、おおよそ以下の数値が
一般的に用いられています
人材紹介業の場合
- 人材紹介成功者数
- 過去の実績・経験に基づいて記載してみましょう
- 紹介手数料の平均額
- 採用手数料の業界平均額は、入社が決定した求職者の年収の30~35%と言われています
開業準備は必要なタイミングで
検討・行動することが重要です
先輩経営者の
開業体験談をみる
人材紹介業
株式会社WeGlobal
代表取締役 周 如意様
A.
実は、日本で人材紹介業を行うにも関わらず致命的な2つが欠けていました。①日本で人材紹介業をやったことがない②東京で仕事をしたことが無かった まず…
先輩経営者の開業体験談
人材紹介業
株式会社WeGlobal
代表取締役 周 如意様
今回インタビューするのは、株式会社WeGlobal代表取締役の周如意(シュウルイ)さんです。周さんは2021年4月に個人事業主として独立開業し、同年11月に法人化をしました。周さんはトリリンガル(日本語・中国語・英語)であることを武器に「日本と中国を世界に繋げ、グローバルに人とビジネスの可能性をアップデートする」をミッションに掲げ、人材紹介業を中心に活動しています。コロナ禍での独立とあって、たくさんの試行錯誤を繰り返したとのことです。そんな周さんに人材紹介業での起業についてお話を伺いました。
コロナ禍での開業でしたが、創業に至るキッカケや動機を教えてください。
私自身は、もともと中国生まれで2007年12歳のときに日本に来日しました。中高大学は日本の国公立に通いましたが、来日当初は日本語も話せなかったのでコミュニケーションを取るのに苦労しました。
実は大学は医学系でした。医学生の大半は研究者になるのが一般的な道で、会社員として就職する方が少数派です。その中で、自分が30歳までに何かしらのビジネスを立ち上げる経験をしたいと漠然と考えていました。家族は会社経営をしているわけではなかったのですが、中国出身の人で日本でビジネスを行っている知人がたくさんいることもあり、起業=リスクがあるとの認識はあまりありませんでした。大きなキッカケになったのは、新型コロナウイルスです。当時はシンガポールの会社で働いていました。コロナ以降、オフィスに行かなくても良くなり、働く環境も世界観も大きく変化していく中で外出もままならない状況で自分と向き合い、私自身の無限の可能性に挑戦したいと決意したと同時に勤務先に退職の旨を伝え日本に帰国しました。
そこから開業にいたるまではどのようなスケジュールでしたか?
帰国してからは開業に向けて準備を始めました。4月に個人事業主の開業届を出したのですが、それまでの3ヶ月間は中野裕哲さん(起業コンサルタント)へ事業プランや事業形態等についての相談を行ったり、当時は周りに経営者の知人がいなかったのでたくさんの人に会いにいきました。また、コロナ禍ということもあり各種SNS(クラブハウス・LinkdIn・Twitter・Instagram・Facebook)を運用し、オンライン上のツールを一通り試しました。
私の場合は3ヶ月間という期間で準備を行いましたが、開業するまでは3~6ヶ月あると余裕を持って準備ができると思います。
開業する中で一番大変だったことを教えてください。
実は、日本で人材紹介業を行うにも関わらず致命的な2つが欠けていました。
①日本で人材紹介業をやったことがない
②東京で仕事をしたことが無かった
まず、日本の動向や需要などについては市場調査を経て理解していましたが、実際にはシンガポールでの経験しかなく日本で人材紹介の仕事をしていないなど、逆境の立場にありました。また、自分が主戦場に選んだ東京ですが、東京で働いたことがないので人脈も無ければ地の利もわからない状況でしたね・・・。ただし、自分自身のバックグラウンドがハマることも想像できたし、可能性の方が強かったと思い当時は行動していましたね。
周さんはどのようにして乗り越えていったのですか?
私は起業当時、会社員としての働き方しか知らなかったので、とにかく何でも試してみて試行錯誤することを心掛けました。当然、成果が出たことも全く出なかったこともたくさんあります。成果が出なかったものを失敗として捉えるのではなく、自分のコンテンツにとって合うことなのか合わないことなのかの判断材料にしたり、ノウハウとして積み重ねていくことを意識しました。なかなか芽が出なくてしんどいときも多々ありましたが、自分で手を動かして成果が上がったときやSNSやHPからの問い合わせがあったときにはものすごくうれしいです。今ではビジネス系SNSのLinkedInのフォロワーが1万人を超えました。
これからあらたに開業する人に気をつけてもらいたいことはありますか?
私の方から皆さんにお伝えしたいことは3つあります。1つめは、自分がやりたいことに対して強い意志がある人は応援されるということです。2つめは、日本は起業のアイデア宝庫であるということです。それぞれのレイヤーの人たちに悩みがたくさんあります。今はなんでも提供できるし起業のハードルも下がっているので挑戦がしやすい環境です。さいごに、起業は想いだけでは成立しないので、専門家のネットワークや相談者を持つことです。困ったときに正確に聞ける環境があるからこそ、難題にも挑戦ができると思います。
みなさんの踏み出す一歩をたのしみにしています。